朝日杯フューチュリティステークス2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着アドマイヤズーム(9.1倍)2着ミュージアムマイル(3.7倍)3着ランスオブカオス(45.8倍)
レース名 | 第76回朝日杯フューチュリティステークス |
日程 | 2024年12月15日 |
優勝馬 | アドマイヤズーム |
優勝騎手 | 川田将雅 |
勝ちタイム | 1:34.1 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 86,430円 |
朝日杯フューチュリティステークス2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 2 | アドマイヤズーム | 1:34.1 | - |
2 | 4 | ミュージアムマイル | 1:34.5 | 2.1/2 |
3 | 3 | ランスオブカオス | 1:34.9 | 2.1/2 |
4 | 1 | ダイシンラー | 1:35.3 | 2 |
5 | 8 | アルテヴェローチェ | 1:35.4 | 3/4 |
単勝 | 2 | 910円 |
複勝 | 2 | 270円 |
複勝 | 4 | 170円 |
複勝 | 3 | 880円 |
枠連 | 1-2 | 1,490円 |
ワイド | 2-4 | 580円 |
ワイド | 2-3 | 2,660円 |
ワイド | 3-4 | 2,500円 |
馬連 | 2-4 | 1,480円 |
馬単 | 2-4 | 3,700円 |
3連複 | 2-3-4 | 17,460円 |
3連単 | 2-4-3 | 86,430円 |
朝日杯フューチュリティステークス2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「いい走りで勝ちきってくれてホッとしています。難しいタイプで、気持ちよく走らせることを優先しました。4コーナーでは勝つと思いました。2戦目の感じからすれば負けないな、と。亡くなってしまいましたが、オーナーの近藤(利一)会長にお世話になりましたし、アドマイヤの馬で勝てたことがうれしいです。(来年のクラシックについては)距離を延ばすことは新しいチャレンジ。きょう、いい走りをしてくれたことを褒めてあげたいです」
※優勝した川田将雅騎手のコメント(アドマイヤズーム)
朝日杯フューチュリティステークス2024 - レース結果動画(YouTube)
朝日杯フューチュリティステークス2024 - 回顧
アドマイヤズームの血統
多く、横への広がりを見せるファミリーであるが、近いところでは、皐月賞とマイルチャンピオンシップを制したジェニュインがいるといっても、少し遠い。 モーリス×ハーツクライという血統の字面通り、難解な問題を常に、道中でも解き続けねばならないという、実に難易度の高い仕事を鞍上に求めるようなタイプであることは事実だろう。 そういうところが、ジェニュイン=サンデーサイレンス初年度産駒とも似ているから、川田騎手も大変だったはずだ。
3代父は、伝説の2歳王者となった中山時代にこのレースをレコード勝ちしたグラスワンダー。 メジロ牝系にカーネギー×モガミと、悪いことしかしそうにない、ノーザンダンサー系のA級になりきれない気性の難しい血を重ねるには、大人しいところのあったグラスワンダーには合っていたのかもしれないが、スクリーンヒーローはサンデーサイレンス肌の血統馬。 日本で走る馬を作りために、際どい性質の種牡馬を重ねる必要に背回れた末に、モンスターである父モーリスが誕生し、その仔も似たような性質を受け継いでいるという状況。
ほぼ、父でありジェニュインなどと同じ、マイラーにしておくには勿体ないが、気性的に限度もある…、という面を抱える血統に、ある程度の距離を求めるハーツクライとの相性はいいのだろうが、エピファネイアとは成功例を持つ配合も、こちらのグラスワンダーのラインは、元が速い性質を繋げるというコネクションの強さで、万能のスピード型としての態勢を、現状ではアドマイヤズームに求めるべきとしておきたい。 すでに名手のことである。言葉で伝えきれるだけではない、何とも形容しがたい危険な一面を、すでに発見しているはずである。
先週のジュベナイルフィリーズとは一転、阪神開催でも珍しくなった緩い展開になった序盤。 敢えて、端を奪ったような印象の横山典弘騎手に乗り替わりせざるを得なかった最内のダイシンラーは、なんと、35.4-48.0-60.4という、信じられないほどに丁寧なレース作りに終始。 この手の仕事に最適の鞍上には、実に珍しい策であるが、飛ばす能力云々を求められるほど、今のダイシンラーは、足らぬことが多いとオープン連敗で示してしまった結果が、この逃げの策を作ったのである。
すなわち、ベテランらしい相手の手の内を読み切っていた卒のない騎乗。 先週のユタカ騎手の機先を制していく格好を見せて、自分の馬の弱点を補完するような先行に見られたものと違い、乗り手がさして変わっていない組み合わせで、人気馬があまりにも怪しい気配であったことが、この展開を生んだのだろう。
