2020年天皇賞(秋)【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着アーモンドアイ(1.4倍)2着フィエールマン(17.4倍)3着クロノジェネシス(4.4倍)女王アーモンドアイが連覇!史上初の8冠達成!

レース名第162回 天皇賞(秋)
日程2020年11月1日(日)
優勝馬アーモンドアイ
優勝騎手 C.ルメール
勝ちタイム1:57.8
馬場
3連単配当4,130円

天皇賞(秋)2020 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
19アーモンドアイ1:57.8 -
26フィエールマン1:57.9 1/2
37 クロノジェネシス1:57.9 クビ
411ダノンプレミアム1:58.2 2
58キセキ1:58.6 2 1/2
単勝9140円
複勝9110円
複勝6260円
複勝7140円
枠連5-7780円
ワイド6-9420円
ワイド7-9180円
ワイド6-7670円
馬連6-9970円
馬単9-61,180円
3連複6-7-9960円
3連単9-6-74,130円

天皇賞(秋)2020 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「信じられないパフォーマンス。今日は日本一になった。強い馬だが、毎回乗る時はプレッシャーが凄いです。G1・8勝をとりたかった。改めてアーモンドアイはすごくよい競馬をした。よく頑張ってくれた」

※C.ルメール騎手のコメント(アーモンドアイ)

 

天皇賞(秋)2020 - 回顧

動き出すタイミングをどう計るかどうかだけの問題を、外から逃げたダノンプレミアムと、キセキが作ってくれた壁のおかげで、全てがうまくハマっていった。

しかし、もうアーモンドアイらしい姿ではなかったのかもしれないなと、静かな天皇賞のゴール後、これまでの偉業についてまで思い返す筆者であった。

さて、まあ彼女の話は置いておくとして、素晴らしいのはクロノジェネシスとフィエールマンだろうという見方もあっていいレースだったことに、大いに価値を感じる一戦となった。

自分のタイミングだけで動き出すことを考えればいいアーモンドアイとルメールのゴールデンコンビに対し、あのコントレイルでもオークスではデアリングタクトでも苦しい瞬間を迎えたことを考えたら、そういうGⅠ級やすでにその称号を得た伏兵でも、それなりの場面を作れる機会は訪れる。

東京で跳ねるようにキレ味を繰り出していた、若き日のクロノジェネシスがちょっとだけ戻ってきた。
気づいたらもっと大きくなっていくのかもと膨らみ続ける彼女ながら、この日の馬体重を見ていると464kgであった。
これは宝塚記念と同じ。
フレッシュさで勝負のトップホースだから、瞬発力勝負でどこまでやれるかという課題は、他の馬より若干ピッチ走法で血統背景から道悪で地球上でトップクラスレベルの中距離馬だからこそ、トータルの時計とハイペースの良馬場への適応力に注文がつく馬が、実は、アーモンドアイ、今のアーモンドアイのボリューミーで豊かすぎるボディであれば、最も持ち味を活かせたはずという組み合わせだったのだろう。

一瞬は、スイッチが入った瞬間だけなら同期のグランアレグリアとも大差ない加速力のあるクロノジェネシスらしさは、全く違う環境の秋の天皇賞でも十二分に発揮された。

しかし、本当に古馬の中距離GⅠで超一流にはまだ足らないから、アーモンドアイが超高速抜け出しを決めて止まったと同時に、クロノジェネシスの死角であるもう少しどうにかならないかという感じのひと押しまでは出せなかった。

それも個性。ナスルーラ直系のスピード能力を末脚に乗せるとやたらと日本で本領発揮の伝統芸は、今後も彼女が走ることで、しっかりと披露されていくことになる。

来たぞ、これは。

フィエールマンと福永である。

先週と逆だったが、物理的な限界と休み明け、もっと言えば、中距離の経験値の少なさが札幌記念同様、大一番で少し足らなかった結果に繋がったのか。

その昔、といっても2年前の春なのだが、中山で独走、福島で殿から大外ブン回しの鬼のような不器用さでメイショウテッコンに迫った時から、いずれは東京の大レースでと期待された才能だったのが、気づけば、器用に何でもこなせるような馬にはなれず、春の京都でだけ全力投球の馬になっていた。

