フェブラリーステークス2021【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着カフェファラオ(3.3倍)2着エアスピネル(28.0倍)3着ワンダーリーデル(19.3倍)

レース名第38回フェブラリーステークス
日程2021年2月21日(日曜
優勝馬カフェファラオ
優勝騎手C.ルメール
勝ちタイム1:34.4
馬場
3連単配当101,710円

フェブラリーステークス2021 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
13カフェファラオ1:34.4 -
210エアスピネル1:34.5 3/4
37ワンダーリーデル1:34.81 3/4
416レッドルゼル1:34.9 1/2
51エアアルマス1:35.1 1 1/4
単勝3330円
複勝3180円
複勝10510円
複勝7400円
枠連2-5980円
ワイド3-102,130円
ワイド3-71,560円
ワイド7-103,620円
馬連3-106,620円
馬単3-109,300円
3連複3-7-1024,940円
3連単3-10-7101,710円

フェブラリーステークス2021 - レース後コメント(騎手/厩舎)

きょうは本当のカフェファラオでした。パドックから馬の状態はすごくよかった。勝つ自信があった。G1を勝つことができてよかった
※C.ルメール騎手のコメント(カフェファラオ)

フェブラリーステークス2021 - レース結果動画(YouTube)

フェブラリーステークス2021 - 回顧

果てしなく強い、あのカフェファラオが戻ってきた。

しかし、全力を出し切れるほどの体調でも気分でもなかったような気もしないではない。

よだれを垂らしながら、猛烈な競馬をする馬はいるが、スマートに立ち回って、力で他を圧倒するのだから、オジサンたちには堪らない。

様々な工夫を施した陣営の努力は、理想の結果に繋がったことになる。

その証となる数字が、

1:34.4=46.5-47.9

特筆すべきは、最初の1Fが当然の12.5秒だったのに、次に遅いラップが最後の12.1秒ということ。

普段なら、強気スパートの人気馬の脚が上がって何ら不思議はないフェブラリーSのノーマル仕様の展開だったものを、実質、古馬のマイル戦の流れを初経験にも関わらず、難なくこなしてしまったのだから、あの夏の独走劇は当然の結果だったと、今更ながら証明したのである。

良馬場でこれまでの最高記録が、厳寒期であるからというのもあるが、日本競馬史に残る名ダートホースであるカネヒキリ、エスポワールシチーらが記録した1:34.9だった。

破格の中山のデビュー戦から、大いに芝スタートと初の東京、オープン馬が登場した舞台でヘグった2戦目のヒヤシンスS完勝から、ちょうど一年。

その時盛り上がったフェブラリーSを制したルメール騎手と共に、今年も超前哨戦たるヒヤシンスSからハイレベルをキープしたまま、本物を姿を再度、モニター越しの多くのファンたちに見せつけた。もはや、アメリカンフェイロー<American Pharoah>というファピアノ系の傑作競走馬は、芝向きの種牡馬になったという説が飛び出ていたくらいだったが、再度修正することにも成功。

すでに、後継争いがスタートした21世紀初の米三冠馬である父の威光を背景とし、様々な一流の可能性を見つける競馬を繰り返していく内に、また新たな可能性が見えてきたことになる。

一つは、

『ミスタープロスペクター系の柔軟性の体現の成功』

よく考えると、JRAのレースだけ考えたら、大まかに見てダートは6割程度のものだが、地方の深い砂競馬まで含めたら、芝のレースなどほとんどない。

下手をすると、本場USAよりもダート競馬のメッカとも思える日本において、謎のサウジアラビア適性を示す内国産馬や日本調教馬たちが世界の中では爪弾きされて不思議ないやや低調な気配を、世界に先んじて、ダートのチャンピオンホースを日本から出したことに価値がある。

お世辞にも、日本調教馬のダート専門家の能力は高水準とは言い難い。

アメリカンフェイローには芝のスター候補が散見され、ヴァンゴッホというフランスの朝日杯みたいなレースを勝った馬は、日本にも馴染みのあるディーマジェスティやトリプティクが出ている一族で、かつて日本人が心を熱くしたエルコンドルパサー同様、ミスプロ系とサドラーズウェルズ牝馬の組み合わせ。

