朝日杯フューチュリティステークス2023の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

朝日杯フューチュリティステークスの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第75回朝日杯フューチュリティステークス(G1)
グレード重賞(G1)
日程2023年12月17日(日)
発走時間15時40分
開催場所阪神競馬場
距離芝1,600m
コース右回り
賞金7,000万円
レコードタイム1:32.3

朝日杯フューチュリティステークス2023の予想オッズ/出走馬(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

朝日杯フューチュリティステークス2023の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11エコロヴァルツ武 豊牡256.012.74栗東・CW・良(助手)
6F 81.2-66.9-52.9-38.5-12.1(G前仕掛け)
栗東・坂路・良(武豊)
800m 54.6-39.6-25.3-12.3(馬なり)
12ミルテンベルクB.ムルザバエフ牡256.028.510栗東・CW・良(助手)
計測不能(一杯)
栗東・CW・良(ムルザバエフ)
6F 86.4-70.1-53.9-38.0-12.1(直強め)
23ジャンタルマンタル川田 将雅牡256.04.02栗東・坂路・良(助手)
800m 54.8-40.2-25.8-12.1(末強め)
栗東・坂路・良(川田)
800m 52.9-37.9-24.0-11.8(馬なり)
24サトミノキラリ津村 明秀牡256.038.112美浦・ウッド・良(横山武)
5F 68.6-53.3-39.2-12.3(馬なり)
美浦・ウッド・稍重(津村)
6F 82.3-66.6-52.2-37.8-11.6(馬なり)
35タガノエルピーダ団野 大成牝255.022.07栗東・坂路・良(団野)
800m 52.4-38.5-25.3-12.9(馬なり)
栗東・坂路・良(団野)
800m 52.9-38.5-24.8-12.4(馬なり)
36セットアップ横山 武史牡256.015.25美浦・ウッド・稍重(横山武)
6F 84.2-68.0-53.1-38.6-12.0(G前仕掛け)
美浦・ウッド・稍重(木幡育)
6F 85.1-69.2-53.8-38.7-12.0(馬なり)
47オーサムストローク坂井 瑠星牡256.028.59美浦・ウッド・良(助手)
5F 69.9-54.6-39.9-12.3(馬なり)
美浦・ウッド・稍重(坂井瑠)
5F 69.1-53.9-38.5-11.7(馬なり)
48ダノンマッキンリーC.ルメール牡256.03.91栗東・CW・良(ルメール)
4F 58.4-41.7-13.3(馬なり)
栗東・CW・良(調教師)
4F 53.4-37.1-11.2(馬なり)
59クリーンエア鮫島 克駿牡256.055.715美浦・ウッド・稍重(助手)
6F 83.5-66.9-52.4-38.1-11.6(馬なり)
美浦・ウッド・稍重(鮫島駿)
5F 66.1-51.2-37.2-11.9(馬なり)
510バンドシェル池添 謙一牡256.066.116栗東・坂路・良(池添)
800m 51.5-37.0-24.0-11.9(強め)
栗東・坂路・良(助手)
800m 54.8-39.1-25.0-12.2(末強め)
611タイキヴァンクール浜中 俊牡256.055.214栗東・CW・良(助手)
6F 81.4-66.1-51.5-36.6-11.4(一杯)
栗東・CW・良(浜中)
6F 83.4-69.0-54.0-38.1-11.6(直強め)
612タガノデュード古川 吉洋牡256.045.613-栗東・坂路・良(助手)
800m 50.8-37.6-24.5-12.2(末強め)
713ナムラフッカー松山 弘平牡256.025.38栗東・CW・良(松山)
6F 82.5-66.1-50.9-36.2-11.2(一杯)
栗東・坂路・良(松山)
800m 55.0-40.5-26.0-12.8(馬なり)
714ジューンテイクM.デムーロ牡256.030.011-栗東・CW・良(M.デムーロ)
5F 69.0-53.7-38.4-12.5(馬なり)
815エンヤラヴフェイス幸 英明牡256.018.76栗東・坂路・良(助手)
800m 54.0-39.6-25.8-12.8(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.0-37.9-24.3-12.4(一杯)
816アスクワンタイム岩田 望来牡256.0103.817栗東・CW・良(岩田望)
6F 86.2-70.8-56.1-41.7-14.8(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.3-38.1-25.2-12.7(一杯)
817シュトラウスT.マーカンド牡256.04.13美浦・ウッド・良(黛)
6F 80.7-65.9-51.5-37.6-12.0(馬なり)
美浦・ウッド・稍重(黛)
800m 50.4-37.2-25.1-12.7(馬なり)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬1回2回2回17回4.5%13.6%22.7%
先行馬10回4回6回51回14.1%19.7%28.2%
差し馬7回13回9回101回5.4%15.4%22.3%
追い込み馬2回1回3回91回2.1%3.1%6.2%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠6回1回4回26回16.2%18.9%29.7%
2枠3回2回4回30回7.7%12.8%23.1%
3枠2回5回1回30回5.0%17.5%20.0%
4枠3回3回4回30回7.5%15.0%25.0%
5枠1回3回1回34回2.6%10.3%12.8%
6枠2回5回1回32回5.0%17.5%20.0%
7枠1回0回4回37回2.4%2.4%11.9%
8枠2回1回1回39回4.7%7.0%9.3%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト38回38回40回220回11.3%22.6%34.5%
ロードカナロア23回25回23回202回8.4%17.6%26.0%
エピファネイア18回16回15回120回10.7%20.1%29.0%
ハーツクライ18回16回15回137回9.9%15.5%24.3%
ルーラーシップ15回12回10回120回9.6%17.2%23.6%
ダイワメジャー14回20回11回109回9.1%22.1%29.2%
キングカメハメハ14回10回5回61回15.6%26.7%32.2%
モーリス14回9回16回88回11.0%18.1%30.7%
キズナ11回15回9回110回7.6%17.9%24.1%
ドゥラメンテ11回4回3回84回10.8%14.7%17.6%

