有馬記念2023【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ドウデュース(5.2倍)2着スターズオンアース(8.6倍)3着タイトルホルダー(8.3倍)

レース名第68回有馬記念
日程2023年12月24日
優勝馬ドウデュース
優勝騎手武豊
勝ちタイム2:30.9
馬場良馬場
3連単配当42,110円

有馬記念2023 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
15ドウデュース2:30.9-
216スターズオンアース2:31.01/2
34タイトルホルダー2:31.21
410ジャスティンパレス2:31.2アタマ
52シャフリヤール2:31.2クビ
単勝5520円
複勝5230円
複勝16240円
複勝4330円
枠連3-8980円
ワイド4-51,210円
ワイド4-161,720円
ワイド5-16930円
馬連5-162,730円
馬単5-164,380円
3連複4-5-168,050円
3連単5-16-442,110円

有馬記念2023 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「ドウデュースも私も帰ってきました。状態はすごくいいなと思っていた。この馬のいいところだけを出すことを考えて、ラストの脚はいいものを持っているので、それを引き出すことだけを考えていました。ダービーのあとは苦しい思いをしていたけど、この馬はこんなもんじゃないと思って、ドウデュースが一番強いと思って頑張りました。G1・81勝目。これまでいい馬に恵まれて、きょうもドウデュースという名馬と有馬記念に挑めて、本当に幸せだなと思います。やっぱり競馬はいいなと思います。これからも応援してください。メリークリスマス」

※優勝した武豊騎手のコメント(ドウデュース)

有馬記念2023 - レース結果動画(YouTube)

有馬記念2023 - 回顧

何もかもが、イクイノックスの時代を示すように、ルメール騎手が無双ぶりを発揮した秋の競馬であったのだが、一頭というか、ある一名だけは、その比ではないほどに、勝利への渇望がすべてプラスに変わる男であったということだろう。

あのルメールも、タイトルホルダーのことを知り尽くす横山和生も、死力を尽くすに相応しい完璧なレースメイクであったが、そんな120点も騎乗を、ほとんど無力化させるのが、武豊という不世出の名手なのである。

自身の出来は80点に満たないが、ドウデュース自身はいい出来をキープして、約束の叩き3戦目で3度目の戴冠。

京都記念の再現という感じであるが、何か、あの伏線が春になる前の阪神に、この有馬に繋がる何かがあったということだろう。

今にして思えば、本命にしておいて、あの京都記念in阪神の勝ち方は尋常ではなかった。

武豊だけが知るドウデュースがいる。

そういう有馬記念であったのだ。

戸崎圭太という地方出身の大変な名手が、今のドウデュースに対し、的確なジャッジを本当に短い時間で、それも主戦が戻ってくれば乗る機会はまずないという状況で、この秋の2戦、ほぼ戦略的には正しいレースをして、主戦である武豊騎手とすると、自分が乗っていれば確実にわかるドウデュースの今に対し、当然、戸崎騎手にも確認をするなどしたのだろうが、今までと違うところと、変わっていないだろうことを、十二分に把握しているのだろうという立ち回りであった。

出が悪くなることもあるタイプであり、とはいえ、パワフルさを増した超合金ボディ化目前の4歳ダービー馬は、今まで共に戦ってきた5頭のダービーウイナーとは、別のタイプであるものの、スピード豊かなタイプであり、またストライドは比較的小股。

実は、ダービーを勝たせるための作戦を組み立てていくうちに、距離が短いと末は当然甘くなり、では、直線が長いダービーやジャパンCのようなレースでは、ある程度ばらけた展開になってくれないと、距離適性もストライドが大きい方ではないから、よりスパートのタイミングで苦慮することが、もう中山で初黒星を喫したアスクビクターモアに敗れたディープ記念の頃に、はっきりをわかっていたはずなのである。

前崩れを読んで、差す形をとるというより、ダービーを狙う過程で、ダービーと同じ戦法でどこまでやれるのか、ということをよく考えるタイプのユタカジョッキーだけに、流れの読みは間違いなかったが、良馬場で時計の掛かる中山は合わなかったという3着。

高速系のボールドルーラー系を母系に持つドウデュースは、ダービーで弾けたが、イクイノックスが皐月賞で掛からなければ、歴史は変わってしまったのかもしれないという内容だった。

時間が経つにつれて、前述の馬体の変化も顕著となり、戦法は難しくなって、勝利の可能性の天秤にかける必要に迫られたが、不運なのか、それとも運命であったのだろうか、フランスに行った2戦の後、まともに使える状態に戻すのに1年かかってしまった。

