ディープインパクト産駒の特徴/種牡馬/血統/性格/重馬場/道悪適性
ディープインパクトという名馬
競走馬をあまり詳しくない方でもディープインパクトという名前は聞いたことがあるでしょう。
父はサンデーサイレンス、母はウインドインハーヘア。
馬主は金子真人氏。
2002年生まれの牡・鹿毛でとにかくめちゃくちゃ速い。
戦績としては2005年に無敗で皐月賞、日本ダービー、菊花賞の3冠を達成。
それだけではなく、度々薬物検出事件なども起こしてファンをドキドキさせるニュースバリューも持った馬でした。
2019年7月30日に死亡。享年17歳。
死因は頸椎の骨折からの安楽死でした。
しかしディープインパクトの産駒達は今も元気に競馬界を走っています。
ここではそんなディープインパクト産駒の特徴や重馬場による道悪適性などを調べ直してみたので公開していきたいと思います。
ディープインパクト産駒の適正・傾向と馬券対策
今更だが、阪神外回り、京都芝全般、東京マイルは得意な傾向にあると言える。 それはつまり、日本の主要GⅠが集中する舞台で、確実に賞金を稼げているということだ。時に逆転を許すこともあるが、トップサイヤーらしい守備範囲という印象は、皆の共通認識である。
その得意条件で行われる主要競走での戦績なのだが、
- 桜花賞-4連勝中
- 天皇賞(春)-2着1回
- NHKマイルC-1勝2着1回
- ヴィクトリアマイル-2勝2着1回
- 安田記念-1勝
- 秋華賞-2勝2着2回
- 菊花賞-2着1回
- エリザベス女王杯-1勝2着2回
- マイルCS-2連勝中
- 阪神JF-2勝2着1回
- 朝日杯FS<阪神>1勝
加えて、芝で勝っていないのは、長短両極端な4競走と鬼門の皐月賞<2着1回、3着2回>と宝塚記念<3着2回>だけ。必要なところは、ほとんど押さえている。
2500Mの有馬記念をジェンティルドンナが制し、成長力と自在性を示したという側面はあるが、出走条件そのものが、1400M以上の競馬に、つまり中距離戦に極端に集中しているから、型にハマった馬が多く出ることに間違いはない。
苦手な条件が判然している点ともう一つ、先入観が先走った印象の入り混じった部分は補正しておきたい。
- 平坦向きでも小回りは向かない→福島・函館はかなり苦手
- 重馬場は上級戦ではどうのこうのはあるが、基本的に数字が極端に下がるわけではない
あと、産駒のデータを調べた際に気付いたのだが、長距離カテゴリーの2600M以上のレースは、言わずもがなではあるが番組そのものが少ない。
そこでよく精査したところと、なんとローカル戦でたまに行われている2600M戦への出走馬は皆無で、長距離戦に出走している馬はオープンクラスにしかいなかったのである。重賞2着は6度あるが、阪神大賞典以外ではみんな連対馬が出ているので、これは数字のパラドックスがあるデータだ。力通りの支持なら、十分応えられている。
一方、こちらは昨年短距離戦で1、2番人気が馬券圏内に消えた実例を、馬場状況と共に簡略に示したものである。重賞の場合は、馬名も添えておく。
中京1200 -良・稍・良
中京1400 -良・良・稍
京都1200 -良・レッドオーヴァル良
京都1400 -重
東京1400 -稍・良・良
阪神1400 -ダノンシャーク良・ヤマノフェアリー良<3人>・良・良・ミッキアイル良
中山1200 -リアルインパクト良
新潟1200 -良・良・良
新潟1400 -良・良
札幌1200 -良・良・良
小倉1200 -良・良・良
福島1200 -バーバラ良・良
馬場で消えているわけではなく、タイトなコースが合わないことも要因にありそうだ。
今年も消えた阪急杯3番人気のダノンシャーク(不)の連チャンのパターンからは、京都○→阪神・中京×の流れは容易に想像がつくが、意外と休み明けとか重好走後の良馬場替わりだと、人気で消えるパターンが多い。
単純なスピードを問われるので、より消耗してしまうのか、本質スピード型で軽い馬場向きの性向が、ちょっと弱点になっているようだ。
概ね人気馬は順当に走るが、父同様、産駒達も激しい競馬をあまり好まない。この傾向が変わってくると、今度はダート路線や菊花賞で怖くなる。
ディープと重馬場【軽視禁物】ディープインパクト産駒の道悪適性を調べ直した
最強とされるディープインパクト産駒ですが、果たして雨でも走れるのでしょうか?
