天皇賞(春)2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

天皇賞(春)2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切りの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第169回天皇賞春 (G1)
グレード重賞(G1)
日程2024年4月28日(日)
発走時間15時40分
開催場所京都競馬場
距離芝3,200m
コース右回り
賞金2億2000万円
レコードタイム3:12.5

天皇賞(春)予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

天皇賞(春)2024の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11サリエラ
武豊牝556.010.34栗東・CW・良(助手)
6F 82.3-66.2-51.0-36.7-11.6(末一杯)
栗東・CW・稍重(助手)
6F 84.4-67.8-52.6-37.1-11.7(末強め)
23プリュムドール和田竜二牝656.036.015栗東・CW・良(和田竜)
6F 81.8-66.4-51.9-36.4-11.2(一杯)
栗東・CW・稍重(和田竜)
6F 84.7-68.2-52.9-37.2-11.1(馬なり)
24ワープスピード三浦皇成 牡558.016.56美浦・ウッド・良(菅原明)
6F 82.4-66.2-51.5-37.2-11.4(強め)
美浦・ウッド・稍重(三浦皇)
6F 83.0-67.1-52.0-37.1-11.3(強め)
35ブローザホーン菅原明良牡558.010.95栗東・芝・稍重(助手)
5F 68.0-52.8-38.6-12.6(馬なり)
栗東・坂路・稍重(菅原明)
800m 55.0-40.4-26.5-13.3(末強め)
36ディープボンド幸英明 牡758.023.48栗東・CW・良(幸英)
6F 80.1-65.1-50.9-36.6-11.4(一杯)
栗東・坂路・稍重(幸英)
6F 81.5-66.3-52.1-37.5-12.0(G前一杯追)
47タスティエーラJ.モレイラ牡458.07.53美浦・ウッド・良(助手)
6F 82.8-66.2-50.6-35.8-11.0(馬なり)
美浦・坂路・稍重(助手)
800m 55.5-40.4-25.4-12.4(馬なり)
48ゴールドプリンセス松山弘平 牝456.034.114栗東・CW・良(助手)
6F 82.0-66.6-52.2-37.6-11.6(馬なり)
栗東・CW・稍重(助手)
6F 84.3-67.5-53.0-38.2-11.9(馬なり)
59シルヴァーソニックM.デムーロ牡8 58.027.410栗東・CW・良(水口優)
6F 80.1-64.8-50.8-36.1-11.4(一杯)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 53.1-38.7-25.1-12.6(馬なり)
510サヴォーナ池添謙一牡458.018.67栗東・CW・良(池添謙)
6F 83.8-68.7-52.8-37.1-11.3(一杯)
栗東・CW・稍重(池添謙)
6F 82.6-67.1-52.4-37.5-11.7(強め)
611マテンロウレオ横山典弘牡558.030.812栗東・CW・良(助手)
7F 94.2-65.5-51.5-37.0-11.9(叩き一杯)
栗東・CW・稍重(助手)
6F 83.7-68.5-53.8-38.7-11.8(馬なり)