本音を言えば、もう少し早く…、だったものがアーモンドアイ大偉業なるの瞬間、最もタフな末脚を繰り出した男のプライドを示すGⅠ馬らしいパフォーマンスで穴党は一瞬だけ喜ばせてもらった。

ディープインパクト産駒は最近揮わないが、それはコントレイルが万能性を初めて示す競走馬になったのに対し、その他大勢は、父が好んだ10F近辺のスピードレースで順番こにGⅠを制すだけに止まってきたから。

本質はコントレイルとみんな同じだが、何かに耐える力を得た時、ようやく次のステージに上がれる機会ももらえる。

GⅠ3勝全て超僅差のフィエールマンは、中距離馬らしい走りで今年の春の天皇賞を制し、首尾よく、自慢の末脚を再び約束の府中で繰り出した。

ダメージさえなければ…。

ジャパンCでは古馬代表としてのプライドを示すことになるだろうが、誰が乗るのか、そもそも違う道を選ぶのか。

この点、上位3頭はずっと悩ましいレース選択の中で、唯一に近い欠点を示してきたのは残念と言えば残念。

それもまた個性なのだが。

その残念さは、最も相応しい舞台に万全の状態で出られなかったダノンキングリーが際立っていた。

何ゆえに体が減ったのか、全くもって謎だが、気合いの入り方がライスシャワー的で、到底スピード競馬の東京2000M向きの作りではなかった。

攻めすぎたわけでもないので、この気配。

あの安田記念で上位入線組は今も元気だが、大きく負けた馬は反対に絶不調。

完全にグランアレグリアにやられてしまっている。

敢えて、GⅠ8勝は褒めないとする。

そもそも、競走馬として3歳の内に全て獲るべきものを全て奪いつくしたアーモンドアイは、今更万能性も、発展性も示す必要はない。

ある意味で、アスリートとして実戦における身体実験をしているだけのことであり、それは特異なローテで可能にしたものだから、この部分も含め、アーモンドアイはずっと素晴らしいサラブレッドで在り続けているのは当然でも、何度もそれを証明する必要もまたない。

ただ、8勝できないのはJRAのGⅠという関門の据え付け方の問題であり、ルドルフもディープも一度だけ国外戦に挑んで敗退も、その分の差が1つ上増しされただけで、もはや、この観点で褒めるのは筋違い。

そもそも、あのJCで世紀の最強馬誕生である。数字は問題ではない。

それでも、幻の凱旋門賞制覇が二度ほどあった日本の調教馬の不遇は、ルドルフ超えにしか、未来を求められないという課題をずっと残してきたのも事実。

今更、何の意味もないように思う秋天連覇で得た我々の教訓は、しかし、これがアーモンドアイの強さなのか、ではなく、さすがにもう強烈さはなくなったというものだった。

男馬には到底かなわない加速能力で他を圧倒したのではなく、基本のスピード能力でだけ他を制したヴィクトリアマイルと同じような結果だから、本当にその数字の更新だけのために挑んだレースになっていた。

アメリカで死にそうになったルドルフも、元気さが出過ぎた凱旋門賞のディープも、本当の姿ではなかったように、本当の一流が3歳で何もかも叶えたのなら、もう5歳シーズンなど何の意味もないのだろうと、亡き先達に改めて学ぶべきだったとここはしたい。

褒めるために走らせるべきか、可能なものへの挑戦こそが有意義とすべきことが正論なのか。

シンザンは五冠であると同時に、宝塚記念も制していて、GⅠ級レースは6戦パーフェクトだった。

もうそれは三冠馬になりたての2頭にしかできないことだが、三冠を重んじておきながら、古馬の追加要項たるGⅠカテゴリーにスペシャリストとしての可能性の選択をする以上、アーモンドアイはマイルに絞るべきだったと、敢えて注文を付けておきたい。

ともあえ、これが最後でも不思議はなし。

お疲れさまと言いたいが、まだ走りたいんでしょ?と、ちょっと意地悪なことを言って、送り出してあげたい。

ありがとうございました。