フローラステークス2025 予想 - レース展開と最終予想
新馬戦はエンブロイダリーと共に敗れて、キャリアをスタート。
エストゥペンダにとっての前走は、そんなライバルがひと足先に、大きなタイトルを得る資格を得たクイーンC。
デビュー戦でモレイラ騎手を背にしても敗れていたエンブロイダリーは、もうその頃のひ弱さは見せなかった桜花賞で、一族の血が秘める底力を遺憾なく見せつけるのであった。
他方、こちらは仔鹿がぴょんぴょん跳ねながら、牧場で元気に走っているようにしか見えないほど、線が細かった。
2戦目は今後の展望を見越し、新潟へ使いに行ったが、見た目以上に減った印象のマイナス8kgの影響は隠しきれず、掛かる気性だから、多く番組のあるマイル戦に再び投入しただけであり…。
しかし、さすがは成長目覚ましいことの多い牝馬のこと。
秋の東京では、見るからに筋肉量が増え、目分量で倍増した雰囲気さえ漂わせるプラス20kgが、とても逞しく映った。
新馬はキレ負けの4着以前の話で、相手は軽かった新潟も、上がりこそ最上位も、レースを巧みに組み上げる前の段階という感じ。
高柳瑞樹調教師は、この手のタイプで、スターズオンアースを大出世させた実績があり、これと同じく、イメージ通りに成長を見せて、未勝利脱出の彼女を、全く同じように、フェアリーS→クイーンCのローテで、順に投入するのであったが…、相手が悪すぎた。
体つきにも問題はなく、ある程度コントロールがしやすい状況にもかかわらず、いずれのウイナーも、ハイペース追走の好位付けからの抜け出しで、他がついていけなかった。
そうしたことで、元から明らかにスピードレース向きではないエストゥペンダには、真っ向勝負の選択肢はなかったのだが、高柳瑞樹調教師<ミュージアルマイルを管理する弟の大輔師もクラシックトレーナーの仲間入り>は勝ち目があると思った未勝利脱出の一戦から、三浦皇成騎手を配し、この馬の型を作ろうとしてきているので、継続騎乗により、安定した差し脚を自身の確実なパワーアップに合わせ、見事に連続の3着としたところで、スターズオンアースがそうであったように、ベスト条件になりそうな中距離戦に転じたのである。
万全の仕上げになるかどうかは兎も角、重賞好走馬は、スターズオンアースが連続2着からの二冠獲り成功というだけでなく、その父であるドゥラメンテも同じように2着を大事な場面で繰り返すことで、重賞未勝利での皐月賞獲りから大出世したのだから、よく似た性質を示すことはまま見られるとできる。
マイル戦でデビューし、暮れにホープフルSを勝ったサートゥルナーリア。
その娘が、機を見て2000Mに挑めば、望んだとおりになるのではないのか…。
捕らぬ狸の皮算用など言われても、それは仕方はないのかもしれないが、調教師は馬の仕入れの段階で、かなりのリスクを承知で、馬主に一定額以上の投資を求め、結果を追求する役割を求められる立場にあって、こんなものは朝飯前であって不思議ない。
前向きというよりも、トレーニングの一環で、レースを使いながら、丁寧に馬を仕上げていくスタンスは、新馬で人気馬がよく飛んでいた国枝栄調教師の、古き良き、在るべき成長をアシストする常道の手法を踏襲しているように感じる。
未勝利戦の勝ちタイムは、1分34秒台と速いが、いつの年も除外馬多数発生のフェアリーSにまず乗りこめたことが、ひとつのポイント。
1勝クラスも使っていないし、ましてや、G1に登録できるような身分でもないから、何かしらの特別登録とその除外の救済を狙った、常套手段と化した、あまり感心しない出走の手段も有効手ではない以上、エストゥペンダもエリカエクスプレスも勝ち運はある。
が、いずれにもまだそうした兆しがあるだけで、肝心の大舞台での結果が出せていない。
こちらに至っては、あくまでも現状維持のまま。
結果が問われる今回、掛かる面は解消しつつ、しかし、明らかにペースが緩むはずのオークストライアルで<弥生賞も似たようなところがある>、正攻法の手も考えられる。
最初は、あまりにも頼りない体の割に、前進気勢が強いというより、超スローのワンターン戦が続いたのだが、自信を持って、外から差し脚を伸ばした未勝利戦から手綱を執る三浦騎手ならば、考えずとも、外から差すしかないここ2戦のタイトなレースで、ある程度の見所がある踏んだ時、結果は求められるマスト3着の縛りに対し、地方ならいつでも出番をモノにできそうなG1実績は積めたからこそ、はっきりと本番を勝ちに行く策の中で、価値ある権利取りに成功する図も見える。
ただ、本番がスローが少し望めない状況で、強気に行きすぎると、案外、丁寧に本番を戦わねばならない状況にもなってくる。
デビュー2戦目から、メンバー最速の上がりを繰り出し、重賞でもそれは続いたが、明らかにマッチョになりそうな気配のエストゥペンダには、今は距離を求める戦い方しかできない。
挑戦ではあるものの、鋭い脚を使っているというより、全身運動で体を大きく使うことにより、ある程度の持続性を武器とした末脚を繰り出すことに向く性質の表れと見る筆者とすると、とてもではないが、本命馬を自信満々で推せない西のマイラーズCのメンバーに対し、これならば十分に推せる材料があって、頼もしい勝ち馬候補であると言えるだけ、彼女への期待感は膨らむ一方。
混戦のようで、桜花賞でほとんど整理された牝馬戦線は、忘れな草賞のサヴォンリンナ<北村友一、逆襲の2週連続クラシック制覇を期待させる一頭>、フラワーCは大楽勝にも映ったレーゼドラマなどの争いに、前走勝ち馬として参戦することが求められる状況。
着争いならば、誰にでもチャンスがあるというほど、上位グループは甘くはないので、決して、強烈ではないライバルの構成からも、オークスでも期待できる勝ち馬になることを、これだけの才能があるならば、そこを求めていきたい一頭として、この馬を挙げておきたい。