612ドゥレッツァ戸崎圭太 牡458.03.61栗東・CW・良(戸崎圭)
7F 98.6-66.4-51.5-36.5-11.2(強め)
栗東・CW・稍重(助手)
6F 81.9-66.5-52.0-37.3-11.7(強め)
713スカーフェイス松若風馬牡858.074.316栗東・坂路・良(助手)
800m 52.9-38.5-25.0-12.3(強め)
栗東・CW・稍重(助手)
6F 84.1-68.5-53.7-38.3-11.8(一杯)
714テーオーロイヤル菱田裕二牡658.05.12栗東・CW・良(菱田裕)
7F 96.8-65.1-50.4-36.4-11.5(一杯)
栗東・CW・稍重(菱田裕)
6F 86.4-70.8-55.2-39.1-11.9(馬なり)
715メイショウブレゲ酒井学 牡558.095.917栗東・CW・良(助手)
6F 82.4-66.2-50.7-36.0-11.8(一杯)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 53.9-39.1-25.0-12.7(馬なり)
816チャックネイト鮫島克駿セ658.025.89美浦・ウッド・良(助手)
5F 66.8-50.7-35.9-10.9(強め)
美浦・ウッド・稍重(助手)
5F 69.0-52.9-38.0-12.0(馬なり)
817スマートファントム岩田望来 牡458.031.913栗東・CW・良(調教師)
6F 84.8-68.1-53.6-38.0-11.3(一杯)
栗東・CW・稍重(助手)
6F 84.3-69.1-54.6-39.7-12.0(馬なり)
818ハピ浜中俊牡558.028.811栗東・坂路・良(助手)
800m 53.0-38.4-25.0-12.3(末強め)
栗東・坂路・稍重(助手)
800m 55.1-39.7-25.6-12.6(末強め)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬4回0回1回20回16.0%16.0%20.0%
先行馬9回16回9回45回11.4%31.6%43.0%
差し馬7回4回10回121回4.9%7.7%14.8%
追い込み馬0回0回0回93回0.0%0.0%0.0%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠7回1回2回27回18.9%21.6%27.0%
2枠1回2回3回31回2.7%8.1%16.2%
3枠3回1回1回34回7.7%10.3%12.8%
4枠2回2回5回31回5.0%10.0%22.5%
5枠1回2回0回37回2.5%7.5%7.5%
6枠2回4回4回30回5.0%15.0%25.0%
7枠1回2回2回45回2.0%6.0%10.0%
8枠3回6回3回44回5.4%16.1%21.4%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト3回1回0回7回27.3%36.4%36.4%
ステイゴールド0回1回1回2回0.0%25.0%50.0%
キズナ0回1回0回0回0.0%100.0%100.0%
オルフェーヴル0回0回1回4回0.0%20.0%20.0%
トーセンホマレボシ0回0回1回0回0.0%100.0%100.0%
ハーツクライ0回0回0回3回0.0%0.0%0.0%
キングカメハメハ0回0回0回2回0.0%0.0%0.0%
ルーラーシップ0回0回0回2回0.0%0.0%0.0%
ローエングリン0回0回0回1回0.0%0.0%0.0%
ノヴェリスト0回0回0回1回0.0%0.0%0.0%