朝日杯フューチュリティステークス2023 - 過去10年のデータ傾向

消えそうで消えない1番人気馬

消えたといっても、さすがに人気になりすぎた牝馬のミスエルテが4着、アドマイヤマーズに被されたグランアレグリアも3着。

あと、3着の1番人気馬は猛ペースでも引っかかっていたレッドベルオーブ。

何だ、堅いではないか。

9年で4勝、2着が2回、その他もみんな掲示板。

つまり、中山で消えたアトムが最後の4着外し。

重賞勝ち馬に人気になるのは、当然シュトラウスであり、次点評価はジャンタルマンタル。

関西馬いくらか有利の票が伸びたら、それこそ、ジャンタルマンタルと同じ無敗のルメール騎乗・ダノンマッキンリー。

もっと横一線の評価なら、簡単に止まりそうもないセットアップもこれらに加わるが、関東馬だから、高評価の一歩手前で止まるか。

連勝馬は人気になる一戦。

猛烈な勝ち方をした1勝特別組がいるわけではないので、血統で買われそうなダノン以外、重賞好走馬なら、完全に軸馬に相応しい存在となってくる。

今のトレンド、サウジアラビアロイヤルC組は、今年いないようでガッツリいるという不思議なポジションでレースを左右する

阪神開催は変わらずとも、直前ふた開催が京都と分割の2020年と、3連続開催だった昨年までの2年間とでは、臨戦過程が同じようで、まるで異なるというのは、関西圏のレースであると当然発生する事態なのだが、秋の東京開催は20年間連続で、中山のあと2つやって、暮れと年明けはまた中山で、今度は東京で一つやって中山…、というサイクルのまま。

そもそも、昭和最終盤の頃から同じであるから、影響は大きかったようで、サウジアラビアロイヤルCだけは昨年もそうだったが、よくハマっているという感じで、ずっと好走馬を出続けている。

今年は牝馬が人気で、不良馬場独走のシュトラウスがその後の評価で、また次に、堀厩舎のゴンバデカーブースという順の評価だったが、内容的にも将来性の点でも、ゴンバデカーブースが一枚抜けていたという強靭な末脚が際立った一戦でもあった。

