2023年宝塚記念【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着イクイノックス(1.3倍)2着スルーセブンシーズ(55.7倍)3着ジャスティンパレス(8.5倍)
レース名 | 第64回宝塚記念 |
日程 | 2023年6月25日 |
優勝馬 | イクイノックス |
優勝騎手 | C.ルメール |
勝ちタイム | 2:11.2 |
馬場 | 良馬場 |
3連単配当 | 13,630円 |
2023年宝塚記念 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 5 | イクイノックス | 2:11.2 | - |
2 | 6 | スルーセブンシーズ | 2:11.2 | クビ |
3 | 9 | ジャスティンパレス | 2:11.4 | 1 |
4 | 11 | ジェラルディーナ | 2:11.4 | アタマ |
5 | 10 | ディープボンド | 2:11.6 | 1 |
単勝 | 5 | 130円 |
複勝 | 5 | 110円 |
複勝 | 6 | 560円 |
複勝 | 9 | 170円 |
枠連 | 3-3 | 2,280円 |
ワイド | 5-6 | 970円 |
ワイド | 5-9 | 240円 |
ワイド | 6-9 | 2,930円 |
馬連 | 5-6 | 2,340円 |
馬単 | 5-6 | 2,660円 |
3連複 | 5-6-9 | 4,030円 |
3連単 | 5-6-9 | 13,630円 |
2023年宝塚記念 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「大外から早めに動きました。ワイドにはなりましたが、内の馬場は良くなく、安全に乗りたかったです。大外の馬場の方が良かったです。よく来てくれました。良いスタートでしたが、良いポジションが取れませんでした。ペースが速かったので、後ろからになっても、全然心配はしていませんでした。今日は世界一の馬が勝つことができて、よかったです。安心しました。ファンの皆様、応援してくれてありがとうございます。改めて、彼の強さを見せました。秋からは彼とのコンビでまた、大きなレースを勝ちたいです。応援してください。ありがとうございました。」
※優勝したC.ルメール騎手のコメント(イクイノックス)
2023年宝塚記念 - レース結果動画(YouTube)
※実況レース映像
2023年宝塚記念 - 回顧
イクイノックスの血統
いかにも走りにくそうにしていたイクイノックスであったが、母シャトーブランシュは、唯一の重賞勝利がこのコースで行われたマーメイドS。
母系にダンシングブレーヴ、トニービン、アレッジドといった、重厚な末脚を自慢にできそうな凱旋門賞勝ち馬の存在感そのまま、どこかに秘めた適性のようなもので、他を撫で切ってみせた。
父は断然支持に推されたような年もあった顕彰馬のキタサンブラックだが、連絡みはない。
夏からデビューの効果を昨年のダービーでは発揮できなかったが、培ってきた戦闘能力は、何も絶対的なスピード能力の値だけと限らない。
2年続けて凱旋門賞連対のトニービン、アレッジドの存在感も、こうした特殊な適性が求められる舞台でも、かなり効いていたのであろう。
キタサンブラックは最近になって、次期エース候補であるスキルヴィングこそ失ったが、今年はギニーホースのソールオリエンスであるとか、安田記念好走の菊花賞1番人気・ガイアフォースなど、ねじ伏せるタイプのパワー型を多く出す。
どうにも、キレ馬のイメージが先行しているイクイノックスは、絶対能力こそ異様なレベルのものがあっても、本質はやはり、キレるというより総合力のスピード勝負適した、サクラバクシンオー由来の攻めが肝心なプリンスリーギフト系らしい持続力の高速マッチが合っていないわけではないだろう。
ダービーを勝ち切れなかったものを取り戻そうというジャパンC画策の陣営にとって、この勝利の経験をどう活かすのか。
凱旋門賞血脈か父が秘めるスピードの血を信ずるのか、今後の調整の内容如何で、本質がどこにあるのか見えてくるかもしれない。
今回の収穫は、行く気をギリギリのラインで抑え込めたこと。
広いコースのコーナー4つ。
スローの展開を展望した時、この結果が与える、他の陣営へのダメージは計り知れない。
ドゥラメンテ=キタサンブラックと現役は同期 の産駒が、牝馬で2頭いるわけだが、秋の大一番は、どちらがより有能なのかを競う、血統的見地における重要戦の様相を呈してきそうでもある。
速い馬が有利とは限らないのは、途中から古牡馬の斤量が58に設定されるようになったから。
牝馬も56では、本来は有利ではないが、アーモンドアイもグランアレグリアも、4歳のうちにこの56の壁は超えている。
2kgの差を活かしたのは、グランプリジョッキーの池添謙一&スルーセブンシーズであった。
そこが一番目立った一戦。
