朝日杯フューチュリティステークス2023【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ジャンタルマンタル(2.7倍)2着エコロヴァルツ(10.0倍)3着タガノエルピーダ(13.2倍)

レース名第75回朝日杯フューチュリティステークス
日程2023年12月17日
優勝馬ジャンタルマンタル
優勝騎手川田 将雅
勝ちタイム1:33.8
馬場
3連単配当12,910円

朝日杯フューチュリティステークス2023 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
13ジャンタルマンタル1:33.8-
21エコロヴァルツ1:33.91.1/4
35タガノエルピーダ1:34.0クビ
414ジューンテイク1:34.0アタマ
512タガノデュード1:34.11/2
単勝3270円
複勝3130円
複勝1280円
複勝5320円
枠連1‐21,190円
ワイド1-3520円
ワイド3-5590円
ワイド1-51,720円
馬連1-31,280円
馬単3-11,990円
3連複1-3-53,540円
3連単3-1-512,910円

朝日杯フューチュリティステークス2023 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「追い切りに乗っていい馬だと感じていました。4角手前であまりいい形にならなそうだったので早めに進路を確保して動いていく道をつくりました。早めに(アクセルを)踏んだ分、馬には少し苦しい競馬になったかとは思いますが、しっかりとしのいでくれる雰囲気ではありましたので、安心して乗っていました。これから先がますます楽しみな馬だなという印象です」

※優勝した川田将雅騎手のコメント(ジャンタルマンタル)

朝日杯フューチュリティステークス2023 - レース結果動画(YouTube)

朝日杯フューチュリティステークス2023 - 回顧

自分の前に、前走まで乗っていたダノンマッキンリーが、天下のクリストフ・ルメールをもってしても、どう見てもアウトな状況で、まさにどうにも立ち行かぬ状態であることを、最も間近で、主戦級であろう川田騎手が見ている状況。

その前に、どうにもならないという感じで、ある種の賭けというか、希望をスタミナに見出すしかないと殻をくくったように、予想以上の暴走に近い内容で、シュトラウスもガス欠目前という4コーナーで、内から川田将雅のジャンタルマンタルが来た。

無論、決まった後の争いを独走の直線であったが、持ち味は出し切る形をとれたということと、しっかりと相手関係を見極めた、実に勝つための競馬に徹した正しいG1制覇を、馬に教え込んだようなところもある。

川田騎手は、早仕掛けを覚悟の上で動いているから、無論、ガス欠ということよりも、少しダメージが出る形で終いがタレることまでは想定したのだろうが、そこまで明らかに失速の見た目ではなかった。

激しい展開の2歳G1。

脚を余しては、人気馬ほど責任重大という勿体ないは済まない評価落ちを防ぎながら、耐えることも覚える必要がある、競馬が実にスマートなジャンタルマンタルに対する、英才教育の一環であったように映った。

結果的に、スーパースマートな直線勝負特化で恐ろしい仕事を、驚異的な確度の高さで繰り返してきた武豊の強襲にあったが、正直、距離への実績やわずかな適性の違いなども踏まえると、初追い込みのエコロヴァルツは、実際の敵ではなかったはず。

力を出し切ってくれるなら…。ジャンタルマンタルのためのレースであったというのが、正しい総評であろう。

さて、血統的にも将来的な展望という面でも、明らかに吉田照哉式の積極采配で、新たな可能性を秘める北米系の血統で速さも担保されたジャンタルマンタルなる、実に逞しい種牡馬候補を確保したところで、主役級が多数乱れたレース後半、非常に目立った存在となったのが、紅一点のタガノエルピーダ。

強気のフューチュリティ登録というよりも、重複登録からメインで狙ったジュベナイルフィリーズが、安定の1勝馬多数除外の中の一頭に含まれることで、半ば、強気というよりは今後の展望を期待する、背伸びした挑戦のようで、牝馬らしいシルエットながら、キズナの産駒としてはグッドルッキングというだけでなく、440kgに満たない馬体重でも、非常にバランスもよく、全くこのタフネスを決定する2歳マイルチャンピオン戦で、まるで見劣るところがなかった。

これは先々…。

そのスケールの大きさを高く評価されたタガノエルピーダが、まだ若いが乗れる団野騎手の継続騎乗で、穴人気もいいところの単勝5番人気の支持。

ファンの慧眼には恐れ入るが、最終便のパドック評価で、ぜひ押さえたいと思えただけでも、気分がいい。

ここでの走破タイムは、彼女に関しては1:34.0の走破タイムで、1秒以上は先週の牝馬チャンプ決定戦より要した格好だが、明らかに馬場質はタフ。

そうした馬場を味方につけて然るべき、キズナ×キングカメハメハ×トニービンという血統背景であるが、サフィラよりはスケール感で上回った印象。

何しろ、1800実績のある馬が正攻法ほど自滅に近い完敗を喫する中で、ジャンタルマンタルでさえ、せこくではないが、非常にロスの少ない立ち回りだったのに対し、前で勝手にやり合う牡馬連中の後ろで、レースの動きに最も耐えることを求められるタフなところを踏ん張った。

