アイビスサマーダッシュ2023の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

アイビスサマーダッシュの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析！

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

アイビスサマーダッシュ2023 - 過去10年のデータ傾向

外枠有利という極端な偏重傾向以外のポイントが、この前走韋駄天S組の取捨

ライオンボスやフィドゥーシアなどのように、いかにもピンポイントでこの条件であれば、配合の絶妙なイレギュラーさからも、他の1200路線に展開が難しいと一瞬は思うような専門家が出てくると、衆目の一致した本命級となるが、韋駄天Sから連勝の馬はそう多くない。

一戦挟んだダイメイプリンセスのような夏女でもない限り、今の時代、短距離戦でも消耗は最小限が望ましいわけだが、基本的に、好走していようが何だろうが、よくある本番と前哨戦の着順の入れ替わりが恒常化しているような状況。

そっくりそのまま、前走と1、2着馬が横滑りの1回があるだけで、斤量設定の別定による修正が、ここでは補正ということ以上に、出来そのものも上げてくる陣営しかいないのだから、極端に良績が集中する馬の斤量目減りが起きない分、そうではない組の韋駄天S前後の評価の差は、かなり重要。
軽くなるのは当然実績上位の馬だが、韋駄天Sで連対していたら、急に重くなったように感じる軽ハンデ馬＝条件馬という意味でもある について、今年は例によって、軽い馬ばかり好走の韋駄天Sであったから、スワーヴシャルルやシンシティが重くて動けなかった分を、ここで精算できてしまう可能性もあり、この組の着順は大きく入れ替わることを前提に組み立てるべきであろう。

CBC賞や函館スプリントS組は、前走掲示板の下か、わずかに外れた馬しか上位に来ていないので…

ベルカントなどがいい例。
4歳時は出走叶わなかったCBC賞取り消しの後、休み明けで前走ダートというあるあるの構図で、きっちりと秘める千直適性を全開とし、最初の勝利。
翌年は、厳しい55.5が響き、CBC賞は3着だったが、適性と体調の良化により、より激しいスピードマッチになったものの、前年と同じタイムで勝ち切った。

ベルカントのように、前走で函館か関西圏のCBC賞で好走していた馬は、ビリーバーが条件戦勝ち上がり直後に好走して、あまりにも求められる適性が違うパラダイスSを叩いた6歳時は両方ダメだったが、昨年は韋駄天Sを叩いて、混戦の本番を勝ち切ったくらいで、今はほとんど狙いから外れた専門家の集うレースというキャラが固定化の傾向で、連続好走以前に、サマーシリーズ好走馬が出てこない。

今年はサマーシリーズを今年初めて使うメンバーのみの争いで、そのスペシャリスト同士の攻防となるから、例年にも増して、混沌としている状況。
サマーシリーズ組が連に絡んできていないここ数年は、3着に難しいチャレンジャータイプの馬が台頭。
バカラクイーンしかり、昨年のロードベイリーフなどは、ダイメイプリンセスローテでCBC賞を挟んで嫌われた韋駄天S2着馬。
年々、路線の枠から外れていることが間違いない以上、若い馬以外は、スペシャリストを見抜く目が問われてくる。

穴馬券の使者である、前走条件戦組は詰めて使った馬以外全滅の傾向

理論上では、隔年ごとに馬券に絡む前走条件戦組。
特殊な条件だけに、その勝ち負け問わずに台頭する。
前走条件戦で負けていた馬は、過去10年で2頭絡んでいる。
ハイペースで前が崩れるから、小倉条件戦組は台頭の構図が北九州記念安定の波乱の展望で、肝の部分となっていたのに対し、前走新潟1000Mという馬がそれなりの数出てこられるような、春開催の番組にもなっているから、違うところから来るなら、それはもう右回りの平坦戦が激走に繋がるとなる。