天皇賞(春)2024 - 過去10年のデータ傾向

1番人気の信頼度が戻っているようで、実は怪しい

今年は明らかに混戦模様で、実戦で乗って、勝ったこともあるとはいえ、勝手が違う春の天皇賞で戸崎騎手へ乗り代わりとなるドゥレッツァは、どのポジションで扱うべきか実に悩ましく、結局、オッズは割れるような気がする。

勝ったプログノーシスと、本当はどっちの調子が今一つだったのか、前走の金鯱賞の結果に対する評価も、大きく分かれそうである。

穴党にはうれしくないデータとして、そんな1番人気が6年連続連対中だったものが、昨年はタイトルホルダーの完走自重の競走中止<無論、大事故になっていて不思議ない状態だったように思うが>により、それが途切れたわけだが、再び混戦となるから、そもそも、押し出された上位人気馬は怖いという理屈は通る一方、3倍台の少し怪しい1番人気もよく来ていた。

実は、キタサンブラックが連覇を決めた前の年もキタサンブラックは勝っていたのだが、これが武豊騎手で勝ったディープインパクト以来、10度続けて1番人気連対なしの記録が作られた年でもあるのだ。

この前の15年ほど、今から20数年ほど前からしばらくの間、1番人気受難の時代があったが、その時の組み合わせとよく似ている。

あの時代は菊花賞好走馬がよく消えていたが、果たして。

阪神大賞典勝ち馬は、フルスイングではなく、コンタクトヒッティングでいきたい

チームにとって大切なのは、ここ一番での得点であるのだから、チャンスで無茶振りを繰り返すのは無能に等しい。

時に、自分がアウトになったところで、それが決勝点に繋がるのなら…。

多くのMLBファンというか、オオタニさんを鑑賞する習慣がついている同胞たちには、これくらいの常勝野球の原理原則に近い理論は、ある程度理解できるはずだ

いかにも長距離適性がある馬が勝って、ここに挑んでくるという構図。

ひいては、故障による事故死で破格の故障明け3連勝での盾奪取ならなかったシャケトラのみ例外として、近10年では勝ち馬が9度ここに挑んできている。

当然、好走確率はステイヤーとされるグループが血統のトレンドに呼応するように、北米快速系をベースとした系統の台頭により、ここ20年は、キャラ的に長距離型というだけの馬がいるというだけで、無尽蔵にスタミナがあるというだけでは、高速の上がり、高水準の時計になる天皇賞では台頭は叶わず、また秋以降の路線復帰を目指すというルーティンを繰り返すのみという状況。

すなわち、その手の馬ばかりが好走するほど、専門家有利のレースではないのだ。

ジャスティンパレスはそのライン上の、少し中距離型の方に脚を乗せた性質であり、明らかに他とはスタミナの容量が違うタイトルホルダーが元気だったとき、実は、最も怪しい存在であった可能性もある。

しかし、ディープボンドも阪神大賞典快勝後のここもよく走っていて…。

トレンドが阪神大賞典であるから、当然、激烈なスタミナ勝負の2022年3着馬であるテーオーロイヤルの人気も集まるが、菱田騎手がどうこうではなく、連続の3000M戦、それも重賞ばかり連戦なので、現状キープで精一杯だろう。

好走確率からも、消す理由は見つけられないが、ゴールドシップもユーキャンスマイルも馬券だったことがあるので…。

4歳、ジョーカーを探せ! 大作戦

タスティエーラとドゥレッツァが人気になりそうだが、この若手のG1連対馬というやつがかなりの曲者。

ジャスティンパレス、タイトルホルダー、フィエールマン、キタサンブラックら、高水準のメンバーが集った菊花賞の上位入線馬が勝ち切ったのに対し、サトノダイヤモンドは58を背負った瞬間、キタサンブラックにねじ伏せられて、以降は輝きをまるで失ってしまった。

ルメール騎手でそうなったのだから、彼自身の限界を悟ったレースでもあったというわけだ。

全くミスはなかったように思う。キタサンブラックと武豊が、ある意味では異常なまでに強かった。

ただ、これらはましな方で、この倍は負けている。

2014年にはキズナが負けているし、2016年の頂上決戦では、勢い勝ると思われた4歳世代のディーマジェスティと翌年優勝のレインボーラインまでまとめて王者に面倒見られてしまった。

昨年象徴的だったのがボルドグフーシュで、ジャスティンパレスに年明けから一気に突き放されてしまった印象。

アリストテレス、ウインマリリンがディープボンドに人気面でもねじ伏せられる結果に終わったように、古馬のエース級とG1などで激闘を演じていることで、既定路線での勝利は見込まれても、それ以外だと…。

わざわざタイトルのある馬を買うよりは、上がり目がまだある、秋から路線に乗ってきたサヴォーナを同列以上に扱うのは筋悪とはならない気もする。

阪神大賞典負け組の救済策を探る

勝ててはいないが、池添謙一のという意味で、キタサンブラックがG1では初めて逃げ切り勝ちを決めた一戦で、よもやの差し返しを食らったカレンミロティックが印象深い存在。

阪神大賞典ではいつも何か不完全燃焼で終わっていたこの騸馬が、京都に来ると、動きが見違えるようによくなるという傾向は、謎めいたものはあったが、いかにも去勢された馬らしいキャラが全開の名シーンでもあった。

2度の好走いずれも、前走の阪神で4着以下だった。

他には、昨年のディープボンドがいるくらいなのだが、これも少し前に阪神大賞典で人気になりすぎて敗れた後、連続好走したクリンチャーとは違って、他に断然支持の馬がいた。

