ジャパンカップ2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り
目次
ジャパンカップ2024の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切りの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!
歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。
レース名 | 第44回ジャパンカップ(G1) |
グレード | 重賞(G1) |
日程 | 2024年11月24日(日) |
発走時間 | 15時40分 |
開催場所 | 東京競馬場 |
距離 | 芝2,400m |
コース | 左回り |
賞金 | 5億円 |
レコードタイム | 2:20.6 |
ジャパンカップ2024予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)
ジャパンカップ2024の予想オッズと登録馬
枠順 | 馬番 | 出走予定馬 | 騎手 | 性齢 | 斤量 | 予想オッズ | 人気 | 1週前追い切り | 最終追い切り |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | ゴリアット | C.スミヨン | セ4 | 58.0 | 23.8 | 9 | - | 東京・芝・良(スミヨン) 7F 90.6-62.9-50.0-37.3-12.2(馬なり) |
2 | 2 | ブローザホーン | 菅原明良 | 牡5 | 58.0 | 35.0 | 10 | 栗東・坂路・良(助手) 800m 55.1-39.6-25.8-13.1(末強め) | 栗東・坂路・良(菅原明) 800m 56.3-40.8-26.3-13.0(馬なり) |
3 | 3 | ドウデュース | 武豊 | 牡5 | 58.0 | 2.4 | 1 | 栗東・CW・良(武豊) 7F 97.8-65.7-50.7-35.7-10.9(末強め) | 栗東・ポリ・良(助手) 5F 69.1-53.3-39.5-11.7(馬なり) |
3 | 4 | ジャスティンパレス | C.デムーロ | 牡5 | 58.0 | 7.6 | 3 | 栗東・坂路・良(C.デムーロ) 800m 51.6-37.6-24.5-12.5(馬なり) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 54.6-39.8-25.8-12.6(馬なり) |
4 | 5 | シュトルーヴェ | 鮫島克駿 | セ5 | 58.0 | 43.2 | 11 | 美浦・ウッド・良(助手) 6F 82.5-65.5-50.5-36.1-11.2(一杯) | 美浦・ウッド・稍重(助手) 6F 83.5-67.0-52.0-37.6-12.3(馬なり) |
4 | 6 | ダノンベルーガ | 松山弘平 | 牡5 | 58.0 | 47.1 | 12 | 美浦・ウッド・良(助手) 6F 83.5-66.7-51.6-36.3-11.2(強め) | 美浦・ウッド・稍重(助手) 6F 83.5-66.9-52.0-37.7-12.4(一杯) |
5 | 7 | シンエンペラー | 坂井瑠星 | 牡3 | 56.0 | 15.4 | 7 | 栗東・CW・良(坂井瑠) 6F 81.2-66.6-52.1-37.1-11.0(一杯) | 栗東・坂路・良(坂井瑠) 800m 52.8-37.9-25.1-12.4(馬なり) |
5 | 8 | オーギュストロダン | R.ムーア | 牡4 | 58.0 | 12.1 | 5 | - | 東京・芝・良(助手) 7F 98.3-67.8-54.1-40.2-13.2(馬なり) |
