2020年日本ダービー(東京優駿) 予想
道悪の皐月賞で最内枠から勝ち切った馬が負けるとは思えない
◎コントレイル
○サトノフラッグ
▲サリオス
注ワーケア
△アルジャンナ、ガロアクリーク、ディープボンド、マイラプソディ
ダービーの枠順発表の遥か前から、コントレイルに伍して戦える馬探しの検討を延々やってきたわけだが、直前になればなるほど、やっぱり思っていた通りではないかという力関係が露見するクラシックシーズンとなった。
おかげで、いいところを語り尽くされた感のあるコントレイルを今一度強く推す材料さえなくなったのである。
陣営からも、余裕のコメントしか聞かれず、いざ、本番となれば、ほどほどの緊張感で勝負に挑めるダービータイトルの金看板が威光の如き輝きを放つチームの事。
あのこん畜生的で、かつ魅惑的な皐月賞の最後の脚を見ると、サリオス天晴れとは思いつつ、同じ位置をとった時に起きえた可能性を考えた時、よりスムーズに加速できるコントレイルが追い負けるとも思えなかった。
まあ、大丈夫でしょう、となるのも当然だろう。
無敗の二冠制覇に挑んだ優駿は、牝馬とは違い、10頭ほど存在しているが、速過ぎるトキノミノル、使うごとにパワーアップしたミホノブルボンら2歳王者が達成した例を除くと、実は、あとはもうルドルフ・テイオー親仔とコントレイルの父であるディープインパクトだけが勝ち残った組となる。
ハイセイコー、キタノカチドキ、カブラヤオーを挟んでトウショウボーイ。
行けると思った面々も、意外と危うい性質をサートゥルナーリアが再現した昨年。
レース経験全てが良馬場のサートゥルナーリアが、直前で負かしていた面々にも先着を許した構図は、ローテが同じような感じのコントレイルには不安材料だが、こちらは中型でなおかつ、馬体重の変動がこれまで1回しかないという面で、単純なスピード型とは言い難いので、この死角もない。
シンボリルドルフは弥生賞と皐月賞で大幅な増減があったが、ダービーは皐月賞比+6kgも、夏のデビュー戦からは微増しただけ。
天下の野平祐二、その後に黄金タッグを組むことになる岡部幸雄や藤沢和雄調教助手らを手玉に取ったわけだ。
この時期のルドルフはそこまで従順ではないと思う。
しかし、陣営が彼の本質をしっかりと理解し、互いに信頼関係を育んでからは、変な体重の変化はなくなったし、秋にはもうメリハリのある、パーフェクトなサラブレッドになっていた。
トウカイテイオーやディープインパクトは、それよりは色々と振れ幅が大きいが、嬉しいことに、トウカイテイオーとコントレイルはよく似ている。
皐月賞のパドックから返し馬にかけての雰囲気だけでなく、皐月賞は稍重だったとか、その時のタイムが良馬場以外の中山皐月賞のレコードであったとか、体重変動がないに等しいだとか。
皐月賞まで4戦全て460kgで、皐月賞は4kg減らしたが、次は460kgに戻している。
ダービー出走時は不明も、東スポ杯爆走後6kg増えた体は、皐月賞でも変化なしのコントレイル。
テイオーは単枠指定の大外20番枠を自由演技の可能性を広げる粋な演出と感じたか、皐月賞以上の弾け方で、歴史的二冠を達成する。
外からグイグイ伸びたルドルフやディープも、誰も負けるとは思っていないから、皐月賞がスムーズではなかったものを取り返すように、丁寧な進路取りをしていた。
コントレイルは変に枠に恵まれている。
ディープインパクトと同じ3枠の5番。ダービーフェスティヴァルを近所の公園に遊びに来たようなはしゃぎ方で出遅れ必至だった父と、その後継の傑作たるコントレイルとでは、そこは違う。
歴史上、途中で乗り替わった馬による無傷の春二冠は未達成で前記の無念の名馬たちと共通だが、主戦に戻っただけということ、福永騎手は乗りやすいけれども走る馬特有の危なさまで理解しているから、きっと大丈夫である。
そもそも、道悪の皐月賞のフルゲートで最内枠から勝ち切った馬は、調べた限りでは皆無。
そこで勝ったストレスはもちろん考えねばならないが、それにより、ライバルに与えたダメージはもっと強烈だ。
その最大の被害者になりかけているサトノフラッグは、57未経験の対戦済み対抗馬・ワーケアを相手に、自身は恐らく苦手だろう重馬場を、それなりのタイムで乗り切りつつ、力を見せつけた。
武豊騎手には、何とも展望のしづらい再度の騎乗となるが、国枝調教師以下、勝っていない男たちからすれば、ダービー5勝は神にも等しい。
ひとりでダービー勝ち組に挑むのは難しいが、この馬もほとんど馬体重の増減がない。
東京で2番目に強い馬を決める争いに、ハーツクライの猛者どもと激しくやり合うと厳しいかもしれないが、東京2000Mで1:59.5の未勝利勝ちは、やはり軽視できない。
現に、先週はまさにそういう結果であった。