チャンピオンズカップ2021【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着テーオーケインズ(3.3倍)2着チュウワウィザード(4.6倍)3着アナザートゥルース(115.4倍)

レース名第22回 チャンピオンズカップ
日程2021年12月5日(日曜)
優勝馬テーオーケインズ
優勝騎手松山 弘平
勝ちタイム1:49.7
馬場
3連単配当52,660円

チャンピオンズカップ2021 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
1テーオーケインズ1:49.7-
2チュウワウィザード1:50.7 6
3アナザートゥルース1:50.8 3/4
4インティ1:50.8 クビ
5サンライズノヴァ1:51.0 1.1/4
単勝6330円
複勝6140円
複勝13150円
複勝111,150円
枠連3-7600円
ワイド6-13280円
ワイド6-114,570円
ワイド11-135,540円
馬連6-13610円
馬単6-131,100円
3連複6-11-1317,650円
3連単6-13-1152,660円

チャンピオンズカップ2021 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「本当に強かったです。ゲートで待たされることになりましたが、我慢してくれました。厩舎の方で練習をしっかりしてくれたのが、いい方に結びついたと思います。(道中は)スタートを出てくれたことでリズム良く運べましたし、4コーナーを回ってくる時はすごい手応えで申し分なかったです。前走はゲートを出られなくて残念な結果になり、非常に悔しかったです。強い馬だと思っていたので、強い姿を見せられたのが何よりです」

※優勝した松山騎手のコメント(テーオーケインズ)

チャンピオンズカップ2021 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

チャンピオンズカップ2021 - 回顧

終わってみれば、というやつが今週も続いたことになる。

マグレでも何でもなかったことを証明するかのような、帝王賞圧勝馬の独壇場。

ディフェンディングチャンピオンの悲しき2着争いの展開は、それこそ昨年と全く同じだった。

普段は来ない1番人気馬が突き抜けたということだけは、その他の魅力が長所であったはずのソダシ、高速ダート向きの適性でなら見劣らないカフェファラオらが案外…、これも枠順が極端だったことで、「間」の馬が極めて乏しい相手関係だったことも影響したのだろうが、この結果にケチなどつくはずがない。

ただ一頭、三度強すぎただけである。

テーオーケインズの血統

母父マンハッタンカフェが、ちょうど今頃のテーオーケインズの競走年齢で走っていなかったので、想像するのみであるが、凱旋門賞に挑むまでで燃え尽きていた祖父が、その1年前にやってのけたのが、菊花賞制覇と有馬記念でのオペラオー斬り。

4歳シーズンも日経賞で荒天の下、足を滑らせて全然走れなかったことが嘘だったように、次の天皇賞は快勝だった。

ある意味で、アスリートとしてゾーンに入ったシーンが1年遅れながら、それとそっくりのテーオーケインズは、父がシアトルスルー直系・シニスターミニスターであることで、ほぼ初期の段階でダート適性は明らかであったのだろう。

スピード豊かな印象は、デビュー戦が秋の京都・1400戦であることからも分かるように、母母父ジェイドロバリー<仏2歳王者>の血を受けて快活であったのは間違いないが、芝向きの構成ではないとは言えないほど、豊かな可能性を示すファミリーではある。

4代母は、何と言ってもオークス優勝馬のレディパステル<父トニービン>。

芝G1を国内で3勝のサンデーサイレンス産駒が母父なのだから、いかに、北米ラインのミスタープロスペクター<テーオーケインズの代で4×5>や直系のシアトルスルー、ノーザンダンサー系のダート部門を担うヴァイスリージェント系やストームキャットの血の影響が大きかったのかわかる。

極端な近親交配を生まない構成ながら、芝向きの血に支えられた日本向きの砂巧者の可能性を見出したのは明らかだ。

もっと速い競馬が向くはずだが、本家のダート馬は、スピード勝負になれば多少揉まれようが挟まれようが、最後はこの日のテーオーケインズのように突き抜けてしまう。

底力は我慢強さと同義とするならば、ソダシの逃げとそれを真っ向潰したインティの作った流れについていった時点で、この血の持つスケールの大きな走るをできる才能は全開となることが決まっていたのだろう。

