天皇賞(秋)2015 予想
今の時代、速い馬を作ろうとは思っても、バリバリのステイヤーを作れるような素材はないから、ある意味、無理やり距離をこなさせようと準備したところで、先週のような、まあ落としどころとすればこんなところか、などと思える結果はそう毎年出るわけではない。
実力があればこそ…。
ダービーのレベルが高い年は、必ず秋の時点から古馬のタイトル争いで互角以上の競馬をできることは立証されている。
加えて、秋の天皇賞というのは、菊花賞という少しとっつきにくいけど同期同士で戦える利点を活かせる競馬とはまるで別の性質を持つレースだから、元気が良くて、世代を代表するレベルの能力があれば、古馬相手ではまだ足らないだろうと思われても、昨年はそういう評価ではなかったけど、イスラボニータが3着している。
フェノーメノやダンスインザムードも、ジェニュインもそう、古くはオグリキャップだって2着だった。
また、フェノーメノ、イスラボニータらの1番人気に関しては、バブルガムフェローやシンボリクリスエスの鮮烈な勝利シーンを皆が意識しているからこその支持だと推察される。
そこに、ダービー馬のディープスカイも入ってくる。
斤量2kg差は、凱旋門賞でのアドヴァンテージほどではないにせよ、3歳馬にかなりの利点を与える好走要因になっていることは間違いないだろう。
ただ…。
実力だけなら、すでに古馬を上回っているかもしれないサトノクラウンは、丸々5か月の休養明け。
秋のGⅠは、時に休み明けの馬が激走して歴史的シーンを競馬史に紡いできたのも厳然たる事実だとはいえ、実力馬も休み明けならともかく…、であるから推しづらい。
それとスケール感では気持ち劣るかもしれないが、すでに古馬との対戦を済ませているアンビシャスが、幸運にも中2週でこちらに回ってこれた上に、2番枠を引いた強運もあるから、奇しくもすぐ外に入ったサトノクラウンとの初対戦は、かなり有利に戦えるのでは考え、逃げ馬の作れるペースに限界があることも含め、古馬一蹴を期待する。
その逃げる目されるエイシンヒカリだが、今回は結果的には、昨年のアイルランドTくらいの逃げになるかもしれない。
スピード馬が増え、シルポートの特異なハイラップは置いておくにしても、近10年で逃げ粘って好走したのは、レコード決着時のダイワスカーレットただ1頭。
逃げ馬のスピードを最大限活かすには、単に引き付けるだけではなく、自分のペースに巻き込ませることも重要だということ。
賞金面もあってか、この後のレースとは存在価値がどうなのかと思われるような年もあれば、今年のようにここが目標の一つである馬が多い年もある。
逃げるのは間違いないのだから、遅い先行策は自滅の第一歩。
それをできるかが問題�なのだが、気難しさがある割には、意外と早くイーブンペースに持ち込まないといけない性質があるから、周りはそれを放っておかないような気がする。
ある程度までは粘れると思うが、500kgの馬の割に、豪快さに欠ける部分はある。3番手まで。
出るか出ないか。
いや、それはデムーロもそうだからな。
大問題はあっても、時として鮮やかすぎる手綱捌きをみせる可能性も同時にある。
エイシンフラッシュの時も、イン強襲は完璧であったが、翌年のJCは抑え込めずの下手な逃げに出て、レースを壊してしまった。
よし、今回は勝って壊してもらおうじゃないか。
ディープにエルコン、母母父レインボウクエストの代表産駒はサクラローレル。
無骨さをここまでは見せてこなかったアンビシャスは、実はGⅠを使われることで才能が開花するタイプだと思う。
だから、M.デムーロは適役なのだ。
相手には、パワー勝負に持ち込みたいイスラボニータ。今回は、問答無用でエイシンヒカリを競り落としに行くはずだ。