皐月賞2024予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

皐月賞の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第84回皐月賞 (G1)
グレード重賞(G1)
日程2024年4月14日(日)
発走時間15時40分
開催場所中山競馬場
距離芝2,000m
コース右回り
賞金2億円
レコードタイム1:57.8

皐月賞2024予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

皐月賞2024の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追切最終追切
11サンライズジパング菅原明良牡357.024.011栗東・坂路・重(菅原明)
800m 50.4-37.0-24.2-12.2(一杯)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 51.6-37.5-24.2-12.0(一杯)
12メイショウタバル浜中俊牡357.0 7.63栗東・CW・重(助手)
7F 95.5-63.8-50.3-36.3-11.7(馬なり)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 52.6-37.5-24.0-11.8(馬なり)
23エコロヴァルツ武豊牝357.0 28.413栗東・CW・良(武豊)
6F 80.3-65.3-51.3-36.7-11.4(稍一杯)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 54.9-40.0-26.0-12.9(馬なり)
24シリウスコルト三浦皇成牡357.0 37.714美浦・ウッド・良(三浦皇)
6F 79.9-64.9-51.1-37.3-11.6(G前仕掛け)
美浦・ウッド・稍重(三浦皇)
6F 85.2-68.9-54.1-39.0-11.8(馬なり)
35ミスタージーティー藤岡佑介牡357.0 24.212栗東・CW・良(藤岡佑)
6F 81.2-66.3-52.1-37.2-11.4(末一杯)
栗東・坂路・稍重(藤岡佑)
800m 53.3-38.8-24.9-12.3(馬なり)
36アレグロブリランテ横山和生牡357.0 89.718美浦・ウッド・重(横山和)
5F 65.4-50.6-36.5-11.2(G前仕掛け)
美浦・ウッド・良(横山和)
5F 68.1-52.2-37.8-11.8(馬なり)
47ルカランフィースト松山弘平牡357.0 55.616美浦・ウッド・良(助手)
6F 85.5-68.9-53.5-38.5-11.7(馬なり)
美浦・ウッド・稍重(助手)
6F 84.5-68.4-53.2-38.6-11.7(G前仕掛け)
48ジャンタルマンタル川田将雅牡357.0 6.72栗東・坂路・良(助手)
800m 54.2-38.8-24.7-11.8(末強め)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 54.0-39.1-25.2-11.7(強め)
59アーバンシック横山 武史牡357.0 18.59美浦・ウッド・良(横山武)
6F 78.9-64.0-50.6-37.1-11.7(一杯)
美浦・ウッド・稍重(横山武)
5F 68.8-53.1-38.3-11.3(直強め)
510レガレイラ北村宏司牡355.0 10.55美浦・ウッド・良(北村宏)
6F 81.3-66.0-50.8-36.5-10.9(馬なり)
美浦・ウッド・稍重(助手)
6F 83.8-67.9-53.4-38.3-11.3(馬なり)
611ホウオウプロサンゲ菱田裕二牡357.0 61.217栗東・坂路・良(助手)
6F 83.0-67.3-52.4-37.4-11.4(一杯)
栗東・坂路・稍重(菱田裕)
800m 52.8-39.1-25.5-12.3(強め)
612コスモキュランダJ.モレイラ牡357.0 14.67美浦・ウッド・良(小林勝)
6F 80.2-63.9-49.3-35.5-11.7(一杯)
美浦・ウッド・稍重(モレイラ)
5F 68.6-52.8-37.9-11.9(馬なり)
713ジャスティンミラノ戸崎圭太牡357.0 8.04栗東・CW・良(藤岡康)
6F 82.5-67.2-51.9-36.3-11.1(一杯)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 55.3-40.1-25.7-12.2(馬なり)
714シンエンペラー坂井瑠星牡357.0 6.11栗東・CW・良(坂井瑠)
6F 80.9-66.0-51.7-36.9-11.3(一杯)
栗東・坂路・稍重(坂井瑠)
800m 53.6-39.3-25.3-12.3(馬なり)
715サンライズアースM.デムーロ牡357.0 15.58栗東・CW・良(助手)
7F 97.4-67.1-52.8-37.4-12.0(一杯)
栗東・CW・稍重(M.デムーロ)
7F 98.7-68.5-54.1-39.1-12.4(馬なり)
816ダノンデサイル横山典弘牡357.0 18.710栗東・CW・重(調教師)
6F 81.0-65.2-50.5-36.2-11.2(一杯)
栗東・CW・稍重(横山典)
6F 82.7-66.9-52.7-37.8-11.7(馬なり)
817ビザンチンドリームB.ムルザバエフ牡357.0 11.76栗東・CW・良(ムルザバエフ)
6F 80.4-66.1-51.8-37.2-12.1(一杯)
栗東・CW・稍重(国分優)
6F 86.4-70.8-55.6-40.1-11.6(馬なり)
818ウォーターリヒト幸英明牡357.0 40.915栗東・坂路・良(幸英)
800m 53.4-38.2-25.1-12.2(強め)
栗東・CW・稍重(幸英)
6F 85.1-69.1-54.2-38.6-11.9(G前気合付)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬2回2回2回19回8.0%16.0%24.0%
先行馬6回7回4回54回8.5%18.3%23.9%
差し馬11回7回12回126回7.1%11.5%19.2%
追い込み馬1回4回2回94回1.0%5.0%6.9%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠3回2回2回32回7.7%12.8%17.9%
2枠1回3回2回34回2.5%10.0%15.0%
3枠2回1回2回35回2.0%7.5%12.5%
4枠3回3回3回31回7.5%15.0%22.5%
5枠0回3回3回34回0.0%7.5%15.0%
6枠3回0回4回33回7.5%7.5%17.5%
7枠5回4回1回47回8.8%15.8%17.5%
8枠3回4回3回47回5.3%12.3%17.5%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト23回24回18回109回13.2%27.0%37.4%
ハーツクライ20回16回15回133回10.9%19.6%27.7%
エピファネイア16回15回14回95回11.4%22.1%32.1%
ルーラーシップ14回10回16回116回9.0%15.4%25.6%
ハービンジャー13回10回14回118回8.4%14.8%23.9%
モーリス11回8回6回54回13.9%24.1%31.6%
キングカメハメハ11回7回7回43回16.2%26.5%36.8%
キズナ11回5回7回76回11.1%16.2%23.2%
ドゥラメンテ8回13回14回74回7.3%19.3%32.1%
ロードカナロア7回8回5回57回9.1%19.5%26.0%

