菊花賞2015 予想

マッサビエルに期待する。

前走の内容は、あまりにも悲惨で見せ場全くなしの13着。

今回だって14番枠だから、やれることが限られるのは間違いない。

そうなると、3歳春の時点で東京の2400Mで古馬を打ち破った実績や父のハービンジャーや母父サンデーサイレンスというよりは、そのもう一代向こうに光り輝くように鎮座するGⅠ5勝の女王・メジロドーベルの京都に対する適性など、夏になるまでは金看板として使えていたバックボーンに由来する確かな根拠を引き合いに出しておけば、菊花賞という3歳限定戦の中ではまだ持ち堪えることができる程度の推し材料にはなるだろう。

しかしだ。

先週も去年のデジャブの秋華賞だった。高速決着になることは容易に想像がつく。

芦ノ湖特別とコンマ1走破時計を更新しながら、一方は楽勝で、もう一方は多重苦があったとは言うものの惨敗だったのである。

これは、どうしてもネックになる。

でも、筆者はそう思っていないから、本命にしたのだ。

極めて端的に表すならば、ダンチヒ系だということ。

気難しいマイル以下に向きそうな性質といったイメージは、90年代にすでに、その直系の孫にあたるチーフベアハートがアメリカの実績通りくらいにJCで4着していたから、高速化が進んだとはいえ、その仔が春の天皇賞を勝った時点で、もう前時代的な発想となっている。

加えて、ハービンジャーの父ダンシリは凱旋門賞馬・レイルリンクも出しているように、自身のマイル適性も伝えつつ、その母父にあたるカヤージ(中山GJ3連覇のカラジの父)の父系・ニジンスキーのラインが継承する長い距離におけるスピード決着への対応力を体現し、成長力に富んだ、ある意味日本人好みの血脈の後継者で、自身もそのように大成していった。

確かに、東京、京都で極端な速い決着は苦手であろう。

上がりが速すぎるのも当然不得手とする条件だ。

しかし、マッサビエルに感じる可能性は、じっくりと構えつつ、消耗することなく三分三厘から仕掛けていったときに、最後の最後まで絶対に挫かれない勝負根性とそれに伴って引き出される確かな末脚が、かなり大きなところを目指せるだろうものだと思うのだ。

2400Mで2分28秒台でしか走れない馬は、当然のことながら、すぐにダービー、ジャパンカップで即通用するわけがない。

言わずもがな、それが日本調教馬であれば当然そうなる。

でも、昨年のトーホウジャッカルが、もしかしたら神戸新聞杯も勝てたかもしれないという内容でトライアルを乗り切って、本番も不世出の馬のように思わせるほどの時計で駆けてしまう能力が、事前に走りの中で判然としていたかと言われれば、それは嘘になる。

今年は、リアファルがいけばスロー必至、それ以外が行けば先週の再現もある。

皐月賞、ダービーとも逃げが不発だったスピリッツミノルも今回行ききれれば、平均ペースくらいは作れるだろうし、逃げに賭ける時はスローにはしない横山典弘騎手のミュゼエイリアンのハイピッチの逃げも今回はありうる。

距離不安のある人気馬が多く、仕掛けが遅れる場合、それが伸びきれないのはほとんどが、超スローかその真反対の展開かのいずれかだ。

外から差してきたことしかないマッサビエルにも、ロスする不安がある枠の不利と同時に、昨週見たような末脚比べでの力の出し惜しみがない有利さはある。

叩かれて、内面も一変していることを祈る。

相手は先週までの流れが簡単に途切れるとは思えないので、父の代表産駒のもう一頭のベルーフがいいだろう。サッカーボーイの一族には、淀の厳しい競馬が似合う。

ダービーパスの効果を見定める意味で気にしたいブライトエンブレムがその次。

同父の上がり馬スティーグリッツと変なところから煙が立って注目される名手跨るレッドソロモンと同列で、神戸新聞杯好走の2頭を押さえる。

両者とも、京都替わりが特段のプラスとは思わない。