キーンランド<USA>の芝9Fのタイトルを得た、カフェファラオと同期の牝馬・ハーベイズリルゴイルは、何の縁なのか、あのグランアレグリアと同じタピットを母父に持つ馬。

肝心かなめ、北米圏の競馬が順調に消化できていないのは、今年に入ってからも同じで、それは欧州の芝競馬においても同じとなるわけだが、大事なのは、母父が北米血統の集積体であるヘイロー系のモアザンレディが、サンデーサイレンスほどではないにしても、その父サザンヘイローの類まれな万能性を体現し、芝向きの馬も出している中で、本質むき出しのダートスター誕生の根拠になっているという点。

先にも記したウッドマンの血を受けるモアザンレディだから、よっぽど、このファピアノ系のどっちに転ぶかよくわからない性質にもフィットしているのだろうと思われる。

サンデーサイレンスはどんなに気性が悪くても、本当に走るの芝の方であったし、晩年にダート専門化に転ずるゴールドアリュールも出したが、キングカメハメハのような真っ二つの性質ははっきりわかれる万能性とは違う。

アメリカンフェイローが日本に来ることはないだろうが、サンデーサイレンス系との相性は、ことカフェファラオが父になった時、代を経た同士で、美しいマッチングを見せるのだろう。

レースの中で見えたもう一つの希望から、父としての成功も見えてきた。

『本物の名馬である可能性を一度でも大舞台で示せた意味」

早い話が、何度もG1など勝てないのは当たり前、軌道に乗るまでのキャリアの積み重ねが大いに中抜きで、いきなりの攻めの大井参戦から、全く揮わないカフェファラオのゆるゆる競馬しか8カ月程見ていなかったので、ファンは信じている人は多かったというだけで、プロはほとんどがどうなるか分からないから内枠で尚更推せない…、となったのである。

本当はその筋読みは正しいのだが、エアアルマスはスピード馬と信じる松山騎手の檄に再び応え、弱気に出るインティ&武豊の理想形を体現した。

おかげでペースは自分で作ればいいという形を、一応は経験のある芝スタートでの成功と失敗の中で連勝記録を活かすことで、出は甘かったが、やる気はそれなりにはあるから動いていけた。

ダートに入ってからは、掛かるほどではなく、あのいい時のユニコーンSの好位付けに、G1仕様の特別な形でも揉まれないで強気すぎないポジションが作れた。

実質的に、そこで勝負あり。気持ちが切れないのだから、止まる理由はない。

差すしかなくなった大外のレッドルゼルは、前残り傾向のダートを踏まえ、根岸Sの時以上に進路選択に苦心することになったが、それ以前に前哨戦で外から差せないとそもそも苦しいのは当然。

中身があったが、蘇ったエアスピネルと堅実さも身に着けたワンダーリーデルら超ベテランのテクニックにも及ばなかった。

鮫島騎手は勝ったと思ったはずだが、エアスピネルは元々惜敗王の性質を持つ。

その絶対数はキャリア24戦で、今回と同じ2着は5度だから大したことないが、この結果、G1に限れば3回目となった。

スピードはいいものはあるが、使いどころが難しい。

昨年のケイティブレイブ同様、これ以上やりようがない2着だった。芝の時より、それがはっきり出た印象はある。

見どころがあったのは外から捲ったアルクトスだったが、東京のマイルのそれなりのペースの競馬で、2000Mのタイトルを持っているような馬の形で勝負しては、そもそもスピードレースの様相を呈していたのだ過多、どうにもならない。

中山ではああいう形をやりきる田辺騎手として、正しい選択をしたとて、この日の外捲りが敗因に直結することは知ってのことだろう。

カフェファラオが音を上げてくれれば、結果は大違ったかもしれない。

まあ、勝負所のカフェファラオが通った内目の好位で、その後ろがワンダーリーデル、そのまた後にエアスピネルがいた。

勝負事には運が必要だったが、盛岡でそれを使い切ってしまったのだろうから、その意味での余りはなかったか。

もうひとつ、酷い選択に見えたインティは差してきて、結局6着。

昔からよく見たユタカスペシャルだが、勝つ時はきっと、また逃げ切りだろう。

高速のマイルだから成功の展開で、やはり難しい馬だ。