敗れた側のシュトラウスは、ボンドガールともども、暮れの阪神で面目躍如したいところだが、シュトラウスはあまりにもガタガタした道中の低性能ぶりを露呈したので、仕方なしに、東京スポーツ杯を挟んできた。

マイルでもかかったのに、距離延長なら益々…、というほどではなかったが、モレイラ騎手が手を焼いたことだけは事実。

消耗の点では推せないが、真の本命を4年で3回は出すサウジアラビアRC組のこと、理由もなく消せないという雰囲気がプンプンしている。

デイリー杯組はそれなりに走るような感じに戻ってきたという印象

2020年のレッドベルオーブ<前述の通り3着>もいるのだが、阪神3連チャンのここ2年も、セリフォスとダノンタッチダウンらが2着。

今年は勝ったジャンタルマンタルが飛ぶと、ちょっと買えないという伏兵を絡めることになるから、頭狙い前提だと、3連勝戴冠のいつものパターン<過去6年で4度も、デビュー3連勝での無敗奪取が定番化、中山時代ではアドマイヤマーズのような4連勝の馬も結構いた>が、川田、ルメール、もしかすると継続騎乗で武豊か、といううれしい3択<別に、そう決まったわけではないが…>となるから、それならばと、常道のデイリー杯組を買いたい。

怖いのは、エアスピネルやセリフォスがそうだったように、ここで連は外さないが、他の同格の馬にやられるケース。

やはり、京都と阪神ではいくらかテーマが異なることで、ズレが生じるのかもしれないが、11月開催にデイリー杯が移動した最初の年で、その不穏なレースで不発に終わったあと、強引に2着に勝浦スペシャルを炸裂させたアルマワイオリがいるから、悪い道ではない。

昔より、京都より阪神の方が高速になりやすいから、荒れ馬場の京都の後に、坂がタフな阪神で継続して頑張る人気馬は増えたのかもしれないが、中山よりはずっと激流になりづらいから、アルマワイオリ的な仕事をナムラフッカーに委ねつつ、軸で押さえたいのはこちらの方か。

というか、本線でガッツリ押さえられるのは、この馬だけという事情もある。

中山マイルより東京の方が遅くなったオーサムストロークは、サトノアレスになれるのか

関東馬が強行軍で、中2週ローテを敢行するのに、適したということもないが、所謂最終便というやつが、東京1勝クラス・ベゴニア賞勝ち馬のひと枠。

来るとは限らないが<朝日杯登場という意>、中山で初勝利後に、東京最終週参戦はほぼサトノアレスと同じ。

阪神初年度の王者となったダノンプラチナも同じローテであったが、前々走は東京だった。

よっぽどこちらの方が強行軍だったわけで、末脚で魅せたという共通項では、オーサムストロークが…、この馬はセットアップの何かあった時用の先行要員であって、脚質は真逆。

しかし、上がりが常に上位。

平均ペース向きの阪神で、新馬を3着と敗れた非天才型とすれば、人気になったダノンプラチナより、乗り替わりで全く人気にならなかったサトノアレスの方に近いし、ハマるかどうかということでは、父エピファネイアの本質ともそっくり。

逃げ馬はスローでキレ負けだったボンセルヴィーソしか残っていないが、ハイペース恒常化の中山よりは、可能性はあるので…。

セットアップとこちらのどちらかは、逃げ残っておかしくない。

朝日杯フューチュリティステークス2023- 出走予定馬の血統/成績/タイム

猛烈な勢いで、暮れの重賞戦線を盛り上げそうなパレスルーマーの仔から誕生した、もう一頭の大物候補

ジャンタルマンタルの血統

父のパレスマリスは、クラシック最長距離の最終戦・ベルモントS快勝馬でありながら、1年もすると今度は、ダートのマイル戦線に転じ、同じベルモントパークのメトロポリタンHを、1:33.56の好タイムで制したという、よくわからない記録を持つ。

