スプリンターズステークス2021【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着ピクシーナイト(5.3倍)2着レシステンシア(3.4倍)3着シヴァージ(47.5倍)
レース名 | 第55回スプリンターズステークス |
日程 | 2021年10月3日(日曜) |
優勝馬 | ピクシーナイト |
優勝騎手 | 福永 祐一 |
勝ちタイム | 1:07.1 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 38,610円 |
スプリンターズステークス2021 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 4 | ピクシーナイト | 1:07.1 | - |
2 | 12 | レシステンシア | 1:07.4 | 2 |
3 | 1 | シヴァージ | 1:07.4 | アタマ |
4 | 6 | メイケイエール | 1:07.8 | 2 1/2 |
5 | 16 | モズスーパーフレア | 1:07.8 | ハナ |
単勝 | 4 | 530円 |
複勝 | 4 | 200円 |
複勝 | 12 | 160円 |
複勝 | 1 | 770円 |
枠連 | 2-6 | 700円 |
ワイド | 4-12 | 460円 |
ワイド | 1-4 | 2,760円 |
ワイド | 1-12 | 2,030円 |
馬連 | 4-12 | 890円 |
馬単 | 4-12 | 1,910円 |
3連複 | 1-4-12 | 9,050円 |
3連単 | 4-12-1 | 38,610円 |
スプリンターズステークス2021 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「いろんな(位置取りの)可能性を考えていたのですが、ここまでいいポジションでついていけるとは思っていなかった。逃げ馬の後ろは選択肢には入れていませんでした。早くから能力を感じていて、最終的にはG1で勝てる馬だとは思っていましたが、こんなに早く、横綱相撲ができるようになるとは思っていなかった。こちらの期待以上です。きょうの返し馬でも休み明けを叩いた効果を感じてはいましたが、体の前後のバランスがとれていない感じがしたので、この状態でどれくらいやれるかと思っていたが、これだけ強い競馬をしてくれるとは。以前から、この馬はすごい馬になると公言していたので、よかったです。この先短距離界を引っ張っていく馬となるでしょうし、国内のみならず、いろんな選択肢がある馬だと思います」
※福永祐一騎手のコメント(ピクシーナイト)
スプリンターズステークス2021 - レース結果動画(YouTube)
※実況レース映像
スプリンターズステークス2021 - 回顧
驚きが二つ。
まあ、あの天才にはちょっと控えて頂いて、それでも最後に突っ込んできた4着には驚いたのだが、
〔33.3-34.5→ 1:07.8/ 5着〕
モズスーパーフレアは普通の逃げ馬になってしまったのか。
いや、そういう特別な資質が相手関係の自滅等で、全く必要がなかった印象を受ける。
第一、北九州記念でかなり渋っていた馬場状態でも、33.2秒で行けているモズは、今年小倉開催のもっと激しい時計が出るCBC賞で逃げたファストフォースなどより1秒遅い逃げでも、楽々先行出来ていた。
いささか、負け慣れをしている姫君ではあるが、加減を知りすぎて、相手との折り合いをつけているうち、G1で5着くらいに入るように馬自身がセッティングしてしまっているような印象を受けた。
もっと走りたい時期はあったのだろうが、これが2歳時から快速でならした活躍馬の静かな終末へ向けた失速となっていくのか。
行けると思ったが、追っているピクシーナイトの手応えを見て悟った。
4歳秋のモズスーパーフレアではない。
素晴らしい武器もいずれは廃れるわけだが、それを使い物にならないところまですり減らす前に、上手さだけが先行してしまったのは残念。
その武器を高速展開で捨てられると見ていたが、プレッシャーが如何せん弱すぎた。
力は出し切っていないようであった。
ピクシーナイトその他、完全なる挑戦者たちは内枠に集まった。
受けて立つレシステンシア他、有力でもチャンピオンとして臨む最初のスプリンターズSとなったダノンスマッシュなどは、出来はちょうどいいレベルに仕上がり、無駄はないが心身に余裕があった印象でも、レースの質が軽かったのか、スパートする力が落ちているのか、父と同じような成長曲線を描きながら、春の中京で見せたしぶとさは見られなかった。
一方で、レシステンシアはうまく先行していた面々を相手にして、上手に動く出したから満足だったろうが、内でもっと脚を溜めてる同斤のパワフルな牡馬がいた。
ダノンに敗れた春も同じだったが、ああいう並びかけられ方をすると、スマートにレースを運びたい総合力型のスプリンターに育ってきたレシステンシアにすると、かなりタフな伸び脚勝負になる。
苦手な分野で戦いを挑むには、やはり半端に外過ぎる6枠12番は不利だったようだ。
その外のダノンスマッシュ、もっと外でもう外には誰もいないモズも、あまりにも先行激化をみんなが予測していたせいで、レースが簡単になりすぎたようだった。
