2022年桜花賞【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着スターズオンアース(14.5倍)2着ウォーターナビレラ(6.2倍)3着ナムラクレア(14.5倍)

レース名第82回桜花賞
日程2022年4月10日(日)
優勝馬スターズオンアース
優勝騎手川田将雅
勝ちタイム1:32.9
馬場
3連単配当72,700円

2022年桜花賞 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
18スターズオンアース1:32.9-
26ウォーターナビレラ1:32.9 ハナ
31ナムラクレア1:33.0 1/2
416サークルオブライフ1:33.0 クビ
55ピンハイ1:33.0 クビ
単勝81,450円
複勝8360円
複勝6220円
複勝1400円
枠連3-42,550円
ワイド6-81,250円
ワイド1-82,100円
ワイド1-61,110円
馬連6-83,740円
馬単8-69,050円
3連複1-6-811,740円
3連単8-6-172,700円

2022年桜花賞 - レース後コメント(騎手/厩舎

「コロナ下の中、こういう表彰式もなかなか行うことができず、こうやって復活して、みなさまの前で表彰式をして、インタビューを聞いていただけるというのも、とてもありがたい時間だなとあらためて感じています。これから、よりコントロールが効いて、スムーズに能力を出せるようになっていけば、これから先もこれだけの走りができる馬ですので、よりいい内容で走れるようになってくれればという思い。さらなる成長を期待したい。まずは昨日、大変ご迷惑をおかけして非常に申し訳なく思っております。そして今日、これだけ素晴らしい天気の中、馬たちが頑張ってくれて、みなさまの前でいいレースを披露してくれたと思いますので、またこれからも競馬を存分に楽しんでいただけるように、僕もあらためて気を引き締めて精いっぱい頑張っていきたい。」

※優勝した川田騎手のコメント(スターズオンアース)

2022年桜花賞 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

2022年桜花賞 - 回顧

ミスタープロスペクターのクロス、それも3×4、4×3というのは、スターズオンアースの父父キングカメハメハの産駒で、父ドゥラメンテの2年後にダービーを制したレイデオロの例がある。

母母父がシーキングザゴールドでその父がミスタープロスペクターであるから、3×4が成立しているが、2014年、即ち、レイデオロが誕生した年の春のダービーも、ヘイローの同系配合で3×4というワンアンドオンリーが勝っていた。

いずれも、2着となった馬にはそうした主だったところに入ったクロスのない、また生じがたい組み合わせのイスラボニータ、スワーヴリチャードであったから、その後の活躍も比較的安定していたという涙を吞んだ組に対し、打ち上げ花火型の強烈なクロスを持つ馬は、出番はその後全くなかったわけでもない一方、苦しいレースの方がはるかに多かったというところがそっくりだった。

ミスプロ4×3が、ワンアンドオンリーとは相似形もクロスされた種牡馬の位置が逆というスターズオンアースは、母母があのスタセリタ。

ルメールの思い出の名牝であり、その娘であるソウルスターリングは、レイデオロの年のクラシックで3、1着としたこれまた名牝だった。

母サザンスターズは、その半姉にあるスマートストライク産駒。

それでBG・グレードブリテン産というのも不思議な形だが、早世の超天才二冠馬・ドゥラメンテとは何かフィットするものがあったのだろう。

キングカメハメハに関わる同4×3配合を施された2番仔がスターズオンアースであったわけだが、素晴らしい変わり身を見せたとできる。

もとより、芝のそれもクラシックシーズンでの活躍を狙った血統馬。

綺羅星のごとく血統面にプラスアルファを持つ素晴らしい繁殖牝馬がいる社台グループではあるが、その点で、輸入繁殖に牡馬牝馬問わず、長期展望で一貫のスタイルを貫いて生きた社台ファームは、件のソウルスターリングで勝ったオークス以来のクラシックレース制覇。

同じ勝負服に縁のあった武豊騎手がダンスインザムード以来となる18年ぶりの制覇を目指す寸前に夢を奪ったそれは、ソウルスターリングでの口惜しい3着への思いの方が、より強かったということになるのかもしれない。

結果的に、中山も阪神もなんだか似たような高速馬場になり、天候に見合った速い決着の競馬、その恩恵をフルに活かせる内枠の伏兵の天下となった。

ここ数年、こういう混戦の組み合わせになる桜花賞はなかったから、かつてはバイアスを生んだ内ラチ沿い解放の桜花賞で、縁ある初タイトルを得た池添謙一騎手とパートナーであるアローキャリーが制した20年前のレースをふと思い出した。

あの時は、渋残りのバイアスもあったが、結果的には内枠の方が有利になるとは限らないBコース替わりのキーファクターが、混戦の本質をあぶりだすような結論を導き出したのかもしれない。

複雑な解を常に求めてきたこのレース。

皐月賞も結局似たようなものであるが、ここ15年ほどで1番人気に応えたのは、ブエナビスタやアパパネといった女傑を除くと、実は、川田騎手を一流に押し上げた立役者たるあのハープスターの豪脚が決まった2014以来、連絡みさえ稀という状況。

