スプリンターズステークス2023【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ママコチャ(4.9倍)2着マッドクール(14.0倍)3着ナムラクレア(2.9倍)

レース名第57回スプリンターズステークス
日程2023年10月1日
優勝馬ママコチャ
優勝騎手川田 将雅
勝ちタイム1:08.0
馬場良馬場
3連単配当17,140円

スプリンターズステークス2023 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
16ママコチャ1:08.0-
210マッドクール1:08.0ハナ
31ナムラクレア1:08.2
413ジャスパークローネ1:08.4
58メイケイエール1:08.4ハナ
単勝6490円
複勝1140円
複勝6180円
複勝10320円
枠連3-5770円
ワイド1-6340円
ワイド1-10700円
ワイド6-101,120円
馬連6-103,260円
馬単6-105,190円
3連複1-6-102,310円
3連単6-10-117,140円

スプリンターズステークス2023 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「すごい接戦になりましたけど、何とか凌ぎきってくれて有り難く思います。とても返し馬の雰囲気は良かったですし、レース自体は何とか形にはなってきたかなという程度ではありましたけど、直線の雰囲気も良かったので、このまま凌いでくれという思いでした。行くのを行かせて自分のリズムを大事にしながわというところであのポジションに収まりました。少し道中で内側の馬からの圧もあり、馬自身がまだ受けきれない分、少し外へ流れながらの3・4コーナーになってしまったので、その辺をケアしながらだったので、その分、先ほど最初に言ったようにある程度形にはなったかなという程度という表現になりました。(ソダシとは)全くタイプの違う馬で、似てるところもほとんどないくらい似てないですけど、この馬として素晴らしい背中をしています。これだけ混戦のスプリンターズステークスでありましたけど、こうやってG1馬にまで一気に上り詰めてくれましたので、これから益々良い走りが出来るようにケアしていきたいなと思いますので、またこの馬が走る時に精一杯の応援をいただけたらと思います。ありがとうございました」

※優勝した川田 将雅騎手のコメント(ママコチャ)

スプリンターズステークス2023 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

スプリンターズステークス2023 - 回顧

姉は現役であり、またクラシック制覇を果たした最高のホワイトキューティ・ソダシ。

クロフネの産駒であるから、これでこのレース史上3頭目、スリープレスナイト、カレンチャンに続く制覇ともなった。

皆同じ、4歳牝馬、夏のレースを使われて、更なる上昇カーブを描いた才女で見事に共通している。

ソダシの場合と、父と母父を入れ替えただけのハヤヤッコとの違いを見出す時、そのクロフネの牝馬ならいくらでも強い馬が出るという傾向以上に、ノーザンダンサーが沢山ある中で、同系種牡馬はクロフネ自身がそうだから、影響力を及ぼすものの、母方にこのクロスが入っているキングカメハメハを一段退いたところに配置することで、母系のトップサイダー<気性難の理由を生む要素の一つ>とで生じる同5×5が、血統表に登場するのみで、非常にバランスがいい。

クロフネの4代母の父はロベルトで、5×4になるのがハヤヤッコの母の配合となるが、6×5で表面上はインブリードとならないこの配合だと、結局、ヴァイスリージェント系の純粋なパワー型の推進力がよりよく伝わる配合なのであるとできる。

もう少し、気持ちに余裕がないような側面もあったりする妹の方は、まだまだスプリンターとしては垢抜けず、パワーアップは求められるタイプのはずだが、もう少しスレンダーに映るミッキーアイルの才女2頭と比して、そもそもの短距離適性が、結果として現れた面もあり、必ずしも総合力勝負の勝ちタイプではなくとも、血統的な本質の違いは、大舞台で影響を及ぼした可能性は大いにあるのだろう。

33.3→34.7という展開で、勝ちタイムは1:08.0だった。

皆が想像するハイペースのスプリンターズSでもなければ、ミッキーアイル産駒の2頭いずれかに凱歌が上がるレースにもならなかったが、結果的に、3・6・1・4・5各人気の馬が掲示板内に入り、8・2・7番人気の馬が上半分の残り3枠を占めた、極めて順当な決着。

記録上は前傾ラップになるし、この人の全体的な時計の傾向からすると、極めて順当な面もあるが、数字面の記録という以外にも、本来はもっと輝いていたはずのママコチャやマッドクールが、前走で厳しい斤量の競馬を経験していたという蓄財で、他を封じ込めたという、客観的事実もあったりする。

本来、時計が速くあっても相応しいのは、必ずしも歓迎ではないということを、今後の彼女たちの活躍如何で、新時代到来のトレンドとなっていく可能性を示した、興味深い結果にも思えた。

