朝日杯フューチュリティステークス2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

朝日杯フューチュリティステークス2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切りの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第76回朝日杯フューチュリティステークス(G1)
グレード重賞(G1)
日程2024年12月15日(日)
発走時間15時40分
開催場所京都競馬場
距離芝1,600m
コース右回り
賞金7,000万円
レコードタイム1:33.2

朝日杯フューチュリティステークス2024予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

朝日杯フューチュリティステークス2024の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11ダイシンラー岩田 康誠牡256.077.912栗東・坂路・良(助手)
800m 60.6-43.5-28.6-14.2(馬なり)
栗東・CW・良(岩田康)
6F 85.4-69.4-53.8-38.4-11.8(G前仕掛け)
12アドマイヤズーム川田 将雅牡256.013.2 7栗東・CW・良(荻野極)
7F 99.3-67.1-52.2-37.3-11.1(強め)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.2-38.8-24.8-12.0(馬なり)
23ランスオブカオス吉村 誠之助牡256.027.9 9-栗東・CW・良(吉村誠)
5F 69.0-53.0-37.0-11.4(馬なり)
24ミュージアムマイルC.デムーロ牡256.02.61栗東・坂路・良(助手)
800m 52.1-38.0-24.6-12.4(叩き一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.6-38.2-24.3-12.1(馬なり)
35コスモストーム秋山 稔樹牡256.0212.015栗東・坂路・良(助手)
800m 52.1-37.6-24.5-12.6(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.7-38.6-25.0-12.2(馬なり)
36アルレッキーノC.ルメール牡256.08.33美浦・ウッド・良(助手)
6F 81.1-65.1-51.7-38.1-12.0(馬なり)
美浦・ウッド・良(助手)
5F 65.4-50.6-37.0-11.7(馬なり)
47クラスペディア小崎 綾也牡256.0244.716栗東・CW・良(小崎綾)
7F 98.5-66.6-51.9-36.9-11.3(G前一杯追)
栗東・CW・良(小崎綾)
6F 83.4-67.3-52.2-37.2-11.9(馬なり)
48アルテヴェローチェ武 豊牡256.04.62栗東・CW・良(武豊)
6F 80.1-64.9-50.3-35.8-11.1(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.3-38.1-24.6-12.1(馬なり)
59エルムラント藤岡 佑介牡256.0131.113-美浦・ウッド・良(助手)
6F 84.8-68.5-53.1-38.2-11.7(馬なり)
510トータルクラリティ北村 友一牡256.010.1 4栗東・CW・良(北村友)
6F 81.1-66.7-52.1-37.0-11.5(一杯)
栗東・CW・良(助手)
6F 85.4-69.2-53.6-37.6-11.6(馬なり)
611ニタモノドウシR.ムーア牡256.016.28美浦・ウッド・良(助手)
6F 84.1-67.1-51.9-37.4-11.6(G前仕掛け)
美浦・ウッド・良(ムーア)
5F 68.7-53.1-37.7-11.7(馬なり)
612パンジャタワー松山 弘平牡256.011.3 5栗東・CW・良(松山弘)
6F 80.1-65.4-50.7-36.6-11.8(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.7-37.4-24.0-11.7(馬なり)
713エイシンワンド幸 英明牡256.037.210栗東・CW・良(幸英明)
6F 82.7-67.8-52.5-36.7-11.2(一杯)
栗東・CW・良(幸英明)
6F 83.3-67.9-52.9-37.8-11.9(馬なり)
714テイクイットオール岩田 望来牡256.0151.314栗東・坂路・良(助手)
800m 52.9-38.4-25.1-12.7(馬なり)
栗東・坂路・良(助手)
800m 52.3-38.7-25.4-12.9(一杯)
815ドラゴンブースト田口 貫太牡256.041.9 11栗東・CW・良(助手)
6F 81.5-65.7-50.8-36.3-11.6(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 54.1-38.8-24.8-12.3(馬なり)
816タイセイカレント坂井 瑠星牡256.011.9 6栗東・CW・良(坂井瑠)
6F 82.5-66.5-51.7-36.8-11.2(一杯)
栗東・坂路・良(坂井瑠)
800m 54.6-39.6-25.4-12.1(馬なり)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬1回1回2回18回4.5%9.1%18.2%
先行馬10回4回6回53回13.7%19.2%27.4%
差し馬7回13回9回100回5.4%15.5%22.5%
追い込み馬2回2回3回90回2.1%4.1%7.2%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠5回2回3回27回13.5%18.9%27.0%
2枠4回2回4回29回10.3%15.4%25.6%
3枠2回5回2回31回5.0%17.5%22.5%
4枠3回3回4回30回7.5%15.0%25.0%
5枠1回3回1回34回2.6%10.3%12.8%
6枠2回5回1回32回5.0%17.5%20.0%
7枠1回0回4回37回2.4%2.4%11.9%
8枠2回0回1回41回4.5%4.5%6.8%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
イスラボニータ7回0回1回1回77.8%77.8%88.9%
ディープインパクト6回7回8回47回8.8%19.1%30.9%
ロードカナロア6回4回2回41回11.3%18.9%22.6%
ルーラーシップ5回5回2回27回12.8%25.6%30.8%
ダイワメジャー4回3回3回26回11.1%19.4%27.8%
ハービンジャー3回1回3回16回13.0%17.4%30.4%
キズナ3回0回2回25回10.0%10.0%16.7%
ジャスタウェイ3回0回0回9回25.0%25.0%25.0%
ステイゴールド2回1回0回1回50.0%75.0%75.0%
ヴィクトワールピサ2回0回2回11回13.3%13.3%26.7%

