ジャパンカップ2014 回顧
祭りが終わった。完勝のエピファネイア。2着はジャスタウェイと福永祐一。
そこには色々な意味で、この4馬身差の間に悲喜こもごも、様々な感情が渦巻いていた。
前走・秋の天皇賞の内容からすれば人気になりすぎている気もしたエピファネイアだが、万雷の拍手を独り占めするに余りあるパフォーマンスで、ゴール後は少しみんな引き気味だった。
日本にはこんな馬がいる。凱旋門賞勢も秋天好走組も陰の存在に甘んじた。
私見の未熟さとともに、トレヴ的存在を日本で目撃できたことに、大いなる経験になったという自負はある。
しかし、凄かった。エピファネイアは。
負け癖のついていたそのトレヴ的存在は、極端に人気を集めた組の過剰な支持をあざ笑うかのような走りで世界をジャックした。
何故だかこのレース、菊花賞馬がやたらと好走する。
デルタブルースやザッツザプレンティというアンカツコネクションや、オウケンブルースリなどがそう。
長距離戦線の決め手比べに慣れすぎると、ここらで墓穴を掘るという構図の現れなのだろうが、真意は不明だ。
勝ち損ねた4年前の忘れ物とともに、鞍上・スミヨンは三連覇阻止への執念は、並々ならぬものがあったのだろう。
父シンボリクリスエスは2年連続1番人気で3着だった。
掛かる癖をどう味方につけるかが鍵ではあったのだが、愛息のその走りは、想像を遥かに超えたものだった。
それにしても、強烈な競馬だった。1000M通過59.6秒は平均的。
そんな流れを前記の通りに、掛かるのを抑える最も前の地点での折り合いをつけることを選択したスミヨン騎手の判断は、明らかに理にかなったものであった。テン乗りの強みとも言える。
変に先入観がないから、とっとと前を捉えて、菊花賞の時のような直線独走のゴール。
でも、やっぱりジェンティル陣営が敗因にも挙げたように、タフな馬場コンディションを味方につけたことが大勝の第一要因であろう。
それも菊花賞と同じだった。
だから、福永祐一はよく知っているからこその「こん畜生!」と、「やっぱりな」という両極端な感情が交錯するレース後だったはずである。これが最終レースだったことも、何の因果か。勝てたはずのレースで負けたというのは、多いように意外と少ない。悔しくなきゃいけない。
本命にした人も含めて、誰もがあそこまで走るとは思っていなかったから、とりあえず唖然として笑うしかなかったわけだが、これには称賛の言葉しか与えようがない。いい競馬をありがとう。
あとは、ハープスターに何もないことを祈るのみ。この日のハープは、札幌記念の時くらいに小さく見えた。