朝日杯フューチュリティステークス2015 予想
エアスピネルという馬は、鞍上武豊騎手が今年ダービーでパートナーを組んだポルトドートウィユ同様、父も母も乗り味を知っている馴染みのある血統の持ち主。
特に、母がエアメサイアということもあって、実力では一枚上だったリオンディーズの母・シーザリオやその同期で母になることの叶わなかったラインクラフトとの対決の中で、どうやって彼女の良さを引き出してあげるかを懸命に考え抜いた末に、当時全盛期だった武豊騎手の追い出しのタイミングが完璧であったという最高のアシストをしてもらった秋華賞で、ここは自分のフィールドではないとライバルのラインクラフトに短距離路線転戦を決定づけさせた10年前のあの熱い秋は、印象深く記憶されている。
上手に立ち回れそうな上原厩舎の2頭に、距離は怪しいかもしれないがボールライトニングという好敵手もいる。
何より、シュウジの評価は1600戦においては絶対視できるものではないけれど、十分にここでも優勝圏内にいる候補の一頭に違いはない。
ただし、ここより距離を延ばした時に…。先週もそうだった、前年の勝者・ダノンプラチナのように、マイル戦であれば多少のことでは崩れないというメンツはここにはいない。
イモータルにもチャンスはあるが…。
母似のエアスピネルは、シーザリオのようにどうにも敵わない相手がいないのでは勝負は苦しいけれども、余程の不利でもない限りが決め手が違うという評価を前回の競馬で多方面から得ることになった。
シュウジも負かしたし、デイリー杯を圧勝したのである。
「機は熟した」
エイシンガイモンで絶妙なスパートをかけて、人気のバブルガムフェローに一泡抜かそうと好騎乗を見せたのは、ちょうど20年前の中山のこのレース。
その勝負服で、念願の香港Cを先週日曜の夕刻制した。
まだ佐々木晶三厩舎にいたシーキングザパールと共に、当時の阪神3歳牝馬Sで断然の支持を受けながら2年続けて1番人気を裏切ることとなったのは19年前。前年の95年はイブキパーシヴで負けている。
キズナ、ダービー、世界への挑戦…。
果たすべき仕事、ちょっとだけでも陣営へのお返しはできている。
そもそもデイリー杯では、ここは2着でも構わないから、この朝日杯で巻き返してくれないかというようなファンの支持だったとも感じる。
先のある馬の方が有利。
それは既に、ジュベナイルフィリーズで証明されている。
相手に関しては、悩みの種は尽きないけれど、ちゃんと中京のタフな馬場はこなせているので、阪神替わりは大きなマイナスとは思わないのでシュウジにする。
本来は、この配合であれば距離ベスト。気性の面で難しさがあるというだけのことだ。
前出の面々に、勢いづいたロベルト系は切ってはいけないということで、評価天井知らずのスクリーンヒーロー産駒のウインオスカーなども押さえておきたい。
エアと言うと、笹田調教師と武豊騎手は、エアグルーヴとの関係で互いの信頼感を深めたことだろうと、傍から見ていても想像できる部分はある。
20年前、エアグルーヴの鞍上にはO.ペリエがいた。
彼もこれからという頃。翌年から凱旋門賞を3連覇し、02年からは有馬記念も3連覇した生ける伝説である。
チューリップ賞も同じ。ビワハイジにも乗れず、エアグルーヴだって絶対手が戻ってくるようなことはないのでは…。
その日、中山では国際騎手招待競走が行われていた。
メインを勝ったのは武豊鞍上のユーワケリガン。
チューリップ賞圧勝の反動か、エアグルーヴは桜花賞を熱発で回避。翌週はダンスインザダークと皐月賞にも出られなくなるも、その年のうちに帳尻合わせはできた。
季節は幾度も巡って、時の種牡馬キングカメハメハとの組み合わせで、その孫が大活躍した今年、そのキングカメハメハの仔でGⅠ1番人気でレースができる。
これで負けたら、きっと引退時期が早まってしまうだろう。
武さん、ガンバ!である。