即、無敗の2頭の王者、28日のホープフルSでもその無敗王者誕生が期待される中で、それらと同格とは言えないのだろうが、ジュベナイルフィリーズやこのレース、JRAオーラスの大一番の回避馬たちの伸びしろに、このタガノエルピーダは負けない根性のようなものが見られた。

エコロヴァルツも後述するが、少なくとも、アドマイヤマーズに一捻りにされたあの若き日のグランアレグリアなどより、中身がずっと図太い。

オークスに間に合うことが理想だろう。

マイラーの体つきではない。

一方、増やした体を削るべきか悩ましいような、驚異の追い込み<武豊の十八番>を決めかけたエコロヴァルツは、ブラックタイドだからということではなく、スピード能力という点で、クラシックディスタンスにおける幅の広い戦法では、ブラックタイドの孫にあたるあのイクイノックスのミニマムバージョンくらいのスケールは示せたはずだ。

比較にならない天才ではあるが、今回伏兵の差しをしていたようで、これが中団に構えた時、相手へ大いにプレッシャーをかける、大きな仕掛けをしたような側面も見受けられた。

今回は百戦錬磨、手練手管などどのレースでも自在に繰り出せる武豊騎手特有の、先行型を差し馬に切り替える秘技が、内枠だからこそ、前もって準備されていたことはわかっているものの、超の付くハイペースではなく、46.1→47.7の前傾ラップを、前が耐えられずにジャンタルマンタルが一手に引き受けたようなレースで、どう考えても、追い込みが決まるほどの展開ではない。

だからこそ、正攻法で勝つべき型を若い日から持ち味としてきた川田騎手には抵抗するところまで至らなかったが、一旦、もうひと伸びしてきたジャンタルマンタルを、まだ諦めずに追いつこうと踏ん張ったエコロヴァルツも、負けてない馬特有の負けん気が見られ、どこかの大きな舞台でまたこの根性が見られそうな気もしてきた。

タガノエルピーダ同様、明らかにマイラーではない印象で、もっと筋肉の量が増えるようであるなら、この路線もあるのだろうが、キレ味でしたわけではないこの好位抜け出しもできそうなエコロヴァルツには、まだまだ伸びしろがある。

さて、8着に敗れたダノンマッキンリーであるが、走りのフォームを、調教のVTRからわずかな時間のみ見ただけであるが、まだワンギアである可能性が大いにある中で、多くの馬がプレッシャーをかけあうマイルの大レースは、さすがに挑戦の度合いが極端に過ぎた面は否めない。

本音を言えば、このメンバーであるならば、十分に勝ち負けという青写真があったのだろうけれども…。

仕切り直すには、重賞の賞金が乗っていない2勝馬らしく、リステッドやオープン特別なども容易に仕切り直せる強みがあるから、この偶然の産物と、現状の適性の面で、モーリスらしい敗戦だったシュトラウスに対し、かつてのピクシーナイトがそうであったように、大人しく作り変える春の時間とすることで、大きなスケールを適条件で活かせる馬に育っていく可能性を秘める。

その時間に焦りを見せなければ、何も起こらないが、そこは藤原英昭調教師の手腕に期待である。

2年勝っていないダービー馬が、いきなり天覧競馬を勝つとは、誰も思わないが、それをやってのけたような男である。

シュトラウスに関しても、内面的な課題をあまりにもスケールの大きな走りを邪魔している部分があるが、この馬こそ、じっくり時間をかけて、走りを洗練させていく方がいいタイプで、明らかにマイラーではない。

コロンとしたようなロベルト系特有のフォルムにならないように、消耗を上手に避けながら使いたいが、父とは違い、こちらは重賞をもう勝っしまっているから、レース選択がダノンとは異なり、少し窮屈になる。

まだその手の経験には乏しい武井調教師は、自分の殻に閉じこもってしまわないように、オーナーサイドだけでなく、ベテランの調教師などに、金言を授かりたい。

何なら、モーリスを傑出した怪物へと作り変えた堀調教師などに、内密にでも情報をもらいたい。

場合によってだが、そちらに馬自身が移ってしまう可能性もある。

モーリス自身がそういう経緯で、超の付く大物になったのだから、馬に無駄なストレスをかけないためにも、工夫するための術を身に着けたい。

シュトラウスは勝手に育つだろうが、調教師の評価はシビアなもの。

ここに関しては、早めに手を打っておきたい。