本来、ダート馬が台頭するような競馬なのだから、芝の先行型には結構苦しい。
逃げている馬も来るが、ここで逃げられる馬がコーナーのある他のコースで行けるとも限らない。
求められるスキルからして、前傾ラップ向きの適性であり、スペシャリストでもなんでも、差してこられるかどうかの方が意外と重要。
この馬券内に入った大穴の条件馬も、逃げていないから人気にならなかった節がある。
差して勝てるのは専門家だけだろうが、差して好走という馬は、穴の基本となっていることからも、前走無様に先行不発の馬などを中心に、このコースで後半スパートで走れそうな速い馬を、うまいことみつけていきたい。

アイビスサマーダッシュ2023 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

最近来なかった、ダート実績が芝短距離での適性を上回るタイプが、昨年同様に来る組み合わせか

スワーヴシャルルの血統

母はニュージーランド産馬で、当地のギニー競走のウイナー。
その初仔が、クラシック戦線にも挑んだG3を2勝のサトノアーサー。
歳は近いが、活躍期がまるで異なるこのロードカナロア産駒が、その半弟のスワーヴシャルルである。

母父のリダウツチョイスというのは、4代母Best in Show共通という点も強調材料となってくるアーモンドアイと同一の名種牡馬。
ロードカナロア産駒で、かつ、それらに絡むヌレイエフがクロスし、その5×3ことも、スワーヴシャルルとアーモンドアイには似たところがあるとなってくる。

ロードカナロア産駒はジョーカナチャンがこのレースを制しているから、その点での縁もあり、これもまた、ヌレイエフが母系に入るから、5×5の意図したクロスがある。
サンデーサイレンスが彼女たちとは違い、全く絡まないことが、主戦場をどちらと言えば、ダートに置いてきたスワーヴシャルルの特性にもなった要因であることは間違いなく、クロスするヌレイエフ以外に、ラストタイクーン、ストームキャット、リダウツチョイス・ダンチヒ系、ニジンスキー、マニラ・リファール系等々、ノーザンダンサー系がふんだんに取り込まれて強化されていったスピード競馬への適性は、ダートは、転出後の門別と、戻ってきてから勝つところが新潟ダート1200と固定化された面をとっただけで、平坦巧者ぶりもそこから十分に読み取れる。

スピードランナーにありがちな、ワンペースの適性を高速馬場で全開にさせる芝専門には、必ずしも味方につけられないこの特殊な直線競馬を、重賞初制覇の場にしていきたい。

アイビスサマーダッシュ2023 - レース展開と最終予想

勝った後に二桁着順というリズムが続いたスワーヴシャルルは、苦労してデビューにこぎつけた3歳夏の新潟に、とても縁がある男でもある。
この信用ならない隠れ千直巧者は、門別に転厩後、既定の2勝を挙げ、出戻りの形で年明けからは、デビューした堀宣行厩舎から、今度は父ロードカナロアを育て上げた伯楽・安田隆行師の下へ移籍。
ここまでJRAでは4勝している。

昇級初戦で必ず負けてきたスワーヴシャルルは、その適性を見出され、今の短距離路線へと身を転じていったわけだが、ダートで3勝、中京の1200ではここまで唯一となる芝での勝ち星がある。
こういうタイプは、8月のやや使い込んだ新潟の馬場で行われた時代は、それほど目立っていた存在ではないが、2006年から夏の名物競走として、またサマースプリントシリーズの3戦目、前後2つ、以降の3レースとのコネクションが作りやすいような今の開催時期に固定され、高速馬場であることは明らかな開幕週の開催なので、より千直への適性で、前掛かりの展開に対する相当レベルの我慢強さと、ダートの競馬への親和性が酷似することで、この手のダートを使っていた馬の開眼のシーンを、幾度となく目撃することとなった。

中京の1200はチャンピオンコースだから、スワーヴシャルルの才能の一端は、芝でも十分通用のレベルであるという実績とも解釈は可能だが、内実、デビューが芝で、それもそこそこ走ったということが、その後の適性を証明する結果と無理筋で解説するに等しく、中身はダート向きで、新潟の直線競馬には、ある程度の適性がある馬だろうと読み解いた方が、合点の行くことは多い。

