宝塚記念2017 予想

様々考えることはあった。

最大で11頭立てということ。

それにより、春の天皇賞よりはレースの質は明らかに低下するだろうということ。

そして、有力馬が苦手とする高速馬場になってしまったという不可抗力もどう働くのだろうか、などと…。

水曜日に国内の大部分が大雨に襲われた。

以後、馬場を湿らせる要素となり得る雨の量にはならないと予報が出ているが、週末また雨が降りそうで、日曜日はほぼ雨の中でのレースになりそうとのこと。

恐らく、連続開催では週中辺りに週末の予報に合わせた馬場作りをするのだろうが、その時にかなり降られたから、完全に日曜の雨が外れても、先週までの高速化は有り得ないはずだ。

馬場叩きをするにしても、散水量を減らすにしても、中間の天候が方策や指針を決める要素となるから、金曜日でもパンパンにはならないだろうし、いじろうとし過ぎるとまた雨が降ったらボロボロになってしまうから、馬場の変質はほぼ間違いないと思う。

とはいえ、それでも時計がある程度出るだろうから、極端な道悪、桜花賞の週くらいの馬場になれば、中距離戦の時計勝負はあまり歓迎ではない有力馬には、イーブンのコンディションでの争いになるはずだ。

そして、最も気になるキタサンブラックの動きに不安がないと明らかになった今、それまで見てきた彼の大一番でのレース内容の安定感とどこかそれでも死角はないかと色々見返してみたのだが、普通にはレースをできるメンバー構成と頭数なので、出遅れない限りは…。

思えば、大阪杯はスタートがあまり良くなかった。

これまで吉兆となっていた1枠1番でもなかったし、先行馬も多かった。

武豊騎手は、そのようなささやかな不安が現実のものになっても、急がず騒がず、じっくり揉まれない位置を取るために最善の内に入らないような策をとり、結果は皆さんご存知の通り。

3000M戦では、速いという要素が変質するから、いつもの競馬に鞍上の勝負勘を加えて、自身最高の競馬をまた塗り替えて見せた。

そこで出遅れて、全く勝負にならなかったかつてのグランプリホースがいる。

ゴールドアクターだ。

◎ゴールドアクター

○キタサンブラック

▲シュヴァルグラン

△ミッキークイーン

中距離戦となれば、キタサンブラックも得意な条件に替わるが、それはまたどの馬にもチャンスが出るという意味ともとれる。

菊花賞3着で注目され、充電期間を経て、昨年の日経賞まで怒涛の5連勝。

2500M重賞を3勝し、その中でも有馬記念は素晴らしい競馬をしていたが、父も祖父もそうだったが、本質は中距離のパワー型だと思う。

その証拠に、前回の競馬は後方から伸びるはずの流れではあったが、皆が自分の位置から同じくらい頑張り合ったレースなので、直線で画面に映るシーンはまるでなし。

速い展開が苦手なのではなく、実は意外と、器用に展開に自分を合わせるようなテクニックがないのであろう。

器用に立ち回れているのは、先行するタイプであり、また簡単にはバテない馬だから。

サウンズオブアースが何度春天に挑んでもダメで、秋のチャンピオンレースで2年続けて好走したように、決して、万能型の王者ではないのだ。

すると、今度はツボが気になるという話になってくる。

少々スケール感は4歳時よりも劣っているのかもしれないが、リフレッシュされた後のオールカマーの内容は、パワフルさが復活していた。

その後変にレース間隔が開いたことで秋GⅠは不発だったが、今年は苦手の長距離戦がハイレベル決着でノーカウントにでき、今回は11頭立て。

更に、絶対的なキタサンブラックの強みを消せる可能性を持つ、彼より内枠に入るという幸運も巡ってきた。

お互い自分の力を出し切れる条件で、片方は前回タフに戦い抜き、こちらは力を出し切れずに終わっている。

最近あまり聞かなくなった栗東留学とも言われる滞在調整で、かつて北海道で3戦3勝している実績も推し材料。

横山騎手というのは、苦も無く自分の型を崩してそのまま自分の競馬に持ち込む達人らしさを遺憾なく発揮できる今回、何なら先手を奪ってでも相手を潰すことを考えていないでもないはず。

いずれにしても、有力馬同士の競馬になるのだから、自分らしさを出し切ったものが勝つ。

武豊の合理的な競馬を何度か雰囲気そのものを変えて、自分たちの流れに作り替えたことがあったが、ライアンよりは乗りやすいこの馬で、マックイーンくらい強い相手を負かす手は、馬の力を信じられる状況では限られるだろう。

負けを恐れなくなった瞬間、勝ちに焦った本命馬を負かす絶好機を得るなど、勝負の世界ではよく見る光景である。