皐月賞2019 予想
先週の桜花賞に、かつてのウオッカ・スカーレット時代が始まった春のことを思い出しつつ、名馬の死を悼んで間もなく、今週の皐月賞には、1976年、当時まだ頻発していた労働争議物別れの末のストライキ発生で、東京開催になった伝説のTT対決初戦の導線にやや似ている想定表だ、と勝手に脚色をつけて盛り上がる、実に節操のない筆者。
西の王者が東京でも中山でも連勝を延ばし、それを5として、断然人気で挑んだテンポイントに対し、東で密かに力をつけ、初のオープンクラスがこの皐月賞だったのがトウショウボーイ。
テンポイントは、2000Mで2歳チャンプとなったサートゥルナーリア。
トウショウボーイに関しては、今年は当然ダノンキングリーしか役に足る存在はいない。
しかし、そのダノンキングリーは、旧バージョンのテンポイント的存在のアドマイヤマーズに土をつけた男。
その伏線は何なのか。血統図を探っていくと、意外にして、衝撃的事実に気づかされることになった。
・トウショウボーイと3代母ロヴィンタッチ<Lovin Touch>との関係性
73トウショウボーイ<76皐月賞(東京)①、ダービー②>
父テスコボーイ 母ソシアルバターフライ<父ユアホスト>
クロス:ハイペリオン3×4/ブレニム5×5/ブランドフォード(6×5)×5/ファラリス(6×6)×5
80ロヴィンタッチ
父マジェスティックプリンス<69米二冠、ベルモントS②>
母フォレストプリンセス<父フリートナスルーラ>
クロス:ネアルコ4×4/49ユアホステス≒48マイホスト3×3<アリバイ×ブドワール4×4>→全兄弟47ユアホスト/マムタズビゲム5×4/ブレニム6×(5×5)
詰まるところが、似たような配合。
これにより、兄がダノンレジェンド<父マッチョウノ>であることの懸念や、叔父も米ダートトップホースであったウエストコースト<父フラッター>だという点も、あまり気にならない。
先週は母父タピットのディープ。今週はストームキャット肌のディープ。
母方にトウショウボーイが入っていると仮定した場合、主流血統偏在にいいアクセントになるインテント系のオーナーアンドグローリーの存在が、ストームキャットの良さをより引き出す可能性にも考え至る。
欲しいところに手が届く配合。
加えて興味深いのが、5代血統内に入った主要国における第一冠制覇の種牡馬の多さ。
主だったクロスの入った馬も含めると、
・牡馬第一冠優勝
USA
50ネイティヴダンサー
64ノーザンダンサー
66マジェスティックプリンス
70セクレタリアト<勝ちタイム1:59.4を含め、現三冠戦全レコード保持者>
86サンデーサイレンス
GB
54クレペロ
65サーアイヴァー
JPN
02ディープインパクト
列挙した8頭全てが、二冠以上でかつダービー馬。
簡単な話、アメリカンなイメージから脱却していないようで、現在にも通じる、正しい歴史を刻んできたレースを制した名馬の血が、ダノンキングリーには沢山含まれているというバッグボーンは、殊、クラシック戦における最大の武器、なのではないかと。
3代母にトウショウボーイの影を見て、日本とアメリカの三冠馬の血が、父と母に組み込まれているということ。
その三冠馬がセクレタリアトやディープインパクトであり、スピード革命を起こしたという軌跡が、記録として今も残されていることに、大きな意義がある。
前記のグランアレグリアに関する配合面の共通項は、先達て復活GⅠVを成した17皐月賞馬・アルアインと繋がる、母父シアトルスルー直系の三冠血脈とも、このダノンキングリーはベースの上で成り立つ。
血統が全てではないとする一方、最近、桜花賞ではディープが勝てず、代わって皐月賞をよく勝つようになった傾向からも、何かワンピース加わったディープの、2000Mにおける本質的な適性で、他を制するのが自然な流れとなっているのではないか。
ディーマジェスティは母父ブライアンズタイム<ナリタブライアンの父>、昨年覇者は三冠馬・オルフェーヴルの初年度産駒。
今日本競馬が欲している三冠馬の血で、ロードカナロア×シーザリオという現国内最強配合のサートゥルナーリアを、見事に封じ込めてもらいたい。
ウオッカとスカーレット、テンポイントとトウショウボーイも、4歳シーズンまでガッツリやり合った。
新たなライバル対決が始まる舞台に、第一冠戦は相応しいことを、まずは結果で示してもらおう。