2022年日本ダービー(東京優駿)【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着ドウデュース(4.2倍)2着イクイノックス(3.8倍)3着アスクビクターモア(24.7倍)
レース名 | 第89回日本ダービー(東京優駿) |
日程 | 2022年5月29日(日) |
優勝馬 | ドウデュース |
優勝騎手 | 武豊 |
勝ちタイム | 2:21.9 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 15,770円 |
2022年日本ダービー(東京優駿) - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 13 | ドウデュース | 2:21.9 | - |
2 | 18 | イクイノックス | 2:21.9 | クビ |
3 | 3 | アスクビクターモア | 2:22.2 | 2 |
4 | 12 | ダノンベルーガ | 2:22.3 | クビ |
5 | 6 | プラダリア | 2:22.8 | 3 |
単勝 | 13 | 420円 |
複勝 | 13 | 140円 |
複勝 | 18 | 130円 |
複勝 | 3 | 410円 |
枠連 | 7-8 | 420円 |
ワイド | 13-18 | 300円 |
ワイド | 3-13 | 1,120円 |
ワイド | 3-18 | 1,360円 |
馬連 | 13-18 | 730円 |
馬単 | 13-18 | 1,440円 |
3連複 | 3-13-18 | 4,570円 |
3連単 | 13-18-3 | 15,770円 |
2022年日本ダービー(東京優駿) - レース後コメント(騎手/厩舎)
「感無量です。スタートが速い馬ではないのですが、想定していたポジションが取れました。馬場が良いにしてもペースが速く、マイペースでいこうと思っていました。4コーナーを回る時、しびれるような手応え。ゴーサインを出してから先頭に立つのが早く、気を抜きそうになりましたが、最後までしっかり走ってくれました。たくさんのお客さんの前でレースができ、ダービーを勝って見る景色は久々だったので、嬉しかった。これからもドウデュースとともに、世界を含め、頑張っていきたいです」
※優勝した武 豊騎手のコメント(ドウデュース)
2022年日本ダービー(東京優駿) - レース結果動画(YouTube)
※実況レース映像
2022年日本ダービー(東京優駿) - 回顧
ドウデュース。母がBCフィリー&メアスプリントの好走馬ということで、その系統もシアトルスルー系だから速い馬は出やすい背景はあった。
米三冠・シアトルスルーが母父父に配される近すぎるという懸念を死角として軽視した筆者とすると、想定を超えて速い2:21.9という高速すぎる決着に対応する、ニュースタイルダービーの潮流を、昨年優勝のファミリー快速系である・シャフリヤールから引き継いだ格好。
考えてみれば、その前年の三冠馬・コントレイルも、大きな枠組みでは同じ系統の速いタイプ。
ハーツクライ産駒だから、時間をかけて加速させた方がいい。
ディープインパクトの仔ならば、まずは折り合いを優先して…。
天下の武豊が、その辺りを心得ていないわけがない。
皐月賞差し負けの100倍返しに成功である。
<2着・イクイノックス>
内枠の帝王であった父キタサンブラックなのだが、この肝心な場面で、実は8枠を引いている。
二代揃って外枠で…、ルメール騎手はよく乗ったが、皐月賞の時ほどの鋭さまでは感じられなかった。
父の母父に入ったサクラユタカオー→サクラバクシンオーのラインは、ミスターシービーのトウショウボーイを経たテスコボーイ直系から勝ち馬は出ているが、トウショウボーイや同時代のキタノカチドキなどが敗れた直仔の時代の継承をしているかのように、速い血の方が残ってきたから、母系に入るのはありでも、1983年の快速ダービーウイナー・バンブーアトラスがそうであるように、彼が母父、翌年のシービーは父父という型にはまらないと、意外と苦戦。
トウショウボーイの血統の型に近い組み合わせが母系にあるとした2019年2着馬・ダノンキングリーが、最後は安田記念を制したことでも判るように、やはり、テスコボーイの血を受けるとダービーでは長くなる。
距離延長が合わないのではなく、筋肉の質が東京2400にフィットしないのだろう。
菊花賞では見直していいだろうが…。秋の天皇賞だろうか。
<4着/1番人気・ダノンベルーガ>
この馬は勝ち馬と同じハーツクライ産駒ながら、母父にティズナウの直仔であるティズウェイが入り、よりダイレクトに速さを伝えた印象。
ディープインパクトはその辺りが柔軟だが、芝の切れ味勝負向きに本質的には出やすい母父トニービンの影響を強く受けたハーツクライだと、これに母母父シアトルスルー系だと、スピードが過剰だったように思える。
見てくれは、皐月賞好走馬の中では一番良かった印象で、変わり身も見られたわけだが、堀調教師の挑戦は今後も継続しないといけない、となってしまったのは無念であろう。
