2022年皐月賞【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着ジオグリフ(9.1倍)2着イクイノックス(5.7倍)3着ドウデュース(3.9倍)
レース名 | 第82回皐月賞 |
日程 | 2022年4月17日(日) |
優勝馬 | ジオグリフ |
優勝騎手 | 福永 祐一 |
勝ちタイム | 1:59.7 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 32,840円 |
2022年皐月賞 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 14 | ジオグリフ | 1:59.7 | - |
2 | 18 | イクイノックス | 1:59.8 | 1 |
3 | 12 | ドウデュース | 2:00.0 | 1 1/4 |
4 | 1 | ダノンベルーガ | 2:00.0 | クビ |
5 | 2 | アスクビクターモア | 2:00.1 | クビ |
単勝 | 14 | 910円 |
複勝 | 14 | 240円 |
複勝 | 18 | 210円 |
複勝 | 12 | 140円 |
枠連 | 7-8 | 1,730円 |
ワイド | 14-18 | 1,220円 |
ワイド | 12-14 | 530円 |
ワイド | 12-18 | 550円 |
馬連 | 14-18 | 3,570円 |
馬単 | 14-18 | 7,540円 |
3連複 | 12-14-18 | 4,190円 |
3連単 | 14-18-12 | 32,840円 |
2022年皐月賞 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「十分にチャンスがあると思っていたが、素晴らしいレースをしてくれました。取りたいポジションでレースができたし、前に同じ厩舎で長く脚を使えるイクイノックスがいたので、4コーナーで外に出してある程度エンジンをふかしながらいきました。自分がうまく誘導できれば勝てると思っていたので達成感がありますね。きょうはジョッキーとして、いい仕事ができました。ダービーは距離が課題になると思います」
※優勝した福永騎手のコメント(※ジオグリフ)
2022年皐月賞 - レース結果動画(YouTube)
2022年皐月賞 - 回顧
父ドレフォンの可能性を証明しつつ、父父Gio Pontiが北米圏の芝で大活躍した実績を示したとすれば、この結果にも合点がいく。
後継者はその父が大物であればあるほど、溢れる候補の中から、最も父に似ていない者が血を繋ぐとされるが、元よりストームキャット系のスピードを体現したダートスプリント王者であるドレフォンには、芝だとかダートだとかという偏った適性を示す馬ほど、存在価値をかえって見せつけられない可能性もまた、この皐月賞で顕在化したとこの時点ではしておきたい。
ダービーは距離は長いが、渋残りの皐月賞優勝馬は、ほぼ確実にダービーで好走するという頼もしい傾向も出しておく。
母アロマティコは重賞をついに勝てずに引退の善戦ガールだったが、エリザベス女王杯が重馬場だった年の3着馬であり、直前の府中牝馬Sがとんでもないスローで展開して32.4秒で上がってきた脚は、重馬場のタフなG1でむしろ輝いたとできる。
勝ち馬はオークス・秋華賞二冠のメイショウマンボで、続いた当時条件馬のラキシスは、翌年の優勝馬になった。
良馬場で明快な能力が示される場面では少し足らないイメージのレディチャッターの牝系からは、ダービー2着のインティライミも出ているが、前哨戦で能力全開のようなところもあったタイプ。
この馬がダービー以外で輝いたのが、重馬場の宝塚記念だった。
不利を受けつつ、3着に入ったこの馬より強いことを示したジオグリフには、札幌の圧勝だとか、朝日杯のハイトな展開への挑戦もプラスになった面があり、好時計決着の2歳王者戦とは一転、スローでタフ馬場の消耗戦で、外枠を引いたことも大きな勝因に繋がった。
いかにも血統のバランスから、中距離を自ら動いて勝負に出る形が合っていそうで、牝系が完全に日本の競馬にカスタマイズされた関係で、北米型の良さを出さずとも、総合力だけではない能力も問われた皐月賞に、近年の道悪傾向へのジャストフィット感があったとできそうだ。
キングカメハメハが母父、皐月賞馬を7頭も出したサンデーサイレンスが母母父。
気づけば、高速皐月賞ではないと判然とした段階で、最も肩入れすべきであったと思うファンも多いのではないだろうか。
気づけば、皐月賞を勝てる騎手になっていた福永祐一。
そんな最近のダービーのトレンドと似た何かを、今の彼はいとも容易く体現してしまうのであった。
見事な木村哲也厩舎のワンツー。
型通りに衆目のダービー狙いが明らかなイクイノックスを、力でねじ伏せたこのステーブルメイトを、師は複雑ながらも、きっと褒めちぎることであろう。
勝ちタイムの1:59.7というのは、1994年に2分の壁を絶対能力で突き破った三冠のナリタブライアン登場以降、良馬場でのみ、これが14度目の記録。