6 | 9 | チェルヴィニア | C.ルメール | 牝3 | 54.0 | 3.7 | 2 | 美浦・ウッド・良(助手) 7F 94.8-65.7-52.0-38.1-11.7(馬なり) | 美浦・ウッド・稍重(助手) 6F 83.8-67.9-52.8-38.2-11.7(馬なり) |
6 | 10 | ドゥレッツァ | W.ビュイック | 牡4 | 58.0 | 19.7 | 8 | 美浦・ウッド・良(助手) 6F 82.3-65.9-51.2-36.6-11.4(一杯) | 美浦・ウッド・稍重(助手) 6F 82.6-66.6-51.3-36.7-11.2(G前仕掛け) |
7 | 11 | カラテ | 杉原誠人 | 牡8 | 58.0 | 303.1 | 14 | 栗東・坂路・良(松若風) 800m 50.8-36.9-24.4-12.5(一杯) | 栗東・坂路・良(杉原誠) 800m 51.3-37.3-24.5-12.5(一杯) |
7 | 12 | ソールオリエンス | 横山武史 | 牡4 | 58.0 | 13.2 | 6 | 美浦・ウッド・良(嶋田純) 6F 80.4-65.0-50.4-36.6-11.3(馬なり) | 美浦・ウッド・稍重(嶋田純) 5F 69.1-53.0-37.7-11.2(馬なり) |
8 | 13 | ファンタスティックムーン | R.ピーヒュレク | 牡4 | 58.0 | 122.5 | 13 | - | - |
8 | 14 | スターズオンアース | 川田将雅 | 牝5 | 58.0 | 10.6 | 4 | 美浦・ウッド・良(川田将) 6F 81.3-65.1-50.6-36.6-11.3(馬なり) | 美浦・ウッド・稍重(助手) 5F 65.8-50.7-36.4-11.7(馬なり) |
脚質 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
逃げ馬 | 1回 | 1回 | 1回 | 19回 | 4.5% | 9.1% | 13.6% |
先行馬 | 7回 | 8回 | 7回 | 57回 | 8.9% | 19.0% | 27.8% |
差し馬 | 12回 | 8回 | 8回 | 110回 | 8.7% | 14.5% | 20.3% |
追い込み馬 | 0回 | 3回 | 4回 | 88回 | 0.0% | 3.2% | 7.4% |
枠順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 6回 | 5回 | 3回 | 22回 | 16.7% | 30.6% | 38.9% |
2枠 | 3回 | 0回 | 5回 | 30回 | 7.9% | 7.9% | 21.1% |
3枠 | 4回 | 1回 | 4回 | 30回 | 10.3% | 12.8% | 23.1% |
4枠 | 1回 | 2回 | 2回 | 34回 | 2.6% | 7.7% | 12.8% |
5枠 | 1回 | 5回 | 1回 | 32回 | 2.6% | 15.4% | 17.9% |
6枠 | 1回 | 2回 | 0回 | 36回 | 2.6% | 7.7% | 7.7% |
7枠 | 2回 | 1回 | 3回 | 44回 | 4.0% | 6.0% | 12.0% |
8枠 | 2回 | 4回 | 2回 | 46回 | 3.7% | 11.1% | 14.8% |
種牡馬 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ディープインパクト | 24回 | 23回 | 20回 | 138回 | 11.7% | 22.9% | 32.7% |
ハーツクライ | 15回 | 10回 | 9回 | 121回 | 9.7% | 16.1% | 21.9% |
ルーラーシップ | 11回 | 15回 | 8回 | 72回 | 10.4% | 24.5% | 32.1% |
ドゥラメンテ | 11回 | 8回 | 10回 | 38回 | 16.4% | 28.4% | 43.3% |
