天皇賞(春)2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着テーオーロイヤル(2.8倍)2着ブローザホーン(8.8倍)3着ディープボンド(27.5倍)
レース名 | 第169回天皇賞春 (G1) |
日程 | 2024年4月28日 |
優勝馬 | テーオーロイヤル |
優勝騎手 | 菱田裕二 |
勝ちタイム | 3:14.2 |
馬場 | 良馬場 |
3連単配当 | 23,960円 |
天皇賞(春)2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 14 | テーオーロイヤル | 3:14.2 | - |
2 | 5 | ブローザホーン | 3:14.5 | 2 |
3 | 6 | ディープボンド | 3:14.6 | 1/2 |
4 | 17 | スマートファントム | 3:14.7 | 1/2 |
5 | 4 | ワープスピード | 3:14.9 | 1.1/4 |
単勝 | 14 | 280円 |
複勝 | 14 | 140円 |
複勝 | 5 | 250円 |
複勝 | 6 | 490円 |
枠連 | 3-7 | 1,030円 |
ワイド | 5-6 | 2,470円 |
ワイド | 5-14 | 400円 |
ワイド | 6-14 | 1,290円 |
馬連 | 5-14 | 1,070円 |
馬単 | 14-5 | 1,450円 |
3連複 | 5-6-14 | 7,750円 |
3連単 | 14-5-6 | 23,960円 |
天皇賞(春)2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「本当に、今まで生きてきた中で一番嬉しいです。最後は意外と冷静で、4コーナー回ってくる時は、20年前に天皇賞を見に来ていた自分に『見ておいてくれ』という気持ちで追っていました。皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。長いブランクがあって、競走馬としてしんどかったとは思いますが、そこを経て成長してきてくれました。自分の常識ではわからないというか、すごい馬だと思います」
※優勝した菱田裕二騎手のコメント(テーオーロイヤル)
天皇賞(春)2024 - レース結果動画(YouTube)
天皇賞(春)2024 - 回顧
テーオーロイヤルの血統
お馴染み、シーザリオ兄弟の2歳王者となったリオンディーズの産駒であるが、最初からはみ出しているような長距離適性を、熟成の期間を天から授かったかのような故障休養の時期を経て、母マンハッタンカフェ×クリスエス<シンボリクリスエスの父であるから、エピファネイアの要素も少し持ち合わせている>という配合が秘める、絶対的に時計勝負となる天皇賞適性が爆発した印象もある。
額面は、ヘイルトゥリーズンの継続したクロスに、フォーティナイナーとキングマンボに掛かるミスプロのインブリードだから、何となく、アルゼンチン共和国杯を正面突破で圧勝していそうな配合だったが、不思議な才能を目を覆わんばかりの気性難で台無しにしてきた怪しい父の、シーザリオ兄弟が抱える不安を、時間が自然解決するかのように、4歳春に破竹の勢いでこのレースに挑んできた中で、内容完敗も結果が出せたという3着の底力は、総じて晩成でこそ本領発揮の血統構成のいい面ばかりを繋ぎ合わせるために、スピードのクロスは、全て陰の部分でそうした才能を下支えすることに特化したような、珍しい傾向を示す。
尤も、高速の長距離G1という特異な舞台設定になる京都の天皇賞だからこそ、こうしたスピードかかりの配合が対応できるのであって、京都開催の天皇賞で初めて、王道のキングマンボ直系が制したことは、歓迎すべき前例というよりも、代を重ねた主流ならではの、ダンチヒ直系・マイネルキッツ<サリエラを送り込んだ国枝栄厩舎>が好時計勝負を制したような展開に似ていて、万能のキングカメハメハのラインには、こうした部門が出現してきそうな雰囲気がある。
同系のタイトルホルダーの繁殖活動にも、少なからず好影響を与えるはずだ。
もし逃げるとしたら…。
筆者の中に、ドゥレッツァのそれと、ある意味予想されたようなマテンロウレオ<横山典弘だからこそ実現する逃げ>のツーパターンがあり、それをサヴォーナが追いかければ、きっと、予想の軸を支えた阪神大賞典組全推しのパターンと、ドゥレッツァの自滅・ガス欠負けの展開があるような気がして、かなり期待感もあった。
伏兵の穴も十分に予測される展開の中、どういうわけだか、いい意味で、みんなと仲間外れの王様が混じっていたのではないのか…。
あの好位での押し上げ方。
90年代以降、特に、時計勝負が当たり前の様に恒常化した時代の王者が制したそれを、これが初G1制覇とは思えない菱田裕二騎手と、口惜しい一昨年3着馬のテーオーロイヤルがやってのけたのだから、他には堪らない。
まず、このパターンで負けることは、後ろから田原成貴<マヤノトップガン>でも追いかけてこない限りはあり得ない。