結果、その順は変わらずに、ジャスティンパレスが連勝となったわけだが、何だか強い馬がいたというところは妙味のある馬券を生み出すヒントになりそうな気もする。

カレンミロティックの時は、3連覇のゴールドシップとシュヴァルグランという厚い壁があったので、メリハリをつけて勝負するタイプの騸馬は、狙いがプレップ確勝の作りでない限り難しかった。

ディープボンドも古馬になってから3連覇の記録もあったから、有馬記念も凱旋門賞帰りで不発だったことで、叩き台にしたいけれども、それでも勝ちたいというところで、チグハグになってしまった部分もあり、相手も強かった。

今年はテーオーロイヤルが大楽勝であり、何か、ダイヤモンドSとその前のステイヤーズSの総括のようなレース結果で、長距離路線組が上位独占。

新規参入に近い、見た目よりはスタミナ一辺倒ではないブローザホーンと菊花賞ボチボチ好走のサヴォーナなど、スタミナモンスターに完敗の組は、よほどの道悪にならない限り、いや、再び道悪なら、またスタミナ勝負で今度は好走していたグループがますますきつくなって、という見立てもできなくはない。

日経新春杯のレース水準も決して低くなかったので、前哨戦が荒れ馬場であり、また頼みの綱である日経賞組は、ノリスペシャル頼りのマテンロウレオしか勝負にならないだろうから、俄然、阪神大賞典完敗組の巻き返しムードが濃厚となってきた。

天皇賞(春)2024予想 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

特殊な馬場の阪神大賞典好走馬が長距離実績をそのまま反映する結果で、他の組も不安があるとなれば…

サヴォーナの血統

本格的に、ディープロス<種牡馬として仕事をすることが難しい状況になってから、力尽きてしまった2019年の後に、この世に誕生した世代>が始まった現4歳世代は、低調だと揶揄されているのだが、道悪馬場ではレコードの皐月賞の結果から、有力馬の消耗があまりにも激しかった世代でもあった。

また、スキルヴィングの悲劇も、ここに来て、尾を引いている印象もある。

翻って、先日の皐月賞は正真正銘のレコードであり、コースレコードでもある1:57.1が計時された、圧巻のレースであった。

勝ったのはサヴォーナと同じキズナを父に持つジャスティンミラノ。

祖父ディープインパクトより1戦少ない、キャリア3戦目での無敗制覇は、前年の血縁があるとできるキタサンブラック産駒のソールオリエンスと全く同じ結果となった。

他方、桜花賞3着のオークス候補であるライトバックも、キズナの娘である。

これが妙な具合にハマっている印象もある、エクシードアンドエクセル<Exceed And Excel>を母父に持つ、今年の皐月賞馬と同じ血統構成の持ち主。

これがオーストラリア産のデインヒル産駒。

思えば、サヴォーナはスニッツェル肌のキズナ産駒。

スニッツェルの場合、当地の名種牡馬であるリダウツチョイスを経ているが、いずれにせよ、スピード型。

エクシードアンドエクセルもスプリンターであり、ジャスティンミラノの母マーゴットディドも直線競馬のナンソープSが唯一のG1タイトルという馬だったのだが、母系が重厚な欧州系であるせいで、ハイバランスの中距離型を生んだという経緯がある。

考えてみると、サヴォーナは母系がもう少し北米系異流中心の本質ではスピード優先の構成であり、主流のインパクトに乏しい傾向だから、ストームバードにクロスが掛かっても、何となくナリタブライアンの鈍重な産駒といった雰囲気が出ている。

しかし、こういう血統背景は、重馬場に近かった前走の敗因に直結しており…。

高速の京都は向いているはずだ。

天皇賞2024予想 - レース展開と最終予想

サヴォーナは前走、6着という残念な結果に終わったのだが、道悪の阪神大賞典という、皆が身構えてしまうような怪しげな馬場状態も影響しているような結果で、道悪の天皇賞でも堂々3着だったテーオーロイヤルが、無様に失態を演じることはあり得なかった一方で、その他にチャンスがあったような雰囲気もなかった。

