ジャパンカップ2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ドウデュース(2.3倍)2着ドゥレッツァ(16.2倍)同着2着シンエンペラー(26.8倍)

レース名第44回ジャパンカップ
日程2024年11月24日
優勝馬ドウデュース
優勝騎手武豊
勝ちタイム2:25.5
馬場
3連単配当3-7-10→22,390円
3-10-7→18,940円

ジャパンカップ2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
13ドウデュース2:25.5-
27 シンエンペラー2:25.5クビ
210ドゥレッツァ2:25.5同着
49チェルヴィニア2:25.92 1/2
54ジャスティンパレス2:26.0アタマ
単勝3230円
複勝3150円
複勝7470円
複勝10340円
枠連3-5320円
枠連3-6190円
ワイド3-7980円
ワイド3-10800円
ワイド7-102,990円
馬連3-71,510円
馬連3-101,150円
馬単3-71,890円
馬単3-101,540円
3連複3-7-1012,230円
3連単3-7-1022,390円
3連単3-10-718,940円

ジャパンカップ2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「期待に応えたい気持ちが強かったので、ホッとしています。ペースが遅過ぎて馬が全力で走りたがっていて、抑えるのに苦労しました。動きだしは早いかと思いましたが、持つんじゃないかと思って自信を持って行きました。天皇賞、ジャパンCと勝てて、この馬の走りができてうれしいです。世界を代表する馬が来てくれて戦うことができてうれしいですし、勝てたことはさらに価値があると思います。無事なら有馬記念が最後でそこで引退と聞いています。何とかいい最後を、と思っています」

※優勝した武豊騎手のコメント(ドウデュース)

ジャパンカップ2024 - レース結果動画(YouTube)

ジャパンカップ2024 - 回顧

ドウデュースの血統

ハーツクライが敗れたジャパンCを、これで産駒が3勝したことになる。 勝ったのはキングマンボ産駒のアルカセットだった。 ハーツクライが敗れたダービーを、産駒として2度目の制覇を果たしたのもドウデュース。 ダービーで敗れたのはキングマンボ産駒のキングカメハメハ。 いずれもレースレコードで力負けであった。
ドウデュースにはダンシングブレーヴのファミリーであるという強み以上に、強烈な後傾ラップに対応できる北米系のスピード能力を、芝仕様にだけシフトできる友道調教師と武豊騎手という、極めて特殊なアシストができる東京長距離戦向きのパンチが利いたバックアップがある。 昨年のイクイノックスのように、凱旋門賞の馬の血を重ねられたような強くに出られる要素はなくても、こうした舞台で距離適性以上の何かを求められる舞台でこそ必要なものは、自身がそのスピード能力で、人間の側には、その才能の消耗を防ぐテクニックに長けている部分があった。 スピードを小出しにしない欧州系の馬ではなく、日本調教馬の欧州遠征組が僅差に迫った辺り、その際どい展開に全て適応できる可能性を準備していなければ、血統的見地では足らないという配合特性がある。
明らかに速い馬なのだが、晩成であるというハーツクライやその母父トニービンの性質を利用し、しっかりと長距離仕様に作り変えることに長けた才能の持ち主、一定の馬格に耐用性などの個体の能力が全て合致した時、あり得ないところから差してくるドウデュースを目撃するに至ったのだと、血統的見地からは解説はできるが、単純に、晩成の父系のイメージ通り、ダービー馬といっても、今こそ絶頂期に達したのだと、今にしては思うのである。 極めて簡素な説明で、この勝利の解説は可能なのであろう。 得てして、一生懸命走ったダービーより、大人になったジャパンCの制覇時の方がタイムが遅いということは多いもの。 有馬記念ではキャラの違うダービー馬の対決になる。