皐月賞2024予想 - 過去10年のデータ傾向

強い馬を決める前のオッズに、出来るだけ左右されないというスタンスを心掛けたい3歳最重要戦

この3着馬の中に、新しい順ではファントムシーフ、ドウデュースと並び、少し時間が空いてサトノダイヤモンド。

いかにも人気になりそうな、武豊&無敗だった2歳王者<実はこの手のコンビは朝日杯をずっと勝てなかった鞍上なので、極めてレアなケースだったわけだが…>とルメールの前走1800重賞勝ち馬。

言うなれば、当てずっぽうの類なので、コントレイルでも疑わしいところがあって2.7倍、サリオスは3.8倍でも3番人気だったくらいで、間にトライアルホース・サトノフラッグが入ってくるようなことが普通だから、そもそも、近年で断然支持の馬はサートゥルナーリアだけ。

これでも、無敗継続中にもかかわらず、ルメール初騎乗も関係した休み明けで1.7倍に止まった。

ダービーも乗り替わりで、こちらは飛んだわけだが、これも目分量であったという証左になってくる。

2戦のみのイクイノックスが朝日杯経験の僚馬であるジオグリフに人気面で優位にたったのに、まるでそれを活かせずに、ほぼ自滅の欽ちゃん走りでオルフェーヴル化して2着、ジオグリフに花を持たせるような結果に終わった時は、両者とも2番人気以下だった。

ドゥラメンテも重賞未勝利で3番人気。

奇しくも、1番人気のサトノクラウンは無敗継続で人気になったルメール騎乗馬。

ルメール騎手の騎乗はまず今年はあり得ないが、モレイラのコスモキュランダが異常に売れるようなことがあれば、きっと怪しい。

誰が1番人気かわからないが、誰が乗るかもわからないレガレイラ女史に外国人騎手もベテランの名手もまず乗らないから、これよりも元無敗2歳王者のジャンタルマンタルが人気になるのなら、ある程度合点がいくが、これを前走で突き放した無敗馬=ジャスティンミラノも人気にならないとおかしい。

