2020年 有馬記念 展望
もう大昔になるが、24年前に3歳牝馬が古馬戦線で大活躍したことがある。
休み明けで第1回の秋華賞に登場した、GⅠを勝っていなかった方の馬・ファビラスラフィンである。
断然支持のエアグルーヴが、レース中の故障で惨敗する中、自慢の持続力に富んだ先行スピードで、翌年にエリザベス女王杯を制するエリモシックを完封して、初タイトルをゲット。
そんなファビラスラフィンが次に挑んだのは、今では普通の挑戦となっている古牡馬の大目標であるジャパンCだった。
熾烈な勝負は、日本競馬史の名シーンに数えられるが、翌年にドバイワールドCに直行して、GⅠ連勝を決めるシングスピールに、僅かの差で敗れた。
ラッキーライラックを管理する松永幹夫調教師<当時は騎手>が、その口惜しさを後々記者に語ったとされるが、今年も似たようなローテを考えていそうな3歳の牝馬がいる。
ジャパンCまでのレース数は全く同じ。
負けの数が1つ違うだけ。
そう、デアリングタクトはJCで激走した瞬間、ファビラスラフィンの伏線を辿ることになる。
もう古い話だが、最近まで、ルドルフの話をしていた競馬識者たちが、万が一にでも、彼女の存在を有馬の出馬表に見つけたら、そんな話をしだすことだろう。
サクラローレルという、三冠馬も歯牙にもかけなかった時代の名馬が、横山典弘騎手と共に駆け抜けた有馬記念であった。
クタクタのファビラスラフィンは、エアグルーヴの分まで頑張ろうとしたが、もう燃え尽きていた。
ローレルとラフィンの年の差は、アーモンドアイとデアリングタクトと同じ2つだから、フィエールマンもチャンスありなのだろうとは思う。
昨年はアーモンドアイの闖入に影の役目に徹したものの、結局、フィエールマンが潰したようなものだった。
年々、スピード血統の本質が出るようになる活躍馬が多くなり、使い込めなくなっているから、昔よりは数は少なく、でも現役時間は長くなっている。
サクラローレルもまともに使えた馬ではないから、その変遷は同じような感じ。
秋の天皇賞でちょっとスピード負けしたのも同じ。
ちなみに、凱旋門賞にまで行こうとしたところと実際に出たところまで似ているフィエールマンとの関係性では、誰が乗るのか全く分からないものの、買いの材料に溢れている。
下手に1番人気では、ちょっと気が引けるが、まずが出てきてもらいたいと思う一頭。
ならばと、2着だったマーベラスサンデー、人気に全く応えれらなかった前年覇者のマヤノトップガン、エリザベス女王杯の人気馬に3歳牡馬のロイヤルタッチらと似たようなタイプを探し出してみたいところだが、そうも単純に事は運ばない。
キセキは一体何似ているのかと言われれば、すぐには思いつかないし、奇跡の復活もあるグランプリだから、サートゥルナーリアにも期待していい訳だが、牝馬が強い時代なのだからとしたら…。
ラッキーライラックに期待するよりも、ラヴズオンリーユーに一発を期待したいのが有馬記念であったりする。
筆者はまるで適性はないように思っているが、オグリキャップやジェンティルドンナが、得意条件だからと言って復活したわけではないのだから、矢作祭りのオーラスは、やっぱりその厩舎の馬から…、としても何だか、全く無理筋ではないのだから、それはそれで恐ろしい。