2020年 有馬記念予想

2020年の有馬記念予想を過去の有利枠といった傾向や最終追い切りなどのデータ分析をしながら行っていきたいと思います。
出走馬の外厩情報や血統なども調べ上げ、勝ち上がってきた有力馬から激走が期待される鉄板軸馬から消去すべき馬。
そして狙い目の穴馬をピックアップしていきます。
さまざまな荒れるレース展開をシミュレーションも視野に入れつつ、予想オッズをチェックしながら勝ち馬のサインを見逃さず、過去配当を超える払い戻しを狙っていきたいと思います。

レース名第65回グランプリ 有馬記念
グレード重賞(G1)
日程2020年12月27日(日曜)
発走時刻15時25分
開催場所中山競馬場
距離芝2500m
コース内回り
賞金3億円
レコード2:29.5

有馬記念2020の出馬表(馬柱)- 出走予定馬の馬体診断と想定騎手(枠順確定)

枠順馬番出走予定馬騎手斤量(負担重量) 馬体重(前走)最終追い切りタイム脚色全体評価予想オッズ外厩仕上げ
11バビット内田 博幸55.0kg450kg55.6-40.9-26.3-13.1馬ナリ仕上がる25.5倍名張ホースランドP
12ブラストワンピース横山 武史57.0kg550kg52.9-38.2-12.7強め状態良好27.3倍ノーザンF天栄
23クレッシェンドラヴ坂井 瑠星57.0kg500kg68.7-53.6-40.1-12.8仕掛気配上々 114.9倍テンコーTC
24ラヴズオンリーユーM.デムーロ55.0kg486kg84.5-67.7-52.4-38.1-11.4仕掛動き鋭い 11.1倍-
35ワールドプレミア武 豊57.0kg482kg83.9-69.0-54.3-39.8-12.8強め 上積十分 10.8倍-
36キセキ浜中 俊57.0kg508kg52.3-37.3-24.5-12.3馬ナリ動き軽快 18.1 倍-
47ラッキーライラック福永 祐一55.0kg522kg85.4-68.6-53.0-38.4-12.1馬ナリ好気配 6.5倍ノーザンFしがらき
48ペルシアンナイト大野 拓弥57.0kg500kg86.5-70.0-54.3-39.8-11.8一杯 反応上々 99.8倍-
59クロノジェネシス北村 友一55.0kg464kg83.7-66.8-51.7-37.9-11.9馬ナリ文句なし 3.5倍ノーザンFしがらき
510カレンブーケドール池添 謙一55.0kg474kg51.6-37.4-24.6-12.5馬ナリ状態良好 8.1倍-
611モズベッロ田辺 裕信57.0kg480kg54.5-39.9-25.9-13.1一杯 仕上るも 127.1倍ヒイラギS
612オーソリティ川田 将雅55.0kg512kg67.8-53.1-39.6-12.5一杯 上積十分 15.8 倍ノーザンF天栄
713フィエールマンC.ルメール57.0kg478kg68.0-53.039.3-12.7馬ナリ良化著し 3.9倍ノーザンF天栄
714サラキア松山 弘平55.0kg450kg52.6-38.1-24.6-12.2強め 好調子 48.1倍ノーザンFしがらき
815オセアグレイト横山 典弘57.0kg496kg67.3-52.7-39.0-13.0馬ナリ出来安定 123.0倍-
816ユーキャンスマイル岩田 康誠57.0kg498kg54.4-39.2-25.2-12.5一杯 気配上昇 104.1倍-

有馬記念の過去の枠順データと成績

枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠2回1回1回15回10%15%21%
2枠1回2回0回16回5%15%15%
3枠2回2回0回14回11%22%22%
4枠2回2回1回15回10%20%25%
5枠0回2回3回15回0%10%25%
6枠2回1回2回15回10%15%25%
7枠1回0回2回17回5%5%15%
8枠0回0回1回19回0%0%5%

有馬記念2020 - 過去のデータ傾向

3歳馬は本流路線かダービー出走の古馬対戦馬から
 1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
3歳馬5回2回3回16回19%27%38%

