金鯱賞2021【予想】｜特別な年に登場の気高き三冠馬は決まって何かが普通ではないから三冠馬になっている

秋の天皇賞の出走馬は、無論、上位入線馬の登場は滅多にないものの、必ずここには出てくるのは当たり前だろう。

 

大阪杯に向けたひと叩きは、東京と同じ左回りでかつ阪神と同じく直線に急坂があるコースというので、予行演習はしやすい。

また、関西馬には中山記念のような多様なローテを想定した狙いの違うトップホースが集う関東の重賞より、思い切りメリハリをつけられる中2週ローテのこちらの方がリラックスして走れる。

 

とは、いかにも使い分けされたレースのように言ってしまったが、上記2頭の目標は阪神の2000Mではない。

 

JC好走馬が登場しなかった理由は、近年ほど、中距離戦の棲み分けがある上に、ドバイシーマクラシックが選択肢になることと、春の天皇賞にも色気がある馬が多いから。

 

そのいずれでもなければ、大阪杯から始動でもいい。

求められる適性は優に、2000M超のそれである金鯱賞で、信じられないほど調子が落ちているケースを除いて、出てきたならば着順に応じて、その優位性を確かめればいいが、古馬のレースだけにスローの適性などを重視すべきところだろうか。

案外、この距離はタフな展開を好む2頭だが、キャラは全く違う。両者の父の適性をそっくり入れ替えたような性質だ。

 

 

 

 

5年表を見ればわかることだが、重賞レースを引き合いに出した図表を何故作成したのかというと、上がり目に乏しいと言えるような古馬にとって、ここで一変するようなケースはほとんどないという傾向を示すためにまとめたものとここではしたい。

よく考えてみたら、もう4回もやっているのに、馬場も展開もメンバーの質もバラバラながら、4歳馬はどういう形であれ連に絡んできている。

 

うち、スワーヴリチャードと昨年のサートゥルナーリアは古馬のトップホースがかなり集まった秋の大レースで結果を出していた当然の好走馬。

もう一頭のダノンプレミアムにしても、脚部不安等で順調さを欠いていたが、ここから重賞連勝で再度大レースに参戦していった馬。

3月金鯱賞で1番人気は、一度たりとも消えていないが、4歳馬が上位支持を受けた時は全て勝利。

 

物足りないキャリアであり、これまでのパフォーマンスもまた然りであるポタジェは、今回も下級戦や前走の白富士Sの時と似たような頭数の争いで、何一つプラスアルファがなくても、特に条件戦で迫力があったわけではないロードヴァンドールでも好走している傾向から、近走内容で最も信頼できる候補と言える。

とはいえ、G2の中でも最上級のレースである金鯱賞を勝つとは思えないので…。

 

 

 

 

簡単に言うと、有馬から直行の1番人気馬は全勝。

そうでないので…。という評価で簡単に軽視できるようなクラスにはない以上、キセキもまた評価を落とせない。

本質は1800~2200Mで、パワー全開の肉弾戦を好む馬であるから、あの宝塚記念はいい環境だったが、勝負としては評価不能レベルでこの馬なりにベストの2着。

 

馬場質が純粋な良とはなりづらい、この時期のまた、開催数の関係まで合わせて考えた時、展開にどうアプローチしていくかは判然としないタイプでも、酷い競馬はしないと思っていいか。

有馬記念はJC燃え尽き症候群のそれであるから、まるで気にする必要はない。

行けるなら、是非力勝負に持ち込むために平均ペースを作りたい。

ベストが2着なら、レース検討上の最適格者と思える。まあ、やる気を出してくれる保証は全くないわけだが…。

 

 

 

敢えて傾向を逆張りして…

 

・サトノフラッグ

・ブラヴァス

 

 

まず来ない、AJCC＆日経新春杯組と、出走数の割にまるで存在価値を見出せていない、この辺の距離の重賞をせっせと使われるオープン馬は、あまり重視することはないという見解を導き出すための着度表の解釈とすべきところだが、古馬G1未参戦ながらクラシック三冠皆勤賞のサトノフラッグ＜前走は極悪馬場のAJCC＞と新潟記念優勝後に阪神で一度使っただけのブラヴァス＜重賞4戦全てG3なので消耗は最小限＞などは、何でもかんでもここを狙ってきたわけではないけれども、勝って名を挙げたいけれども勝てそうにはない…、という両面から見た時、消すほどの勇気は湧かないまだ若い2頭であり、距離もこうした馬場質も苦手の類ではないから、3連単時代に無視ができないなどと言い訳しつつ…。

 

 

その代わりに、

 

＜有馬記念組は買いでも、振れ幅極大で勝てるとは思えないので＞

・ペルシアンナイト

 

＜前走は白富士Sでも日経新春杯も使っていたので＞

・サンレイポケット

 

