天皇賞(春)2020 展望
過去10年で、日経賞の後のレースを使って本番を制した馬は、<産経>大阪杯組しかおらず、少し前のスズカマンボでも、ハーツクライと複数回接戦の実績があった重賞馬で、今のトレンドとしては、少し間を開けてでも万全の状態で臨むのが相応しいというのが、ごくごく当たり前のようになってきたと思う。
フィエールマンが今年も休み明けで参戦する公算が大きい。
冬のレースからなら、春の方が使いやすい状態にいくらか持っていきやすいので、秋に燃え尽きた馬がギリギリ間に合わせて登場の展開とはかなり違ってくる。
京都記念からはビワハヤヒデの時に成功した例がずっと残っているから、昨年と同じ事をできる保証は何一つないにしても、そのスタンスが合うとすれば、フィエールマン軽視の一点張りでは損である。
さて、魅力的なのはあくまで正攻法で挑戦しそうな長距離重賞組。
ユーキャンスマイルがスマートに走ることを条件に距離をしっかりと古馬になってからもこなせているから、レインボーラインでも何とかなったんだから…、という理屈は成り立つ。
鞍上もその時と同じ岩田騎手だろう。
キセキが参戦不透明となったと同時に、阪神組では彼が一番手。
あとは、日経賞の乱戦をこなした好走馬がいいのか、消えた組がいいのかの選択。
菊花賞連対馬より、そこで負けた後強くなった馬の方が向くというセオリーを踏襲したならば、ローテは詰まるが、ミッキースワローも侮れない。
もっと怖いのは、今までは何がしたいのかよくわからないけど、とりあえず、エンジンがすごいと褒められて育ってきたモズベッロが、少しずつ、人間側の都合に適応するようになってきたことか。
例によって、中山では真っ直ぐ走っていなかったが、そのせいで最後に前をカットされたとはいえ、止まることはなかった。
前ならもっと大げさな抵抗のアクションになっていたはずだ。
この急成長を池添騎手が、スズカマンボだとか遠い昔のグリーングラスのような進路選択でアシストすると、トレンドのヘイロークロスのステイヤーとして、大いなる戴冠を夢見るだけではない、最高の裏切りが待っているかもしれない。