朝日杯フューチュリティステークス2024 - 過去10年のデータ傾向

腐っても鯛ではなく、新鮮な若駒ということもあって、値崩れを起こさない信頼株

今年は武豊に手が戻るアルテヴェローチェなのか、はたまた、文字通りマイルで本領発揮を目論むクリスチャンを借り出して挑むミュージアルマイルなのか、はたまたその他数頭いる2戦無敗馬なのか…。

阪神に移ってから、これまで10度のフューチュリティSが開催され、こけたと言っても大混戦で押し出されたにしては抜けた人気になった牝馬のミスエルテだとか、2年後のグランアレグリアだとか、連を外した馬がかなり限られてくる。

大体連対した馬を順を追って挙げていくと、ダノンプラチナ、エアスピネル、ダノンプレミアム、サリオス、セリフォス、ドルチェモア、ジャンタルマンタル。

今や拗らせの代名詞にもなっているドルチェモアも、秋遠しと思っているうちに暖かい香港で再始動したジャンタルマンタルなど、これらはいずれも無敗優勝馬であり、他を見ても、基本的には順当な本命馬。

牡馬で消えたのは、阪神での連戦で中京勝ち上がりでの3連チャンが利かなかったレッドベルオーブだけ。

このかなり難しい馬が難しい馬になっていったグレナディアガーズやステラヴェローチェに敗れたのも気の毒だが、何とか、種牡馬になれたようで、結果オーライ。

だから、誰が乗ろうとも、まずは人気馬を消してはいけないという話になってくる。

堅軸とどの紙面でも本紙代表の記者の予想が一面に出そうなアルテ氏

アルマ氏<=―ヴェローチェ>を前の週の本命に推している関係で、同じ風に打ち込もうとせずとも、予測変換の影響で、そう書いてしまっていて、それに気づかないという恥をかかないようにするため…、などと無駄手間を防ぎに行ったかのような組み立てにはなっているが、普通は、サウジアラビアロイヤルCのウイナーは買うべきだ。

いちょうSとして行われた実質第1回の当レースは、装飾だけ大幅に入れ替える格好で、また第1回として始まる現名称のレースになっても、連勝を決めたメジロドーベル、不利を乗り越え快勝したエアグルーヴや勝ち星を積み重ねる過程に1800時代の貴重な勝利記録を持つイスラボニータなどが勝った歴史そのままに、その代わり端である初年度のウイナー・クラリティスカイの3着から、すでに3頭の連勝馬、それもすべて無敗制覇の馬を送り込んでいる。