何から説明すればいいのかという感じにもなるが、出来が悪いようには見えなかったキングジョージ快勝馬のゴリアット=スミヨン騎手が、鞍上のキャラからしても、行っても不思議なかったところで、シンエンペラー=坂井騎手が端を叩いた。
恐らくだが、百戦錬磨の矢作調教師のこと。 自分を活かすために、他を誘う先行を敢行するように、愛弟子と作戦を立てたとおりに組み立てることに、ほぼ成功であったのだろう。 ただ、勝ち切ったという大レースの数が、他の欧州出身や生え抜きらとも明らかに差があった。 間違っていなかったのに、負けてしまった。 惜しい敗戦、2位同着であっても、意外と惜しくなかったのかもしれない。 馬の能力が出し切ったし、若い時期の海外遠征も、かつてのヴィクトワールピサのように、即効性のある能力値向上に役立てることに至ったが、アドヴァンテージが欧州勢より合ったというだけで、まだ総合力が人馬に足りなかったということだろう。
ただ、敗れた相手は年上のクラシックホース。 まだまだ、挑戦は始まったばかりという点で、ほぼフォーエバーヤングと同じレベルになれたと、今は胸を張っていいはずだ。 いい意味での、前向きな反省をすることで、馬ももっと強くなれる。
休み明けだったドゥレッツァは、さすが同じように休養明け、それも一頓挫あったあとのスターズオンアースをしっかりと走らせたビュイックであることを称賛するとともに、熱中症でぶっ倒れそうになった天皇賞から、見事に立ち直った。 鞍上はもうロイヤルブルーがよく似合う男にまで上り詰めたから、何も特段の注釈は必要ないが、奇しくも同じドゥラメンテの仔。 ビュイック騎手に合っているというよりも、反発力がある血統ということなのだろう。 アーモンドアイのロードカナロアといい、キングカメハメハは憎たらしいほどに、ディープインパクトと好敵手である。 チームワークを含め、素晴らしいジャパンCとなったと、まとめて称賛をしてあげたい。
それにしてもだが…。 前回はスペシャルウィークというよりも、サクラチトセオーや近年ではディープ産駒のスピルバーグなどのような直線一気であったドウデュースは、今度こそ、武豊駆るスペシャルウィークの再現であったように映った。 ディープインパクトを走らせるために必要なスキルをアシストするために、この時の経験が明らかに活きていたという感じもあったが、終いに集約して、直線でまとめて相手の面倒を見てしまう型を、他のスピード能力はG1級という馬で、毎度定番化させる武豊流で勝たせてきた実績からすると、時計レベルがディープやその前のスペシャルと同じ、もっと言えば、コントレイルや自身で勝ったキタサンブラックの時とも似ているスピード能力の質の程度を見極めるというテクニカルの部分で、恐らく、この天才の思惑通りに事がすべて運んだのだろう。
スペシャルウィークとこのレースを初制覇をする過程で、後ろに人気も譲ったモンジュー=凱旋門賞優勝からの連戦、アイルランドの至宝・マイケル・キネーン鞍上を置いて、動き出しの自由を奪ったことを、ディープインパクトで勝った時に好走のウィジャボード<鞍上は天才デットーリ>も似たように、動きを封じる仕掛けで、その合体が、少しだけ動かす形をとった、絶妙な仕掛け。 差し馬を封じつつ、本音の部分で、前を面倒見るために、動きを急かす意味合いがあった仕掛けでもあった。 即ち、ドウデュースと武豊の黄金コンビは、最初からレースを牛耳っていたのである。 我々世代は、こんなレースを散々見させられたので、すっかり飽き飽きしているはずなのだが、あの有馬記念の人馬の復活劇と合わせ、若い世代と一緒にワイワイ…、武豊がいかにイジゲンであるかを、上位に来たビュイック、ルメール、クリスチャンに見せつけるだけでなく、欧州勢に、俺を誰だと思っているのか、と、少しだけ変化球攻めの内容で、中身で圧倒なのであるから、皆がひれ伏すしかない。 筆者も、申し訳ございません…、としか言えないのである。
ドウデュースに成長力があったが、何よりも、スピード能力の減退が、2歳王者にしては破格のレベルでキープされ、極端な馬体のマッチョ化はあったものの、血統の本質で、速さを武器にしている配合的特性の影響はあったものの、アーモンドアイなどのように、少しだけでも体質面で、筋力を柔軟に使いこなすことで、トレーニングに少しだけ幅を広げられる=少しだけでも適性の幅を広げられるような、父譲りの成長力があったことが、これにより、如実に証明されたことになる。 とはいえ、この着差。 普通の騎手では、この結果はまず導き出せなかっただろう。 何となく、長年の盟友である横山典弘騎手が、どうもドウデュースのことが好きらしいようだが<無論、どこかで横取りを狙っているが、武豊の馬であることを誰よりも深く理解している>、この人が三度ダービーを制するに至ったのは、あの有馬記念があったからに違いないと、変な形で納得する筆者であった。
前につけたソールオリエンス、スターズオンアース、チェルヴィニアを相手に組み立てる正解を導き出したが適性及ばずのオーギュストロダンなど、鞍上が深く考えた思考の末導き出したベストライドは、これに隠れてしまったものの、スミヨン騎手のゴリアットだって、一生懸命に抵抗しているのだから、みんな乗れていたはずだ。 ただ、距離適性の正しい、欧州遠征組が、しっかりと抵抗したことでも、戦えたという馬が少なかっただけだった。
速い馬はいなかったから、自分で何をするべきか、最適解を導き出し、恐らくは、着差の推測まで精緻に行って、その通りだったからこその1勝は重い意味がある。 武豊騎手でなければできないJC制覇を目撃できる価値は、何にも増して、過去の4勝の比ではない。 敢えて、今更ながら、最敬礼でこのレジェンドに畏れ多くも、称賛を言葉を送るのみである。 ユタカ、ハンパないって…。 世界中の誰もが、あれだけ掛かりかけたドウデュースを抑え込むことはできなかったはずである。