その娘のオディールはファンタジーSを制して、本番のジュベナイルフィリーズ1番人気の撃沈から、母そっくりの道を辿ったが、復活勝利直後の一戦で、ゴール入線後の故障発生により、命を絶たれた悲運の馬として、何だか妙に印象に残る馬となってしまった。
そこにキングジョージ圧勝のノヴェリストを加えただけでは、絶対に日本では走らないが、ハーツクライ×タイキシャトルのヘイロー3×4が直交する同系配合のダービー馬・ワンアンドオンリー<執念の男・橋口弘次郎の悲願成就、ノースヒルズ連覇、横山典弘2勝目、今上陛下が皇太子時代に観戦された一戦でもある>を配すると、2400時代のフランスダービーで自身を含め上位3頭が後に凱旋門賞馬を出すこととなった一戦を制したダルシャーン<この馬は2003年ダラカニ、2着のサドラーズウェルズは1994年にデトロワと母仔制覇のカーネギー、3着レインボウクエストは自身が繰り上げ優勝で1990年に最速ターンのソーマレズがいきなりの初年度から勝利>の密やかな早熟性により、早期完成の目が出てきた。
フェアリーステークス予想2025- レース展開と最終予想
東京の新馬戦では、人気になりそうな要素が調教の時計だとか、1400Mという距離を除けば、人気のあったキュンティアの孫という以外に見つからない中で3番人気に推されていたものの、終始、リズムをとれない若馬特有の幼さと、フィジカル面の不完全さを感じさせる内容で、勝ち馬から離されたちょっと6着だった。
しかし、前の方でいい競馬をして連対の2頭は、次戦も勝利。
伏兵評価ながら、デビュー2連勝を決めたルージュラナキラは、何だか気の毒な騎乗停止を食らった岩田康誠騎手の逆襲の起爆剤として、再度注目を集めることになるだろう。
2着だったブルーベリーフィズも、東京開催の内に勝ち上がり。
木村哲也厩舎なので、ここではなく、恐らくは特別を挟むか、クイーンCに狙いを定めて、本番を狙うシナリオをすでにこしらえているだろう。
前者はアドマイヤマーズの仔、後者であれば、東京からキャリアを好発進させることの多いマンハッタンカフェの一族。
ややパンチ不足だったのは、その頼りないパフォーマンスの影響以外に、納得感のある好走馬の
血統との比較で、実は、大いに見劣っていたという引け目まで感じる、何とも切ないデビュー戦に終わったキスアンドクライ。
未来の女王候補に名乗りを上げるべく、その名の通りに、冬の女王<=ジュベナイルフィリーズ覇者になっていればたちまちスターになれただろうフィギュアスケートに因んだ名前>になるためのステップでズッコケたずっこけたこともあり、京都の未勝利にはクリスチャンもクリストフも過剰人気上等とばかりに上位支持の馬に乗っていた時期とはいえ、ここで松山弘平の単勝60倍超えはないだろうというこの
血統馬は、見事に反発。
ペースが速くなかったとはいえ、妙に前に馬が集まって、無駄にがやがやした牝馬戦を、少し控える形で無難に戦おうとしたところで、前進気勢が見られたのか、途中から上がっていって、ほぼ唯一に等しい、正しい評価を受けていただろうルクスジニアのスパートに合わせて動き、前者が抜け出しにかかり、突き放した後、絶妙な仕掛けに馬も応え、何だか、途中から見えていた2頭立ての展開に=素直な競馬をして、正しいリズムを刻んだもの同士 となってから、特に、前の馬が止まったわけではないのだが、しっかりと伸び切り、新馬とは違う鋭い決め手で、最後は流しながらも、後続を突き放した。
いかに新馬で走っていなかったのかがわかると同時に、変な人気になっている馬を絶妙な集中力の振り分け方で、G1デーの午前中のレースをゲットした人もいたのだろうと、ふと笑ってしまった筆者。
実は、ここで人気になったデムーロ弟、ルメールの食わせ者たちは、本当に大したことなかった可能性が出てきている一方、ルクスジニアに関しては、今週東西重賞重複登録で、いずれであっても、一定の支持を集めるだろうというエリカエクスプレスに敗れる新馬を経ていただけで、前走は力通りだった可能性は大いにある。
