天皇賞(秋)2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

天皇賞(秋)2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切りの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第170回天皇賞秋(G1)
グレード重賞(G1)
日程2024年10月27日(日)
発走時間15時40分
開催場所東京競馬場
距離芝2,000m
コース左回り
賞金2億2000万円
レコードタイム1:55.2

天皇賞(秋)2024予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

天皇賞(秋)2024の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11ベラジオオペラ横山和生牝458.09.64栗東・CW・良(調教師)
7F 96.7-65.1-50.2-35.6-11.1(一杯)
栗東・CW・良(調教師)
6F 85.0-69.3-53.5-37.2-11.3(馬なり)
22マテンロウスカイ横山典弘セ558.038.112栗東・坂路・良(助手)
800m 55.2-39.4-25.3-12.6(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 51.8-37.4-24.3-12.4(末強め)
23ステラヴェローチェ佐々木大輔牡558.049.013栗東・CW・良(佐々木大)
6F 80.0-64.8-50.2-35.6-11.1(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.2-37.2-24.2-12.2(馬なり)
34タスティエーラ松山弘平牡458.016.87美浦・ウッド・良(助手)
5F 64.7-49.4-35.0-11.0(G前仕掛け)
美浦・ウッド・良(助手)
6F 82.8-66.3-51.3-36.8-11.4(馬なり)
35ノースブリッジ岩田康誠牡658.021.610美浦・ウッド・良(岩田康)
6F 81.6-64.9-50.5-36.6-11.2(G前仕掛け)
美浦・芝・良(岩田康)
4F 54.9-39.6-11.9(馬なり)
46ソールオリエンス横山武史牡458.013.16美浦・ウッド・良(横山武)
6F 84.0-67.0-52.0-36.9-10.9(強め)
美浦・ウッド・良(嶋田純)
6F 81.9-66.7-51.8-37.1-11.3(馬なり)
47ドウデュース武豊牡558.07.03栗東・CW・良(武豊)
7F 95.3-65.5-51.1-36.3-11.0(一杯)
栗東・ポリ・良(助手)
6F 81.1-65.0-50.5-37.3-11.2(馬なり)
58キングズパレスA.シュタルケ牡558.021.19美浦・ウッド・良(松岡正)
6F 81.9-65.8-51.2-36.8-11.4(直一杯)
美浦・ウッド・良(シュタルケ)
6F 83.0-66.2-51.3-37.2-11.3(強め)
59ホウオウビスケッツ岩田望来牡458.018.38美浦・ウッド・良(岩田望)
6F 89.1-72.7-57.4-41.8-12.3(馬なり)
美浦・ウッド・良(助手)
6F 82.8-66.1-51.5-36.8-11.4(馬なり)
610ダノンベルーガC.デムーロ牡558.025.211美浦・ウッド・良(助手)
5F 65.1-49.7-35.1-11.1(一杯)
美浦・ウッド・良(助手)
6F 83.5-66.9-51.9-37.0-11.5(馬なり)
611ジャスティンパレス坂井瑠星牡458.014.05栗東・坂路・良(坂井瑠)
800m 53.7-38.7-24.6-12.0(末一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.8-37.8-24.7-12.3(馬なり)
712リバティアイランド川田将雅牡458.03.31栗東・CW・良(川田将)
6F 80.2-64.8-50.2-35.6-10.8(馬なり)
栗東・CW・良(助手)
6F 85.5-69.4-53.7-37.9-11.3(馬なり)
713シルトホルン大野拓弥セ458.060.815美浦・ウッド・良(石田拓)
6F 84.2-67.9-52.4-36.9-11.8(馬なり)
美浦・ウッド・良(大野拓)
6F 82.2-65.9-50.8-36.9-11.4(馬なり)
814レーベンスティールC.ルメール牡458.04.42美浦・ウッド・良(ルメール)
6F 80.2-65.3-50.9-36.4-11.2(馬なり)
美浦・ウッド・良(ルメール)
6F 77.5-62.8-48.7-35.4-11.4(馬なり)
815ニシノレヴナント田辺裕信セ458.073.314美浦・ウッド・良(助手)
5F 67.3-51.9-37.6-11.7(馬なり)
美浦・ウッド・良(田辺裕)
6F 82.8-66.5-51.6-37.2-11.4(馬なり)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬0回2回2回16回0.0%10.0%20.0%
先行馬7回7回4回58回9.2%18.4%23.7%
差し馬13回8回7回108回9.6%15.4%20.6%
追い込み馬0回3回7回82回0.0%3.3%10.9%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠4回4回1回26回11.4%22.9%25.7%
2枠2回3回0回32回5.4%13.5%13.5%
3枠1回0回5回30回2.8%2.8%16.7%
4枠5回3回4回26回13.2%21.1%31.6%
5枠1回5回1回32回2.6%15.4%17.9%
6枠3回2回3回31回7.7%12.8%20.5%
7枠4回3回3回38回8.3%14.6%20.8%
8枠0回0回3回49回0.0%0.0%5.8%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト21回31回27回140回9.6%23.7%36.1%
エピファネイア17回11回16回67回15.3%25.2%39.6%
ハーツクライ16回17回18回112回9.8%20.2%31.3%
モーリス13回8回5回39回20.0%32.3%40.0%
キズナ12回12回4回54回14.6%29.3%34.1%
ドゥラメンテ10回6回4回63回12.0%19.3%24.1%
ロードカナロア8回13回10回55回9.3%24.4%36.0%
ハービンジャー8回10回9回78回7.6%17.1%25.7%
ゴールドシップ8回9回19回91回6.3%13.4%28.3%
キングカメハメハ8回9回2回48回11.9%25.4%28.4%