現に、小さな差ではないかもしれないが、川田騎手が巧みに立ち回った2着のワープスピードに対しては、0.5秒の差しか負けていない。

一旦は完全に消えたかと思われたが、本命にしていたので、ずっと他の馬を見ていなかった筆者は、前の方に目をやると、何やらとっくの昔に勝ち馬が決まったような展開になっていたから、やけに踏んばるワープスピードにだけ、最後は目が行っていたので、その粘りにほとんど気づかなかった。

しかし、着順は掲示板外しとはいえ、6着なのである。

この距離の有力馬ではかなり珍しい500kg超えの両者は、結果や内容こそ違えど、相応の適性があると感じるいいステップを経たとできる。

ちなみに、勝ったテーオーロイヤルはこの日が458kg。

その2年前に、ダイヤモンドS快勝後に挑んだ春の天皇賞でタイトルホルダーに蹂躙された中で、ディープボンドにだけ交わされたのみの3着時はそれより2kg多かっただけ。

ちょうどコントレイルがこれくらいの馬体重で、3歳時は戦っていた。

無駄が多い割にはよく頑張ったではないか…。

若い馬の褒め方として、この表現が不適切な部類に入ることは承知の上で、これも勝ち馬ばかりに目が行ってしまう菊花賞を振り返った時、確信めいたものを感じた。

百戦錬磨の池添騎手だから、青葉賞でのタイトなレースの経験はあっても、より厳しい展開が予測された菊花賞で、手が少し悪かったということもあり、誰とも接触はないのに、少し後ろに下げる格好で、捲りのタイミングを見極めるような、揉まれないレースを選択していた。

神戸新聞杯はそうではなかったので、少し意外ではあったが、結果的には力は出し切れたような感じもあった。

どうも膝が抜けたということらしい横山典弘騎手が乗ったトップナイフが、恐らくは、我々が知る由もない神業を繰り出して、その場を乗り切れるような状態に戻して、途中から走れるようになったところで、少し掛かってしまった。

この馬は当然後ろからついていくしかなかったから、走れるのであれば、しっかりと戦おうということで、ゴールドシップの様に途中から動いていった。

不本意というほどではないにせよ、池添騎手もそうした目標を利用しようという意図は、近年の長距離戦の傾向からも、展開一つと言っても、どこかにあったはずだ。

千載一遇のチャンスをものにするべく、そこで動いていったのだが、ルメールが抑え込んだ場所、即ち、13秒前後のラップが続いた後、回りが動き出したところで、先頭が一度入れ替わり、ドゥレッツァは終わったのでは? と少しみんなが思った瞬間で、止めたところからレースが再び動き出すという不運があった。

勢いそのままに前に行くしかないから、結果的に、2周目3、4コーナーのドゥレッツァとサヴォーナの順位は、全く同じ3→2の位置取り。

しかし、内と外、長距離戦の定番である、動いたら少し溜めるという型に見事にハメこんだルメール騎手の完全勝利を意味する数的根拠ともなったこの要素は、簡単にはバテないことを示すように、5着という結果でまとめ上げたサヴォーナを再評価することもできる要素にもなっている。

現に、池添騎手は様々な方策を試している。

神戸新聞杯はオーソドックスとできる好位抜け出しの策だったが、結果的に速くなりすぎた日経新春杯は、8枠13番の割にはアグレッシヴな好位付けで、位置取りは阪神の時と似ているが、神戸新聞杯の武豊騎手が刻んだファントムシーフの61.2秒だったのに対し、京都でわちゃわちゃみんなが行ってしまった時の4番手追走時は、何と58.3秒である。

むしろ、神戸新聞杯の時より前にいるから、受けきるのだけでも大変だったが、再度内から伸び直して、ブローザホーンが当然差しやすい展開とはいえ、十分な好走と断言できる2着。