ドウデュースはその中で、遮二無二筋トレに励んだわけではないが、血統の示すとおり、シアトルスルー系が入ることで筋肉モリモリになる傾向はありながら、ベースはダンシングブレーヴと同族の芝適性という微妙なバランスの中、ダート型にならなかったという確信が、自身が乗る予定だった秋の天皇賞の前で絶対にあったはずなのだ。

ただし、相手はモンスターと化したイクイノックス。若い頃に仲間だと思っても、勉強の仕方一つで、社会に出た後に、大きな差が出るという典型であった。

力差はあるが、格好はつけたい。

それが叶わなかったが、戸崎騎手は馬乗りの技術と共に、痛めつけない乗り方が身上の名手である。

展望の際に、ここ2走はほぼほぼ勝ちタイムなのではないということで、反動の可能性もあり得るとしつつ、その中である意味で、長い脚は使えない相変わらずの部分と、京都記念で得た、2:10.9で2200Mを楽勝できるという能力を、イクイノックスが勝ちそうなシーマクラシック=2410ではなく、より相手は強力でも、ターフ=1800にドバイでのレースを選択するというところで、当地までは行ったのだが…。

全ては勝つために。

出が甘かったというのもあるが、出ないなりの戦い方をむしろ、自分の真骨頂としている武豊だから、先週はエコロヴァルツ、今週はお手馬であり、一生忘れることのない存在になったドウデュースで、いつもあれをやってのけたけたのだ。

皐月賞もダービーも、圧勝の京都記念もここに武豊の戦略と馬のキャラクターが、レースの内容とリンクする。

スピードはあっても、前に行けるほど器用ではなく、差せるといっても、仕掛けのタイミングは難しい。

出番を分かったように。普段よりはやる気を取り戻していたタイトルホルダーも、スタートでハーツクライ級の神懸かったいつもの有馬のルメール<日本でずっと乗るようになってからは、アーモンドアイ以外、馬に人気も元気もなくても必ず馬券に絡む>も見られたし、一瞬、ダービー馬違いのシャフリヤールが松山が魅せるというミラクルで、衝撃の復活を遂げるかとも思ったが、ユタカマークは正解であろうジャスティンパレスに敢え無く差された、というゴールシーンは、敗者たちの健闘の証。

筆者は、横山武史の視点を評価する。

実は、イクイノックスが前を掃除してくれただけであって、ここ2戦は助けられただけでもあったのだろうから、天皇賞の再現狙いは間違いではない。

中山適性を身に着けるのは、ドウデュース同様、1年遅れの可能性を感じる。

まだ、弾け過ぎるジャスティンパレスに、タフなスターズオンアースのような立ち回りはまだできない。

それらを総合し、パッとしなかった3歳勢<タスティエーラは6着で最上位、ソールオリエンスとハーパーは8、9着>に対し、ドウデュースとスターズオンアースは、4歳馬らしい全盛期のそれ、経験値の部分で、ついでに武豊復活、ルメール再度騎乗…。

有馬で買う要素が揃ったのは、この2頭であって、戦略的なことと、挑戦を強いられる側となったスターズオンアースは…。

キーワードが全て、ドウデュースに味方になったイヴ決戦は、ダービーレコードウイナーの戴冠で幕を閉じた。

捲るタイミングを常に極めようと、ドウデュースにアプローチするというより、インサイドワークで、どのような組み立てが最も合理的なのかを、武豊騎手は考え抜いてきたはずである。

それをそのまま体現するのが、スーパースターだ。

ドウデュースに伸びしろがわずかに残る一方で、どこか、自分の最後というものを意識せざるを得ない周囲の環境を踏まえた時、これが本当の価値あるラストタイトルだったとしても、悔いを残さないように乗りたい…。

そんな意識が、万全ではない状態では、我々が知る、穴党には憎き存材でしかなかった武豊の真骨頂をフルバージョンで魅せる有馬記念に繋がったのではないだろうか。

ルメールが普通の人に見えるなんて、久しく見ていなかったが、その点だけ取っても、特別なグランプリであったように感じる。

そういえば、内から理想のスパートをしたシャフリヤールと、ほとんど勝ったような感じのスターズオンアースは、全く同じ34.8秒の上がり。

全く同じというわけではないが、ドウデュースと当然トップの34.4でも、抜けた記録ではない。

イケイケのはずが、鳴かず飛ばずのまま終わったスルーセブンシーズは、型通りというか、池添謙一騎手にしては普通の乗り方だったのが悪かったのか、終いが35秒台で、ラストは止まった。

決め打つのは難しいが、高速の有馬記念にフロックはない。

実は、この中で一番根幹距離向きだったのが、成長しきったスルーセブンシーズだったのだろうか。

パワー比べの有馬とは違うが、適性の面で、明らかに他の馬とは違ったのかもしれない。