天皇賞(秋)2024 - 過去10年のデータ傾向

ルメールの断然人気馬なら勝ち切れるが、1分58秒を切ってくる場面では、1番人気は絶対ではなくなる傾向

ライアン・ムーアに武豊、ルメールが4勝で、代打騎乗の浜中俊というラインナップ。

モーリス、キタサンブラックと、アーモンドアイにイクイノックスと、グランプリホースのラブリーデイ。

いずれも春から元気に、G1を複数戦って、いずれも崩れていないか、どう考えても前走よりも状態がいいだろうことが予測されるローテーションであり、3歳時のイクイノックスを除けば、全てG1のウイナー。

イクイノックスは翌年の方が遥かに凄まじかったから、後付けで何とでも説明がつく。

ただ、そうした面々でも、高速の時計で勝ち切ったのはルメール騎手の4度だけであり、他は明らかに時計が掛かっていたから、レースレベル云々ではなく、ジャパンCのステップになっていた時に、人気馬がわずかなズレで崩れてきたというコントレイルタイプが本当は多い。

コントレイルは一頓挫というか、実質的には故障明けだから、エフフォーリアに敵わなかったのは不覚ではあったものの、ジャパンCの内容を踏まえれば、常識的に考えて、誰でも想像できるように、中身がまだ出来上がっていなかったのだろう。

あとはJRA所属直前のルメールで挑んだイスラボニータと、スタートで終わったスワーヴリチャード。

G1馬しか人気にならないが、故障明けでは流石に厳しいレースだから、コントレイルも勝ち負けと仮定した時に、時計勝負になるかの読みが重要だろう。

休み明けから動けるリバティアイランドなのか、ドウデュースなのか。

ジャスティンミラノがいなくなったことでチャンスが増えた陣営もあるから、展開の読みも重要になりそうだ。

あまり狙う価値を感じさせない宝塚記念組

割合とすれば、ほぼ人気になる事が分かっていて、7対11で、馬券外の方が多いという傾向は、裏を返すと、直行ローテで勝ち切ったのが、キタサンブラックとイクイノックスだけとした時、人気になって敗れていたドウデュースやジャスティンパレスが、今こそ再評価すべきタイトルホルダーとはならないと言い切れる面もある。

好走したソールオリエンス、ベラジオオペラの方に、オッズ面の妙味があるなら、実績の割に人気にならずによく来るちょい負けするグループとして、穴をここで賄うという手はある。

