ヘイルトゥリーズンクロス<同系配合の功罪> / 最新・血統セミナー
ヘイルトゥリーズン系産駒の適正・傾向と馬券対策
先日、サクラゴスペルがオーシャンSで復活勝利を挙げた。 父は同冠号のプレジデント。キュアザブルースを母父に持つ一風変わった配合の馬だ。ホクトヘリオスはそれと同じヘイルトゥリーズン直仔のパーソナリティ産駒。この系統は、四半世紀以上日本競馬に影響を与え続けている。
5歳2大巨頭の一角・エピファネイアは、ヘイルトゥリーズンの同系配合馬の代表格。 日本で走った馬同士の配合で、母も少し古い言い方をすれば(父)の馬。秋天レコードの血脈で、ダートで行われる世界最高賞金レースへの参戦することは、至極当然にして、大きな意義を持つ。
少し前だと、三冠牝馬・スティルインラブ。産経大阪杯2勝など活躍して種牡馬になったサンライズペガサスやメイショウマンボもそう。 今年の3歳には少ないが、いちょうS2着のネオルミエールなんかもいる。 基本形は、ロベルトとヘイローの組み合わせで、ヘイルトゥリーズンの強めのクロス(特に3×4)がメジャー。
昨年は、この同系配合からダービー馬も誕生した。第81代目はワンアンドオンリー。父も母父も海外のタイトルを持つ国際派のヘイロー系種牡馬だ。ダービーといえば、タニノギムレット産駒連覇を逃すもディープスカイに肉薄したスマイルジャック。菊花賞馬・スリーロールスも忘れてはいけない。 バブルガムフェロー産駒のアーリーロブストが、ヘイロー系同士の配合で最初に牡馬クラシック路線で注目された馬。 ウイングレットは、タイキシャトルとサンデーの掛け合わせで、気性難の方が強く出た。牝馬の成功例は多くない。
流石にロベルト系同士は少ないが、セイウンワンダーは凝った配合で、母父サンデーの母母父リアルシャダイ。 今復調気配のアルフレードは、父シンボリクリスエスがサンデー牝馬との組み合わせでやっとこさ作れた芝のトップホース。 2頭とも良血馬だが、同時に脚元にミソがついた。 インブリードの罪は、永遠なる課題との対峙という罰を我々に突き付ける。 時に、大いなる仕事をする名種牡馬に育つ才能が、得てして血をクロスさせることで開花する場合もあるが、それは同系配合ではない。
サクセスブロッケンは先述したエピファネイアと同じく父はシンボリクリスエスで、その初年度産駒。が、3歳春の芝の重賞を制したカップルから、牝系のダート適性が父のパワーと一緒になったことで、高速ダート向きの馬として育った。サンデーの血の効果は乏しく、ダービー出走も思い出作りだけだった。
これらのうち、どれが生き残っていくのかは、正直わからない。 ヘイローとその仔サンデーサイレンスが、友達が多くて、身内にも寛容。 ロベルト系は、相手どうこうより、自分自身の性質を出さないと味が出ない。
ブライアンズタイム初期の産駒は、ノーザンダンサー、ミスプロ、ブラッシンググルームの肌からスターホースが誕生したが、タニノギムレットの母父はクリスタルパレス。目立たないのが吉はその他の産駒の特性。 ただ、最後はサンデー頼りで統一される傾向。ロベルト系×サンデー(系)が、当面のトレンドであることに変わりなさそうだ。
ロベルトのクロスは、直系に掛かればパワーが増強され、最近激増しているヘイローの場合は、重厚な配合に添付させることで、機動性が向上する。その父ヘイルトゥリーズンだと、直仔の性質をバランスよく引き出すが、どれもサンデーが入っていないと効果は小さい。 ノーザンダンサークロスとは比べて質の差が大きく、多重クロスは好ましくない。
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