それにしても、阪神でレコード勝ち、船橋ではドバイワールドC優勝馬を順当に普通の競馬をさせて、予定通りの渡米を決定づけたのに加えて、この結果である。

今の川田将雅に迷いなどない。

何なら、前日阪神のシリウスSで7歳伏兵のニューモニュメント辺りまでもってきてしまうような雰囲気さえあった。

これは岩田望来騎手の完璧なエスコートで、人気のハギノアレグリアスが気持ちよく走って完勝であったが、枠順一つで…、出もあったのだろうと感じてしまう。

誰は乗っても掛かるのは、姉ソダシの性質ではなくとも、メイケイエールに代表されるこの癇性は、妹のママコチャに伝わっている。

好発を決めることが重要。

いの一番の勘所を押さえ、ほとんど、この位置取りでナムラクレアとメイケイエールのいいプレッシャーをかけることで、自在の好位差しを体現したその騎乗内容は、まさしく、テン乗りでここまでできるのか…、というライアン・ムーア的な凄みさえあった。

そこに加えて、ママコチャは過酷な小倉で休み明けの中、牝馬の重賞未勝利馬にはあまりに過酷な55.5kgを理不尽とも思わず、何なら、サマースプリント王者の座をジャスパークローネから奪わんばかりの北九州記念での好結果もあった。

気難しいところがあっても、その気にさせれば、いくらでも動いてくれる。

そのことを改めて、驚異のオークス独走で魅せたリバティアイランドから再学習したことも、心の余裕を生んだ面があるのだろう。

相手からすると、こうされてしまうとどうにもならない。

理不尽ではなく、他の重要な仕事をこなさないといけなかった関係で、一度はコンビ解消となった坂井騎手のマッドクールも同じか。

前走はみんなで訝しげに思った58.5kgのCBC賞。

どうも、後に体調も思わしくなかったと伝えられたが、それは今回のナムラクレアやメイケイエールの方だったか、わずかなバイオリズムの乱れや、ちょうどいい具合に最高潮に仕上げることに繋がった、様々な要因が、マッドクールを大人の競走馬に育てたのであろう。

とっくにG1で馬鹿にしてはいけない好漢にまで成長した坂井瑠星に、斤量減の重賞未勝利での大舞台挑戦は、少しミッションとして軽かったのかもしれない。

あの好メンバーの揃ったシルクロードSで、ファストフォースもナムラクレアもいたところで、当時は斤量利を買われた1番人気支持だったが、実質同斤で、ナムラクレアを完全に抑え込んだように思える。

立場は少なくとも、この時点では入れ替わり、上がり目からして、再逆転まではないはず。

そのライバルを増やしてしまった人気のナムラクレア。

つくづく、G1に縁がない。

最高潮にまでは戻らなかったメイケイエール共々、ママコチャというか、川田ルールに合わせざるを得なかったうえに、それが正解となったとすると、好機をものにするだけの何かが、今回も足りなかった印象を残す。

小倉で敗れたことで、人気の縛りを得なかった昨年も、最内の利を人気馬であるがために活かしきれず、ピクシーナイトと同じ黒帽であったのだとすれば…、などいっていると、これまでの実績が無駄になる。

これらの間に挟まってきたジャスパークローネは、他の先行勢は制したものの、本命級や本格派の好位差し正攻法グループを制するには、前半の脚力=他を苦しめて、脚を奪うという武器 で、素晴らしいものまではなかったが、新たな目標物となって、時に、カルストンライトオやモズスーパーフレアのような好機を、突如として得る可能性を残しつつ、上位2頭とは、本物の武器まではなかったというにも感じた。

斤量との戦いがいよいよ始まるが、3走前に大敗の函館とは、まるで馬の自信が違う。

アグリもピクシーナイトもウインマーベルも、この展開で出番があるというほど、鋭い脚というより、絶対的なスピードまではない。

正攻法がいいこのレースの連対馬2頭に比して、妙な癖がついてしまった可能性も秘めるアグリには、目標の時計設定よりはずっと楽だった勝ちタイムは味方につけられるはずだったが、まだ本当の重賞級にまでは育っていないのだろう。

G1を目指すというか、勝ちきるまでは、転厩先での更なる進化は問われる。

実は、前走以上に脚を使っている33.9秒だったのだろう。

最後は少し止まったようにも見えた。

それ以下に関しては、川田ルールはまかり通るレースで、当然、出番があるわけではないのかもしれないが、上位グループよりも調子が良さそうな馬は多かったはずで、9着がナランフレグだったことはポイントだったか。

まるでいい脚を使っていないようで、人気も全くなかったが、次点評価可能なスプリント元王者の力いっぱいの結果。

これを伏兵が上回らなかったのであるから、ファンの評価はもちろんのこと、格でも適性の面でも、少し力が足らなかったことは明らかであろう。

普段なら、もっと伏兵が来るレース。

高松宮記念がこれでもっと手堅くなるなどと、絶対に思わない方がいい。