ハービンジャー | 10回 | 10回 | 3回 | 65回 | 11.4% | 22.7% | 26.1% |
キングカメハメハ | 9回 | 7回 | 2回 | 44回 | 14.5% | 25.8% | 29.0% |
エピファネイア | 6回 | 6回 | 6回 | 42回 | 10.0% | 20.0% | 30.0% |
オルフェーヴル | 6回 | 2回 | 5回 | 38回 | 11.8% | 15.7% | 25.5% |
ゴールドシップ | 5回 | 6回 | 10回 | 93回 | 4.4% | 9.6% | 18.4% |
キズナ | 4回 | 12回 | 9回 | 52回 | 5.2% | 20.8% | 32.5% |
ジャパンカップ2024 - 過去10年のデータ傾向
ルメールだけ見ると機会4戦全勝<=期間内3勝>、その他は後の顕彰馬が2勝というのでは、買いやすいということはない
負けた馬を挙げていくと、3連覇期待のムーア・ジェンティルドンナ、川田戻りでG1出走機会3連勝を期待されたラブリーデイに、連覇狙いのキタサンブラックと3歳時に2着も以降は不安定になったレイデオロ。
いずれも5歳で共通。
勝ったのは3歳は1度、4歳は3回で2着1回でパーフェクト連対。
分かりやすいと言えばそうだが、実質休み明けのオーギュストロダンと5歳のドウデュースに対し、まだ若いが斤量とルメールで人気が予想されるチェルヴィニア…。
どの馬にも死角があり、そういう狙いなら、天皇賞組が圧倒的有利なのは確かだが、5歳は最後に止まるという印象。
そうなると途端に、ここは穴狙いでいいとなって、大きな根拠を成しているとできる。
圧倒的天皇賞組有利の構図は、データが正確に測れるようになった1984年から大きく変化なしなので、根拠には乏しい
国内の芝向きで、もっと強い馬が登場するのが当たり前の秋の天皇賞組は、当たり前のごとく、物量で他路線を圧倒している。
とりわけ、すでにタイトルを2つくらい持っていると、ほぼただもらい状態。
ただ、アーモンドアイとコントレイル、三冠馬と同格以上に扱えるイクイノックスは、誰が出てきても人気になるし、理由もなく崩れるレベルの競走馬ではなかったから、この中でキタサンブラックが消えたであるとか、大雑把にその他に入る組の括りが細分化させるべきなのに、実質的に、ずっと前から強いと知られている馬に限るとなれば、もう、ドウデュースしか買えないではないか…。
しかし、G1勝ちのジャスティンパレスやソールオリエンスなどは、今回は人気になりすぎる理由が見つからないので、配分をドウデュースと同割にした時点で、リターンはかなりのところまで求めていける。
だから、そこを重視して、人気になる5歳のドウデュースは武豊でも少し軽視。
速い馬を探すレースではないから=秋天との相違点、宝塚記念からのトータルのマネージメントで、案外、有馬記念での関係性からも、大差ないのかもしれないと思っておいた方がいいだろう。
安定の買い目である王道路線組は押さえないという手がない以上<キタサンブラック絡みを除けばまず連対>、選ばないで単純に拾うだけという簡素化が向く。
G1馬を適宜押さえておき、ダノンベルーガのことだけ考えるというのがいい。
この馬だけは、実力が判然としないために、非常に扱いが難しいので興味を重視して穴狙いで厚めに狙う。
秋華賞組も買っておいて損はない
過去には、ジェンティルドンナとアーモンドアイしか勝っていないが、ファビラスラフィンはシングスピールと微差の2着、デアリングタクトやレッドディザイアも3着。
おまけにカレンブーケドールは重賞未勝利の身で2着で、その後も勝ち切れず…。
細かいことを気にせずに、斤量利のことだけを考えたら、リバティアイランドと比べる必要もなく、消えても構わないという狙いの手法で、チェルヴィニア軸に拘るかどうかではなくて、単に、いるというなら買えばいいだけだ。
消えたのはミッキークイーンやユーバーレーベン、秋華賞の人気では三冠馬にも劣らなかったビッシュなど、オークス実績で買われたというだけの馬は、少し注意。