グランアレグリアも力試しを兼ねた、輸送対応に重きを置いた挑戦が不発であったが、完全に桜花賞の試走だったことがすぐに明らかになって、あのような展開となった。

ということもあって、普段通りの阪神では6頭すべてが馬券圏内。

2着は最後までG1を勝てなかった須貝厩舎のステラヴェローチェ…。

穴狙いなら、この買い方、京都代替で3着押さえというくらいしか、本筋では狙いようがない部分がある。

今や、1勝クラスでさえもオープンのような扱いで、使わない方がいい時代

ベゴニア賞が東京開催の終盤に行われ、そこから連勝の関東馬が2頭いたのみという惨状。

中山時代から決定的に変化したのが、キャリアの推移。

オープン実績が相応に必要なほど、タフな前傾ラップへの適応力を求めてきたスピードレースから、万能の王者を求めるチャンピオン競走へと変化したことで、移設2年目にリオンディーズが中距離新馬からの連勝でエアスピネル斬りを成し遂げたようなことが、一つ話題にもなった。

中山時代では、2戦以上していた馬なら勝ったことはあったが、2戦目がG1というのはお呼びでなかった。

とはいえ、それはレアケース。

血統馬だからこそできた芸当なのであって、普通はどういうステップを踏んできたかどうかが重要。

となると、勝ったことのある馬同士の争いを制した馬が、未勝利脱出直後の馬に敗れていることの方が多いということに、少し注目くらいはすべきとなってくる。

早い話が、勝ってしまえば、あとは抽選待ちで、出られたなら頑張ればいい…、というだけのシンプルなもの。

そこで1度体力を消耗した組が、フレッシュなキャンセル待ちの数頭に敗れるという構図。

距離短縮のアドヴァンテージをとるべきとも思えたが、デアリングタクトのまねをするというある種の失態を犯した社台ファームの逆襲策<昨年の優勝オーナー>、その同血・ソードマスターの静かな成長の方にここは肩入れしたい。

何故、オーソドックスなローテではない組が来なくなったのか

今回は新潟2歳Sウイナーに着目することにしたが、本筋として、サウジアラビアロイヤルCかデイリー杯の組か、超王道以外は、まず信用ならないという構図が出来上がってしまっている。

来年からは、また少し間隔が開く設定になるから、本流組はより強固なコネクションを生むだろう。

イレギュラーな京都であるからこそ、本物の実力があれば、乗り越えられると信じたのだが、ここ10年は、中山時代とは異なり、むしろ、関西馬の方が輸送のスムーズさでかなり有利ともされる新潟<=距離的にもほぼノンストップ、高速の乗り継ぎだけで移動可能、でも、その点では美浦の馬も道路の整備が進んだからあまり変わらないと思うのだが…>を使って、セイウンワンダーが勝ったこともあるが、思えば、夏からひと叩きで本番快勝のマイネルレコルト、秋の新潟で2勝目を挙げて連勝のアルフレードなどは、いずれも関東馬。

牝馬の決め手が有利とされる舞台なので、パワー勝負になりすぎて、また棲み分けの関係で細分化の進行が影響してから、グランプリボス以来連勝馬の出ていない京王杯組は、強ければよしと対抗=パンジャタワーに推し、このマイル組で何を推そうかと思えば、ユタカ人気若干再燃の中で、ど真ん中すぎるアルテ氏はなんだかなあ…、となってしまったから狙いをこちらに定めたのだが、早い話、セリフォスはドウデュースに敗れただけなので、そういう理屈もアリなのかと考え直した。

本場=主要4場での経験もある、京都デビューのトータルクラリティは、それもまた阪神の代替となった開催での出発。

クラリティスカイになれるかどうか<翌年にNHKマイルC快勝>以前に、セリフォス級かと問われ、新潟では見劣る数字でも、京都のデビュー戦における4段階加速は、開催最終盤という今回との共通項と合わせ、有効な武器を備えた候補であると見直せる。

