2022年皐月賞の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

皐月賞の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第82回 皐月賞(G1)
グレード重賞(G1)
日程2022年4月17日(日)
発走時間15時40分
開催場所中山競馬場
距離芝2,000m
コース右回り
賞金1億5,000万円
レコードタイム1:57.8

2022年皐月賞予想の予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

皐月賞2022の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11ダノンベルーガ川田 将雅牡357.05.22美浦・南W・稍重(川田)
6F 83.4-66.8-51.6-36.9-11.1(馬なり)
美浦・南W・良(助手)
6F 84.6-67.8-52.6-38.0-11.9(馬なり)
12アスクビクターモア田辺 裕信牡357.08.15美浦・南W・稍重(助手)
6F 82.7-66.3-51.9-37.2-11.5(強め)
美浦・南W・良(助手)
6F 82.0-65.3-50.3-36.1-11.2(馬なり)
23トーセンヴァンノ木幡巧也牡357.0355.018美浦・南W・稍重(見習)
5F 69.6-54.1-39.5-12.2(一杯)
美浦・南W・良(山田敬)
6F 83.7-66.8-51.4-37.4-11.7(強め)
24
キラーアビリティ横山 武史牡357.05.43栗東・CW・良(横山武)
7F 97.8-67.2-53.0-37.7-11.4(一杯)
栗東・CW・良(横山武)
6F 84.4-68.2-53.1-38.0-11.7(馬なり)
35グランドライン三浦 皇成牡357.0244.117美浦・南W・稍重(助手)
6F 84.1-67.1-51.8-37.4-11.4(G前仕掛け)
美浦・南W・良(助手)
6F 83.2-67.0-51.7-37.7-11.5(馬なり)
36ジャスティンロック戸崎 圭牡357.053.410栗東・坂路・良(助手)
800m 51.7-37.8-24.7-12.5(馬なり)
栗東・坂路・良(戸崎)
800m 55.8-41.2-26.0-12.9(馬なり)
4 7ボーンディスウェイ石橋 脩牡357.065.613美浦・南W・稍重(石橋脩)
5F 64.6-50.1-36.6-11.3(G前仕掛け)
美浦・南W・良(石橋脩)
6F 82.4-66.2-51.9-37.8-11.5(馬なり)
48ダンテスヴュー吉田 隼人牡357.064.012栗東・CW・良(吉田隼)
6F 82.6-66.8-51.6-36.2-11.2(稍一杯)
栗東・CW・良(助手)
6F 90.5-74.4-58.7-42.7-13.2(馬なり)
59サトノヘリオス岩田 望来牡357.061.111栗東・坂路・良(助手)
800m 53.3-38.4-24.9-12.6(末強め
栗東・CW・良(岩田望)
4F 52.2-36.9-11.2(馬なり)
510ジャスティンパレスミルコ・デムーロ牡357.026.89栗東・CW・良(デムーロ)
6F 82.5-66.9-51.9-36.5-11.2(一杯)
栗東・坂路・良(デムーロ)
800m 57.5-41.8-27.1-13.5(馬なり)
611オニャンコポン菅原 明良牡357.012.07美浦・坂路・稍重(菅原明)
800m 52.0-38.7-25.5-12.7(強め)
美浦・南W・良(菅原明)
6F 84.2-68.1-53.6-38.8-11.8(馬なり)
612ドウデュース武 豊牡357.03.11栗東・CW・良(武豊)
7F 98.8-67.3-52.2-36.5-11.2(強め)
栗東・ポリ・良(助手)
6F 86.4-70.2-53.9-39.7-11.5(馬なり)
713ビーアストニッシド和田 竜二牡357.079.014栗東・坂路・良(和田竜)
800m 52.3-38.0-24.3-12.1(一杯)
栗東・ポリ・良(和田竜)
5F 61.1-47.7-35.9-11.6(馬なり)
7 14ジオグリフ福永 祐一牡357.015.38美浦・南W・稍重(助手)
7F 99.2-68.5-53.2-38.3-11.7(馬なり)
美浦・南W・良(福永)
6F 84.3-67.9-52.9-38.3-11.2(馬なり)
715 ラーグルフ丸田 恭介牡357.0157.016美浦・南W・稍重(助手)
5F 67.5-52.1-37.8-11.4(馬なり)
美浦・南W・良(丸田)
6F 82.2-66.2-51.2-36.8-11.5(馬なり)
816デシエルト岩田 康誠牡357.011.36栗東・CW・良(岩田康)
6F 81.6-65.9-50.6-35.3-11.0(末一杯)
栗東・CW・良(助手)
6F 83.8-67.8-52.7-37.4-11.6(一杯)
817マテンロウレオ横山 典弘牡357.0146.315栗東・CW・良(横山典)
7F 93.3-64.1-51.1-37.0-11.9(一杯)
栗東・坂路・良(横山典)
800m 52.8-38.1-24.8-12.2(馬なり)
818イクイノックスC.ルメール牡357.06.44美浦・南W・稍重(ルメール)
7F 98.2-67.0-51.5-37.2-11.4(G前仕掛け)
美浦・南W・良(ルメール)
6F 84.8-68.3-53.3-38.6-11.6(馬なり)
人気1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1番人気6回3回3回8回30%45%60%
2番人気2回4回2回12回10%30%40%
3番人気2回2回5回11回10%20%45%
4番人気2回2回2回14回10%20%30%
5番人気0回0回0回20回0%0%0%
6~9番人気6回6回6回62回7.5%15%22.5%
10番人気以下2回3回2回166回1.2%2.9%4%
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬2回2回2回19回8%16%24%
先行馬5回7回5回52回7.2%17.4%24.6%
差し馬13回7回11回126回8.3%12.7%19.7%
追い込み馬0回4回2回96回0%3.9%5.9%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠3回2回2回32回7.7%12.8%17.9%
2枠2回3回2回33回5%12.5%17.5%
3枠2回2回2回34回5%10%15%
4枠3回3回2回32回7.5%15%20%
5枠0回4回3回33回0%10%17.5%
6枠3回0回4回33回7.5%7.5%17.5%
7枠4回3回2回48回7%12.3%15.8%
8枠3回3回3回48回5.3%10.5%15.8%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト34回29回28回148回14.2%26.4%38.1%
ハーツクライ25回22回19回148回11.7%22%30.8%
ハービンジャー17回11回19回129回9.7%15.9%26.7%
ルーラーシップ16回14回18回120回9.5%17.9%28.6%
ステイゴールド13回11回8回67回13.1%24.2%32.3%
ロードカナロア9回4回6回41回15%21.7%31.7%
キングカメハメハ8回9回9回54回10%21.3%32.5%
エピファネイア8回9回9回52回10.3%21.8%33.3%
オルフェーヴル8回9回6回106回6.2%13.2%17.8%
スクリーンヒーロー8回6回3回55回11.1%19.4%23.6%