無敗の1番人気馬はここ数年は勝っているが、その前は飛ぶ傾向。

ドウデュースや少し前のワグネリアンなど、トライアルで初負けの2歳重賞勝ち馬は連外しが基本だから、ジャンタルマンタル支持、レガレイラ支持の面々は、ジャスティンミラノさんやビザンチンドリームさんに対する高評価を促すような喧伝をしておきたいところだ。

上位人気馬の勝率はいつの時代も似たり寄ったりだから、過剰支持はないに越したことはない。

今くらいで、ちょうどホープフル出走馬を同数程度の参戦馬を出す朝日杯組は、意外なほど近年で巻き返している

ドウデュースの前にも、ステラヴェローチェやサリオスが出ている朝日杯組は、やはり、前走はマイルなので、距離に目途を立てると同時に、中距離戦の消耗度との兼ね合いもあって、ひと叩きが一般的。

ステラヴェローチェと同じように、ホープフル勝ちのダノンザキッドが、わざわざタイトルホルダーやシュネルマイスターらの格を担保するように負けたことで自分自身は保持し続けるべき活力や自信までも奪われたのに対し、エフフォーリアとシャフリヤールが王道路線に初登場することを容認したような感じで持ったステラヴェローチェは、本番で巻き返した。

その前にも好走馬は多いが、どういうわけだか3着が多く、近20年では、キャプテントゥーレ・川田将雅、ロゴタイプ・ミルコ デムーロ、ジオグリフ・福永祐一くらいしか勝っていない。

ただし、ホープフルS組は後述するが、当たりはずれがあまりにもはっきり出る傾向であるのに対し、概ね、年一ペースでそこそこ頑張る馬を送り込む。

明らかにジャスティンミラノより距離適性で見劣る印象ながら、消耗戦の経験を活かせる舞台に転じたことで、立場は一旦フラットになった共同通信杯2着のジャンタルマンタルは、人気がなければないほど、買い材料が増える。

好走馬や人気になっていた朝日杯の期待馬を押さえればいいだけだから、混戦の時ほど重宝するというのもある。

普段は自信を持って推せないレコード決着2着馬を、僚馬と共に押さえた理由は単純

ホープフルS好走馬、上位半分まで入った馬が何度も馬券になっていて、G1になってまだ日が浅いことを踏まえると、大いに主力を形成しているトレンドは、しっかりと前身のG2時代とラジオNIKKEI・たんぱ杯の時代から不変にも思えるが、このレースの格が上がったことによる反動なのか、まだ、もう一回やってみないとわからない的な、含みを持たせた結果に終わることが大いに減少、否、ほぼなくなった感はある。

何しろ、トライアル組を押し出して、ホープフルS勝ち馬は2勝、負けたらここでの勝ちはないと決め打たれた傾向からも、レガレイラとそれ以外の図式ははっきりと見えている。

しかしながら、牝馬の休み明けのケースをアーモンドアイやグランアレグリアでの成功例に加え、サートゥルナーリアとコントレイルの連続成功パターンと両天秤にかけ、レガレイラの可能性を探ること自体、類例に乏しい女王誕生のホープフルSでは、それこそ、ある程度ザックリとした評価をするしかない。

一方、負けていた組がここで好走するのは、タイトルホルダーやサンリヴァルなど正攻法のディープ記念通過パターンと、共同通信杯勝ちのファントムシーフ、スプリングSを1勝クラス敗退直後に勝ったガロアクリークなど、とりあえず、実のある経験を積んだグループだけ押さえればいい。

サンリヴァルはハイペース消耗戦のホープフルSで唯一前で粘った組だったが、トライアルはトライアルらしい流れで、本番がホープフルSと同じ消耗戦の道悪戦で堂々の2着。

サンリヴァルタイプがシンエンペラーで、裏路線組はガロアクリーク臭を漂わせるミスタージーティーだろうか。

世界の矢作にとっては、愛弟子・坂井瑠星騎手と共に、ケンタッキーダービー前哨戦に過ぎないわけだが、フロリダダービーから化け物が出現というか、勝つときはいつもぶっちぎりのBCジュヴェナイルウイナーであるフィアースネスがお目覚めになられただけなのだが、北中南米での戦いは、オセアニアともユーラシア大陸中心の北半球での主要戦ともまるで別物であることを乗り越えつつある陣営だからこそ、ある意味で、打算的な好結果を我々が求めるというのは悪手ではないはずだ。

