2020年ホープフルステークス【結果】|レース後コメント/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ダノンザキッド(2.1倍)2着オーソクレース(5.7倍)3着ヨーホーレイク(13.1倍)

レース名第37回ホープフルステークス
日程2020年12月26日(土曜)
優勝馬ダノンザキッド
優勝騎手川田 将雅
勝ちタイム2:02.8
馬場
3連単配当5,560円

ホープフルステークス2020 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
110ダノンザキッド2:02.8 -
21オーソクレース2:03.0 1 1/4
32ヨーホーレイク2:03.11/2
411タイトルホルダー2:03.3 1 1/2
513シュヴァリエローズ2:03.4クビ
単勝10210円
複勝10110円
複勝1180円
複勝2280円
枠連1-6570円
ワイド1-10310円
ワイド2-10590円
ワイド1-2860円
馬連1-10680円
馬単10-1910円
3連複1-2-101,900円
3連単10-1-25,560円

ホープフルステークス2020 - レース後コメント(騎手/厩舎

「有難う御座います!師匠と共にやっとG1を獲ることが出来て嬉しいです。

先生には迷惑ばかりかけてきたのでそれが一番嬉しく思います。

3~4コーナーでリズムよく走ることができず、出入りの激しいレースになりました…。

新しい課題が見つかりながらも素晴らしい結果を出してくれましたし、何より今日勝ってくれたことをありがたく思います!

ファンの皆さんの期待に応えてここまで負けることなく歩みを進めることができましたのでまた来年、皆様の前で走るのを楽しみに待っていただけたらと思います」

※優勝した川田将雅騎手のコメント(ダノンザキッド)

ホープフルステークス2020 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

ホープフルステークス2020 - 回顧

 

久々に、勝負所で画面から消える馬を見た。


外ラチの方へ最後は突進していったあの姿は、まだ若すぎた在りし日のステイゴールドであり、その代表産駒であるオルフェーヴルのようであったが、よりによって、勝てそうな馬に乗っていた、否、勝てるはずの展開に持ち込んだ三浦皇成の馬がこうなってしまうとは…。

しかし、課題の多いこの世代の腕白坊やたちのこと。


直線の争いも一筋縄にはいかず、実は、ダノンザキッドこそが、最も力を出し切っていないのではと思わせるような、よっこらせという感じでの最後の伸び。


クリストフ・ルメール、この経験は先の京都で味わったあれと同じ。
オーソクレースは最後の最後で、気持ちが萎えてしまったように感じられた。

強かったダノンザキッドは、言葉を失うほどにこの10年の悪い思い出が全て走馬灯のように、一気に頭を駆け巡った川田騎手が、結果とは別の感慨で、彼の走りを振り返った。


しかし、本当はもっと楽だったはずなのに…、というところだろう。

新馬戦からやらかしていたダノンザキッドについて、その才能を否定するシーンに巡り合っていない我々は、常に驚かされてきたが、ついに完成される前に2歳シーズンを終えたことになる。


自分から動ける強みは、再びの牡馬クラシック制覇ということでは、昨年のコントレイルの福永騎手のようで、かなり似ていることも多かったが、その危ない面の本質がまるっきり違う。

自分から動き出せるのは同じでも、まだ体を使いこなせない大型馬なので、前走こそ大人しくしていたが、多少は絞って、自分の動きが十分に可能な状況になった中枠からの発走の今回、スローで万全の外抜け出しを川田騎手が誘うものの、はっきりしない伸びで、完全に遊んでいたように見えた。


負けられないオーソクレースは、もう一度抵抗して、かなり際どく迫ったところから、馬体こそは離しているというか、この点は併せ馬をしたがらないコントレイルと同じように、わざわざ他の馬の走りに合わせようとしないから、バランスが崩れたまま、やる気だけは無敗馬らしく見せつけたが、その反面で、押しても押しても動かなかったものが、いざ、敵を視野にとらえた刹那、突然エンジンがかかったようであったわけだ。

まるで真面目に走っていない。


終始一貫、彼はわがままにやりたいようにやっている
川田よ、泣いてる場合じゃないぜよ。

難しい才能とのコントタクトとなると、自在タイプという風には映らないダノンザキッドだけに、ジャスタウェイ的な好きな時だけ一生懸命走る、良くも悪くも気分屋なトラック適性に左右されるタイプとした時、まだそのスケール感で何とかなっている感じはするが、これって、あのハギノカムイオーみたいな話で、いざ、器用さを要求された時、全くクラシックでは通用せず…、という死角も見られたのである。