2022年皐月賞予想 - 過去10年のデータ傾向

難解すぎる取捨選択

例年なら、ダービーが見える皐月賞の直線になると言われるのだが、ひとまず、共同通信杯直行組を買うしかないことを改めて証明して見せたエフフォーリアへの敬意は、決して忘れべからず。

まず、10年で5勝しているということ。

その勝ち馬が、ゴールドシップ、イスラボニータ、ドゥラメンテ、ディーマジェスティ、エフフォーリアであるということ。

他の組の優勝馬より、ダービーやそれ以降の大レースでも輝きを放つ馬が圧倒的に多い。

などとしているうちに、人気勢の中から結果で能力を示すこととなったダノンベルーガ、ジオグリフらを消す理由はなくなっていった。

共同通信杯を走って2戦2勝とした馬の中には、中間にスプリングSで中山を経験させた矢作厩舎のリアルスティール<ラヴズオンリーユーの全兄>がいるし、2着に敗れた馬でも、それとほぼ似たようなローテで同じ矢作厩舎のディープブリランテ<次走ダービーを制覇>はいるから、決して新しいトレンドではないとしても、名門とされる厩舎の成功パターンというのは、決して馬鹿にできないことは強調しておく。

リアルスティールと違い、中山の経験はないダノンベルーガの出否は堀厩舎ならではの慎重さがあるから、恐らく、一度出走意思を見せても、当週にならないと決定しないとするつもりだったが、よほど調子がいいのか、経験値の上積みを第一とした参戦が決定。

一方、初の中山という死角はあるものの、ハイペースも追い込み一気も、スローからの好位抜け出しも色々経験しているジオグリフは、前走がディープブリランテと同じく、斤量57。