牡馬が圧倒的に出走数は多い上に、牝馬は秋華賞という2000M戦を経て、わざわざここに挑む理由はないから、11月にどこかに使えば、次はもう年明け以降となってくる。

菊花賞という特異な距離で行われる競馬を知った方が、同じコーナー6つのレースにも対応可能だが、トゥザグローリーもダービーには出ているものの、その他とは違って、古馬重賞も制し、前々走はマイルCS。

菊で揉まれた効果は弟のトゥザワールドが出しているものの、ダービーに出ているということの方が、案外肝なのかもしれない。

でなければ、菊花賞トライアル連対か菊花賞好走が基準になる。

ジャパンCから来る馬に多くを望むのは酷

 1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
JC1着0回1回1回3回0%20%40%
JC2着0回1回0回5回0%17%17%
JC3着2回0回1回4回29%29%43%
JC4着~5着1回1回2回4回13%25%50%
JC6着~9着0回1回0回17回0%6%6%
JC10着以下0回0回2回14回0%0%13%

ホーリックスとの激闘に敗れたオグリキャップだけでなく、シングスピールに惜敗のファビラスラフィン、重馬場で9馬身差逃げ切りのタップダンスシチーがザッツザプレンティらに絡まれ撃沈…。

続きを夢見るものではないとしながら、テイエムオペラオーやハーツクライのような例もあるから、はっきりとは断言できないものの、今年馬場質が稍重のようなタフさを備えつつ、極限の底力を各馬に求められたと仮定すれば、次もあるのはカレンブーケドール以外には見当たらない。

ただ、デアリングタクトとの差を考えた時、例年ならば、あれが優勝争いとまた仮定したならば…。

ルメール様は意外と人気薄で買い?

 1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
C.ルメール<通算>2回4回0回7回15%46%46%

単勝も複勝も、他がうらやむばかりの回収率を誇っているが、エイシンフラッシュやクイーンズリングのオッズがそれを引き上げ、ハーツクライでインパクトを与えたものだから、1番人気でどうかと考えたら、これがサトノダイヤモンドの後は連敗中。

有馬記念の定義に照らし合わせると、トップジョッキーに人気馬を乗せて、それをわざわざ買うレースではないという解釈が適当だろう。

また、歴代優勝馬の欄を見てもお分かりの通りヘイルトゥリーズン系の連対率は異常というデータも出ている。

有馬記念2020 - 出走予定馬の血統分析

キングマンボ系はアメリカンボスの時代から、ヘイルトゥリーズン系に負け続けている。

昨年こそはと思ったが、違うロードカナロアが2着。

初めて連続してキングマンボ系が連対を果たしたが、勝負がついた後に追い上げてきただけのような結果。

ジャパンCも秋の天皇賞も高確率で好走馬を出しているものの、これが阻めないのであれば、その他、ロベルト系まで復権を遂げているヘイルトゥリーズン系が勝ちまくるのは当然の話。

レース史の後半はこの流れがずっと続いているため、上位独占と同一種牡馬同士はまずない、という以外のことで、ほぼ何でもありなのは確かだ。

お世辞にも血統馬とは呼べないが、濃すぎないヘイローの同系ポジションにおける4×4と、名血サングの血を継ぐサッチとスペシャルの全兄弟クロスを母の代で4×3で有するという形で、かなりスタイリッシュで戦略的な血統構成にはなっている。

それが素直に結果に結びつくわけではないが、半姉のアサクサキングス産駒・アンナージュ、半弟のエスポワールシチーの仔・ウィンウッドだって同じヘイロークロスの4×4が入っているから、どうしたのかなと考えたのだが、表に出ているそのヘイローの名に隠れて、ノーザンダンサーやデインヒルといった同族の大種牡馬が絡み合うように練り上げた、長期戦略上の配合の一端であり、本質はヘイローの祖母であるアルマームードの配置が重要なのであろう。

父父、父母、母父、母母のアルマームードのポジションを数字で示すと、

  • 父父 ステイゴールド 4・6(表記上はクロスにならない)
  • 父母 ディアウィンク 6×6・6
  • 母父 タイキシャトル 4・6(上記の通り)
  • 母母 グランスオークス 4代目