高速化もすっかり定着したこのレースだけに、序盤の案外過ぎたスローも影響した勝ちタイムながら、ジオグリフ自身が、マイル以上の競馬で精々12秒ラップを継続して走りきるような持ちタイムしかなかったことからも、時計への適性と同時に、改めて中距離型であることを高らかに証明した結果でもあった。
2年続けてのギニーウイナー誕生となった札幌2歳S好走馬の流れから、昨年は2着のユーバーレーベン、3着で1番人気だったバスラットレオンともども、勝ち馬ソダシと同格くらいに扱われる国際重賞でも著名な存在に育ったというトレンドにも敏感ならば、条件揃ったこの皐月賞の結果は見えていたか。
札幌では惜敗も、年明けで共同通信杯勝ちのゴールドシップがコースロスなく突き抜けた10年前のこのレースも、大いに雨馬場のタフなレース。
ロジユニヴァースやジャングルポケットは良馬場の皐月賞を敗れた後、道悪ダービーで猛々しく、我がヴィクトリーロードを突き進んだということもあった。
ジオグリフには、雨の影響が残る馬場が重要な勝因であった可能性もある。
もっと成長を遂げ、もっと時計を作る自在性を身に着けたい。
好位を目指したというよりかは、展開に対して、外枠の不利を封じる唯一の策に勝機を見出そうと一計を案じたルメール騎手のイクイノックスは、可能な限りの現状の力を十二分に出し切ったようなところがある。
休み明けだからこそ最後は内にモタれ、力を出したことは明白ながら、ほとんどパドックだけで一目惚れのファンもいたはずの彼のこと。
これまでワンターンの直線勝負で圧倒的だったイクイノックスが、ダービーで1番人気というのはほぼ確定的に思えた。
ただし、これには罠がある気もしている。
溜めてどこまで末脚比べに持ち込めたところで、相当な不利がない限りは、ダービーでの一変はあり得ない。
ハイペースであるとか、皐月賞が道悪でダービーが良馬場とかそういう条件も必要になるかもしれないところで、記録上は、渋残りでも良馬場発表。
時計も一定の水準を超えた2分切り。
実は、時計を持っている方のグループに入るイクイノックスは、母シャトーブランシュ<マーメイドS勝ち>の性質をここまで示してきた戦略の中で、時計の限界に近いところまで走ってしまっていた可能性もある。
父キタサンブラックも母も、本格化はずっと先であったわけだが、本当は血統の字面通りに、ハイレベルの時計の決着になった際に、上がり目がないのではないと思える、あのモタれ方とも解釈できる。
ダービーで通用するのは、決まって、遅れて差してきた間に合わなかっただけのグループ。
追い込むとこの日のドウデュースのような負け方も想定されるので…、ルメール騎手は結構難しい選択を迫られそうな気がしてきた。
以降は2分を切れなかった。
ジャストタイムの3着ドウデュース、4着ダノンベルーガは、近年の流れでは、いかにもダービー巻き返し型のようで、良馬場のダービーともなれば、皐月賞の決着タイムではなく、自身の走破時計が影響するところがある。
少し気になるところで、ワンアンドオンリーが1:59.9で駆けた年は、勝ち馬イスラボニータと本番というべきダービーで着順を入れ替えた。
2分を切らないとほとんど怪しい皐月賞になるのが今のトレンド。
速すぎると当然好走馬も反動などもあって、どうしても連続好走が難しくなる分、負けたグループにもチャンスはあるが、後ろから行くしかなかったドウデュースと悪い内2頭分しかスペースのなかったダノンベルーガが、バイアスや位置取りだけの問題で負けたとするには、ジオグリフから2馬身半ほど離された3着以下と、おととしの競馬をまた見ているような直線の攻防から、やや過剰支持に気を付けたいグループのようにも感じた。
能力通りではないが、距離延長で頑張ったとして、互いの持つ課題を抱えたところで、次に繋がるというほどの結果ではなかったのではないだろうか。
外差しで勝負に出たとするのは、上位2頭は枠順から勝機ありの策が見て取れたので、良馬場の高速ダービーにでもならない限り、少し逆転は難しいが、そうなると上位2頭も絶対視できない。
前が有利とも言えなかったが、内から差せるような馬場の傾向でも展開でもなく、何か、あのロジャーバローズのような果敢な策を繰り出す伏兵の出現を待つダービーとなりそうな予感がしている。
ジャスティンの2頭が、末脚に迫力不足があった分、デシエルト・ドレフォン産駒や今度は抑えたときに怖いアスクビクターモアとか、皐月賞組で狙えそうな馬は隠れている。
一方で、レースレベルこそ一級品ながら、高速の朝日杯組に完膚無きまでに敗れたホープフルS組は、その勝者キラーアビリティまで含め、普通は勝ち馬になれそうなダービーの展望まで難しい。
キラーアビリティは出も悪かったが、道中の息の入り方から、すぐ前のダノンベルーガに置かれてはお話にならない。
揉まれてよくない馬であろうが、それこそ、ダノンベルーガの父ハーツクライ、またその産駒であるドウデュースのような後方一気に可能性を見つけていくより道はない。
タフ馬場で最も能力半減に思えた人気馬になってしまったから、ダービーを次に使ったとき、距離適性などを含めた再考も必要になりそうだ。