出は甘くはなかったが、荒れ馬場進行と囲まれて不発を恐れたルメール騎手は、正しい選択であったと同時に、全く動かないことで、普段以上の捲り合いを防ぐことに成功。
瞬発力で負けるはずはないイクイノックスに、全幅の信頼を置くと同時に、最近で言えば、同じように内枠からのスタートで下げる手に出て成功のソールオリエンスであるとか、牝馬二冠だけで終わるはずのないリバティアイランドなど、色々な策があっていいことを、鋭い読みで他を動かさず、見る者すべてを魅了したあのドバイと逆の作戦で、イクイノックス流の宝塚戦法を作ったのだから、さすがというより他はない。
前は残る可能性こそあったが、動かなければ全体の進行は徐々に緩慢になっていく。
坂のところで妙な12秒フラットのレースラップが残る不思議なレースであったが、外を回って、有馬記念の時のような振る舞いをできなくなったから、スルーセブンシーズの能力を全開に差せる間を生んだその瞬間こそ、まさかのシーンを皆が予感したあの内から差し切る牝馬の図が、完遂こそできなかったが、可能性としてあり得たとできるよもやの一瞬を作ったのであろう。
動かさず、自分の動きを抑えてでも、牝馬のキレで差を圧倒しようということは、そのすぐ後ろにいた松山騎手のヴェラアズールも予定していたことだろう。
悲しいかな休み明けの520kgで58を背負う6歳馬では、それを可能にさせる条件は整っていなかった。
時計勝負もまだ苦手な部類であろうから、一瞬はヴェラアズールの方と思わせたが、よく見ると小さい馬。
56も池添謙一も、父のドリームジャーニー・2009年優勝馬も味方につけたスルーセブンシーズは、恐らく、父がそうであったように、皆が思っていた雨馬場での台頭<ライラックがエリザベス女王杯で突っ込んできたようなイメージ>ではなく、飛びの大きさから、この馬こそが、イクイノックス以上に雨馬場にならなかったことを味方につけたのであろうと思う。
稍重大楽勝のクロノジェネシスとは違い、鋭く反応する加速性ではなく、オルフェーヴルを彷彿とさせるじんわり構えて、馬の闘志に火をつけるような馬込みを抜け出す策もハマったから、雨馬場ではきっとこなかったのだろう。
まあ、外から差し切るイメージをしていたから、鞍上もゴール直後、首を垂れるようにみせたが、イクイノックスの競馬では、他の16頭の自由が大きく制約されるのだから、致し方ない。
無論、坂の辺りの差し決着の攻防で前が詰まった影響は、敗因の最大となる要素ではある。
無念のジャスティンパレス・鮫島克駿騎手は、やれることは尽くした印象。
どうにかなる相手ではない可能性も大いにあったが、馬が自信をつけているのか、結果的には、イクイノックスの強襲さえなければ、実は、本当の勝ち馬はこの馬であったと可能性の一部分を見せただけでも、昨年春の状態と比べらたら、段違いに成長している。
まだまだ強くなる。
有馬記念をこのコンビで獲りたい。
捲り合いは普段通りに読んだジェラルディーナの武豊騎手は、乗り難しいこの危険な牝馬を精一杯よいしょして、相手を考えれば、有馬の逆転を目論む中での正攻法の手が一瞬ハマりかけての4着。
序盤は気分よく流れに乗っていたジオグリフにも一瞬見えたが、目まぐるしい4コーナーの厳しい攻防になる宝塚記念では、道悪で来る伏兵と良馬場で来るその手の馬は全く違うもの。
重馬場巧者ではあるが、ジェラルディーナは有馬記念の3着馬。
芝2200Mでの1秒近く更新しているから、全力を出し切った結果でもある。
陣営は大満足であろう。
例年よりは激しい攻防が後ろ倒しだったために、ペースこそ例年より速いくらいの展開でも、イクイノックスの競馬でもあるから、前が潰された原因となる要素が、普段とは異なる。
もう少し粘ってもらいたいたかったアスクビクターモアも、この距離で好位受けでは、内容上々のダービー3着の記録こそあっても後のマイルで活躍することが見えているガイアフォースに、セントライト記念でねじ伏せられたことでも、高速ステイヤーの死角がもろに出た平凡な内容。
相手がイクイノックスで、これが前走逃げたルメールとあると、策が読みづらく、またライバルは内の方の枠。
結果、相手は引いてくれたわけだが、行くに行けないほどに、復活している古豪のユニコーンライオンをいいように逃げさせてしまった。
基本距離でうまくいかないのが、先行して長距離G1を勝ち切ってしまった馬の切なさ。
他の馬ができないことで勝負できてしまった馬が、ジャスティンパレスのような汎用性のある差しの立ち回りであるとその後も、激しいスタミナ比べで天皇賞と大差ない宝塚記念だから、繋がりは求められなくもないが、出していき方が少々癖のあるアスクビクターモアには、もしかすると、最も合わないコースであった可能性がある。
右回り巧者でも、特殊な作りの阪神2200には、先行馬に絶対歴に苦しい攻防における潜在的な死角があったのだから、これも受け入れがたい結果だろうが、2200では大威張りできない存在なのは事実。
むしろ、同じグランプリでももっと動きが複雑になる有馬の逃げの方が、脈はある。
前残りは必然のコース形態でもある。
オールカマーを大事に戦いたいが、天皇賞ぶっつけの線が濃厚か。