サウンドキアラの快勝した京都牝馬Sを見て、ディープインパクト産駒の道悪適性を調べ直した結果、GⅠ以外は軽視禁物の傾向が見えてきた。
芝の重賞に限り、道悪各条件での勝利、GⅠで上位人気<3番人気以内で、単勝5倍以上の支持>だった際の結果を、記していく。
ちなみに、母父ディープのキセキは、あの世紀の不良馬場となった菊花賞を完勝した後、立て直し期間を経て、びっくりするほど堅実な枕馬になった。
ディープインパクト産駒の戦績
<稍重>産駒出走対象86レース/13勝
開催年 | レース名 | 産駒の馬名 | 人気 |
---|---|---|---|
2013年 | フローラS | デニムアンドルビー | 1番人気 |
2014年 | きさらぎ賞 | トーセンスターダム | 2番人気 |
2014年 | 小倉記念 | サトノノブレス | 3番人気 |
2014年 | 朝日杯FS | ダノンプラチナ | 1番人気 |
2015年 | 東京新聞杯 | ヴァンセンヌ | 3番人気 |
2015年 | 函館2歳S | ブランボヌール | 1番人気 |
2015年 | 新潟記念 | パッションダンス | 6番人気 |
2015年 | エリザベス女王杯 | マリアライト | 6番人気 |
2016年 | 共同通信杯 | ディーマジェスティ | 6番人気 |
2017年 | サウジアラビアRC | ダノンプレミアム | 2番人気 |
2018年 | 中山牝馬S | カワキタエンカ | 6番人気 |
2018年 | ヴィクトリアM | ジュールポレール | 8番人気 |
2019年 | 金鯱賞 | ダノンプレミアム | 2番人気 |
<重>産駒出走対象37レース/9勝
開催年 | レース名 | 産駒の馬名 | 人気 |
---|---|---|---|
2012年 | 毎日杯 | ヒストリカル | 1番人気 |
2013年 | ローズS | デニムアンドルビー | 1番人気 |
2015年 | CBC賞 | ウリウリ | 2番人気 |
2016年 | ローズS | シンハライト | 1番人気 |
2017年 | 阪神牝馬S | ミッキークイーン | 1番人気 |
2017年 | 阪神牝馬S | サングレーザー | 2番人気 |
2018年 | エプソムC | サトノアーサー | 2番人気 |
2019年 | 弥生賞 | メイショウテンゲン | 8番人気 |
2020年 | 京都牝馬S | サウンドキアラ | 1番人気 |
<不良>産駒出走対象13レース/2勝
開催年 | レース名 | 産駒の馬名 | 人気 |
---|---|---|---|
2011年 | 東京スポーツ杯 | ディープブリランテ | 1番人気 |
2015年 | 産経大阪杯 | ラキシス | 4番人気 |
ディープインパクト産駒 G1の人気馬
<稍重>産駒出走対象18レース/3勝<人気馬は1勝>
開催年 | レース名 | 着順 | 産駒の馬名 | 人気 |
---|---|---|---|---|
2011年 | マイルCS | 5着 | リアルインパクト | 1番人気 |
2012年 | 皐月賞 | 2 | ワールドエース | 2 |
2014年 | 朝日杯FS | 1 | ダノンプラチナ | 1 |
2015年 | エリザベス女王杯 | 11 | ラキシス | 2 |
2017年 | ヴィクトリアM | 7 | ミッキークイーン | 1 |
2018年 | 皐月賞 | 7 | ワグネリアン | 1 |
2018年 | 宝塚記念 | 6 | サトノダイヤモンド | 1 |
2019年 | 秋華賞 | 8 | ダノンファンタジー | 1 |
