朝日杯フューチュリティステークス2021【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着ドウデュース(7.8倍)2着セリフォス(2.4倍)3着ダノンスコーピオン(9.7倍)
レース名 | 第73回 朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ) |
日程 | 2021年12月19日(日曜) |
優勝馬 | ドウデュース |
優勝騎手 | 武 豊 |
勝ちタイム | 1:33.5 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 14,840円 |
朝日杯フューチュリティステークス2021 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 9 | ドウデュース | 1:33.5 | - |
2 | 4 | セリフォス | 1:33.6 | 1/2 |
3 | 7 | ダノンスコーピオン | 1:33.7 | 1/2 |
4 | 3 | アルナシーム | 1:34.0 | 1 3/4 |
5 | 13 | ジオグリフ | 1:34.0 | ハナ |
単勝 | 9 | 780円 |
複勝 | 9 | 200円 |
複勝 | 4 | 120円 |
複勝 | 7 | 230円 |
枠連 | 3-5 | 690円 |
ワイド | 4-9 | 420円 |
ワイド | 7-9 | 1,070円 |
ワイド | 4-7 | 410円 |
馬連 | 4-9 | 1,060円 |
馬単 | 9-4 | 3,000円 |
3連複 | 4-7-9 | 2,350円 |
3連単 | 9-4-7 | 14,840円 |
朝日杯フューチュリティステークス2021 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「基本そんなに手のかからない馬なので、周りを見ながら乗れるかなと思ってました。道中のリズムもすごく良かったですし、いいポジションに着けられました。たまたま人気馬を見ながらのレース運びになって手応え良く直線に行けたので、後は頑張ってくれって感じでしたね。さすがに相手も強い馬ですから、なかなかしぶとかったですけどドウデュースが最後まで一生懸命走ってくれましたね。僕自身G1レースを勝つのは久しぶりなので凄くうれしかったです」
※優勝した武豊騎手のコメント(ドウデュース)
朝日杯フューチュリティステークス2021 - レース結果動画(YouTube)
朝日杯フューチュリティステークス2021 - 回顧
時の流れは早い。
あのユタカがついに…、ではない。
レジェンド・武豊さんが初勝利、という書き方をしないと失礼になる年下の記者が、この世界でも大半になってしまったのだから、遅すぎることはないが、むしろこういう嬉しい初体験はベテランほど大歓迎であろう。
4コーナーから直線にかけて、当たり前のようにG1を量産して勝ちまくっていた時代からも、この朝日杯であれほど理想の「勝ち」が見えるレース展開はなかったと記憶する。
勝てそうだったエイシンガイモン<一度前に出るも、人気のバブルガムフェローに差し返される>、ブレイクランアウト<自分自身が骨折休養明け>、あのエアスピネル<空気を読まないミルコのリオンディーズ強襲に涙を呑む>それぞれに、一番いい馬ではなかった…、という負の歴史があったが、今回は久しくなかった互角に戦える馬を得た上の結果。
セリフォスは外国人騎手特有の押して位置をとって抑える…、そのスタンダードが巧くフィットせず折り合わなかったのも敗因だろうが、それをマークしていたということになる武豊騎手がこうなった時、まず負けることはない。
負けるなら馬の各々の個性や状態、展開の影響もあるとできる。
負けるはずのない朝日杯についにであったその瞬間、きっちり勝った。
マイルチャンピオンシップで負けてきた歴史とはちょっと違うのである。
条件が整い、チャンスをモノにしたたった一度の経験、となって不思議はない。見事な2歳王者をよくぞ武豊が生み出したというべきだろう。
まずは、ドウデュースを褒めないといけない。
よく考えると、何故高馬をよく競り落とすキーファーズが馬主なのか、ということを突き詰めていったとき、血統に行きつくのであろうとち突っついてみたら、真面目に血統表を見ていないことがバレること請け合いの、大いなるミステイクを犯していたと気が付く。
5代母はOlmec。
その娘にNavajo PrinsessとDarling Ladyという馬がいるのだが、ドウデュースの4代母にあたるのが後者。
そして、前者の産駒があの世界のナンバーワンホースとなったダンシングブレーヴである。
縁あってのことか、Darling Ladyはダンシングブレーヴが生まれた年に、凱旋門賞連覇のAllegedの牝駒として生を受けている。
ダンシングブレーヴの存在が影響してのことだろう、3代母のDarling Dameには、ダンシングブレーヴをこの世に送り込んだLyphardがつけられ、とうとうこの牝系から日本で大物誕生となったわけだ。