このあたりの壁が、大阪杯でよもやの大敗を喫したエフフォーリアを推せない理由に挙げる識者もいたくらいで、案外、高い障碍であったりする。

イスラボニータやその前のゴールドシップは、そうした障壁を乗り越えたからこそ、初の中山も全く問題にならなかった。

むしろ、適性外にあったろう両者にとっての皐月賞を簡単にしたものがそうであるとしたとき、ダノンベルーガ以上にジオグリフを買いたいという条件は整っている。

両者、斤量57の理由となった2歳重賞における連続好走の実績が、G1出走歴のあるジオグリフには大きな後押しになる。

男の中の男を見定めるフィルター効果を大分失ったトライアル組だが、今も昔も、ちょい負け組を買えるかどうかの一点のみに注目。

近年、王道ローテ組で目立った存在となったのは、実は、エピファネイア、リアルスティール、タイトルホルダーなど、人気で敗れたか、王道路線の前々走G1か超重要戦というわかりやすい進路を辿った、そもそも見逃してはならないタレントであった。

人気馬が敗れたディープインパクト記念を伏兵評価で制したタイトルホルダーは、大いにスランプへ突入のダノンザキッドを年明け初戦から大逆転したまま、天皇賞に挑むという状況。

エピファネイアもリアルスティールも、ダービーでは再び苦杯をなめるが、菊花賞を健闘したのち、翌年は大きなタイトルを得ている。

エースを見つけるためのローテなのだから、無敗のデシエルトは当然買うべきだし<ドゥラメンテの近親>、敗者復活戦ロードと化したスプリングS組は伏兵狙いに注視の最後のひと枠獲りが前走と同じといった趣。

だから、ディープインパクト記念組が狙いの中心になる。

そもそも、危ないところを見せつつも勝ち切ったアスクビクターモアという馬は、新馬戦からジオグリフ、アサヒらと対決し、その経験を買われて、アイビーSでは勝ち馬となるドウデュースに人気面で上回って1番人気だった。

それといずれも接戦の2歳王者・ドウデュースというのは、ジオグリフも含め、力関係で拮抗する関係性。

単穴になるか前走の内容から不安になるほど強かったデシエルトは、正攻法で単勝狙いがフィットするが、次点評価になるディープインパクト記念組は、出走馬はかなり多いものの、皐月賞勝ち馬になりそうな存在は意外と少ないといった印象。

このレースの快時計決着は、のちの活躍を予言するに相応しい結果となるとされるが、接戦となった年からクラシックウイナーは意外と出ていない。

父リオンディーズというよりもその兄であるエピファネイアに似ている気もしないではないジャスティンロックが、この組で唯一、頭まであるという感じなのだが、ダービーだよな…、と思っているファンの方が多いだろう。

ジオグリフと同じドレフォン産駒で、それこそ血統のイメージと成長曲線に合わせたダート出発のデシエルトも、他に買いたい馬がいたのなら…、という感じで、中心視しない以上は深追いはやめておく。

そういう本命級がいるレースでもある。

まことしやかに囁かれてきた早熟系優位説が、再び復活しつつあるクラシック第一弾。

ちなみにだが、昨年の好走馬、有力馬について述べると、

9月の東西主要場非開催週までにデビューした馬

  • ・エフフォーリア… <2番人気、1着、8月札幌デビュー>
  • ・ステラヴェローチェ… <6番人気、3着、7月阪神デビュー>
  • ・ダノンザキッド… <1番人気、15着、6月阪神デビュー>
  • ・アドマイヤハダル… <3番人気、4着、8月新潟デビュー>

他の人気馬は全て単勝10倍以上であり、好走馬も<8番人気、2着、秋開催の中山デビュー>というタイトルホルダーに限る。

実は、9月デビューの成功者は、2020年快勝のコントレイル<阪神デビュー>以外はいないので、夏か秋の大レース前に行われる芝の新馬戦組ばかりとなるわけなのだが、そうなると、絶対数と質のばらつき具合、一定程度の早熟性の証明にそれぞれ利点を持つ夏デビュー組が圧倒的有利となってくる。

近年では例外に等しい、秋デビューの勝ち馬は3頭いるものの、アルアインだけが新馬勝ち。

エポカドーロは立て直しされて、テイエムオペラオーのような年明けからの快進撃で、ダービーまでほぼパーフェクトな戦績を築いた経緯もあり、ドゥラメンテも新馬負けでエポカドーロと共通。