ただ、カレンブーケドールが来るのだから、東京で崩れない馬は買わないといけない。
今年の該当馬は3戦全て連対で、クイーンCは4着のカレンよりも少なくとも買える馬である。
アルゼンチン共和国杯組が皆無となると、狙いはG1実績上位馬に限られて、すると、凱旋門賞組でも買えなくはないとなってくる
好走したのは、近年では、秋の天皇賞を前年独走Vのジャスタウェイの一頭のみ。
同時参戦のハープスターや外国調教馬も、本番が前走という設定であることで、基本的には調子を落としての出走。
ジャスタウェイは異例となる、安田記念優勝後の直行から、秋の2戦目ということで、基本能力のポテンシャルだけでエピファネイアに立ち向かった唯一に近い存在となれた。
ただし、今年のように、誰が行くのかわからないというか、どれが本当に伏兵として戦えるのかどうか悩ましい組み合わせの中で、距離適性などを踏まえて、簡単に先行できるようなタイプも見当たらず、意外なほど、不確定要素に溢れた一戦という様相。
前走掛かっていたジェンティルドンナが、鞍上変更で無理やり抑え込まれて、ハナの差ライバルを封じた連覇達成の例からも、前に行けそうな伏兵ではない候補は重要。
基本的にはスローであっても、追い込みの競馬になる事は想定の範囲内であるものの、ムーア騎乗だけに、オーギュストロダンの先行は期待できたとしても、ジキルとハイドが共存するタイプだけに、無難な立ち回りが本筋。
ならば、最初はそれより前で走っていたはずのレパーズタウンでは3着のシンエンペラーが、厳しい争いで出し抜けというより、駆け引きに敗れた濃密な争いを経て、走り切れなかった凱旋門賞で洗礼を受けつつ、ヴィクトワールピサや有馬で甦るきっかけを得たゴールドシップなど、得意な舞台と近い条件で崩れないという貴重な記録が重要となってくる。
ステイゴールドがよく走るレースではないので、凱旋門賞非参戦の時でもゴールドシップはいずれも惨敗だったが、6歳時は逃げているならば<=神の手を持つ横山典弘騎乗の年>わからなかったが、それをしないでくれという陣営の要望で手控えた年が、大混戦のショウナンパンドラ優勝の接戦のJC。
本当は前に行けるはずのジャスティンパレスやスターズオンアースがまた乗り替わりだから、主戦騎手の強みをここは存分に…。
前走から継続騎乗という馬が、過去10年で6頭…、というのでは心許ないが、タイトルの有無に関係なく、力のないものが振り落とされる構図のレースという点では不変。
ダービー3着というよりも、早期完成馬が多い欧州で、3歳の日本調教馬がアイリッシュチャンピオンSで好走したという事実を重く受け止め、この若き挑戦者を今年の日本総大将に指名したい。
ジャパンカップ2024- 出走予定馬の血統/成績/タイム
おい、シンエンペラーと坂井瑠星よ、リスタートのジャパンCなんて、軽く勝っちゃえよ、と言ってまた世界の檜舞台へと再び送り出してあげたい
シンエンペラーの血統
シンエンペラーを語る上で重要となってくるのが、その全兄であるソットサス。
この馬が、父シユーニの代表産駒であると同時に、ヌレイエフ直系の完全復活を後押しした、その血統的理由を説明しない限り、話を始められないのだ。
1980年のニューマーケットで行われた2000ギニーを優勝取り消し後、故郷のアメリカに戻って、初っ端からソヴィエトスター、ソニックレディ、そして、偉大なる母になるミエスクなど、メガトン級のエース級マイラーをまとめて一気に送り込んで、ノーザンダンサー系後継の一頭に早速名を残したところで、本流の芝向きでも、気持ちが続かないポーラーファルコンから連なる短距離型の血が、今こうして、世界のエース級が集う12F戦に挑んできたのだ。
直仔のピヴォタルも直線競馬専門の一本鎗タイプで、これが距離をこなす産駒を多く出したのはいいが、ソットサスとの間に繋がるシユーニは、早熟のおまけまでついたフランスの快速型で、一流に足らない実績ながら、連対の記録をデビューから続けたから、当地の2000ギニーであるプール・デッセ・デ・プーシャンの1番人気に推されて、ここで崩れてしまった。