ドウデュースの父ハーツクライは、母父が凱旋門賞勝ちのトニービン。母母父がリファールとなり、強烈ではない安全なクロスを有することになる。
強い馬に関わるところに入った種牡馬に共通項があり、またクロスさせれば印象よりもずっと見栄えをよく、ずっと意味のある配合となってくる。
どうしたって晩成の組み合わせだが、北米ベースのボールドルーラー系が母父に入り、ドウデュース自身は少し前向きに走れるいい面が備わっていたのであろう。
もはや、この先の話はドウデュース自身が持つ運であるとか、ここに至るキャリア等の影響となってくる。
一見こうした早熟馬の戦いに向かないようでいて、クラシックのレースよりはずっと、その辺りが柔軟なのであろう。
母ダストアンドダイヤモンズは4歳時に、BCレースのダートスプリント戦における好走歴のある馬だが、上の3頭は皆ダートで走った馬だったのが、こういうバランスを凱旋門賞仕様にいくらか偏らせる組み合わせにした初のハーツクライ産駒が、見事に当たった格好。
北米血統により過ぎても行けないから、一生懸命に芝のトップホースを作ろうと考えることが多い日本の馬産のスタイルは適していたのかもしれない。
動き出し完璧のドウデュースに対し、馬込みで折り合わせるための策を講じるも、セリフォスには通用しなかったクリスチャン・デムーロ騎手。
出は悪くなかったのに、自身と同じ休み明けの2戦2勝馬であるドーブネ・結局9着 の動きに付き合わずを得なくなり、どんどん置かれてスパート能力で勝負する理想の直線に持ち込めなかったジオグリフ×ルメール騎手。
いずれとも違う抜け出しも、マイルG1では少し何かが足らなかったダノンスコーピオン<松山騎手への乗り替わり>など、ドウデュースが完璧なレースをした時、自身が理想の競馬に持ち込めなかった時の死角を露呈したという見方もできる。
しかし、たまたま引っ掛かったというか、川田騎手が大事に作ってきたものが一発でポシャったようなセリフォスは、いくらか半年で4戦目の厳しさが今の時代にフィットしなかった印象もあったりする。
ついこの間のアドマイヤマーズでも、夏の中京からデイリー杯まで間隔はかなりあった。
一番難しいとされる3戦目を大事に使える舞台に設定して、上手に仕上げ過ぎずに作ったつもりでも、やはり、ストレスは掛かりすぎるローテなのであろう。
重賞連勝中の2歳馬が無敗である時、これまで見えなかった本当の死角出てしまうことがある。
一方、武豊騎手とうまく勝ち上がってきたような感じのドウデュースは、人気のジオグリフとは逆に、1800連勝の流れをローカル→東京の順で作った。
全て勝てるなんて願ったりかなったりだが、晩成のステイヤーみたいのがいいという漠然とした思惑を常に醸す友道康夫調教師が、アドマイヤマーズとの時以上に、明らかにハーツクライ産駒という意識もあるだろうが、陣営の熱意と結果を出した愛馬に対し、的確なシグナルを送ってくれる武豊騎手を配した時点で、この朝日杯の結果はどうであれ、先が見通せるようになるという展望が最初からできていたのだろう。
この時期に、マイルに距離を縮めるのは本来流儀ではない。
マイルを使うために育てたアドマイヤマーズは4連勝全て1600戦で、1800の共同通信杯で土がつく。
友道調教師の考えを理解し、
34.3−46.2−58.3
という、G1に相応しい展開をきっちり馬に理解させ、そもそも適性不明のマイル戦に適応させてしまったのだ。
馬が応えてくれることが何より重要な2歳戦において、特にG1を勝てることには運も必要。
強運のダービー複数回制覇のコンビだからこそ、うまいことレースの流れに乗れれば、こういう結果に繋がるのかもしれない…。
ああ、友道調教師と武豊騎手のここまで直近のダービー制覇も、なかなか骨っぽい相手に人馬一体の競馬であったということを思い出した。
ワールドプレミアも菊花賞も全て完璧。
1番人気にならなかった方が強いなんて、どこかで噂話をしていると、今度は断然人気でG1勝ってしまうかもしれない。
そうした勝機を逃さないところは、先週の優勝者である国枝調教師&ミルコ・デムーロ騎手にも同じことが言える。
あと、ちょっと違う視点で称賛をしてみたいのが4着のアルナシーム。
追いかける価値のある、どう見ても仕草から顔つきまで全てが幼児の若馬だ。
何しろ、2歳時までは腕白さが目立ちすぎて、3歳時はついに勝てなかったあのモーリスの仔。
これもついている、牝馬でお馴染みの名手・池添謙一騎手が、その流れでよく任される静かに成長を見せる隠れた才能を持つ期待馬に、よく魔法をかけてしまうことがある。
ちょっと前に2歳重賞の回収率や、デイリー杯の検討で調べ物をした時、勝てないまでもこうして掲示板に持ってくる伏兵というケースがよく見られる。
何しろ、2年前は近年全く来ていない未勝利戦勝ち直後の伏兵・グランレイに、なったことのない追い込みで3着に連れてきている。
面白いことに、これまでの2戦では武豊騎手が騎乗していた。
母の全弟にあたるアルアインやシャフリヤールとは違い、静かな時間を経て、一気に生まれ変わる可能性を秘めた出走馬の一頭と言える。