アルアインだって、ひどい馬場のシンザン記念では力を出し切れず敗れているから、順調ではないということが勝因となった経緯も見逃せない。

むしろ、余裕のあるローテを組めるグループの方が、狙いはつけやすいとなる。

これにより、キラーアビリティ、イクイノックスといった夏デビュー組が主軸とできる根拠も成り立つのである。

2歳重賞からの直行組は、無敗なら確実にハマるという傾向に光と影の部分がある点を押さえておきたい

一昨年は本拠と東西入れ替わり、敵陣のホームで凱歌を上げた無敗王者が年明け初戦同士で激突。

その前年も、西から来たエースがホープフルSで不利をものともせず勝ち切ったが、余力を失うような接戦に苦しんだ皐月賞のあと、主戦級・ルメール<まだ皐月賞でしか組んでいなかったコンビ>さえ失ったダービーで平凡な良血に甘んじたあのサートゥルナーリアが優勝。

直行ローテのトレンドは、年明け初戦からトライアル消耗を回避のオープン級に限り、2月のきさらぎ賞か共同通信杯から直行のローテが基本形になりつつある一方、牝馬だともう、暮れの大レースから直行の馬が昨年ワンツー。

よく考えてみれば、朝日杯からはいたけどもホープフルSからも直行の馬がいなかった昨年は、共同通信杯組が台頭。

世代のエースどころか、日本競馬の頂点に君臨するのであった。

無敗の魅力でサートゥルナーリア、コントレイル&サリオスのような美しきローテを完成させるのがイクイノックス陣営の狙いなのだが、さすがにキャリア2戦は苦しい可能性がある。

桜花賞でもデアリングタクトが豪脚一閃としたのが一昨年だから、それと似た雰囲気もあるキタサンブラック産駒最初の大物であるイクイノックスは、今までにない普通の差しに転じるしかない中山で、通常形で戦い切れるかがポイント。

一方、苦しい敗戦を2度も喫し、しかし、勝った2戦は大コースレコードと2歳レコード級の勝ちを持つレースレコードというキラーアビリティには、ディープインパクトというよりも母方に入ったアラジ<フランス調教馬のBCジュベナイル圧勝馬>の影響の大きさを感じる。

即ち、暴れん坊のキャラが違うから、明らかに晩成型の血統構成であるイクイノックスは完成度であり、2歳王者に関しては反対に、成長力ないし能力発揮の持続性への懸念が各々に生じている。

無敗ではないキラーアビリティはノーカウント男の異名を今後とっていきそうな予感があるから、3着のない戦績のままキャリアを完了しそうな気配もしないではない。

一方、まだ相手なりに走ることがキラーアビリティ以上にできていないスペシャルワン候補筆頭のイクイノックスにしてみたら、唯一すがれるのが無敗の圧。

グレード制導入以降、1984年初年度のシンボリルドルフや翌年のミホシンザンから始まり、トウカイテイオー、ミホノブルボン、アグネスタキオン、キラーアビリティの父でもあるディープインパクトらに加え、近3年の勝ち馬もそうだから、大雑把に1/4は無敗のまま、世代最初の牡馬チャンピオンになったことになる。

21世紀になって以降の方が高頻度で登場の傾向であるから、またしばらく、それこそサンデー直仔消失から続いた無敗馬不毛の時代<ロジユニヴァースやサトノダイヤモンドらが餌食に>をディープインパクト産駒だけでなく、ロードカナロアやこのレースを勝てなかったエピファネイアの産駒が食い止めてきた歴史に倣うなら、無敗のままクラシックウイナーになれず、ここで最初に敗れたキタサンブラック産駒より無敗を通したディープインパクト産駒の方が…。

2歳重賞から直行の馬で好走した、グレード制導入後最初の馬がサートゥルナーリアであり、以降もその流れ以外は受け入れられていない状況。

共通点は無敗であることと、東西のオープンを勝っているということで、両者とも除外の可能性はあるものの、2歳王者の輝きが最近のホープフルS優勝馬の活躍に引きずれられるように、朝日杯組の好走も復活の傾向であり、無敗ではないキラーアビリティがいくらか有利の傾向だろうか。

狙うなら頭しかないタイプであり、即ち、買う以上は本命しか成り立たないから、まずはこれを軸固定というところで、買い目も絞られたということになる。

2022年皐月賞予想 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

皐月賞は良血馬から、という新説を唱えるべく、ここでは東の2歳王者を推したい。

キラーアビリティの血統

わざわざ横並びさせることもないのだが、La Troienne・ラトロワンヌの直系子孫という共通項は見逃せないので、敢えて併記。

ところが、三冠馬では10代母、後者ニューチャンプでは11代母がラトロワンヌということでは、もはや同じとは言えないか。

おまけに、直仔の代ですでに分岐。

コントレイルだとBaby Leagueのラインに入り、それを3代母に持つマジックゴディスは孫の代でダイナアクトレスを出すから、今を生きるスター・モーリスとその産駒たちには、重要な血統的根拠を成す良血を定義する要素でもある。