アスクビクターモアという切れないディープを差せなかったのも、スピードの性質が違う北米型のボールドルーラーと欧州の芝向きが源流のグレイソヴリンに、己の良さをより強く出そうとするよくない部分で勝ち合う、同系配合的組み合わせでミスマッチが起きやすい構造も影響していて、本当はワンターンの中距離戦をまず戦える形を作ってからの方がよかったのだろうが、晩成に出やすい直系の性質もあって、きっと間に合わなかったのだろう。
支持の不穏当さは一切なく、これからもハーツクライ産駒らしい息の長い活躍と完成期の大爆発への期待を継続させるべきなのは、むしろ我々の方であろう。
テンの12.5秒は当然として、それを超えるラップが必ず出現するはずのダービーで、それはなく、ほとんどが11秒台後半と12秒近辺のタイトな平均ラップが継続。
弱い馬に出番があるわけがないと同時に、キレ味もスピードの持続力でも、己の持ち味は十二分に出せるベストの展開となった。
故に、2:21.9なのだろうが、それは当然、昨年の記録を超える大レコードなのだろうけども、もはや、天井知らずの3歳戦の高速化進行の時代に合って、そうした意味でも価値は大きくはないだろう。
しかし、勝ち馬や好走者にその記録の持つ後付けでもなんでも意義あるレコードの価値は、今も昔も不変。
その上で、大レコード決着のアイネスフウジン<1990年>で5着のハクタイセイに乗り、それと全く同じ2:25.3でレコードタイで自身は連覇達成。
加えて、キングカメハメハ<2004年>の年にも騎乗馬はいたが、まったく格下で勝負にならなかった翌年は、あのディープインパクトで2:23.2の勝ちタイムを見事になぞったその男。
アイネスフウジンは前記したテスコボーイを母父に持つ先行型。
その父シーホークは産駒の連覇となった。
キングカメハメハとディープインパクトには、あまた存在する後継種牡馬がどんどん代を重ねる時代に入っている。
自身連覇達成の時は、ディープインパクトと同じサンデーサイレンス産駒での連覇。
すなわち、武豊に知っているという武器を与えては、他は太刀打ち不能。
ダービー6勝のうち、なにがしかの前記録を持ちえない新記録での優勝はない。
サンデーサイレンス産駒2勝目が自身最初のスペシャルウィークとの独走。鞭ともに完走の夢は、翌年叶える。
3度目のタニノギムレットも、ブライアンズタイム産駒として3勝目。
ディープの仔・キズナでは、その前年に岩田騎手のディープブリランテで産駒初制覇があったから、これもイレギュラーではない。
ハーツクライ産駒は、これでワンアンドオンリーに続く2度目。
仲良く皐月賞でも展開を読み間違えた横山典弘騎手で、ハーツクライはダービーを走りキングカメハメハの2着。
最初の産駒優勝の記録がノリ騎手であることの必然性は当然あって、そのあとは、もうアンカツさんも引退しているから、その独特のらしさを理解するのは武豊騎手だけになる…。
理屈はいくらでも作れるわけだが、このダービーは既知のヒストリーを紐解けば、こんなに見えやすい展開はなかったとなる。
だからこそ、武豊のダービーになったのである。
ほぼ確実に、差しての制覇。
最も早く、サンデーサイレンス産駒の持ち味を引き出した騎乗が、彼の全盛時代とまるまる被ってくる。
その良さをどう引き出すかとなった際に、勝っているという武器以外の要素が味方する。
自身の騎乗馬だけでなく、ライバルの騎乗馬やその血統などもしっかりと組み入れて、自身の戦略を作り上げる武豊騎手だからこそ、正確な再現やプラスアルファの発想がすぐにできるのだ。
最もその考えに近づけた福永祐一騎手も、ダービーを今年は勝てなかったが、4年で3勝という不滅の大記録を作ってしまった。
知ることの有意義さを深く理解するからこそ、今にしてはこう思える、中山での2戦。
やはり、狙いを絞って勝ちに出た結果だったということだろう。
これではライバルに出る幕はない。
速い馬というほどキレキレではなかったが、溜めるだけでも距離を容易にこなすまでは至らなかった印象のイクイノックスは、動かないルメールで今年も挑んだが、自在の差しダービー王・武豊の前に撃沈。
馬の能力の差ではなく、今回ばかりはダービーを幾度も制し、誰よりも口惜しい敗戦を経験してきた名手の圧倒的な蓄財の違いに屈したまでのこと。
ルメールの腕がないのではなく、この点だけ、日本人として育たなかったことを無念に思うダービーはないだろう。
欧州特有のルールの縛りがどこかにある。
武豊は自身で、ダービーの勝ち方を編み出し、それを精緻に組み立てて、見事なまでに再現した騎手はいない。
差しても大抵は、ルメールのように2着までである。
1コーナーにかかる前に、わずかにその争いに差が出て、ドウデュースが前にいたことになるが、結果馬順は変わっていない。
ダービーポジションなるものを破壊しつつ、他にその組み上げるべき最初のハードルに傾注させて、自身は脚をじっくり溜める。
武豊騎手が永久に忘れられないように、このダービーの勝ち方に見える流儀にこそ、必然の6勝の根拠が隠されているのだろう。
きっと、肝心なことはずっと教えてくれないから、我々はこうするだろうことを推理するしかない。