<重>産駒出走対象5レース/0勝
開催年 | レース名 | 着順 | 産駒の馬名 | 人気 |
---|---|---|---|---|
2012年 | エリザベス女王杯 | 2 | ヴィルシーナ | 1番人気 |
2013年 | エリザベス女王杯 | 5 | デニムアンドルビー | 3番人気 |
2013年 | エリザベス女王杯 | 10 | ヴィルシーナ | 1番人気 |
2019年 | ジャパンC | 3 | ワグネリアン | 2番人気 |
<不良>産駒出走対象6レース/0勝
開催年 | レース名 | 着順 | 産駒の馬名 | 人気 |
---|---|---|---|---|
2017年 | 菊花賞 | 7着 | アルアイン | 2番人気 |
ディープインパクトの伝説
ディープインパクト産駒の最高傑作としてはジェンティルドンナやコントレイルなど伝説に残る名馬が沢山います。
ディープインパクトの子供の数は1661頭以上とも言われており度々、後継種牡馬に関するニュースも飛び込んできますね。
2020年産の産駒がラストクロップになったことも含めて、ここでは再度ディープインパクト産駒の伝説を振り返っていきたいと思います。
ディープインパクトという時代
エイシンヒカリ
サトノダイヤモンド
ミッキーアイル
正攻法で戦い、バテない強みを活かせればかなり渋といタイプ。
リアルスティール
ディーマジェスティ
マリアライト
末脚勝負は歓迎で、距離も不問。
ディープインパクトがどこまで繁殖活動を行えるかは不明だが、より明確に芝寄りのスタンスを見出したディープは、かなり意識的に芝向きの繁殖牝馬を選定され、交配されてきた流れがある。
父サンデーサイレンスの経験則から、より効率的な生産を行うことができた。
同時に、新たな可能性を近年の救済の土地であるドイツや南米に求め、スピード型の多いアルゼンチンから輸入した繁殖牝馬からは、今年の牡馬クラシックを牽引したマカヒキ、サトノダイヤモンドが登場したのである。
ミッキーアイルが来年こそスプリントGⅠをゲットする可能性を残す状況にありながら、実は狙いの中になくても、本当はいつでも勝てる長距離GⅠで結果を出せていなかったことは心残りだっただろう生産者側の懸念は、マカヒキとほとんど同じような血統背景を持つサトノダイヤモンドによって、あっさりを払拭されてしまった。
時計が平凡な年ほど、実は、全体的にスピードの傾倒が見られる状況では、キタサンブラックのように、どんどんビッグタイトルを積み重ねる馬を正確な適性判断で以って、審査できるのだ。
セイウンスカイの時代では3:03.3は、目ん玉が飛び出るほどの時計になったのだろうが、今は2秒台後半なら基準の範囲内である。
サトノダイヤモンドは、スピード型の血統から誕生した中長距離型。
標準レベルのスピードはあっても、自在に動ける馬ほど、今はミドルディスタンスでは器用貧乏になってしまう。
キレない馬には、長い距離の必然的な我慢比べが合う。
それを生むのは、直系の本質的なダート適性や、ヘイローのしつこいクロスだとは思うのだが、この馬に関しては、スタミナという面で他のディープ産駒よりも本質的に、その量が多いのだろう。
キタサンブラックとは、父が似て非なる部分が大いにある。
同じ道を進むには、まずは自分で時計を出す底力を身に着けるだけの成長力が必要となる。
ディープインパクトの牝馬
1月のマイル3重賞には、何とも奇遇という感じの共通点が多い結果が並んだ。
もう少し違う性質が現れてもおかしくない、キャラクターがまるで異なる3戦は全て、ディープインパクトの牝馬が制し、1番人気馬が見事に飛んだ。