ほかにも、種牡馬ではPrivate Account、Woodman、日本に輸入されたアサティスなど、底力をアシストする大舞台で派手に立ち回るために必要な血を、現代の競馬界に送り込んでいる。

ただ、半妹にあたるBig Hurryの子孫であるキラーアビリティの方が、いくらかとっつきやすいか。

これを5代母に持つのがあのCaerleonなのだ。

日本だけでもダービー馬・フサイチコンコルド、マイルチャンピオンシップなど計10勝のシンコウラブリイに加え、英愛ダービー勝ち馬・ジェネラス、凱旋門賞勝ち・マリエンバードらも、のちに日本で種牡馬入り。

カーリアンは母父から何と言っても、タイキシャトル<マイル中心に日仏を席捲・顕彰馬>、賞金だけならその倍稼いだブエナビスタ<G1を6勝でタイキシャトルを上回る>といるわけで、挙げればきりがない。

そもそも、ブエナビスタの母ビワハイジも直仔の日本G1勝ち馬である。

早熟性を強化されたようなキラーアビリティの場合、母キラーグレイシスが2歳時にオールウェザーのG1を制し、その父Congareeが7~10Fの北米ダートG1を5勝するも肝心のクラシックやBCクラシックでは勝ちきれなかったという馬ながら、母父で良さを見せつつある傾向。

その根拠として、大種牡馬ブラッシンググルーム直仔・Araziが父にいるからというのも挙げられる。

凱旋門賞の日にグランクリテリウムを制したフランス調教馬ながら、その勢いでチャーチルダウンズの試走を兼ねたブリーダーズCジュベナイルも圧勝。

ほとんどそれでアガリであったが、そうした底力の血を後年の主流系とマッチングさせ、エースを育てるというブラッシンググルームの母父力からすると、直仔で凱旋門賞馬のレインボウクエストを母父に持つアスクビクターモアというトライアルホース誕生に、流れを感じさせるものがある。

本物はむしろ、こちらのキラーアビリティ。

大いに証明するに相応しいギニー競走は、まさしく晴れ舞台である。

秘めた荒ぶる気性を抑え込んでしまっては、キラーアビリティの良さは消えてしまう。

上手に走らせようと、デビュー3戦目までコンビを組んだ岩田望来騎手とのぎくしゃくするような序盤の粗削りな内容は、直線での伸びに直接影響を及ぼすとは限らなかったが、その中で一度だけ勝った小倉の未勝利戦は、まさしく異次元の独走。

ほとんど、父ディープインパクトの2戦目、6馬身差圧勝でその名が全国区となった若駒Sのそれそのものであった。

序盤から位置取り争いの段階で外から寄られ、またその直後に揉まれたくないだろう若駒を慮った外へ出そうとする内枠のグループにも接触寸前の主張をされるなどで、危ないだろうことはわかっていたはずの望来騎手は行かせるわけにはいかないと抑えると、今度はキラーアビリティの抵抗に遭う。

急に前進しようとするほどカッカしなかったが、その時点で、一桁頭数でも後方グループに身を置くより他なかった。

ただ、幸運のようなものもあったこの一戦。

夏のローカル・2歳未勝利戦とは思えないほど、前半がそれなりに流れ、1000M通過こそ1分ちょうどだったが、10.8−11.7のラップが入っている平均ペースに、普通の未勝利ギリギリ脱出級の条件馬には耐えられない。

だからと言って行かなかったのは正解ではない可能性もあったが、キラーアビリティの才能はその展開により、見事に花開く。

例の序盤のラップをほぼ自らが作ったようなレース最終盤のラップは11.8−10.8。

これまた、先行馬の作るラップではない。

メンバー中断トツの34.2秒で直線突き抜けて見せたキラーアビリティは、それまでのコースレコードを1.7秒、即ちは去る金鯱賞のサイレンススズカとミッドナイトベットのタイム差と同じくらいの差をつけ、ちゃっかり隠れ実力者として頭角を現すのであった。

萩Sこそスローで動き出すしかない展開に、ダノンスコーピオンの実力がフルに発揮された惜敗だったものの、反省と課題克服に将来展望を問われる一戦で、エフフォーリアと制した有馬の後という気楽さで意気軒昂の横山武史騎手を初めて迎えた前走のホープフルSは、未勝利戦同様の2F目まで24秒未満の強めの展開に正攻法で挑み、他が未経験に近い展開で苦しむも、内容は小倉のそれより遥かにスケールアップの好位抜け出しで、ライバルを圧倒。