前走負けたかのような扱いというか、休み明けのアドヴァンテージが出せていない<=何故だか、阪神移設後には新トレンドである休み明けローテが決まらず、昨年、ユタカマジックたる神の手を使って一気を決めかけたエコロヴァルツを除いて、ほぼ全てが秋のレースを前走使っている>状況には逆らうものの、雨馬場で万能性を見極められるという理屈を応用し、荒れ馬場を経験した実績の扱いから、バゴ産駒らしく、超高速ではないマイル戦はむしろ得意という狙いに見事合致するトータルクラリティに、ここは有馬資金調達の原資になってもらいたいところだ。

実績通りに来れば、実入りは一定以上期待できる

朝日杯フューチュリティステークス2024- 出走予定馬の血統/成績/タイム

北村友一主導のクラシックになるかどうか、ここらで判然としてきそうな状況ということもあるので、まずはトータルクラリティの血統を見ていこう。

トータルクラリティの血統

どういうわけだか、往年のウイナー・サクラチヨノオー、ホクトオー兄弟やサンデーサイレンス初年度産駒でウイナーとなったフジキセキなどと同じ、ネアルコ直系×セントサイモン系の配合が、この馬の中にやたらと多い。

近親には、凱旋門賞でも健闘した、もしかしたら、宝塚記念で歴史を変えていたかもしれないというスルーセブンシーズがいる、世界最高評価を一時得たことのあるコンキスタドールシエロが出てきたタミーズターンのファミリー。

ヘイローとノーザンダンサーだけでなく、アルマームードに絡む複雑なクロスを生む、父バゴのナタルマ<=ノーザンダンサーの母>直系が生む、強い組み合わせの妙にも、その解釈の仕方に、底力の端緒を明示できる要素として、まず以って挙げるべきものがあるのだが、どうもこちらの方が血統表の中で重要な気がしてきた。

バゴの父父であるブラッシンググルームはレッドゴッド×ワイルドリスク。

父系に多くの絡みはないが、一応、マキャヴェリアンの全妹である母母のまた母がヘイロー×ホイストザフラッグで、珍妙なアルマームードの3×3の陰で、これまた変わった配合を施されている。

マルゼンスキー・トウショウボーイ×セダンというチヨノオー・ホクトオー兄弟や、サンデー×ルファビュルーがブラッシンググルームとクードフォリー<バゴの3代母>の間にように見えるフジキセキらは、無敗覇者か完全連対の1番人気優勝馬。

中山での記録なので、何も根拠を成さないが、実は、トータルクラリティの母方には、フレンチデピュティ、シアトルスルーという並びの種牡馬が同配列であり、5代母のフルティグレスもネアルコ・ナスルーラ直系×プリンスキロ直系で、相似の型が多く隠されている。

よく見返してみると、別のところに、父母ムーンライツボックス・母父スペシャルウィークにヘイロー×ノーザンダンサー×ハイペリオンの相似が順不同で組み込まれているのだ。

バゴはこのレースではないが阪神ジュベナイルフィリーズ好走のクロノジェネシスの父であり、北村友一騎手と深く関わる血統馬でもあった。

中山時代の朝日杯で最初に自身初のG1制覇のチャンスが訪れた時、同じ、父母父ヌレイエフのシェーンヴァルトでうまく乗れずに敗れたことはご愛嬌。

いずれも勝てなかった記録として、歴史に埋没してしまうが、一度勝ってしまえば、そんなことがあっさりと消去できるようになる。

とは、まるで支えにならないおまじないのような話なのだが、好機である気がしないではない状況に、今こそ、こうした狙いの立て方で穴を拾うという手法を悪あがきでも提唱していきたいものである。

朝日杯フューチュリティステークス2024 - レース展開と最終予想

凱旋門賞勝ち馬であるバゴの産駒といえども、父がそれを勝ったのは3歳時のこと。

ジャパンCにやってきた翌年は都合G1を5連敗で迎えた最終戦で、戦績の底となる8着。

一応、走破タイムの2:22.8は、欧州調教馬では破格だったのだが、奇しくも、この年が、最後の海外勢の優勝となったアルカセットの勝った時。

ハーツクライが目覚めるきっかけにもなったとされる、ルメール騎手の覚醒をも引き出した、天才デットーリの手腕が遺憾なく発揮された一戦でもあった。

もうそれから、20年近く経とうとしている。

思えば、その頃にデビューしたのが川田騎手であり浜中騎手、今回狙うべき対象となった北村友一騎手などであるわけだ。

関西馬全盛の時代、思えば、ルメールが乗る関東馬以外はG1でそこまで奮わないことが、若干バレかけている昨今、安定の関西勢に再び攻撃的なリズムを生む存在に、今また、新たなダービージョッキー誕生の流れに北村友一騎手が乗りかけようとしている。