どんなに負けても人気になる馬が結局来るという、東京ならではの大箱的展開が定石であるが、少し、いつもよりは適性の幅が広いこともあるメンバー構成で、適応しきれない馬もいそうだから、2000Mにタイトルがあるということで、イスラボニータやスワーヴリチャードのような怪しい人気馬が人気薄の時でこそ買いだったという、少し穿った見方で、人気のない方を拾うのは面白い。

連続好走の馬そのものは、決して少ないことはない。

困ったら毎日王冠はあまり振るわない

ここ最近は来ていないというのもあるが、富士Sと両方でマイルチャンピオンシップのプレップに使い分けの傾向があるから、本流として機能するのは、本番と中3週になる事の決まった来年以降になるか。

何しろ、そうした背景だからなのか、勝ち馬が出てこない。

そして、好走したりだとか、不利で敗れた馬が巻き返してくる。

人気が落ちるというか、元々人気になりづらい騸馬が面白いということでは、中山記念だけでなく、東京1800にも一定の実績を持っているマテンロウスカイだろう。

これが前走は直線で何もできていなかった、近年ではステファノスと似たタイプ。

展開的にはチャンス十分のホウオウビスケッツに東京に実績がもう少し欲しいが、コーナー4つの方がいいだろうという読みで30倍を超えたら、鞍上の技量からして、尋常ならざる展開を生む可能性がある。

シルトホルンはオープン実績が少し足らないので、ホウオウビスケッツともっと接戦だったらイケたかもしれないが、何か根拠を持っている人を除き、心中する覚悟がなければ、押さえも必要ないかもしれない。

まあ、堅実という点は悪くないのだが、スピルバーグやアエロリットのように、東京なら確実に連対するようなタイプでないと、普通は苦しい。

古馬G1の経験=古牡馬58での実績 も大切だ。

その他のグループで注目なのは、むしろ、普段は多くない国外出走から休み明けの組か

意外にも、香港で使って以来のエピファネイアがじれったい感じで敗れた時も、時計がとても遅かった。

持ち時計で勝負できるタイプではないが、皐月賞はレースレコードとして、今も上位に括られる上位ランクの年の2着馬。

その持ち時計よりも2秒近く遅い決着なので、ジャパンC圧勝の根拠とすれば、十分に仕上がりだけではない状況面の不利があったとできる。

距離短縮組は、春の天皇賞以来の馬が、大昔なら宝塚取り消し明けで、前走も天皇賞だったシンボリルドルフの時代から、少し前のフィエールマンまで、ある程度来ている傾向だから、そろそろ、リズムとしては狙い目かもしれない。

リバティアイランドは距離が合っていないというよりも、態勢が整っていないところで、連続の豪華メンバーの12F戦で、それでも崩れていない。

この距離で走る事自体がマイナスでない以上、十分に狙えるだろう。

また、そういうクラシックホースが距離短縮で来るという流れで読むなら、タスティエーラは本質長すぎたはずの前走で、大阪杯よりは動けていたから、良化するだろうという期待感は増す。

頭固定で狙うことはないが、グレード制導入10年未満の時代にサクラスターオーもトウカイテイオー<レーベンスティールの母父>も、あり得ないローテで長距離戦を休み明けで勝った快記録を誇る。

同じパーソロンの直系ながら、スターオーと似たローテで二冠を決めかけたタスティエーラも、本来、立て直されているならば、底力は侮れない。

ここにドバイ以来の同僚・ダノンベルーガが、惜敗が多いからこそ、フレッシュなタイミングでの一発に期待。

同じ休み明けならば、春の早い段階で、宝塚記念出走断念の組の方が、上がり目もありそう。

札幌記念出走が裏目に出た可能性もあるダノンベルーガの昨年の秋の結果からも、それより格上と思える組が、人気の面で少しだけ買い材料に欠くという状況ならば、昨年のジャパンCと大差のない組み合わせのこと。