勝ったのは、この間エリザベス女王杯を走った大型牝馬・ホールネスの父でもある当年二冠のロペデヴェガだった。
ところが、今年凱旋門賞で期待されたダービー馬・ルックドゥベガを送り込んで、ブルーストッキングに挑むまでに至らず、その前にいたのが奇遇にも日本のダービー・東京優駿3着馬だったシユーニの仔であるシンエンペラーだというのだから、よくできた話。
ロペデヴェガは完全北米型ではないマイルベースの欧州系で、そのままの感じが出ることで、このような展開になったと思われるが、速いところしか見所のなかったシユーニからは、泥田のロンシャンを制した凱旋門賞馬・ソットサス=デムーロ弟にとっても悲願達成 が出てきたのだ。
3×3がデインヒルだけでなく<この馬は偉大なるナタルマのそれ>、このファミリーの自身と近いところに散見される配合は、完全に欧州型であるが、ミスタープロスペクターと直仔のミスワキにもそのクロスが掛かることで、直接的な関わりではないが、ジャパンCでよく走ったオグリキャップ、凱旋門賞でも崩れなかったエルコンドルパサー、同じキングマンボからはレコード走のデットーリ・アルカセット、孫世代では顕彰馬のアーモンドアイなど…。
ヌレイエフの話というか、ミスワキからも騸馬のマーベラスクラウンであるとか、ジャパンCにまつわる話にミエスクが加わると、途端に幅が広がる。
単純に速いことだけが魅力ではないヌレイエフであることを、ペリエのパントレセレブルが示したすぐ後に、もうミエスクの孫であるエルコンドルパサーが死闘に挑んでいた。
全く以って、このレースには縁のないヌレイエフ系ながら、掘り下げれば下げるほど、実は、こうした底力比べで台頭の本格的な芝血統であると気づかされる。
日本より1年以上サイクルの早い欧米において、昨年凱旋門賞無敗制覇のエースインパクトが、凱旋門賞回避で話題になったカルティエ賞受賞のクラックスマンの産駒であり、この馬もガリレオ、デインヒル、ピヴォタルを共通して持ち合わせることでも、そんな配合でもダービーで3着で伸びてくるのだとすれば…、欧州圏の大物を討つのがディープやハーツとは限らないではないか…、という論法を建前ではない形で展開することは、まるで不可能ではないという感じがしてくる。
どことなく、海外遠征経験馬も多いせいで、欧州の大物もいて、普段以上に芝血統の重要度が増しているジャパンCになりそうな気がしている。
ジャパンカップ2024 - レース展開と最終予想
見どころなしだった凱旋門賞はさすがにノーカウントでいいだろうというシンエンペラーは、ドイツ国内とそれ以外とではまるで戦績が異なるファンタステックムーンと共に、次走にジャパンCを選んできた。
とりわけ、3歳で斤量利を得られる立場。
日本調教馬で初めて3歳の身でこのレースを制したエルコンドルパサーは、その次に続いたジャングルポケット<母父ヌレイエフ>と共に、古馬対戦済みの特殊なローテーションながら、ここで古馬相手に初勝利の偉業を、スペシャルウィークやテイエムオペラオーはいる中で、堂々とやってのけた。
いずれも東京のG1を勝っていたというのもあるが、ハイパーレコードのアーモンドアイに繋がるまで、その他ではジェンティルドンナのオルフェ封じに成功した例も含め、意外なほど、日本では想定しづらいというのもあるが、古馬の中距離戦を使ってきたグループが、それこそ、オグリキャップ<3歳時は3着>の時代から、圧倒的に有利というよりも、秋の天皇賞が古馬の真のチャンピオン戦になっていくことを見越した距離短縮の効果が当初から出ていたことを反映するように、エルコンドルパサーはサイレンススズカとグラスワンダーが出ていた毎日王冠、同期エアエミネムに敗れたとはいえ、ダービーの次に札幌記念を使われたジャングルポケットに加え、牝馬三冠からの転戦で連勝を伸ばした名牝は当然秋華賞と、面白いように、距離が短いところからの転戦で成功なのである。