その異父弟が、先日のステイヤーズSを鮮やかに逃げ切ったアイアンバローズであり、天皇賞馬になって、有馬記念でも有力視されるジャスティンパレス。

パレスルーマーというビッグマザーは、大きな仕事をした後に、弟のジャスティンパレスがイクイノックスについてまわり、秋の天皇賞を1:55.6で駆けたように、ツボがどこか全く違うところに2か所あるような、不思議な性質を伝えている。

ファミリーが英愛クラシックなどに縁のある北米血統という、またよくわからない内面を秘めるこのジャンタルマンタルは、京都の外回りでデビュー2連勝。

急坂が苦手になりそうな要素は、北米系の血に囲まれて…、というのとは、父も母方の血統からも少し当てはまらない部分をもっているからなのだろうか、ここまでの結果が不思議に思えないと、知れば知るほどなってしまう。

配合的な特徴としては、父父がダービー馬・ストリートセンスをプリークネスSで破っただけでなく、肝心のBCクラシックでもう一度倒してから、ドバイワールドCまで凄まじい勢いで勝ち進んだカーリンであるから、パワー満点。

しかし、不思議なパレスマリスが登場すると、これまで北米クラシックウイナー多数輩出の正統派から、日本での芝での可能性も秘めると若干のイメージチェンジを図ると、BCジュベナイルのターフを勝ったストラクター登場で、このパレスマリスだけは芝兼用に。

シアトルスルーもストームキャットもであるから、表面的なミスプロの薄めのクロス以外にも、様々、モンスター系の隠れたインブリードは散見されるものの、どれもそこまで影響力の強さを感じさせない。

母父のウィルバーンだけ、マイル特化でBCダートマイル誕生を心から喜びながら、結局コケけたいうことが心許ない実績として死角をとなっている部分こそあれど、日本でよく見るシアトルスルー×ミスプロの配合なので、邪魔はない。

ここに絡むミスプロのクロスだから、素直に、マイラーらしい性質が最大限問われる舞台に適性ありと思う。

高速の展開を、本質で好む配合であるから、一見すると、中山時代の方に適性がある・アジアエクスプレスタイプのようで、ディープと相性の良さそうな配合の繫殖牝馬だと思えば、ディープがもういないので…、という無理筋も少し通りやすくなっていると、ここは強引な手で押し切るとする。

朝日杯フューチュリティステークス2023 - レース展開と最終予想

速い馬という印象こそ湧いてくることはないものの、どう見ても勝負強く、またタイトなレースを好みそうな本格派の候補であることを示してきたジャンタルマンタルは、ジャスティンパレスの半兄であるパレスマリスの産駒であるという点で、最注目の一頭にもなっている。

あのステイヤーズSの初重賞制覇を果たしたジャスティンパレスの兄、パレスマリスの弟・アイアンバローズの過激なまでのパフォーマンスは、再びの兄弟対決への期待感だけでなく、基礎繁殖の期待を持たせる母のパレスルーマーの有能さに、まず感服するのみである。

ちなみに、このジャンタルマンタルは社台ファーム産で、ジャスティンパレスの方はというとノーザンファーム産。

兄弟で何だか複雑なマッチングをしていくうちに、妙な展開になってしまったのだが、どちらも繁殖に上がれば、どこかに需要があるということでも、パレスルーマーの底力に感謝しかない。

ジャンタルマンタルは、京都のデビュー戦は1800、次戦に選択のデイリー杯2歳Sは1600と、基本距離に忠実なクラシック候補としての展望を掲げるに相応しい使われ方をした中で、キーと握るとされた前走のG2で、ペースゆったりとはいえ、少し掛かり気味のレース内容に不安があったのだろう。

一旦、実を取るという形で、ベルモントS勝ちのパレスマリスの仔を、再びマイル戦へと差し向けた。

万全を期す格好で、鞍上も手替わり。鮫島克駿騎手の挑戦は続くが、まさに踏ん張りどころであろう。

川田騎手への期待と、それに伴う重責は極めて大きなものになった。

レースぶりは明快もいいところで、好位抜け出しの優等生ぶりを発揮。

欧州血統ではないものの、明らかに、ダートでグイグイ飛ばす、速い血を残すために必死にいているような感じのする高速ラップ展開を自ら描き出すタイプではなくことで、父の大物・カーリンの凄みを受け継いだ一面も見て取れる。