といった6歳以上の馬＜重賞連対歴のある3頭のみ好走＞は、本命馬の独走でもあればどさくさ紛れで買えるが、古豪のタフさが有利に出る傾向にないレースなので、大人しくしてもらおうと願っている。（笑）

例年ならば、勝っておかないとなって精神衛生上も良ろしくないと思うが、今年は単純な適性だけでは決まらない。

 

 

 

 

戦後に三冠達成と認定された牡牝の3歳各馬は、これまで10数頭登場している。

今年で終戦から76年経ったが、それはクラシック競走が標準装備された準パートⅠ国、パートⅠ国という高水準の競走馬生産国における競馬としての歴史とほぼリンクしているし、日本の場合は、馬インフルエンザでレース番組がぐちゃぐちゃになったことは50年前にあったが、人間のインフルの友達のヤバいやつがパンデミックになったところで、気合と根性で乗り越えたのに、またしても人間は欲目に乗じて失態を演じてしまったから、尚の事、そんなことどこ吹く風の日本産馬の立派さは際立っていると大絶賛できる。

 

人間の思惑に左右されながらも、三冠馬トリプルのマッチアップを実現した、その最大の功労者は言わずもがな、楽勝で最終関門の秋華賞を難なく突破のデアリングタクトである。

その能力を疑う声は、負けたとはいえ、直線であらぬところから内に切れ込んだコントレイルにはっきりと邪魔されながらも、懸命に立て直されて、バテても伸びきる何かを体得したあのジャパンCにおける初敗北で、全くなくなったと言える。

アーモンドアイと比較されるのまだかわいそうだが、アーモンドアイになれる可能性は、アーモンドアイにならなければ十分に可能だろう。

年間3勝ずつで、夢の芝タイトル9勝に到達する。

 

論法は無茶苦茶であり、破綻にも等しい表現ながら、その可能性はないと断言するほど夢を見ない競馬ファンは案外少ない。

9つ勝てなくても、最終的に5つくらいは勝てると、近年の牝馬の活躍から皆が確信している。

この金鯱賞など何の価値もない一戦であるが、さりとて、隙など一切見せなかったシンボリルドルフ、ディープインパクトらの敗戦は全てG1競走という偉大なる戦績に、アーモンドアイにはないそれを見出すことが、目標にすべき幻影でも永久に息づく理想像に一歩でも近づくための端緒なのである。

 

隙を見せることで本番は全勝のシンザンは、名伯楽・武田文吾の「コダマの反省」を大いに体現した傑作であり、不敗のクリフジ以外が全て経験した3位以下の入線＜ディープインパクトは失格処分となった凱旋門賞で他馬の不正はない限り3着止まりだった＞をついに経験することなく、全て2着以内を守り通した。

次なるシンザンロードは、もはや、最後の牡馬三冠達成者と筆者が勝手に思っているコントレイルにしか資格はないが、アーモンドアイでさえも、有馬記念で風船がしぼんだかのようにスケールの小さい走りに終始したこともある。

 

その経験は三冠馬対決の勝因になったのだろう。

誰よりも苦しい競馬を経験した時、その後が楽になる。

三冠馬は全て特別。

牝馬だって、絶対数で牡馬のそれを追いつくところまで来たが、正規の三冠は一応、菊花賞も制した牝馬であって…、なんてナンセンスな表現はもはや不要。

牝馬三冠ではなく、三冠達成の牝馬のプラスアルファに近年○冠表現頻発のそれを軽蔑するような特別感を体現してもらいたい。

 

ジャパンCは苦しいところから三度伸びてきた。

最初はアーモンドアイとの4角での手応えの違いを穴埋めする進出。

次が、コントレイルとの衝突回避後の立て直し、再加速。

最後が、不利を乗り越えて、カレンブーケドールをねじ伏せた正義の3着を確定付けた、ゴール前数メートルの激闘。

確かに、それとグローリーヴェイズとの差はわずか半馬身未満だが、ここに厳然と存在する0.1秒差に、圧倒的な才能の違いを感じた。

スタミナの限りを尽くしたグローリーヴェイズに対し、相手がまだ見えるから懸命に頑張ったデアリングタクト。

普通、グローリーヴェイズさえも交わすことは、3歳牝馬では不可能に近いミッションだったが、これはアーモンドアイに何とか追いつこうと懸命に踏ん張った結果。

 

常識的に考えて、そこでダメージ大のはずだが、休みは最小限で3月に復帰である。

タフさはまだキャリア6戦という点に収束される余力ではあるが、10年くらい前の欧米圏のトップホースなら、これで引退でも不思議はない。

理由もなく使えないはずの牝馬三冠の姫を、大事に使った上で、復帰戦に下ろすのである。

出てくれば、ファンの期待に応えてくれるのが、順調さを守り通した三冠馬というものだ。