本来なら、トータルクラリティに掛かりきりでもいいはずだが、バゴの仔で大きな夢を見たクロノジェネシスと同じ斉藤崇史厩舎に、クラシック候補にして、ホープフルSで○強とされる中に必ず入るだろうクロワデュノールも手駒に収める充実ぶり。

勝手に取材陣も集まるし、その対応も増えていく。

そんな未来を先取りしたような結果が、先日のステイヤーズSの同着ではなかった辛勝に現れている気がした。

マーカンドは悪くてもデッドヒート=同着を予感した渾身のリベンジマッチであったのだが、格で勝った印象のシュヴァリエローズの充実ぶりが光ったようでいて、実際は、北村騎手がどこにもミスをしていなかったからこそ、G2連続好走に繋がっている感じもしないではなかった。

今回期待するトータルクラリティ。

大いにおこちゃまである。

京都内回りの新馬戦も、フラフラ。

前走で相手一気に強化の新潟でも、あまりに走りのフォームが安定しないために、掛かり通しだったコートアリシアン<ジュベナイルフィリーズの有力馬>に一旦差されている。

ところが、二枚腰とするのが見た目の通りとすると、実のところは、そこから真面目にレースに入っていった感じもするほど、序盤こそ、見た目は普通の馬という、いい点を挙げたらクロワデュノールのようなリズムの取りやすい好位抜け出し型の利点を活かした中で、案外楽勝にも映った。

この日の新潟は、最終レースが異様な天候になりかけたために、レース自体を中止したような、怪しい気配漂う環境でもあり、さぞかし、怖い思いをしたように思うのだが、好走馬は無事、暮れの大一番にやってきた。

人間の方が怖い雰囲気を出すから、馬も敏感に察知することがほとんどであろうが、あの黒い雲が、世の末を予感させるに十分な不気味さがあった。

その新潟2歳Sは、直線平坦でデビュー戦とそっくりだが、回りも違えば、コーナーワークのテクニックも違う。

だから、新馬戦は序盤37秒フラットの入りからもうひと溜めあった上での加速力勝負で力勝ち。

ふわふわというか、どうやって走ればもっと上手にレースをこなせるようになるのかよくわかっていない中で、広い馬場を有効に使いこなせないまま、加速させようとすると右へ左への不協和音が人馬の関係の中で生じる最中、案外、早く追っ手が来てくれたことで、差し切られず、持ち直して押し込めたという競馬は、キレ味優先の新潟では、いくら荒れ馬場になっていたとはいえ、秀逸なもの。

近10年の新潟2歳Sで、4コーナー4番手、内回りの合流のあたりではすでに先頭というような馬が勝ったケースは稀で、フロンティアだけである。

フロンティアの年よりも1秒半以上速く、キレイにではないにせよ、力強さでマイラーらしさをアピールした前年のアスコリピチェーノに、タイムも決めても見劣る一方で、それが勝った時とほぼ同じ流れでの押し切り。