大幅体重増の有馬記念で妙な感じで不利を受けてから、怪しい馬になってしまったタスティエーラ共々、フレッシュなグループを押さえることは、春から続くトレンドなので、本線としては、これらを買って、オールカマー組は全く走れていなかったステラを上位に、ルメールでもやや軽すぎるきらいもあるレーベンスティールは、うまく勝ちすぎた前走を前哨戦向きのキャラと評価下げで、3着はあるだろうと見たから、理屈で押さえないと決めた以上、連軸を固定、ダービー馬のプライドにかけて復活を願うとして、頭固定の流し馬券で点数を押さえておきたい。

天皇賞(秋)2024- 出走予定馬の血統/成績/タイム

軸をリバティアイランドと定めるかどうかで、買える馬は自然と限られて、順調に好走を続ける馬が案外少ないなら、不発続きのこの馬でも…

タスティエーラの血統

2017年秋の凄まじい連続週不良馬場の2週目に行われたこのレースで、同期キタサンブラックとの激しいマッチアップを演じ、惜しくも宝塚記念のお返しをされたサトノクラウンを父に持つ馬。

その父が、ドゥラメンテの完勝ダービーから、このレースへ直行で挑み、まるでいいところなく、もみくちゃにされただけに終わったというのは、4歳の時も似たようなものだったから、ちょっとしたことでいくらでも違う表情を見せるという点で、サトノクラウンとタスティエーラはよく似ている。

似ているからこそ、無理を押してでも、堀調教師<この親仔を共に管理する伯楽>はダービーに間に合わせるように、力づくで皐月賞出走に漕ぎつけたわけだが、ダノンデサイルの結果を知った今、少し微妙な感じもしないではないか。

共同通信杯を勝てなかったことが、ああいう展開を生んだのだとすれば、ソールオリエンスの実力を知るということは、父がドゥラメンテ、リアルスティール、キタサンブラックといった父としても偉大な存在を抑え、皐月賞で1番人気になったことを思えば、重要なプロセスであったのかもしれないが、このタラレバの答えは永久に導き出せない。

天皇賞(秋)2024 - レース展開と最終予想

母母がノーザンダンサーの4×3を抱え、アウトサイダー色の強いサンデー直仔・マンハッタンカフェを父とするパルティトゥーラを母に持つ以上、父がノーザンダンサーの濃くはないクロスを有することは意義深く、薄めでも、多少なりとも効果を期待できる。

成長力に与える好影響は限定的だが、薄いからこそ、極端なクラシック仕様にはならない。

ドゥラメンテも堀厩舎の大砲であったが、これが4×4プラスアルファのキングカメハメハに、ノーザンテーストに絡むアウトブリードのノーザンダンサーを持つアドマイヤグルーヴとの薄いクロスが、短く太いサラブレッドとして生涯だったものの、深く、何よりエネルギッシュなパワーを競馬界に与えることに成功した。

無理をさせることもあったが、総じて、馬の具合に合わせたレース選択をクラシック以外の場面ではしてきたから、それと似たように、菊狙いではないローテがハマりかけた昨年秋のダービー直行ローテが、今度はダノンデサイルにも当てはめられることになった。

ダノンデサイルもノーザンダンサーは薄く、3代目以内の強いクロスが掛かった場所が、父母のシーザリオの5×3に見られるだけで、ここに5代目のクロスがあるだけの5代表は、今後の発展に余力十分の成長力を秘めるとも見られなくはない。

十分にガス抜きは終わったはずのタスティエーラが、大阪杯が本当に謎の凡走だったのだとすれば、復活寸前のソールオリエンス同様、また走ることになって何一つ不思議はないほど、この配合は本来成長力を秘めているはずである。

どこにも、早熟の血は入っていないのだから。

タスティエーラの謎過ぎる完敗の連発に、堀采配への疑問も兼ねて、再度精査してみたのだが、単純な話、不器用なだけという結論に達した。

要は、果敢に勝ちに出た松山弘平とのコンビで挑んだ弥生賞ディープインパクト記念=10頭立ての内容を超える、ビッグスケールのパフォーマンスが一度も見られていないのである。