ある意味、クラシック正攻法で三冠で挑んできた中1週シンボルドルフ、中4週でも結果あまり大差ないコントレイルらの方が、よっぽど苦しかったはずで、似たような形での挑戦のウイニングチケットやスペシャルウィークらの3歳正攻法で挑戦組が不発ばかりで、菊花賞好走でもダービーは連外しのザッツザプレンティやコスモバルクなどの方がいいというのは、いかに、菊花賞が厳しいかを示す確たる証明の材料ともなっている側面がある。
オグリキャップなど、2000Mまでが最長の経験であるから、ついにここで連を外すことになったが、翌年は勝ったも同然のレコード2着。
スペシャルウィークも前後して登場の無敗三冠馬は、ディープインパクトまで含めて、4歳時は決まって完勝である。
今年はその手の4歳が見当たらないから、ソールオリエンスがどこまでやれるかであって、血統的には鈍重すぎるダービー馬・オーギュストロダンが、日本では北米系の血を持つサンデーはチャンスがあるのだけれども…、という狙いの絞り込み方から、意外なほど、素直に推せる単純な本命候補は少ない。
見た目よりもずっと絞り込みは難しく、かえって、気が散るレベルの各馬の実績が、悪い方向でチャンピオンレースの質を低下させる可能性もある。
そうなれば、機敏でかつ、様々な経験も備えた斤量利のある3歳馬はいくらか有利。
秋華賞はさすがに駆け過ぎではあるが、圧勝なので何とか取り繕えそうなチェルヴィニアを抑えつつ、軸は、初めて本格的な雨馬場を経験するのが凱旋門賞本番だった<好走の4頭すべてが、ダービーの不良馬場や強烈な消耗戦の長距離重賞を経験していた>というシンエンペラーは、見た目から、タフそうな雰囲気はあっても、本質はもっとジャパンナイズされた血統馬らしい部分で、当地の道悪だと、距離そのものに不安があった可能性も感じさせた。
そこで補強材料が必要となってくるのだが、攻め過ぎのホープフルSと時計勝負に度合いが極端だった<結果的に世代レベルの高さを裏付けることとなった>皐月賞は不適として、肝心の12F戦であるダービーはどうであったのかというと…。
メイショウタバル故障回避で、スロー見え見えのところで、ダービージョッキーの名手たちが序盤から内枠を利して、静かな攻防の中で激しい駆け引きを行った展開は、全て勝ち馬のダノンデサイルの能力を引き出すに十分なアシストになった劇的決着の裏で、13番枠であった上に、隣のゴンバデカーブースが何やら取り乱した様子で、スタートした後も怪しい挙動で…。
おまけにモレイラのダノンエアズロックもスムーズに位置をとれないというところで、皆の思惑が1コーナーの嫌なごちゃつきを生み、ここで少し置かれて、それはリカバリーをスローの道中で果たせたものの、勝負所で有力馬が疲れ出す場面に及ぶと、途端に内で、前で理想のリズムに乗った連中に伍して戦うのが難しくなり、ここで決定的な差を開けられてしまうのであった。
勝ち馬のダノンデサイルとは微差ながら、上がりの数字は少しだけでも上。
ただ、約3馬身半ほどの差がついたのは、その影響と同時に、もっと差を詰められなかったという詰めの甘さもあったか。
ただ、その部分を勝負所での攻防で見劣っただけで、むしろ、初の海外のそれも休み明けで、かつ、10F路線のエース級が集ったアイリッシュチャンピオンSでは3着。
菊花賞3着外しの後のジャパンCでペリエと共に見せつけた府中巧者ぶりは、古馬対戦時の着順そのものは中距離戦での実績では問われないという3歳馬のこと。
いくらでもエルコンドルパサーやジャングルポケットに続けそうな雰囲気にある。
凱旋門賞にもダービーにも出ている3歳馬という意味では、不発の遠征に終わったヴィクトワールピサが、早速の帰国初戦で僅差の3着。
ブエナビスタの降着にも絡み、複雑な解釈できたこのレースも、ブエナビスタから不利を受けながら、ローズキングダムがヴィクトワールピサに先着していた関係で、間にブエナビスタが収まるというよくわからない裁定になった。<武豊騎手の戸惑いを隠せないインタビューは貴重なシーンとして記憶された>
解釈は今でも正確には出来ないし、判定の仕方もかなりの高難度であったが、ブエナビスタが勝っていたレースであったことだけは間違いない。
ただ、ヴィクトワールピサは有馬でブエナビスタを逆転している。