京都金杯 18頭・良
①ディープインパクト×アグネスデジタル<牝5>
②ロードカナロア×サンデーサイレンス<牡5>
③ダイワメジャー×サクラローレル<牡6>
*1人⑰ハーツクライ×ロックオブジブラルタル<牡4>
シンザン記念 10頭・良
①ディープインパクト×カナディアンフロンティア<牝>
②ストロングリターン×マンハッタンカフェ<牡>
③シンボリクリスエス×ジャングルポケット<牡>
*1人⑦ジャスタウェイ×グリーンチューン<牝>
フェアリーS 16頭・牝・良
①ディープインパクト×ディストーティドヒューマー
②ハーツクライ×ストリートクライ
③ハーツクライ×オルペン
*1人⑥キングカメハメハ×ラーイ
勝ち馬はいずれも、ディープ×ミスプロ系で母系には必ずボールドルーラーとノーザンダンサーが入っていた。
アグネスデジタルとディストーティドヒューマーは母父がダンチヒかその直系で共通。
いずれもハイペースではなく、ミドルラップからスローで展開し、総合力の勝負になったことも同じ。
きっと、問題は人気になったメンバーの特性だろうか。
ディープは基本線としては芝のトップホースを出す系統だが、近年は、牧場の方針もあって南北アメリカで育ったパワー型をよく配される。
勝ち馬はその中から生まれた良血馬。
一方、人気になったのは芝向きの欧州向きの配合が目立つ組み合わせで、ルーツはヨーロッパでなくても、ダートはこなせない馬が多い。
無論、個体差はあるものの、勝ち馬は北米血統を南米で再生するような過程のワンピースに組み込まれた方式に倣った成功パターンであり、元より、日本ではハズレも多く出す欧州向きの血統の馬とは、本質的なスピードの差があったように思う。
時計が遅い場面で芝向き血統がマイルの重賞を勝てないということは、本質的な適性の方に問題があった可能性を疑うべきだろう。
ディープインパクトという小さな馬の憂鬱な秋
今やチャンピオンサイヤーとして君臨するディープインパクトとステイゴールドは、小柄な体で怪我なく走ったスターホースだった。
真の実力の証明は、古馬になってからというのが定番。
レッドリヴェールとハープスターは、何となく父似のようで、意外と特殊な存在なのだ。
サッカーボーイとその甥ステイゴールドは、どちらも小柄なのに、競走生活があまりにも対照的。
最初に出たGⅠを勝った伯父と最後のGⅠで有終の美を飾った甥。3歳秋に怪我で引退したサッカーボーイと、明け4歳から重賞路線に出てきたステイゴールドと、何から何まで違う。
ただ、秋天2年連続2着や京都大賞典の失格処分など、惜しい星を落としたこともあって、ステイゴールドには秋今一つの印象が強い。
となると、あの香港での走りは、本当の奇跡だったのかもしれない。
ディープインパクトにとって、春は栄光の季節である。
一年を半割りにした戦績だと、上半期では7戦全勝。が、下半期も7戦ながら、凱旋門賞と有馬記念で負けているし、菊やJCは苦しみの中で勝利した。中山2戦以外楽勝の春とは大違い。
反動は誰にでもあるということ。毎年のように春のビッグレースで好走していたステイゴールドと上半期不敗のディープ。
72代ダービー馬の真実を知れば、失意の第81代ダービー馬とその陣営に勇気も出て来るだろう。
スプリンターズSこそ、普通の馬場状態ではなかったことで波乱となったが、その後の10月のハイレベルマッチを制したのは、春と同じサンデーの孫。うちディープ産駒は2勝している。
競馬はリズムが大切。この秋、両者の孝行娘の走りに血の争えぬ世界観を感じる。
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