それにより、多くのファンが見逃すアルマームードの影は、6代目以降の薄っすらとした継続クロスとして密やかに生き続け、牝系より効果を増す種牡馬に入っているのみの存在により、幾らか底力を加える。

そういうものは、真の能力値を問う場面であまり重要とはならないが、勝手気ままに自分の持ち味で勝負する場面はそれほど多くないけれども、限定的に途轍もなく底力を発揮することがある。

5代目にわずかに影を覗かせる父ナカヤマフェスタの代では、道悪の中距離戦というその限定解除方式が証明されたが、もう一代経た時、ヘイローでクロスさせたものがアルマームードの迫力を増す効果を及ぼすと仮定した時、ステイヤーなど上のクラスほど少ない時代に、セントライト記念圧勝の実績は光る。

少なくとも父と同レベルの成長のレベルにあるとしたら、半年早く、グランプリに挑戦して勝ち切って不思議はない。

とりあえず、父より戦法がはっきりしているから、分かりやすい存在ではある。

アルマームードが増えているから、ヨーロピアンノーザンダンサーのような、早期完成型に引っ張られたかのような適性があって不思議はない。

ナスルーラと同族のブラストワンピースは、ノーザンダンサーたっぷり配合のハービンジャー産駒で、主なG1実績もないのに、レイデオロを完封しているから、バビットも狙いはここからでも早くないだろう。

滅多に来ないタイプの3歳馬だが、普通ではないレースを経た馬たちの中では、彼が一番余力を残している。

有馬記念2020 - 出走予定馬を診断

有馬記念というレースは、様々な尺度で分析を加えたところで、路面の状態が滅多に変化しない極端な荒れ馬場も極悪馬場もないというのに、普通ではないコース形態であることに加えて、歴史的名馬からギリギリG1出走レベルまで色々と混ざってくるので、強い馬が極端に着差を広げてしまったり、自分の良さを出し切れずに伏兵の台頭を許すこともある上に、昔から続く定番というか、シーズン末期のグランプリレースならではの大逆転劇が定期的に巻き起こってきた。

今年は牝馬ばかりが強かったから、昨年リスグラシューが勝ってから、中央の芝主要G1、古馬のレースに限ると、ついにテイエムオペラオー的リーチをかけている。

ちなみに、テイエムオペラオーがパーフェクトゲームを成した2000年に入る直前、1999年の有馬記念では3着。

グラスワンダーとスペシャルウィークが激闘を演じたあのレースで、ちゃっかり好走していた。

グラスワンダーはスクリーンヒーロー、スペシャルウィークはエピファネイアを通じ、21世紀の競馬界を牽引する才能をしっかりと送り込んでいる。

ジャパンCなどよりも、ずっと種牡馬選定レースに適した一戦だから、ドリームジャーニーやゴールドシップさえも、オルフェーヴルに伍して、ここに出走馬を送り込んでいる。

何も関係ないようで、年末ではなく、梅雨時のサマーグランプリに縁のあったナカヤマフェスタが、それらステイゴールド軍団の威を借るようにして、伏兵のバビットを投入。

人気になるラッキーライラック<父オルフェーヴル>は、どうしても、雨馬場適性に死角があるから、春の阪神で対照的なパフォーマンスとなってしまった。

一方、極悪馬場まで歓迎のナカヤマフェスタ譲りのタフさが信条のハビットは、本当に良馬場なのか?という菊花賞の馬場では本領発揮ならなかったが、いかにも怪しい馬場であったラジオNIKKEI賞やセントライト記念で、見事に才能潰しに成功。

堂々の伏兵一番手として菊花賞に挑むも、キメラヴェリテの果敢な逃げに撃沈。

リズムもよくなかったが、広い馬場で仕掛けのタイミングを惑わされただけでなく、良馬場ならではの外差し傾向のバイアスの掛かった馬場で、全く走り切れない3分どころより内をついたのでは、どんな差し馬相手でも勝負にならない。

