フェブラリーステークス2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ペプチドナイル(38.0倍)2着ガイアフォース(13.0倍)3着セキフウ(48.2倍)

レース名第41回フェブラリーステークス (G1)
日程2024年2月18日
優勝馬ペプチドナイル
優勝騎手藤岡 佑介
勝ちタイム1:35.7
馬場
3連単配当1,530,500円

フェブラリーステークス2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
19ペプチドナイル1:35.7-
27ガイアフォース1:35.91 1/4
38セキフウ1:35.9クビ
410タガノビューティー1:35.9ハナ
511キングズソード1:36.01/2
単勝93,800円
複勝9850円
複勝7510円
複勝81,030円
枠連4-56,140円
ワイド7-95,500円
ワイド8-911,050円
ワイド7-84,820円
馬連7-927,850円
馬単9-762,030円
3連複7-8-9197,060円
3連単9-7-81,530,500円

フェブラリーステークス2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「人気薄でしたがチャンスがあると思っていたので勝ててうれしいです。今の行きっぷりならマイルが合うと狙っていたレースだったので、期待以上に走ってくれて良かったです。ちょっと先頭に立つのが早かったですが、手応え抜群だったので馬を信じて追い出しました。6歳ですがまだ馬が良くなっている段階で、秋にまた強い馬にチャレンジできれば」

※優勝した藤岡 佑介騎手のコメント(ペプチドナイル)

フェブラリーステークス2024 - レース結果動画(YouTube)

フェブラリーステークス2024 - 回顧

ソプラニーノという繁殖牝馬が血統表の中に入る。

これを3代母に持つことで、ペプチドナイルはもしかすると、特殊な府中マイルへの適性を秘めていたと、今更ながら説明をすることができるのかもしれない。

そのソプラニーノというのは、1995年に前年の屈辱を晴らすように、再び外国調教馬で安田記念へと参戦して勝つことで、さすが武豊と思わせたハートレイクの半妹。

父はシアトリカルで、当時、無類の人気を誇った当該年のジャパンC1番人気にも推されたヒシアマゾンとも共通。

そこから、マキャヴェリアンとマンハッタンカフェというジョーカーを含ませて、帝王や女傑を生む大種牡馬となったキングカメハメハで締めることで、このペプチドナイルはヌレイエフのクロスを作りつつ、ミスタープロスペクターの3×4というハイバランスな好配合が叶った。

まるで、父のキングカメハメハがダービーを勝った時の様に、ハイペースの一戦を正攻法で受けて、その他諸々、サンデーのキレ馬という前で攻める競馬で変則二冠を制したその姿そのままにも見えた、激しい競馬への適性は、明らかに父譲りであり、ハートレイクも差し馬が台頭する安田記念という時代のそれを示した一頭であるように、タフな展開を好む。

前で走れる力は、総合的なミスプロクロスを含めた、彼自身の才能そのものであるが、そうしたものが合わさって、今回のように、運命に導かれるように、手の合う騎手をベストの場面で確保した時、何かが起きる…。

そうした可能性のある馬があまりにも多かった一戦ではあるが、神は藤岡佑介とペプチドナイルの潜在能力に、全面的な肩入れをしたのだった。

ハイペースで前受けして、正攻法で差し馬を封じ込める。

天国のキングカメハメハも、産駒初勝利がこんな展開になるとは、夢にも思わなかったことだろう。

様々な意味で、乱戦の様相を呈していたわけだが、パドックからやけに、本来は好馬体のはずなのに、馬体重ずっと小さく見えるほど、委縮してしまったのではないかと、ちょっと手を携えて、レスキューしてあげたくなるほど、切ない気配に映ったオメガギネスは、一応、流れに乗ったレースをしたものの、一頭だけが前で踏ん張ったように、ほとんどは自分より後ろの馬の展開。

逃げるに決まっているスプリント重賞のトップグループであるドンフランキーは、故障明けのショートバージョンの休養を挟んだ後で、例の超大型の馬体であり、目指すべきレースを一旦失った中で、様々な縁が重なり、数々の修羅場を経験した池添騎手が、変な差しの手をとるような枠ではなく=外枠からのスタート、これを皆が積極的に、半ば、無駄にやる気になったような先行策を得意とする騎手が、総合力の高い馬に騎乗した関係で、

33.9-45.6-57.9

このラップ、昨年の安田記念が、

34.2-46.0-57.6

という、高速とまでは行かないが、1:31.4という力勝負のマイルチャンピオン決定戦に相応しいタイムで決まったソングライン連覇の一戦と、よく似ている展開だから、ソングラインも友達みたいな関係であった同期のシュネルマイスターも後方にいたわけで…。