距離を既にこなし、半ば強制的にマイル出戻りを命じられたミュージアルマイルのクリスチャン騎手は、あのナミュールで失敗した手を繰り返したようで、内から位置の取り直しをしたことは、むしろ、好騎乗になったと言われるほどのリカバリーであったから、現状の力を示すと同時に、総合力でまだ見劣る部分あることは理解できたともできるだろう。 決め手もスピードも、思った通りくらいの結果しか出なかった。 世代のエース級を集める印象に思えるホープフルSでは、恐らく、上位争いにはかなりの無理が生じた可能性がある。 今の彼にはいい選択だったのかもしれない。
吉村誠之助騎手のランスオブカオスは、前の流れに乗っただけだが、それにしても、渋とかった。 勝てるポジションにいたのだから、結果が悪くなることはない。 むしろ、中1週に耐えた馬を褒めるべきだろうが、その称賛の仕方は少し難しいものがある。 ただ、吉村ジュニアがこの結果で得た、素晴らしい経験値は、必ず、再びの大舞台に挑むにあたって、大きく役立つはずだ。 伏兵の戦いを知れただけでも、十分な収穫である。
それにしてもだ。 アドマイヤズームの圧勝というのは、そこまで多くのファンが期待した結果ではなかったが、今週も先頭ゴールの馬が上がり最速。 2着馬もそれに続いたということ。 人気馬があまりにも切ない、大人しい雰囲気ではいられないところに比して、元より、ステイヤーとしての資質を重視する馬作りとその選定を行う友道流の活動が、あのような独走、かなりの楽勝に繋がったのは事実。 自信を持っていきたいところだが、正直者の川田将雅は、早速注文を付けていた。
昨年のジャンタルマンタルも圧勝に近い内容だったが、それでも慎重に事を運ぶべき部分はあるとしながら、スピード勝負の皐月賞は強気のスパート。 ただ、人気勢がそうであったように、このアドマイヤズームには京都での経験があるとはいえ、いずれも内回りのもの。 不安を抱える中の好位付けに、ペースメイクの達人であるノリさん参戦は好材料だったが、内実、力の限界もあって、特段のプラスはなかった。 川田騎手とすれば、スピードレースでの力量差云々を今求める時期ではないという確信に近い理解を踏まえ、もう少し流れてくれた方が、踏み込むタイミングや本当の実力の部分をはっきりと理解し、自分が乗る乗らないにかかわらず、次に繋いでいくことが容易だっただろうが、スローのマイルで重賞勝ち…。 課題があると思って、しっかりと成長を促す、ある意味では友道調教師の流儀に見合った馬作りを、念を押して求めたように感じた。
直線勝負で後続を突き放したのだから、能力は確か。 この中では最初から、十分にチャンピオンになる資格はあったはずと、ある程度は勝ち気にレースを運んだが、馬の気性を重視した結果に過ぎないという自己回顧は、重く陣営に圧し掛かる課題となるだろう。
その反面、トータルクラリティが完全に揉まれてもいないのに、中身が伴っていなかったというプラス体重が響いたという結果が象徴するように、人気勢は軒並み、序盤から普通にレースを組み立てられなかったことで、一旦リセットであるのだが、考えようによっては、またどこかでしっかりと権利獲りに参加せねばらないアルレッキーノを除いて、特殊な先行残りのレースに、そもそも、しっかりと狙いをつけて挑むことをしなかったことが、本番に想定するのがNHKマイルCとするのみになったこの組の人気勢には、マイナスは意外なほど少ない気もする。
危ないモーリス丸出しのアルテヴェローチェは、武豊騎手であるから、こういう状態の馬を前に行かせることはしない。 普通に走らせて、流れに乗せようとした途端、昨年のシュトラウスがそうであったように、元通りに作り直すのに時間を要するような、意味のない挑戦に終わってしまう可能性を留意し、自身がその際に実行した<そのエコロヴァルツが中山メインを快勝、シュトラウスで自滅のマーカンド騎手とのコンビとは出来過ぎだった>下げる一手で、もう一発を狙ったが、とりに行くべきところに入れなかった割には、ありとあらゆる京都芝の特性を世界一理解する鞍上のこと。 いい結果ではないが、中身がないわりに5着としたのだから、次は仕上げやすい。
トータルクラリティはあきらかに馬の作りに、攻めきれない甘さを残し、自身の成長が重要な段階にすぎず、正直、ここはどうでもいいだろうが、クラシックはさすがに苦しいか。 一方、ムーア騎手で期待もされた関東馬のニタモノドウシは、何とも残念な後方からの競馬を余儀なくされ、人馬とも、完全不完全燃焼の一頭。 どう走るか理解してアシストすることは難しいロイコン系牡馬・アルレッキーノ<このファミリーは、何故だか、牡馬の方が扱いは難しい>とは異なり、行けるだけ勝負してほしいというところも期待して、時計勝負も期待の評価だったはずが、ムーア鞍上のチャリンとは異なり、まだまだ、自分の型を作る最中で、乗り替わりの上での休み明け。 まるですべてがかみ合わなかったという点で、この馬こそが、昨年のシュトラウスを再現してしまった印象も残す。 奇しくも、マイルチャンピオンシップの11番は、このレースでも同じ枠番馬番だったというあたり、この人も少し、ツキから見放される師走となっている。