王道主要路線であるトライアルも共同通信杯もきさらぎ賞各組も…、京成杯組に敗れる時代に突入の予感

概況を客観的な視点において、私情を挟まずに…、と言うとウソになるが、本来はここにイクイノックス<東京スポーツ杯圧勝から直行>、ホープフルや朝日杯勝ちから直行のエース級を加え、レガレイラとジャンタルマンタルの違いだとか、トライアルは結局のところは、どこか一番機能しているのかという話を展開すべきなのだが、実際問題、強い馬にローテーションは関係ないのではないのか…、という、天皇賞のあとに天皇賞を使って両方連対のシンボリルドルフ・1985年の話 に倣うなら、そうした見解が最も正鵠を射たものになるのではと、先に結論を言っておく。

これで何か消化しきれないものを強引に下におろすこととして、しかし、どこも勝ってしまうと連勝が難しく、トライアイルからの連勝は近10年でついに類例ナシ<2011年に特殊な環境となった阪神開催・スプリングS→東京開催・皐月賞/いずれも1週繰り下げての開催 という連勝の形から快進撃をスタートさせた三冠馬のオルフェーヴルにまで遡る>という状況ならば、今は、共同通信杯ときさらぎ賞がトライアルとも言える。

もっとローテが詰まる毎日杯からは、テイエムオペラオー的でありキングカメハメハとも似ていなくはない、ゴールドシップ産駒の大砲・メイショウタバルなるスケール感だけで勝てそうな逸材も参戦予定だが、もはや、年明けは1戦のみが主流で、その先ダービーならば、もう2歳のオープンを使った時点で、春の分の賞金が積み上げておく必要があって、皐月賞は叩き台…、というトレンドであるのだから、皐月賞前に詰めるローテを選択のタスティエーラは、今大変なことになっている。

ここをフラットに見た時、必然的にトライアル組は、着順が入れ替わるものだと推察すべきで、共同通信杯もきさらぎ賞も駆け過ぎては、少し負担になる。

シンザン記念はさすがに縁遠いが、京成杯は機能するようになってきたから、連対馬はいずれも、鞍上が鞍上だけに怖い。

サンライズ2頭の扱いと、ここらをフラットに見るというスタンスをもって対応すれば、悲惨な散り様を晒すような皐月賞にはならないはずなのだが、希望的な見解が過ぎるだろうか。

皐月賞2024予想 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

応援したい馬がいないのであれば、チャンピオン2頭のいずれかを推すべきと考えた理由

ジャンタルマンタルの血統

なぞなぞレベルの話となるが、意外と肝心。

朝日杯フューチュリティS好走、ないし、上位人気だった馬の皐月賞3着以内の実績は、意外にも、年を追うごとに増えている。

昨年は該当するような馬がほぼ皆無であったから、まるで出番なしだったのだが、ドウデュースがどうしてドバイターフに出て来たかと言われれば、当然その理由は、朝日杯ウイナーだからに他ならない。

ダービーもレースレコードでの勝利。

これが有馬記念勝ちのハーツクライの産駒。

皐月賞はまるで話にならなかったが、ダービーでキングカメハメハがブルドーザーばりの不沈艦ぶりを、また、そのスケール感そのものの違いを披歴するかのように走ったのとは対照的な追い込みで、2着に飛び込んできたレコード決着時の好走馬でもある。

こういうことが、実はずっと続いていて、その前年は凱旋門賞を歴代2位の勝ちタイムで制したバゴの仔が3着。

地味に復活を見せるステラヴェローチェである。

サリオスは自身が朝日杯完勝のパターンで、ほぼ、後年登場の同じ父を持つドウデュースと同じ理由でよし。

ルーラーシップが怪しい馬だった影響で、穴馬だったダンビュライトの説明に窮するが、後に2200MのG1を2勝のマリアライトやダートの元王者であるクリソベリルが出ているアロンダイトのファミリーだから、ルーラーシップはキセキの父でもあり…、とかなんとか、理由はつけられる。