しかし、相手を見る余裕するらない、誰が本当に勝利に近いのかよくわからない競馬こそ、この手の馬にフィットする気がする。

同じ長距離カテゴリーの競馬で不発の、それも春のクラシック不出走の馬を狙うのは筋悪かもしれないが、5歳以上が平成以降で、まず歴史的名馬級しか連絡みもないという流れを踏まえれば、この秋の1番人気・牝馬コレクションのひずみが、一気に有馬で露見しないかと淡い期待を寄せて、久々に、まともではない視点で爆発的な底力を発揮してもらおうと、バビットの秘める究極の二枚腰に一票を投じたい。

有馬記念2020 - レース展開

誰にでも死角があって、ステイゴールドっぽさのかけらもなかったラッキーライラックが、気難しさだけ強調されたような近走の結果から、ちょっと、エリザベス女王杯でハマりすぎた印象もなくはないので、少し大人しくしてもらいたいという願望も込みで評価落とし。

同時に、ジャパンCは稀に見る激闘で、普段は芝コースの直線を真一文字で上がってくる上位3頭が、まともに走り切れていない、あの瞬間だけ風速30m/hの向かい風が吹いていたようなレースで、努力出来る限りのものをすべて出し切ったような面々も怪しいとなる。

頼みの綱となるのはもうエリザベス女王杯と秋天の好走馬で、これらも勝ち馬以上に強力な武器を持っていないとなるから、突き抜けるとは思えない。

道悪適性で群を抜いているクロノジェネシスは、そういうコンディションなら、いかにもの器用さで前を捉えにかかるが、外を上がると良馬場では特に、エース級には敵わない。

彼女を最有力とした時、必ず存在したディープの才能はここでは揮わないことが大半だから、それを負かすことは可能でも、違う武器を持ったフィールド丸被りの若い牡馬は、案外手間取る好敵手になり得る。

上昇力では世代の中でもピカイチで、女馬にはない、旺盛な戦闘意欲が前向きさを押さえつけない時に発揮されるタイプだから、若き日のダイワスカーレットが、まさかのマツリダゴッホのイン追い抜き作戦に屈した例があるように、有馬記念なら、そうした単純な理由ではないことで、フレッシュな状態で大一番に再挑戦できる好機を活かせるかもしれない。

そもそも、他人<馬>の力を借りて器用に立ち回るスタンスで、簡単にレースをしたいと考えるバビットではない。

おまけに、秋ほどではないにせよ、ステイヤーズSが馬場状態以上に、現状の中山の馬場の質を反映するような時計の決着で、高速馬場のタフな戦いを好む馬ばかりの争いで、秋に先行粘りを成功させた実績のあるバビットは、言われるよりもずっと、アドヴァンテージを持っている。

マツリダゴッホやマンハッタンカフェの2着に入ったアメリカンボスらは、春に入るまでの寒い時期での中山重賞勝ちの記録がある。

セントライト記念の勝ち馬など、変に人気になっては消えるから、ほとんどは格下と切り捨てられるのだが、キセキが連続の先行態勢をとったとして、不器用な男同士、バチバチやり合う可能性も残しながら、意外なほど先行有利の流れを生む干渉のし合いもなくはない。

そうはならない可能性は十分にあるとはいえ、決して、若い馬の逃げ込みが少ないレースでもない。

ベテランも当然、展開一つで押し切りを図るべく粘りを見せるが、古馬の追撃を凌ごうと粘るブエナビスタやブラストワンピースのような構図の方が、圧倒的に多い。

デムーロのヴィクトワールピサなんて、まさにそのパターンだった。

ステイゴールド系の有馬勝ち馬は、そのほとんどが、差し追い込みタイプのズドンスタイル。

まるでそういう雰囲気のない、実に潔い先行型のバビットは、荒れ馬場の差し合いで世界レベルであることを示す4歳夏以降の短期間を除き、グズグズしていることもあって、道悪でも結果を出せなかった父を持っている。

しかし、ナカヤマフェスタがセントライト記念を勝った時は、自分から動いて、後の重賞勝ち馬らを引き連れての完勝。

また、だいたいが450kg台の馬体重ながら、462kgでセントライト記念完勝のバビットは、ステイヤーっぽく作り上げた菊花賞の450kg<12kg減>で、実は不適の仕上げだった可能性がある。