悲喜こもごも。ただ、負ける時とはこういうものだ。
レシステンシアにもダノンスマッシュにも、この後もう少しだけ得意な条件が残されている。
気を緩めたくないところだ。
驚いた。
最近のスプリンターズSでは毎度パーフェクトに乗っているのに、いつも何かに油揚げをさらわれる現象が続いていた福永祐一騎手のレース適性などどうでもいい。
ただ、ここにきて意外にも縁のなかったこのレースで初勝利を決めた時、もっともこれまでで期待していたようなところのあるスプリンター・ピクシーナイトが、言うことを聞くどころか、自分から進んでレースを組み立て、最後は先行勢の捌きが最も苦しくなる直線のインからの捌きも難なくこなしてしまったのだ。
一にも二にも、スタートを決めて理想の好位差しを決めるための十二分な余裕を作れたことも勝因ではあるのだが、ここまで素晴らしい3歳馬はなかなかいない。
私もCBC賞が余計に感じ、そこから直行なら納得も、もろもろ賞金、レース間隔などを踏まえてセントウルSを使って、どちらもハイレベル決着のレースでキャリアを踏まえれば勝っていたのような内容に、やや上がり目への疑念を持っていたのだが、メイケイエールがようやく目覚めたように、G1の適鞍で今度はこのピクシーナイト号がグイグイと急成長である。
鞍上や陣営の考えの通り、まだまだぼてっと映す面はないわけではない少年体型だから、スマートさを増させるより、いい筋肉は薄くでも季節ごとにどんどん身に纏わせたいこのパワー型の前途に、将来性はあっても絶望など全くない。
負けても3歳馬なら何とでもなるが、何とでもなりそうな古馬の競馬を今の時点で完遂である。
父がまだ迷っていた3歳シーズン中に、この破壊力あるスパート能力。
まるで香港のスター・サイレントウィットネスを見ているようだった。いずれ、ピクシーナイトも父がモーリスであるのだから、香港に行く。
もはや、そこでどう勝つのかというレベル。ダノンスマッシュに隙を見せるまでもなく勝負を挑ませなかったのだから、注目の集まり方は尋常ではない。
ピクシーナイトとは父は言わずと知れたG1を日本と香港で勝ちまくったスター・モーリス。
その父はスクリーンヒーローで4歳秋のジャパンC制覇。
史上最強の2歳馬であり外国産馬とも称された天才のグラスワンダー<G1を4勝>は父父に位置にいる。
母父キングヘイロー、そんなグラスワンダーに相手にもされなかった一流半の競走馬だったが、逆襲の4歳秋から5歳春のまさかの高松宮記念優勝で、留飲を下げた一流血統馬。
フランスの凱旋門賞を勝った印象ばかりが強いダンシングブレーヴは、キングジョージも勝っているが、ダービーとルドルフもハマったサンタアニタのBCターフは敗れている。
それ以外、その12F級レース以外は、実に6戦6勝。
北米圏で大活躍のキングヘイローの母であるグッバイヘイローも、クラシックホースではあるが、8F以下でも基本的に連は外していない。
キングヘイローは自身の道をそのまま辿ったようなローレルゲレイロというチャンピオンスプリンターを出したが、それぞれがマイル以下の適性を持ちながら、いずれもがそうした才能を出し切れずに、5歳になって適鞍を見つけたということでは、キングヘイローを経たリファール系は速い競馬に向く適性を示すことがあるとここではできる。
一方で、モーリスもゴールドシアターも同時期に出し、今はウインマリリンが走るスクリーンヒーローも、気性面や体質に成長や改善が見られたところで中距離型に転じたが、あまり天才のこの系統に決めつけは必要ないのだろう。
マイルをこなすは当然の配合と言えるピクシーナイトではあるが、この日のモズスーパーフレアのように、NHKマイルCで他の馬が逃げられる感じではない状況になった時抑えようとしても、そういう縛りは与えてもこなせないという面は、若い頃のモーリスであり、ダンシングブレーヴの血を持つ快速型らによく見られた止まらない、止められない性質を受け継いだ者たちの呪縛でもあり、また宿命でもあるのだろう。
速く走れる筋肉を得たピクシーナイトは、意外な早熟の多いロベルト系の魅力を意外過ぎるタイミングで体現し、いずれ訪れるだろうチャンピオンになる日を自らの力で手繰り寄せた。
実は、母父キングヘイロー以外にも、母母父がこのレース連覇のサクラバクシンオー、母母母父にはエイシンワシントンの父オジジアンが入る系統。
芝のスプリンターに出た時、成功する何かを走りと血統から察知した福永騎手は、この結果には驚かないだろうが、そのスピードにはびっくり仰天であろう。
グラスワンダーとダンシングブレーヴが同居する快速馬だからこそ、今成功したとしか思えない。
あとだが、ビアンフェはガチャガチャしたレースになったはずなのに、スローもいい形で味方につけたのだろうが、ダノンスマッシュに交わされただけの7着となっている。
メイケイエールやシヴァージが理想の競馬を体現したように、結果は大して良くないが、明らかに昨年16着時より進化しているこの馬の成長も見逃せない。
スピード勝負歓迎に育っていけば、この馬も面白い。
母父サクラバクシンオー、世界に通用するキズナを父に持つ快速血統。ピクシーナイトのライバルになって不思議ない。
まだ4歳の騸馬である。