ウインフルブルームはスペシャルウィークの仔。父は6度走った2400以上のG1で3着を外していない。

ベルモントS勝ちのパレスマリス産駒で、母インディアマントゥアナが西海岸に転じて、唯一制した重賞が芝11Fのレースだったという点、加えて、パレスマリスの弟は、ステイヤーズS勝ちのアイアンバローズと天皇賞春秋連対で菊花賞も3着だったジャスティンパレスと、社台グループの輸入繁殖、種牡馬導入に関する基準をしっかりと満たしたスピードのある血の中距離を超える長距離での実績というものは、ジャンタルマンタルが未完成であるために、とても大きな展望を可能となってきている。

大きなところに縁があると単純には言えないが、主流に等しいミスプロ系でも、まだ全容が見えてこないこの血統でも、クラシックで通用する血を持つ有力馬であると、ここまでは言える存在なのである。

皐月賞2024予想 - レース展開と最終予想

前走初黒星を喫した2歳王者<牝馬チャンプ、ダートチャンプと3頭が無敗のG1級覇者になった世代、ダート王者は無敗継続でチャーチルダウンズのゲートに入ることが濃厚>ではあるが、このジャンタルマンタル、妙な理由で負けた可能性が濃厚である。

新馬戦の半マイル通過を再度確認した際、筆者は確信を持った。

京都の1800戦を鮫島克駿騎手と共に、スマートな内からの抜け出しで快勝したのだが、これがこの距離の2歳新馬としては異例にも近い、800M通過・47.7秒だった。

外回りができた阪神であるなら、2歳G1のマイル両レースでも、こういうスローの展開が時々発生してきたが、京都外回りの新馬としては極めて高水準。

2着ながら完敗だったキープカルムは、以降、今度は鮫島駿騎手を背にして、強敵相手に戦い、若葉Sも惜しい3着。

折り返し新馬勝ちと同等の中3週後の京都未勝利を快勝してから、勝ち味に遅いこの馬も、福島で2勝目を挙げた。

いずれ、オープンに上がってくるはずだ。

この再戦も楽しみなのではあるが、そう簡単に早期対戦も望めない。

ただ、このキープカルムのおかげで、何か、難解なパズルを解くというテーマがざっくりとしてでも、あくまでも何となくではあっても、それなりの答えを導き出すことが可能になってくる。

キープカルムはシンエンペラーの勝った京都2歳Sで僅差の5着。

ここには、前走ボロをまき散らし京成杯を獲ったダノンデサイル<この異能のコンビも少し怖い>も混じっていた。

3着のサトノシュラーセは小倉で2勝目を挙げたが、キープカルムの3番目の壁となったメイショウタバルに毎日杯で敗れている。

京都のつばき賞で、遊ばれながら負かされたようなところがあるキープカルムは、ずっと関西の裏路線で健闘を見せながら、苦杯をなめてきた。

ここに関連する馬をキープカルムは破っていない反面、いずれも接戦でゴールした記録を残している一方、ジャンタルマンタルには完敗だった…。

十分に2歳王者になった根拠を後述することは可能であるだけでなく、前走で距離に目途を立てた2歳王者は、スローへの対応力に課題を残したものの…。

いや、ここがおかしなところ。

新馬で60秒そこそこの中距離戦を好位抜け出しの馬ならば、同じコースのマイル重賞は好位抜け出しでまた勝てる。

デイリー杯は47.4秒。

渋馬場であるから、少し速いくらいだが、わずかに後傾ラップにしたことが非凡なところ。

軽めのハイペースくらいだった朝日杯は、わちゃわちゃしたモーリス兄弟が余計なことをした影響もあるが、46.1秒の半マイル通過を、確勝級の7番手イン追走で、案の定、ライバル自滅による楽勝で、秀逸な34.8秒で締めた能力は、この中では別格に等しかった。

これでもまだ全体的に馬体が緩いのだという陣営は、先を見据えた展望で共同通信杯を使いに来たのだが、結果は失敗というより意味がなかったように思う。

1000M通過でパワーホールは62.7秒はいかに2000M以上の競馬を展望する準トライアル級競走とはいえ、いささか低調な展開を作ったので、ユタカマジックで詰まりそうな予感を逆手に使って、強烈な一気で2着に持ってきたエコロヴァルツ共々、自壊寸前の仕草で行きたがってしまった朝日杯組。