二重苦いや、三重苦に思えたチューリップ賞快勝、1番人気、大外枠という危険要素満載だったナミュールは、課題の馬体減の死角も4kg減らしで現実的なマイナス要素になっただけでなく、出負けというほどではないスタートから巻き返すだけの気力もあまり感じられない内容に終始。

同父のハービンジャー産駒・プレサージュリフトとまとめて、チームヨーロピアンの現実的な課題である、本国ギニー競走向きのタレントは総じて速くないというやるせない根本的原因が、大いに桜花賞で証明されたことになる。

いや、ナミュールの3代母・ダンシングブレーヴ産駒のキョウエイマーチが不良馬場で独走したことが、すでにその縁を表していたのであろう。

適性で及ばずの印象を残したが、こうした名牝候補のオークスでの逆襲も、大昔から見てきたこと。

いくらでもひっくり返せそうな実力は、すでに前走に両者が見せつけている。

似た体重減の形でも、いくらか関東馬であるプレサージュリフトの方が有利かもしれないが、大幅距離延長を即座に歓迎の口ではないから、しっかりと押えるべき、というところでとどめるべきか。

この2頭はノーカウントでいいだろう。

上位争いはまさしく、道中から続く団子状態の展開を続行した、稀に見る混戦であった。

その中を快刀で裁ったスターズオンアースは、前走で早くもキャリア3度目の2着でキャラ定着と、少し見限っていた筆者のみならず、兄弟船で大偉業を目論む武兄弟のウォーターナビレラの一変ぶりに驚く多くのファンまでも裏切り、新たなリーディングジョッキーである川田将雅の実力を世に知らしめる大逆転を体現し、穴党を大いに喜ばせたのであった。

予想通りに展開は激しくならず、34.6→46.8→58.8で、上がりは34.1秒。

ディープインパクト産駒のキレに少し慣れすぎてきた我々とすると、昨年のソダシのイメージ、もっと言えば差し届かずのファインルージュの健闘から見習うべき面はあったのだろう。

中団から進路探しのできる気楽な立場であり、差されたらまあ仕方ないくらいの川田騎手である。

窮屈な競馬をどこか求め、内ラチから離すことへの課題を最良の進路選択で、それも勝利に導いたのだから、ここ2戦のG1で同世代の騎手が勝ち切った伏兵の競馬を、敢えてできる今回は自身が体現した川田騎手の評価は、再び高まるのであろう。

管理する高柳瑞樹調教師は、前年のフラワーCを制したホウオウイクセルと連続年重賞制覇だが、奇しくも、出世レースになってきたフェアリーSが連続の2着という妙な記録を生んだ上での、やや無理筋でもブラフがあったということにもなる。

藤沢和雄の名が競馬界から一旦なくなり、歴史の中に取り込まれることへ、各々の調教師には寂しさとともにチャンスがやってくることにもなる。

いずれ同じように競馬界を去る国枝栄厩舎の有力馬・サークルオブライフがもうひと伸びできなかったところから、こちらはぐいと本当に苦しいところから最後のひと脚を使っている。

いかにも混戦の秋華賞向きの性質に思えるが、オークスの内容如何では、けんかに強いといった印象のスターズオンアースは、堅実派の結果を出し続けていた馬ならではの、ハイレベルな連続好走、二冠以上の可能性を近年の名牝たちとは違う格好で示したことになる。

阪神の秋華賞が昨年のようなタフな叩き合いに転じたとき、オークスの内容がそのまま、勝因、敗因に繋がるだろう。

ウォーターナビレラは最後の最後に止まったように思えた。

出来は良かった。

仕上げも万全。鞍上も調教師も、血縁以上にプロの仕事を果たした。

力及ばずだった。

ただ、理想的すぎる好位抜け出しを、時に名手たちは、うまく行き過ぎたと敗者の弁で判で押したように語ってきた。

クラシックレースをいっぱい勝っているけど、それ以上に負けている武豊騎手はきっと納得しているはずである。

幸四郎調教師と彼女の陣営は、至極残念ではあろうが…。

ナムラクレアとサークルオブライフは体減っても残る執念で沸かせた5着ピンハイでもわかるように、実力伯仲となっては枠が響くある種のバイアス<考えようによってはノンバイアスでもあるが>で、暮れとは着順が入れ替わったのは明らか。

タイム差が0.5秒あったものが、今回は首差の逆転。

こうした結果は、オークスに多大なる影響を及ぼすのであるから、2歳女王・サークルオブライフには負けられないオークスへと展開しそうな雰囲気を感じた。

外枠を非常に嫌がった国枝栄調教師にコメントから、すでに、桜花賞前からオークス制覇の逆算が始まった気もする。

エピファネイア産駒なら、同期同士の12Fへの死角はまず考えづらい。