普段なら、コートアリシアン圧勝の流れに逆らった粘り腰は、恐らく、本気で走っていたのであれば、むしろ、もっと着差を開けていた可能性さえ感じた。

十分に、本番想定のミドルペース以上の流れに対応できそうな雰囲気がある。

伏兵評価であるなら、これほど信用できる軸馬もいない。

マイルでは珍しく、小回りでの記録と大きなワンターンでの両方の勝ち星がある。

人気のアルテヴェローチェは、中山マイルと似た形態の札幌1500を勝ってきた、ドルチェモアがかつて所属の須貝厩舎の馬。

これが東京で勝ってきて、人気にもなる。

ただ、今年は京都。

加速能力だけでなく、単純なスピード能力というよりは、阪神以上に、意外とスパート段階からの末の持続力も必要とされる。

決め手比べとなりやすい馬場状態でもなければ、前が不利でも待たない。

案外、難しい展開になることがある、京都ならではのリズムに、外回りではないが、京都の経験に合わせ、広い馬場でも勝ち星がある馬の実力は、無敗馬だけにやはり侮れない。

いい勝負は出来れば、その名の通り、前途も開けるだろう。

バゴというか、ブラッシンググルームで日本の馬場を好む馬は、クロノジェネシスだけでなく、往年のスター・サクラローレルなどがそうであったように、晩生がほとんである。

早熟のイメージがあったラーイの仔・トキオパーフェクトは13歳まで岩手県競馬で走り、代表産駒のファンタスティックライトがジャパンCでオペラオー・ドトウらとやりあったのは、同期同士4歳の秋。

翌年、一回り大きくなって、欧州圏の主要レースを勝ちまくった。

しかし、ローレルは青葉賞に挑んだくらいで、クロノジェネシスに至っては、ジュベナイルフィリーズ2着まで2戦2勝。

ファンタスティックライトはさすがに3歳秋からステークスレースでも通用するようになった典型のタイプでも、案外、トニービンの入った馬と同じで、早くから一定以上通用することは多い。

まだ、枠組みははっきりとしていない路線で、今年はいくらか、ホープフルSにメンバーが偏った印象もある世代のこと。

バゴでも何とかなりそうな気がする。

坂のあるコースでもバリバリ乗り越えられるタイプにも思う系統だが、クロノジェネシスがそうであったとしても、初のタイトルは厳しい展開と馬場状態だった京都の秋華賞。

その他で同産駒唯一となる牡馬の大物であるビッグウィークも菊花賞馬。

クリスマスやトロワボヌールなど、異彩を放った才能たちも、平坦になる直線の競馬に合う。

パリロンシャンと同じではないか…。

これらのキャリアとは一見フィットしない印象であるフラワーC、桜花賞連続好走のオウケンサクラも、その前の2勝はいずれも京都。

実は、京都開催を最も歓迎している1頭なのかもしれない。

何度も大きな落馬事故を経験し、この春にダノンマッキンリーで制したファルコンSが、実に、3年前の阪急杯・レシステンシアでの勝利以来だったというほど久々の重賞制覇の記録であったが、春の阪神では、奇跡の復活に近かったアルアインでの大阪杯が最初のJRAビッグタイトル初戴冠と、怪我が近年ほど多いこともあって、完全に遅咲き。

同じ北村姓の宏司騎手が、似たような経緯を辿っていく中で、スピルバーグやキタサンブラックをG1馬にしながら、昨年はまたアスコリピチェーノで復活のドラマを描いた。

どうにも、不運が続く北村騎手たちに、この春いい流れはあったが、モレイラとジャスティンミラノが強すぎた。

しかし、元より牝馬のお手馬が多い友一騎手であるから、まさに今は、千載一遇のチャンス。

勝てるうちに勝たないと、そうは簡単にチャンスは巡ってこない。

知性を備えた、未来の調教師像も想像できなくはないこのインテリ騎手に、アスリート的なフィジカルのコンディショニングにばかり気をとられないような、スポーツらしい勝つ歓びを、クロノジェネシスで味わった感覚をとり戻すべく、早いうちにその感覚そのものを取り返すには、ここは絶好機になるはずだ。

妙な乗り替わりが多い中、数少ない関東馬の中で、アルレッキーノやソードマスターら、近年傑出した戦績を残した名牝と近い関係の血統馬の出来や実際の能力も少し気になるところ。

これらが本気を出せば、どうってことはない相手になるが、バランス的にあまり崩されるタイプでもないトータルクラリティを自然な形で勝てる態勢に持っていた時、何が起きるのかをしっかりと見届けたい。

正直、その他の無敗馬や外国人騎手乗り替わりの優勝馬が誕生したところで、あまり上がり目は感じられない。

伸びしろ勝負。鞍上も案外、そういうところがあるから、このコンビはやはり一番面白いように感じる。