昨年のジャスティンパレスとそっくりの完全勝利の直線には、今年も元気に参戦のディープボンドがいた。
もう、伏兵に出る幕はなかった。
クラシックホースらは、まるで相手にされなかった様に、いいところを見せるまでもなく、この最強のG1未勝利トリオ<菱田騎手の師匠でもある岡田稲男調教師も初制覇>に自身も何もかも奪われたような結果に終わった。
残念ではあるが、彼の日のトウカイテイオーはメジロマックイーンというモンスターにプライドを粉砕される初黒星を経て、あの岡部幸雄に思わずガッツポーズをさせるような感動のジャパンC制覇をした…、という恒例も平成の名勝負の中に隠される。
全てを失ったわけではないが、もうこの距離で大きなことを言える立場には容易に戻ることは叶わないことだけは間違いないのだろう。
ハイグレードのレースメイクをするに至った経緯は、想像をするより他はないが、明らかに、少し前の高速天皇賞のような馬場質が復活した今年<馬場張替えを急遽行った効果が、想像以上にてき面であったということはあるだろう>、時に武豊の想像を遥かに超越する横山典弘の確かな経験値に基づく作戦は、内を取るより他はなく…、これでドゥレッツァが掛かってくれるならば、チャンスはなくはないが…。
恐らくは、前走で露見した少し前向きになりすぎた面を、できるだけ抑え込むための、G1の標準サイズに近い平均ラップを繰り出す形作りをまずするしかないという考えに至ったのだろう。
自身の教育が行き届いたマテンロウレオは、前走のような不穏な仕草はなかったが、それはすなわち、伏兵の先行にすぎず、芸術をも孕んだラップの奇跡を生む、伝説級のそれとはむしろ正反対だった。
「1:36.3-1:37.9」
わずかに前傾であるが、完全勝利のテーオーロイヤルが自身35秒フラットで終いの3Fを美しくまとめたということは、よほどの天才でも潜んでいない限り、ちょっとした実績だけでどうにかなるという展開にではなかったのだ。
そんな最強の挑戦者となったテーオーロイヤルは、ややハイラップのなりかけつつも、横山典弘騎手の巧みな定型への誘いにより、強い馬を呼び込む展開になったことで、好位の外につけた時点で、もう勝負ありだった。
期待のサヴォーナはやれることは全てやったが、この馬を動かして、横山典弘に真っ向挑んだ池添謙一の奇策は裏目と出て、そこで溜めたグループを除き、普通のレースが唯一可能な資質のあったテーオーロイヤル以外、実際は、あまり実態とは伴わない結果に近い、勝ち馬以外にはあまり意味のない展開となった、という見解が相応しいのだろう。
あれだけ長い距離のレースばかり走ってきたのに、プラス体重の上でより研ぎ澄まされた気配は、その昔のライスシャワーほどではないにせよ、恐ろしいまでのオーラがあった。
あの地獄と天国の狭間で戦った、2年前にタイトルホルダーが圧勝したレースを経験したテーオーロイヤルに、今回の強敵は少し優しすぎたようにも映った。
絶好枠のサリエラもモレイラのタスティエーラも出番なし。
一方で、1、2、3、5、6着のサヴォーナまでが、そのタスティエーラに先着の組となった阪神大賞典組は、ここに来て、本来の機能を取り戻すかのように、本番への活躍馬を安定して提供する理想の展開を生んでいる。
ワープスピードもその前に入れ替わるように入ったディープボンドも、一応は、手が替わった伏兵候補。
疲れていないと困るテーオーロイヤルが元気では、まるで勝ち目はなかったわけだが、これほどまでに本番と直結する結果になった年も珍しい。
2000年にテイエムオペラオー以下、ラスカルスズカ、ナリタトップロードとで、阪神と京都で結果丸写しの伝説のシーンが見られたのみで、ここまで偏るということは、頼りの綱の日経賞が今年は少し手薄だったことで、マテンロウレオも好走しながら人気になる事もなく、伏兵として敗れたように、他のレースとの関連性がどうしても薄れがちな状況にあって、いよいよ、伏兵の台頭を呼び込むほど、天皇賞を戦える挑戦者が生まれづらくなっているきらいもなくはないか。
今までなら、クラシックホースはもう少し強かったが、思えば、ダービー馬は近年は滅多に出てきておらず、今年タスティエーラが勝てば、2007年のメイショウサムソン以来であった。
菊花賞馬もよく走っていたが、その時代は、よく菊花賞の結果が覆されることが多かった。
失意のドゥレッツァが、うまくいったという菊花賞ではなかったが、かつてのセイウンスカイはそうであったように、正攻法と言っても、特殊な型にハメて圧勝した後、ここで勝つのは難しい。
はみ出したタイトルホルダーはいつも2番人気以下で、1番人気になった昨年は完走断念だった。
もしもの幸運の展開が生まれるとしたら、小回りでの結果を積み重ねることが叶ったあとのこと。
テーオーロイヤルも休みの時間を経て、全盛期が今やってきた。
秋のジャパンCで猛烈なスローの瞬発力勝負を経験した後、すぐに故障してしまって、今、そうしたレースにも動じない結果が出ている。
揉まれる経験のなかったドゥレッツァにとって、本当に厳しい、心身ともにG1級のスケール感が求められる舞台での経験値が少ないことは、あまりにも大きな死角であったということになる。
こうした評価を覆すには、やはり時間が必要である。