ダービーは先入観が全くない中で、日本のダービー=東京優駿競走への想いだけは人一倍あったダミアン・レーンの勝ち気が、クラシック級であることは知れ渡っていたタスティエーラの本質とマッチして、バカみたいなスローからの抜け出しで、自分だけ決め手勝負から脱して、我を通していったという結果。

無論、同期同士の争いでは、距離適性云々を問われることはなく、NHKマイルCに出ていたところで、超高速タイムでなければ、ある程度まで対応できていただろうから、皐月賞のあの道悪競馬で見せ場を作ったなら、十分、あの稍重のタフな展開にも対応できただろうという理屈を、菊花賞連対に当てはめることはできる。

最初は、モレイラのテクニックが光ったという風に見えたが、特に、長距離重賞に親和性があるというほど、引き出し満載ではないマジックマンのこと。

普通にすべきことをしただけとも思った。

途中から逃げたドゥレッツァのルメールや、膝が抜けたようなところから完走どころか、一時勝負圏内にまで盛り返してきたトップナイフを駆る横山典弘らの巧みな操縦術の方が、よっぽど際立っている。

だからこそ、外国人騎手という括りでは物足りないトップオブトップのムーアやモレイラで大していい内容でもないのに、そこそこの結果が残ったことで、大阪杯凡走の結果が悪目立ちするのだ。

しかし、これもシーズントップの前哨戦的役目から脱したわけではない大阪杯という位置づけに、本質的な変化はない以上、仕方ないという風にも映った。

松山弘平は3歳シーズン、今の時代では最も大事なトライアル→皐月賞での騎乗で、しっかりとコンビで結果を出したという、いいイメージしか持っていない中堅のトップジョッキーである。

内枠から、出たなりで好位付けに成功。

展開もスローで、直線も前が開き…。

1番人気にしては、お膳立てがあまりにも周到に整い過ぎているきらいもなくはないが、これでジリジリと反応鈍く、伸びはないのでは、騎手の責任にされても困る。

逃げ馬でも追い込み型でもない彼にとって、不覚にも近いこの一戦の解釈を求められた時、心身のバランスと走る方向に気が向いているようには思えない仕草から、諸々、態勢が整っていなかったということになる。

前走有馬記念は、いくら暮れとはいえ、入念な仕上げで挑んだ菊花賞の後、緩めるところはあったにしても、プラス18kgはいかにも調整の一環という印象は拭えない。

リスタートの初手にムーアを選び、もたつきはキレ馬ではないから仕方ないが、武豊が襲い掛かってきた勝負所の争いに後れを取った後、形作りに転じた直線で、まずヒートオンビートの進路を少しカットする不手際があった後、反則を許さない神の采配でもあったかのように、ものの数秒後、今度は自分が内と外から挟まれていた。

理屈は合っているが、采配の端々に、うまいことどうにかならないモノかな…、という名手の器用に透けて見える、タスティエーラ自身が抱える不器用さこそが、問題というか、連戦連敗の主要な原因なのである。

父サトノクラウンも、秋の天皇賞で大敗を喫した次走で、京都記念や香港ヴァーズをちゃっかり勝ち切っている。

ムーアやモレイラ、日本での主戦級であったデムーロ兄らの高い技術による恩恵を、まるまる受けるような結果ともとられがちだが、彼らは馬の能力に関してはドライな一面もある。

走らないモノは仕方ないだろう…、とクールに対応してきて不思議ないトップジョッキーたちは、常に勝利を求めているからこそ、どこかで癖馬を求め、それを自分だけ御しきって勝たせて見せるという欲望を、誰でも胸に秘めている。

結果を出す馬が素晴らしいことに不変の真理がある競馬というスポーツで、騎手がいかに目立とうとも、本当に褒められるべきは馬の方であることを、トップジョッキーは共通して理解した中で、勝利の際は、誰もが馬に関わった関係者に加え、パートナーを絶賛するのである。

機会には恵まれても、妙な癖がある中長距離のトップクラスであったサトノクラウンの仔。

しかし、父よりもより不器用に見えているのだろう、名手たちとのコンビでうまくハマらなかった結果を踏まえ、あえて、松山騎手に手が戻ったことが全て。

引退の決まっていた福永現調教師を最も重要な場面=共同通信杯で起用した点でも、師は既に、この馬の本質と意外なほどブレない心の強さを理解し、かなり勇気のある長距離戦への果敢な挑戦を続けてきたのだろうが、いよいよ、ここからが本番となってくる。