父はダービーで増やした体を絞って快勝後、結果的に距離不適の菊花賞で上がり目はなかった。

ディープインパクトもその代表産駒であるコントレイルも、作り上げる過程で絞り込むことが、いい訳ではなかった。

そもそもが大きくないのだから、ライスシャワーやヒシミラクルのように、叩いて鋭敏な嗅覚を研ぎ澄ますようにして獣のように作り上げるスタンスが適当ではないわけだ。

小柄なステイゴールドに過酷な稽古は必要なかったから、いくら使っても気が滅入ることはなかった。

無論、真面目に走らないから可能だったのだが、今はそういう馬が生き残る道などまずないので、G1ではそれは可能でも、はっきりと適鞍があるフィエールマン以外は、コンスタントに結果を積み上げていく必要がある。

有馬記念2020 - 最終予想

2度目のG1でバビットに求められるのは、今後再戦もあり得るコントレイルやアリストテレスとの長距離戦における逆転の可能性を見つけるレースになると同時に、ステイゴールド系の継承者として、絞り込まないスタンスでの結果の追求もまた必要となるわけだ。

大きく減らした後は、普通は反動が出てしまいがちで、それがレースの前に出ていたとして不思議はない。

であるなら、レースのダメージが大きい以前に、菊花賞を走り切れなかったという見解もあっていいはず。

前に邪魔が入ったからではなく、自分が自由に動けなかったと考えた時、この伏兵の一発に、まさかの馬体重揺れ戻し現象のセントライト記念くらいの目方で、再びの激走を期待してみても面白いだろう。

ステイゴールド系の活躍は、三冠馬・オルフェーヴルに集中するのは仕方ないが、それとて、人気に逆らうのが信条。

ラッキーライラックは真面目に走れることが、他の馬よりスピード型に出た分だけ機会が多いというだけで、ステイゴールド自身がそうであったように、孫のバビットに人気で走る義務など何一つない。

伏兵評価の時、どれだけ狙える馬になれるか。

どうせ大きく人気を集める立場にならない、世代レベルに未だ疑問符がついている、それでもいくらか有利な3歳馬という立場を、どうやって味方につけるか。

ステイゴールドだけではなく、ヘイルトゥリーズン系の連続勝利を止めた一昨年覇者のブラストワンピース<テイエムオペラオー−ブラストワンピースの間に17連勝>が、JCのアーモンドアイばりに大威張りはできない中抜き連続参戦で、1月の中山の走りができれば侮れない。

しかし、ミスタープロスペクターの血が母父では届くのに、アーモンドアイが大惨敗のように、ヘイルトゥリーズン系のキレやスピードが優先される舞台。

その最大の後継ラインであるヘイローのクロスを直交させた構成は、ヴィクトワールピサやシュヴァルグランなどが、母父にマキャヴェリアンを持つことで生じさせたそれより、顕彰馬・タイキシャトルが母父に入って生ずる4×4のインパクトの方が、幾らか強い。

それはキレイにハマることもあれば、うまくいかないことも多いが、クロスがやたらと偏屈な構造になっているナカヤマフェスタのベクトルがどの方向に極端に向いているか、判然とはしない一方、牝馬の強い時代にはこういうスピードのアシストと不思議と軽さが強調されないヘイロークロスの武器とが、一発屋の底力を極限値まで引き出す可能性に賭けたいところ。

同じ歳のディープボンドも、思われているよりは実力者という走りを、クラシックの後半ほど見せているから、これも期待だが、流石にワンツーは難しそう。そもそも、出られるかわからない立場。

キレと完成度のクロノジェネシスに、再挑戦のフィエールマン、牝馬ならサラキアの究極の末脚が有馬向きに思えて、これにオルフェーヴルの本物の方に思えるオーソリティ、昨年の中山で一緒に撃沈のテイエムオペラオーと同じ牧場育ちであるブラックホールなど、人気に合わせた妙味のある相手を上手に組み合わせた流し馬券を、手広く行くのが安心と思う。