似たラップで覚醒したとできるガイアフォースは、このレースで、2位グループの最下位とはいえ、勝ち馬にコンマ2秒差の4着。

結果、ダートでも同じような内容で、未来が開ける好走を見せた。

少なくとも、前走のチャレンジCよりは走りやすかったはずだ。

ところが、上には上がいるというのが、こうした大レース。

どこにいたのか、正直、本命にしていた一部、最初はモノ好きと思われた穴党を除くと、前が激しすぎたから、正確なポジションは皆が記憶するほど、重要なところにいなかったはずのペプチドナイルが、ほぼ展開無視で、正攻法の抜け出し。

キングカメハメハのパワーがフルボリュームで体現され、クロフネの血を受けて能力全開のキタサンブラック産駒の快走。

21世紀に入ったばかりの時代で、まだ金子オーナーが、神懸かった存在になると思われる少し前に出てきた、本物の北米血統を持つ外国産馬と持ち込み馬の末裔が、大活躍のレースは、本来あるべき、ダートのフェブラリーSの向かうべき方向性を示していたが、マイルだからこそのハイペース。

様々な実績を誇る人気勢は、特殊な展開というよりも、普通の東京マイルのダート重賞に向けたスタンスでは戦い抜けなかったのであろう。

その前に、パワー不足を露呈しかけていたオメガギネスには、さすがに自由を与えてくれないのは、ルメール特権が万能ではない証左。

期待値よりも走らないのは、言わずもがな、馬の経験値があまりにも乏しいからに他ならないが、誰かのせいではない。

まあ、本来は有力勢がもっと出てくれば、登録の頭数が多くならないこともあって、そういう中で伏兵の競馬に徹することができたはずなのに…、というのは、ルメール騎手の立場からすると、我々がそういう見方をすること自体が失礼なのかもしれない。

相手関係で楽と思われても、レースの質はいつもG1級であるからこそ、昨年はレモンポップが圧勝だったのである。

それにしても、ペプチドナイルには正直、ついていけなかった。

熟成させるのに十分な時間を経て、ローカルを主戦場とするところもある藤岡佑介騎手は、NHKマイルCでよもやの追い込みに転じるも、結果は快勝のケイアイノーテックとのコンビで制して以来の大レース制覇となったが、今回は、キンカメのダービーを再現するフェブラリーS。

59という、理不尽を超越した前々走でも負担重量に、慣れない好位差しで結果を十分な形で示すこととなった黄金コンビは、この前受け不可能のはずの超ハイペースを、3コーナーから4番手追走。

動き出しに制約のあるハイペース中団グループのガイアフォースは、大事に乗りたいということよりも、どん欲に今度こそ勝ちたいという長岡騎手の立場とすると、ほぼベストに近い立ち回りだったが、これが霞むほど、前のペプチドナイルは渋といというよりも、何故か、止まらなかった。

勝ったペプチドナイルの上がりは37.5秒。

2着で一応、差しグループでは前にいた組のガイアフォースが、37.2秒だった。

策は思惑以上にハマったはずのレジェンド騎乗のセキフウが36.4秒で、メンバー最高の豪脚だったが、つまり、全員が最後は止まったということだろう。

前に行って勝負することが多い藤岡佑介騎手にとって、どこか、調教師転身への展望を漠然と抱く年齢に来て、盟友の川田将雅騎手が世界で活躍し、吉田隼人騎手はソダシの主戦として、更に名を高めた。

もはや、誰かに勝とうということ以上に、自分と馬とのバランスのいいコンビネーションへの追及に対し、一定の理想的な回答が、この大舞台で出せたのだとすれば、この先どういう身の振り方をしようとも、騎手を続けることへの不安はもう消えたはずで、怖い思いをすることはまたどこかであるはずだが、いよいよ、この20年の熟成の期間を経て、難しい先行型であるペプチドナイルを乗りこなしたという大きな実績は、ペプチドナイルの未来を選択する場面でも、必ず役に立つはずで、ローカルスターではなくなったこのキングカメハメハ産駒だって、またどこかで大暴れする可能性はある。

激しいフェブラリーSを経て、存在意義を疑うような結果になりかけたところで、負けたグループにも、ダートでのめどを立てたガイアフォースと、スピード競馬で本領発揮というイメージを植え付けたキングズソード、セキフウといったグループにも、いい刺激を与えた。

ウィルソンテソーロはおかしなテンションになっていたし、ドゥラエレーデは疲れもあったのだろうが、お互い、正しいポジションを探り合う中で、自滅していった部分はある。

本来は正確な好位付けだったが、臨戦に関し、オメガギネス以上のジョーカーとなってしまった。

流石に力負けではないが、現代風のローテではない押せ押せの使い詰めが、最も重要なこの場面で、凶と出た印象もある。