途端に強気になれるわけだが、普段より2場開催が1週長く続く手前、3歳戦の除外はとても頻度が増す傾向にある。
とはいえ、それが恒常化してる、除外当たり前のレースであるがため、特に、大手牧場の生産馬がレース数を絞って、その間隔にも細心の注意を払いつつ、年明け重賞もしっかり使い分けのところで、牝馬の有力どころの多い関西勢が遠征することがかなり減った。
今年の登録は7頭、シンザン記念の逆パターンも6頭と、普段イメージとは違って、慎重にローテを組んでいるからこそ、変にリスクはとらないので、ある意味、下のクラスのリーグ戦開幕というイメージが適当なのかもしれない。
いずれにせよ、ダートでの賞金加算が実質無効扱いのクラシック戦線という環境で、その関門はかなり狭まったからこそ、勝ち運そのものが問われるこの一戦は、出ること自体に意味があったりもする。
紅梅Sや来月のエルフィンS、クイーンCなどに加え、開催前倒しでしばらく固定のトライアル・チューリップ賞、フィリーズレビューなどとの連戦は、意外なほど、これからは難しいので、一本釣りができるスキルが重要になりそう。
有力厩舎ほど、その辺りの準備は抜かりないから、すでに名伯楽の片鱗を多分に見せつけている福永調教師などは、期待のマイエレメントをシンザン記念にだけ登録させ、適性以外にも、潰しが利くようなシナリオをいくつも描いている可能性がある。
あちらは当然、牡馬も出てくるレースで、朝日杯組というか、昨年にファイナルデーマッチでしのぎを削っていた須貝、矢作厩舎からも期待のオープン馬が出走予定で、何となく、出走叶ったのであれば、それを物差しにして…、というところも考えていそうな、狙いが透けて見える。
ある意味、そこと重複があって不思議ないもう一方のキスアンドクライも、その逆の選択で、優先度合いに差が出ることだけではない、正しい戦略が見えたので、確定前までは、ひとまずこれらを推したいと思った。
思えば、父の厩舎が解散した後に、橋口慎介調教師は、なかなかいい頃の雰囲気に戻らなかったワンアンドオンリーを、ラスト1年半預かった。
ハーツクライと2代続けて管理した父と同じく、自身が手掛けた時はもうルメール騎手を乗せられる雰囲気にはなかったが、ハーツクライとの比較を武豊騎手に託したりして、最後は2代続けてダービーに乗って、仔のワンアンドオンリーでは結果を出した横山典弘騎手に締めてもらった。
縁あって、橋口弘次郎厩舎に入ったキュンティアから、前田兄弟の情熱が形となり、競馬界の財産となったキズナによるダービー制覇の翌年、思い入れのあるハーツクライの仔で、今度は橋口師に足らなかったワンピースを埋め合わせたワンアンドオンリーは、横山典弘騎手と共に最初のG1タイトルを得たタイキシャトルの血を持つことで、その思い入れは調教師にも負けず劣らずであったとされる。
ワンアンドオンリーの産駒はあまり多くはないが、前走の変わり身は、東京で敗れた後、阪神でルメール騎乗で動き一変の父そっくりだったキスアンドクライに、橋口ファミリーの司令官となった慎介師の手腕にも期待しつつ、小さな夢からまず叶えてくれたらと思うのである。
ここ2年でコンスタントに重賞を勝てるようになった、そのきっかけでもアルナシームを巡るサイドストーリーに、ハーツクライに跨った両レジェンドやどういうわけだか敵方にまわるルメール騎手らの名が欠かせないのだが、母系3代橋口親子で、父系2代とも父の管理馬というのであれば、最初のJRA主要タイトル奪取となったJBCスプリントで、ノースヒルズのグレイスフルリープはルメールで…、という縁は偶然の産物には思えないから、いるならこの馬しかないとなった。
適性を超えて、何故か中山で強いというところは、是非ともハーツクライに似ていてもらいたいところだろう。