そうした場面で、相手は超の付くほど強力。

しかし、イクイノックスの代わりがリバティアイランドに変更されただけでも、気分は楽だろう。

前に行かれたらそれでおしまい…。リバティアイランドのキャラ的には、そういう雰囲気はなく、一頓挫あったあとの長期に近い再調整期間が入った。

三冠馬は、そういう過程でもシンボリルドルフが春の天皇賞以来、コントレイルも大阪杯以来の実戦で、また牝馬二冠でエリザベス女王杯も有馬記念も高水準の結果を3歳で残していたダイワスカーレットなども含めて、クラシックウイナーの底力は、意外なほど如実にこの舞台で表現される一方で、同格以下の馬にしてやられるのが常であると同時に、本物は滅多なことで崩れない。

自分のやりたいことをしているようで、実際が大いに苦戦だったシーマクラシックからの好転は期待できるが、簡単には勝てないとしても、まずこの馬が大いに崩れる、ナリタブライアン的な失墜は考えづらい。

となると、ジャパンCでこの若い牝馬に屈したドウデュース以下、トップランナーについても、G1を勝っているからこそ、上がり目の点なども含め、これらがまた意外なほど癖が強いキャラであるから、総合力で誰が負かしにかかるのかという構図に落とし込んでみると、意外なほど、候補は同期4歳のエース級に絞り込まれた。

ソールオリエンスも皐月賞以上に走ったという印象がない宝塚記念がまた、例によって、かなり渋った他馬に厳しいコンディションだった。

意外と、これにも敗れていた大阪杯のタスティエーラは、パフォーマンスこそ大幅変化はなかった天皇賞で、それなりに走っていた。

体もまた少し絞れている。

精神面で繊細な部分のあったサトノクラウンは、古馬になってからの方が、馬体重の変動が激しいところもあったが、キャリアの中で快勝と惨敗を同じ時期に繰り返しているようなタイプだからこそ、セッティングがハマる時とそうでない時のバランスの著しいバラつきが、どうしても出てしまう。

意外なほど、顔つきは似ているが、スター顔の息仔=白いハートマークが額の目立つところにあるは、母父マンハッタンカフェにそっくりな勝つか着外かの究極の2択を迫られるスタッツの回顧から、ここも似ているとできるわけだが、似たようにおじいさん譲りの男前・レーベンスティールが、際どい所を抜け出すオールカマーの勝利がかえって、本質、全力応援が相応しい東京に中距離戦で、意外なほど、伸びが止まるキレすぎのパフォーマンスだったことが気がかりで、どうにも推せないとなると、もう一択。

軸はリバティアイランドに決まっているという前提が崩れれば、ここも怪しくなるが、牡馬も牝馬も、今の三冠馬は頑丈である。

走れないならば、デアリングタクトの様に休んでいる。

合理性を追求した中で生まれた、ノンキャリア型のトリプルティアラは、同クラウンに比して、セントレジャーでの消耗がないからこそ、クラシック三冠ではないことの理屈に見合った、伸びしろを獲得できるとされる。

無傷でぶっ通しの連勝がきつくなったデアリングタクトは、それもまた運命であり、現役中に事故で死ななかったのも強運の証である。

強烈な決め手を再び繰り出していきたいリバティに対し、合理的判断もまたハマらない、どうにも伸びしろを感じ取れないタスティエーラが、自分の能力を発揮せず、一年以上もエネルギーを蓄えていたのなら…。

皐月賞は本来ならば、トライアルからの連勝だったというレース内容。

もっと楽な展開だったダービーを勝ち切ったのは、その実力を勝ち直しで示したという結果に過ぎないと考える筆者にとって、爆発力で勝る同期のギニーホースに対し、ここで受けて立つことができる場面でこそ、本来のタスティエーラらしさが戻ってくると考え、自信をもって、本命に推したい。