理想の抜け出しとて、当然、そこはG2のデイリー杯という感じで、有力馬の自滅はありながら、鮫島克駿騎手は新馬戦のように外へ悠々出しての抜け出しではなく、末の脚に自信があったにしても、少し内に押し込まれたようなラチ沿いの直線での進行で、まさに完勝に近い2馬身差。

2着のエンヤラヴフェイスは、当日こそ人気がなかったが、その前の新潟の2歳Sでは穴人気になった期待馬。

そもそも、新馬で圧倒した2着のキープカルムも、ジャンタルマンタルと似たような押せ押せローテでありながら、未勝利戦はあっさり脱出で、より間隔の詰まった京都2歳Sでレースレコードの大接戦ゴールに最後加わってきていた。

どうも、鮫島騎手はこちらの方に縁がありそうな雰囲気もある。

大一番での再会を望みたい。

一定レベルの相手に対し、楽に勝つというのは非常に大切な要素であり、相手がオープン馬であるとか、同じ名前でも格が変わっても同じレース内容で着順同じであったとしても、使ったレースのレベルがどうであるかが最重要なポイント。

牝馬であるなら、ボンドガールとチェルヴィニアが対決した新馬に参戦というパワーワードを印籠代わりにして、どんどん勝ち上がる馬もいたりする。

所謂、伝説の新馬戦ではないが、イクイノックスが走った新馬で圏外に敗れながらも、彼の引退決定直後に、あのウィルソンテソーロは若き才能と超注目ジョッキーに名を上げた原優介騎手と共に、今までにない一面を見せて、強いレモンポップの2着に入ったチャンピオンズCのようなことはよくある。

そうしたところに、今後注目が集まるとしたのなら、ここも無敗で突破した時だろうと思えるジャンタルマンタルの死角は、芝のスピード勝負であろうが、先述の父の適性、そうしたファミリーの血統的特性からも、いきなりのハイレベルな時計の決着はむしろ歓迎の口だろう。

あのアイアンバローズ<前走が自身3度目となる、その前のレース二桁着順から連対の珍記録を作った怪しいタイプのステイヤー>だって、3年続けて同じようなレースぶりでまさに三度目の正直としたステイヤーズSでは、常に、自己ベストのタイムを更新していった。

ちなみに、この連続の二桁着順は、いずれも道悪競馬で、一つは弟のジャスティンパレスの勝った天皇賞なのだが、思わせているより、ずっとキレ味勝負歓迎のタイプである可能性が出てきたジャンタルマンタルは、ひとまず、陣営のてるてる坊主の作った数が、結果に影響を及ぼすような性質が知られていくことになりそうだ。

何となく、血統構成はまるで違うが、終いは確実であった、NHKマイルC勝ちのシュネルマイスターのような雰囲気がある。

いきなりの高速マイル戦を、彼は1:31.6で乗り切ったが、これがいいターゲットになる。

今回1分32秒台であれば、走れる馬も限られるだろうし、かなりの勝機が生まれる。

34秒台の前走のような決着タイムだと、むしろ、こうした本質の強みは活かされないかもしれない。

川田騎手が妙に策を講じない限り、掛かる面に囚われ過ぎないということを条件に、ここを難なく突破できるだけの才能があることは間違いないように思う。

ダノンマッキンリーについては、鞍上の変更がどう出るかもポイントでありながら、一方、父モーリスのように、落ち着いてくればマイルのエースになれる可能性はあるが、まだまだピクシーナイトのように、短距離専門の好位抜け出し型に育つ可能性もあり、本命視までは難しかった。

こちらも無敗馬。

セラフィックコールのような負け方はないだろうが、前走で川田騎手がうまいこと差し脚を引き出したのは、新馬戦も乗っていたからということを踏まえた時、ルメール騎手でもやはり不安はある。

今年は若すぎるG1出走馬が多いから、大人の競馬もできるジャンタルマンタルへのスイッチは、川田騎手にとっても、まさしく渡りに船であったりするのかもしれない。

この一戦に関しては、川田優位の見解が常道であろう。