とりわけ、そうした展開を知らないまま来た、ある意味順調すぎたジャンタルマンタル君は、突然子供に戻ってしまうような結果に終わったが、終いはまとめて32.6秒だから、何一つ、鈍っていなかった。

勝ったジャスティンミラノは、同じ上がりを前で使ったと評価されるが、距離への展望を見据えるマイルの王者が、ほぼ同じラップの東京新馬を勝ってきた彼と同じように立ち回れないのは仕方ないし、むしろ、今度はジャスティンミラノの底力が問われることになる。

荒れ馬場も乱戦も歓迎の2歳王者は、最後のワンピースを埋め合わせ、ある意味では、万全の1敗という状況で、人気を少し他に食われるところで戦えるという理もあるが、桜花賞をまた川田騎手が勝つようだと…、3連覇の翌週に皐月賞で2歳王者に乗るのだから、なくはない1番人気は、諸事情を踏まえると致し方ないが、見た目に派手だったジャスティンミラノを推す評がそれは共同通信杯だったからこそ、初となる2歳王者と同斤で走った結果であの着差だったから…。

希望的観測は尽きないが、無用に皐月賞前に半マイル50秒の競馬に投入されたことは、無価値であるだけで、評価下げには繋がらない。

高速競馬が特異なタイプのミスプロ系ではないから、ここ数年の中では速い方の馬場質であろうが、今後も雨の日が続きそうな中山で、無敗でG1を勝った馬と1敗でG1をレースレコードで勝った牝馬とが激突する。

レガレイラの鞍上変更が大いにセンシティヴな要件であることは間違いないが、困った時の北村宏司というワイルドカードを残しつつ、この馬も、上がり勝負の東京で前を捕まえきれず負けた後のホープフル獲りなので、かえって、この点で共通項のあるジャンタルマンタルは有利。

ラップの質の分析では、中距離向きの本質を証明しきれないが、ごついマイラーではないことは示した前走を経て、色々課題の多いライバルを尻目に、レガレイラなるファンタジックなシンデレラストーリーを紡ぐ未来系少女を叩いて、ここは一旦の平定をしておきたい。

距離延長で圧倒的有利ではない両者は、地道にタフさを身に着ける矢作流を受け入れて、大きく育とうとする名門コンビが、一旦退散のダノンエアズロックと2歳中距離チャンプの間でこっそり意味もなく<賞金加算できず>2着のホウオウプロサンゲとトリオを組んで、穴をこじ開けようと画策する一戦で、受けて立つ数少ない2頭になる構図だが、一見パーフェクトな伏兵のメイショウタバルも、一頓挫あったあとの勝利だから、手戻りのダービージョッキーとはいえ、簡単ではない。

関西馬がようやく盛り上げ始めたトライアルシーズン後半から、締めで1800圧勝が連勝馬だったことでも、予断を許さない牡馬戦線である以上、完璧な候補などいない。

不可思議な経験がジャンタルマンタルを勝利に導く可能性について説いたが、どういう構想であっても、それが叶いそうなクラシックという点で、昨年のそれと全く同じとなりそうな予感もする。

前走負けていても構わないのは、その前に強い勝ち方をしていた馬だけ。

レガレイラと基本的は同血扱い可能なアーバンシックは、京成杯前は連勝。

ここ5年で4勝の無敗馬だが、そうでないなら、共同通信杯組が台頭する状況。

ダービー狙いの一環で、そちらでも買いたい馬から入る手もあるが、タスティエーラの実力を再確認できた皐月賞でもあったことを踏まえると、今年は早合点となる可能性がある。

時計レベルが例年以上だった京成杯組が、どこの組にも存在した子供っぽい人気馬と同じグループから、結果で本番に出ていける状況を整えたことからも、サンライズアースの魅力的な捲りに可能性を求めるのも面白いし、あえて、正攻法のコスモキュランダでもいいのだが、意外と、単純な感じで、G1級が少ない世代と仮定した時、絞り込みが難しい世代ではないような気もしている。

2歳王者と矢作厩舎。十分に想定内の組み合わせだ。

川田将雅、16年ぶりの皐月賞制覇、その時と似たような混戦における、この名手にとっての2勝目に期待する。