いいこともあれば、悪いこともある。


若駒の戦いに、勝ち馬さえも課題を残すのはよくあることだが、あの逸走のあおりを受けたところで、結果は変わらなかったのだろうし、むしろ、スムーズに直線に入っていたときは、どんな抵抗を見せていたのか、それの方が気になった。

まだ、彼と併せて走れるだけの才能が、他の馬もかなり若い今年の牡馬はみんな子供という印象影響もあって、そういう細かい修正点を残したまま走らせるのは、かなり困難を極めることであろう。


何しろ、4歳秋がキーファクターとなっている父系の歴史がある。
そこに至るまでに、どれほどうまくコンタクトをとっていけるか。
負けた後は、何かが始まることはあるが、負ける前にこれほどの課題が残る才能にはまず出くわせない。


ドゥラメンテもオルフェーヴルも、初期に力を出し切れずに負けたことが何度もあった。

オーソクレースは理想の立ち回りで、理想の抜け出しとなるはずだったが、荒れ馬場とスローが良くなかったのか、最高のパフォーマンスとはならなかった。


はっきりいって、昨年で言うところの5着オーソリティくらいのパフォーマンスで、馬体の成長の余地しかない感じから、まだ大舞台に望むのは早かった感じさえあった。


完敗であると同時に、成長力でのアドヴァンテージがあったように思えた経験値の差が、天才・ダノンザキッドには通用しなかっただけでなく、自分が持っている決め手が案外であることも示したことになる。

これはこれで、使い方が難しい。

パドックから好気配のヨーホーレイクは、流石の手綱でファンを唸らせた武豊騎手の技巧が光った。


理想はそれこそ、パッと直線で開いた真ん中のランドオブリバティがいるべきスペースを突くことだったが、揉まれた経験も良馬場の経験もないディープ産駒。


序盤から急かせず、末は確かだと信じた中団からの追い上げは、ディープらしさを見せながらも、意外と距離がもっと伸びていっても面白いと思わせるズブさまで見られた。


天才の腕により、多頭数の経験と末の持続力も測れた。
あとは、素直に賞金加算の課題克服だけである。

さて、問題のランドオブリバティだったが、ダノンザキッドが唸るように上がってきたら、それは叶わなかったのだろうけど、手前の替え方以前に、スロー単騎逃げに馬が対応できなかったことで、精神面の課題が思われているよりずっと重たいものであったことが証明されてしまった。


ディープとドバイミレニアム直系の母父系との組み合わせがどうこうとは感じないが、単走能力がこれまでのパフォーマンスから抜きん出ているとできる馬の場合、今では理想の余裕ローテの使い出し緒戦のレースが、状態一つでどう転ぶかわからない死角もなかったわけではないだろう。

こんなはずでは…。


ダノンザキッドの陣営が課題を抱えたように、春まではオープン馬でも、色々な可能性の引き出し方に限定されるべき要素を食わねばならないとした時、これまでのパーフェクトに思えた戦績に、思わぬ弱点が潜んでいたと考えただけでも、馬には負担を与えることがある。


普通は大丈夫でも、いざ本番になると。


藤浪晋太郎的解釈でいえば、結論は、技術不足となるが、馬は人の話を聞いてくれるとは限らない。

掻い摘んで特徴をまとめると、リファールのクロスがある大型のサンデーサイレンス系は、パワーは豊かでありすぎるため、スピード勝負で台頭するものの、スケール感だけでクラシックに挑むと器用さの壁にぶち当たって、まだ小柄だったころのリスグラシューは全て惜敗だった。


キタサンブラックのように、前向きさを抑える必要がないタイプであれば、自分の型にハメればいいものの、地味目の牝系に入った種牡馬のメンツの割に、どれも主流系統の傍流という感じで、いい加減さが出せないといつまで経っても、スイッチオンの馬になってしまう。


疲れやすくなると、故障も増えておかしくない。

暴発のランドオブリバティがそうであるように、勝てる能力に見合った理想の負けレースもないと、突き抜けるイメージだけで競馬に参加させたとて、簡単な結果が勝利の結果がもたらされることはない。