大阪杯2019 予想
年が明けてからも、4歳世代の勢いは止まらない。
先週も完全に有力2頭が力出し切れずの展開だったにもかかわらず、勝ったのは結局4歳馬だった。
康太騎手に急遽手綱を渡すことになったステイフーリッシュとて、思い起こせば、世代最初の中距離GⅠであるホープフルSの3着馬。
皐月賞馬もダービー馬もいるし、残りのキングカメハメハの孫2頭も古馬タイトルをゲットした素晴らしい才能の持ち主。
そういう時こそ、エアウィンザーやサングレーザーにチャンスがあるという見解もあれば、キセキには展開上の優位性を強調する向きも当然ある。
しかし、残念ながら、勝ち切る能力というのが5歳以上の世代との差だとすれば、少なからず、根幹距離GⅠにおける最大の死角が古馬陣にはあると見ることができる。
焦点は血統面にもある。
先述のキングカメハメハの件には、大阪杯の呪いのようなものがあると言われる。
人気になったラブリーデイや後にグランプリホースになるミッキーロケットが現に負けている。
今年はそれが多い。
4歳馬で入っていないのは、母父フォーティナイナーのエポカドーロだけであり、5歳以上でもキセキ、ダンビュライト、ムイトオブリガードにもしっかり組み込まれている。
ただ、ディープだって勝ち切っているシーンはあまり見られないし、阪神2000らしいパワー勝負への対応力が、いつも要求されると考えた場合、有馬記念の時のような上位独占もまた起きるだろう。
ブラストワンピースはその中では異質となる、ノーザンダンサー系×キングカメハメハという配合。
母系は近いところでは、長距離戦で活躍したアルナスラインがいて、血筋の源流に近いところにいるサンソネットが、一つ上の兄にフェアトライアル、その直仔にはテューダーミンストレルという点に止まらず、従姉妹のマムタズビゲムはネアルコとの間に生まれたナスルーラが世界の競馬史に革命を起こすことで、名馬の血統表に必ず登場する名繁殖牝馬になっているという世界的名血の継承者なのだ。
キセキもワグネリアンもエアウィンザーにしても、限定的な範囲における繁栄を遂げた牝系であることと比較すれば、ブラストワンピースという名のサラブレッドは、血統書の重みからしてまるで違うということになる。
ただ、問題がないわけではない。
ハービンジャーの産駒はこれまで、平地重賞を20勝、古馬も出走可能のレースも6つ制しているのだが、4歳以上になって勝っている馬は2頭、わずか3勝のみなのだ。
うち1頭はディアドラ。
GⅠに関しては、かなり極端にここまでは秋の主要タイトルの4勝にとどまる。
無論、秋が合うということではない。
菊花賞は負けているブラストワンピースが、有馬でこそというのも、小回りを使わずにそれまでキャリアを重ねてきた経緯も踏まえれば、当然的外れ。
ハービンジャー自身と違い、その産駒は概ね、サンデー系よりもずっと早熟なのである。
今年の2勝は3歳馬。
ディアドラがどうなるか、アップした時点では何もわからないが、何しろそこにはアーモンドアイに、地元の強豪もいる。
ただ、これも死角ではない。
前身の産経大阪杯と、GⅠ昇格後の2年で、特段の勝ち馬の性質に変化は見られない。
比較的早い段階から結果を残し、その時点での完成度合いで、他のライバルを制するという構図。
有力馬ほど休み明けになる構図はずっと変化しないのだから、叩かなくても能力全開のブラストワンピースのこれまでの実績は、とても有利だろう。
加えて、日本で走ったノーザンダンサー系は、ノーザンテーストの産駒を除き、中長距離型ならばオペラハウスの両巨頭であるテイエムオペラオー、メイショウサムソンや、最近はフランケル産駒のソウルスターリングなど、早めに仕上げてしまうと、その後は伸びしろがないという傾向は、力勝負をするタイプの系統だけに、サンデー系以上にはっきり出るのだろう。
本物は4歳になってから強くなるというスタンスを、もしも盲信し続けるのであれば、案外仕上がりまで時間を要するキングカメハメハのような成長曲線を理想とすればよい。
しかし、サイクルがより早い欧州のトップホースが、自身がそれを裏切りながらも、産駒は人間の作ったリズムの通りになっているのだとすれば、早デビュー、早期完成のロールモデルを完成させようとしつつある社台グループにとって、これ以上ない成功例となるだろう。
今後は分からないが、今のところはブラストワンピースが一番強いと思われる。