ジャングルポケットもマンハッタンカフェに菊で敗れたが、そのマンハッタンカフェは有馬でオペラオーを世代内での返り討ちにしてみせた。
皐月賞のレースレベルからして、ダービーも上位に来たグループはハイレベル。
現に、アイリッシュチャンピオンという取っつきにくい分野で、底力勝負を挑んで3着のシンエンペラーは、G1は勝ち切れていないが、こういう時にこそ、今までの経験が活かされそうだ。
実は、ほぼ1年前のデビューから、ダービーでちょうど6戦目。
秋はアイルランド、フランスであわせて2戦。
夏デビューのアーモンドアイも、9月デビューのコントレイルも7、8戦目がこのジャパンCだった。
エルコンドルパサーはアーモンドアイと同じ。
ジャングルポケットはキャリア形成がよく似ていて、2歳時に3戦、春3戦、それ以降は2戦で、ほとんどシンエンペラーは、後に続くようなイメージ。
ちなみに、2歳時4戦、3歳になってから5戦、降着の恩恵を受けられずのジャパンCが10戦目のヴィクトワールピサは、立て直しの時間が必要で有馬記念の後に調子が戻った印象。
メイショウサムソンやコスモバルクは強い古馬に挑み、結果の差は出たが、本番を勝っていない皐月賞2着最高もトライアルは2勝のバルクが、ここでゼンノロブロイの続く2着。
シンボリルドルフが9戦目であったことに、一つの壁がある。
勝てていないから、本番を制したことがないから、いっぱい走っていたホッカイドウ競馬のコスモバルクは、ここで本気を出せたのである。
でも、数は多すぎない方がいい。
3歳馬が秋デビューでこのキャリアで古馬の本格的な大レース参戦がもう2度目。
単純に、底力勝負で同期のチェルヴィニアを上回って何ら不思議なく、彼女が人気の一戦だけに、これを負かした途端、一気の戴冠も珍しいシーンではないというのがジャパンCだ。
何しろ、ここで自身初のタイトルを得たという馬が、国内調教馬では実に6頭も存在するのである。
騸馬のレガシーワールド、マーベラスクラウンに始まり、重馬場のタップダンスシチー、種牡馬して本領発揮のスクリーンヒーローと、間をおいて、層の厚い強い世代のシュヴァルグランと一昨年のヴェラアズール。
3歳馬にこのパターンは皆無だが、オグリキャップやコスモバルクがそうであるように、泥臭さを武器に戦う馬には、そのキャリアに惜敗が多かろうと、スター街道のど真ん中を進むクラシックウイナーよりも、即戦力という点で優位に立てるのである。
レース黎明期に、昭和の時代まであったグループワン<G1>での初制覇の記録を残し外国調教馬という存在は、南半球の大物制覇から始まった平成期以降では8頭すべて最低2回くらいは勝っていたという記録のある本物のG1馬ばかりで、穴こそ、本当にJRA所属馬ばかり。
数も減った歓待の外国勢は、久々のビッグネーム登場で盛り上がるが、本物もそうでなくても、掲示板の真ん中より下…、という現象は、シングスピールの年のエリシオ、スペシャルウィークの年のモンジュー、スペシャルウィークの娘であるブエナビスタが勝ち直した年のデインドリームなど、安定して継続の傾向。
いずれも本当に欧州血統であるために、頑張ってもどうなのか…、という感じであるだけでなく、上がり勝負なのに時計は速すぎた秋天組は、連対馬ほど怪しいという傾向もあり…。
結果、消去法でこの豪華メンバーのジャパンCの警戒を導き出したというだけの話なのだが、親心しては…、
「せっかくの挑戦を続けていく過程で、最初のタイトルがジャパンCなんて素敵じゃないか!」
感情的にも、シンエンペラーをここで推してみたい。
馬もそうだが、このチームに、そして坂井瑠星騎手に、今年一度ぐらい、真の意味での頂点に立つ歓びを味わってもらいたいと、その頑張ってきた経緯からも、心からそう願う筆者なのである。
縁あって競馬を研究し、競走馬を持つことにもなった藤田オーナーに対する、業界への貢献の感謝という意味も込めて、こういうジャパンCがあってもいいのではないかと、ちょっと、ダービーを見返してみて、単純にこれはご褒美で…、という秋の新バージョンが見たくなった。