このハイペース受けの影響で、レースレコードタイ記録で勝ち馬は走り、それに10分の1秒遅れただけのサヴォーナは、非凡な長距離適性を改めて示したように感じた。

ちなみに、そのレコードを作ったのは、2012年のトゥザグローリー。

福永元騎手と共に、年明け初戦に使われたこのレースを、かつてのステイゴールドと同じ58.5という今の斤量設定でも厳しいハンディキャップを背負いながら、難なく、翌年の宝塚記念2着に入るダノンバラード、この年の天皇賞で凄まじい勝ち方をするビートブラックを封じ込めた。

今年も大いに高水準の内容。

はっきりと4歳の層が薄いことが示された結果でもあったが、古馬に見劣ることのなかったサヴォーナを、道悪の阪神で負けたくらいで、馬鹿にできないと思い直した。

人気は一気に落ちるはず。

そう。あのトゥザグローリーの時と同じタイムが出たレースで好走し、その時負けていたビートブラックに、池添騎手のオルフェーヴルは大逆転負けを喫するのである。

期するところのあるレースという意味では、石橋脩に勝てなかったというより、オルフェーヴルを普通に走らせることができなかったこの年のレースも無念であるが、勝ったはずのレースという意味では、ビートブラック級の大穴快走で、本格化直前のキタサンブラックを完全に制したはずの2016年が、最も屈辱に近いレースであろう。

組み立ても馬の気配も上々で、マークすべき対象がゴールドアクターではなく、前のキタサンブラックと確信したところで、これを倒せばと思った万全の仕掛けであったはずなのに、差し返されてしまった…。

武豊云々ではなくして、キタサンブラックの底知れぬ能力を実感した瞬間でもあったが、その直前2年は、武豊騎手がキズナとのコンビで、非常に口惜しい連敗を喫していた。

鞍上の人気もあり、いずれも1番人気。

菊花賞馬に乗って、それでも2番人気だった。燃える条件が揃っている。

池添騎手とすれば、相手が悪すぎたとしか言いようがない。

何の因果か、キズナの超大型の長距離砲で、最近はダートでもドンフランキーというどうにもならないだろうとほど大きな600kg級のメガトンボディをフルに活用する難しい馬を、いとも乗りやすいかの様に操る、若かりし頃のケンちゃんらしさ=デュランダルやスイープトウショウでの追い込みのイメージが未だにある とは、まるで違う風景を見せるようになったのは、あのダービー獲りをもう一度本気で目指した大型馬・ブラストワンピース<3歳時の有馬記念制覇でグランプリでの強さを見せつける>からだろう。

だが、彼との思い出はいいものばかりではなく、種牡馬にしてあげられなかったという複雑な気持ちもあったと聞く。

この名手が持てる技術の全てを、メンタルが実は繊細な大型馬でこそ、その持ち味が最大限に引き出されることを、どこかの関係者が理解したのか、意外な感じで、想定内の主戦騎手へと落ち着いたメイケイエールとの名コンビは、今やもう珍しい組み合わせなのかもしれないとも思えてきた。

相手は五指に余るというよりかは、絞り込むのが困難なだけという意味で、1番人気受難の時代の春の天皇賞のトレンドに戻りかけている今年は、無理な攻めは手控えつつ、上手に穴馬を絞り込んで、そこからしっかりと押さえるべき対象を的確に見極め、3連複から勝負することが合理的と考えて、阪神大賞典組を中心に流してみた。

メイショウブレゲは京都の方が、走りのリズムがいいように思えたから、誰も注目しないだろうし、康太の想いを背に走る第二弾的存在であるスマートファントムより、少し上に評価しておいた。

ステラヴェローチェを甦らせた酒井学騎手は、池添騎手と同じ歳、同期のライバルである。

念のため、テーオーロイヤルを挟んだが、一騎打ちもあると考える。