勝ちタイムの2:00.6は、歴代覇者であるタイムフライヤー、コントレイルらの走破タイムを0.8秒更新する快時計での圧勝だった。

すでに、ホープフルS出走馬からは、京成杯勝ちのオニャンコポン<11着>、きさらぎ賞を好時計で勝利したマテンロウレオ<6着>が輩出しているだけでなく、当時の本賞金では皐月賞への出走条件に足らなかった5着ボーンディスウェイ、人気で完敗13着だったサトノヘリオスともども、トライアル3着で見事出走権を獲得。

2022年皐月賞予想 - レース展開と最終予想

早い話、それが相手になり得るのか、違うグループにのみチャンスがあるのかということ。

イクイノックスの勝った東京スポーツ杯は間違いなく高水準だが、それも勝ち馬とそれ以外という構図に見えてくる。

色々な路線の組とあたっている不出走のアサヒを物差しとすれば、明らかにアサヒを超えているのはイクイノックスと2戦2先着のジオグリフだけ。

アサヒの仲間のような存在であるビーアストニッシドは、ジャスティンロックが勝った京都2歳Sから有名になったが、前走のスプリングSでは、各主要路線の負け組から再抽選をする場面で辛勝の結果で距離もここは長いという印象。

彼が着拾いに登場のレースレベルに仮になったとすれば、誰かが突き抜けるが、全体が怪しい低調な皐月賞のいずれかという2パターンしか考えづらい。

ジャスティンロックはディープインパクト記念で完調ではなかったにしても、皐月賞仕様に作る狙いまでは見えず、今度も掲示板がやっとであろう。

最初から知られた存在であったイクイノックスやキラーアビリティが輝きを放った夏の新馬、未勝利クラスから、ついに勢力図変更もないまま、ダートデビューのトライアルホース・デシエルトのみが台頭可能の構図が見えてしまった。

その他大勢も多いが、近年ほど強い馬・世代の代表馬を決定する舞台になっている皐月賞のこと。

ここで血統のファクターを対比として活用してみたい。

件のコントレイルグループにギリギリ属するキラーアビリティが、早熟性も必要な皐月賞に適性を感じさせる一方、イクイノックスはキタサンブラック×シャトーブランシュでさすがに一歩後退。

世界レベルの血統馬になるパロクサイド−エアグルーヴラインのデシエルトはキラーアビリティと互角以上でも、母がドゥラメンテと完全同配合でそれにダートスプリントチャンプのドレフォンだから、早熟系でもない系統なので、強調材料が少々不足気味。

近年、ラトロワンヌ系のコントレイルにヒシアマゾンと同じケイティーズ系のエフフォーリア、超単純化された血統馬<ベストトゥベストが必ず成功する母シーザリオ>とできるサートゥルナーリアが勝っている皐月賞。

ドゥラメンテもヴィクトワールピサも初期段階でクラシックホースを出し、地味目のサンデー産駒・ネオユニヴァースがロジユニヴァースと直前紹介のヴィクトワールピサを出したことまで考えたとき、ディープインパクト産駒の後継者の1頭に加えるならば、キラーアビリティであろうという考え方でも、箔をつける上に最重要ともできる皐月賞制覇は、是が非でも叶えたいところ。

ジャスティンパレスは自身が高馬で、半兄にベルモントS勝ちのPalace Maliceもいて、半兄アイアンバローズが天皇賞の穴馬になりそうな状況も味方につけたいが、どの馬も勝ち星と同じくらい2着もあるというタイプばかり。

これを完封のキラーアビリティは、よほどの自滅も想定内の坊やではあるものの、期待感で他を下回る要素は皆無であろう。

止まない雨はない、というのがナミュールの桜花賞制覇で無駄な励ましとなって欲しい横山武史騎手は、格好いい競走馬のエフフォーリア撃沈にさぞ虚無感を覚えているだろうが、競馬も強い馬も待ってはくれない。

その辺りの逆張りを目論み、単勝でもおいしいのではと思う今日この頃。

無敗馬でも、サートゥルナーリアは単勝1.7倍、その翌年同ローテのコントレイルが2.7倍で、昨年のエフフォーリアは僅差ながら2番人気で3.7倍。

そろそろ、安定の波乱が発生しそうだが、ここは伏兵の台頭2着止まりと考え、これまでの実績を買いたい。