大いに心許ないという感じの実績ではあるが、過去2度走って、ともに連外しの新潟芝1000Mの記録は、最初の54で走った昨年秋のルミエールオータムダッシュが、久々の芝好走でありながら、好位付けで逃げ粘るマウンテンムスメに食らいつき、人気のジャズエチュードに差されたというだけで、最後は苦しくなって、少し馬場の真ん中の方によれていってしまったが、外枠を利して、しっかりと好走。
オープンでの初白星も含め、新潟のダート1200で3勝という実績は、まるで問われる適性が違う千直とで、対比はあるものの、比較的新潟への移動は快適という関西馬の道路事情を利した活躍の傾向に、見事に丸乗っかりした雰囲気もあり、ひどく出来不出来の差が激しいとはいえ、前走は57を背負い、新潟大賞典の不良馬場開催の影響を強く受けたような韋駄天Sは内枠からの競馬。

斤量の軽い馬ばかりが、当然のように上位を占める中、ほとんど負けに行ったような、シンザンの大レース前のひと叩き＜今の時代、武田文吾流のアプローチはご自身で確認なさるのがよろしい＞みたく、予定調和の敗戦とすれば、不完全燃焼とするべきというよりは、調整とすると十分な効果を期待できる、いつものやつくらいに思っておけばいい。
元来、この馬はアテにならない。

しかし、勝った後の2走後は、不思議と戦績が素晴らしく、JRA所属時のレースに限ると、【1・1・1・0】であるだけになく、昇級後の初芝、夏の中山でまた芝、最後はルミエールADでオープンでの初の芝のレース。
オープン初勝ちの前々走越後Sでは、普段よりしっかりと前を追いかけ、先行崩れの展開を力で押し切った内容で、7歳にして、再度成長のご様子。
元より、南半球産の血が入り、多数香港に送り込まれるオセアニアの血統馬は、しっかりと熟成させることで本領発揮の本質を共通して有する。
強くなることに遅いも何もない。

思えば、キンシャサノキセキ・オーストラリア産を育て上げ、7、8歳で高松宮記念連覇＜＊南半球の計算だと、秋のトップシーズンに6、7歳時での連覇とはなるが＞というキャリアから、華々しい実績を積み上げていくになる堀宣行調教師が手掛けたところから始まる、このスワーヴシャルルの競走馬生活は恵まれている。
今は、ロードカナロアでもその直仔であるダノンスマッシュ、ダイアトニックらでも短距離の大物として、種牡馬入りさせる功績を残した安田隆行厩舎に、ここまで所属していきたのだ。

故郷の福島で、鈍りかけていた感触を完全に取り戻すように、安定の戸崎リーディングを陰ながら邪魔して見せた田辺裕信騎手は、縁あって急な乗り替わりでこのレースをライオンボスと共に初勝利することになった。
妙な気難しさは、前走の発走直後に見られた煽り方一つ取ってみても、なかなかしんどい部分があるが、堀厩舎のカフェファラオがそうであるように、このスワーヴシャルルも新潟巧者の影響は多分にあるものの、ここ3度の勝利は全て初騎乗の鞍上とのコンビ。

いずれも一定の新潟直線での実績を備えることで、穴人気になるのかもしれないが、勝ち星は馬の方にないので、過剰に支持を集めることはない。
どの馬にもある程度の適性のようなものはあって、イクイノックスのようにどんな場面でも強い馬などほとんどいないものだが、このレースは、人気馬が勝っても、ここ10年で3度、初コンビの1番人気馬が勝っている。
他のレースとは毛色が違うから、こうした手がハマる。

ホー騎手がその該当馬の一頭であるオールアットワンスで参戦するのも怖いが、それなら、韋駄天Sをスワーヴシャルルと共に戦い、勝ち馬となりながら、斤量激増の影響で人気にならないだろうメディーヴァルなど、自厩舎の馬なのに実戦ではまだ未接触の今村聖奈騎手が乗るから、独特の牝馬有利傾向、外枠至上主義以外の面でも、面白い要素のたくさん詰まった一戦となりそう。
実績から斤量の変化の小さかったコース巧者のトキメキを、牝馬では筆頭に推したい。
松岡正海のたまりにたまったフラストレーションは＝中京記念は無念の4着、この馬でちょっと開放するしかないだろう。