速い馬と言えるのは、それ以外なら、帝王賞で完封した面々ばかりであるから、負ける要素はなかったのである。

速い馬が強いということは、決して、引け目に思うことではないのだと、道悪で春のダート重賞を連勝したテーオーケインズが証明した一戦であった。

オーヴェルニュには昨年の今頃、阪神でのオープン戦で上手に抜け出されてしまって、揉まれ負けの2着。

しかし、帝王賞と同じ舞台でも超スローのタフな良馬場でまるで毛色の違った東京大賞典を、運よく使えたテーオーケインズは、確かに古馬の圧に大いに屈した内容ではあるが、スローは苦手なはずでも、最後まであきらめずに走っていた。

以降は、中京の道悪戦を圧勝、松山騎手が乗れなかったアンタレスSも、松若騎手がざっくりこんな感じだろうという雰囲気のハイペースからの抜け出しで快勝。

一息入った帝王賞は、もっとタフな相手関係で、大いに雨に濡れた大井の砂をもろに被っていたが、遊びながら抜け出すような直線の抜け出しで、むしろ、外から自分のタイミング仕掛けたクリンチャーらの方が、追いかけるのを諦めたかのような完勝。

そういう一連の経緯があって、金沢の消耗戦に休み明けで挑んだのだから、慣れない後方からの仕掛けを強いられた展開で4着は、中京の結果を見るまでもなく、明らかに負けて強しの内容だったと言える。

今回は他に速い馬もいれば、秋に中央の重賞勝ちを決めた同期で同シアトルスルー直系のサンライズホープやメイショウハリオらが、何とも不気味に出走してきた。

揉まれることは他の快速ボールドルーラー系にはご法度だったから、JRAのレースのさじ加減が難しい船橋のカジノフォンテンも、最初から流れに乗れず、本当の多頭数の内枠からの競馬は苦手の血の本質がもろに敗因に直結してしまったような惨敗であった。

翻って、そうしたバリバリの砂巧者相手に、実は、本場のダート向きのタフさがどことなく備わっていたのだろう<結果を細かに振り返るとどうしてもボールドルーラー系の揉まれ弱さとは一線を画したようなキャラとなる>テーオーケインズは、隣がパツンパツンボディのサンライズホープ<+14kg>で目立ちすぎる絶好調態勢にまるで見劣らず、非常にバランスよく好馬体を誇って見せていた。

だから、隣にゲートで暴れたダノンファラオがいたのなら、恐ろしい結果が待ち受けていた可能性もある。

海千山千のチュウワウィザードは、ちょうど仕上がってきたくらいに見せて、まだ伸びしろを残したくらいに、大型馬ばかりの中ではバランス重視の作りは返ってよく見えたが、そういう機動力がありそうな馬にしては、エンジンの掛かりが少し遅い。

キレで外から迫る昨年よりは更に差す展開に持ち込むしかないスローの流れで、上がりの数字でさえも、勝ち馬と勝ちタイムでちょうど1秒、上がりタイムでもプラスの0.7秒では、そもそも勝負になっていない。

共倒れの展開ならば<同期のダノンファラオとテーオーケインズということ>、やけにテクニカルに、いや、最も自在性を見せつけた最高の好位抜け出しを決めかけた伏兵のアナザートゥルースであって不思議なかった。

兄は豪脚で何度も驚かせてくれた、2016年当レース優勝馬であるサウンドトゥルー。

勝てる可能性は正しい流れに近かったソダシの逃げでも、自分の思惑通りにならなかった彼女の若さや死角が生じたことでようやく出てきたものながら、勝てる最高の位置にテーオーケインズはいなければ、結果は変わっていて不思議なかった、と言えるほど彼も素晴らしかった。

ソダシはメンタル面の癒しをダート転戦で、早くに回復させる策がハマらなかっただけで、何となく、距離を縮めていけば十分に可能性を感じる逃げ。

一方で、彼女の不安が作り出した平均より平凡な展開に、オーヴェルニュあたりは力を出し切れなかった印象。

テーオーケインズよりも中京では速い馬だが、馬場も展開も、今回はおまけに闘志に火をつけるきっかけを生む先行型の不在が、不完全燃焼の結果を生んだように思う。

問題は引き当てた枠もひどいが、やる気今一つの競馬に終始したカフェファラオか。

昨年より太いのはしょうがないが、テーオーケインズのようになれるポテンシャルを活かす「前進気勢」という部分に、これまでにない不可解な死角を見てしまった感じ。

1800以上の競馬であんなに追われるカフェファラオではない。

ブリンカーをつけるつけないで一頓挫あったような話もあるくらいで、出来も完調とまでいかず、もしかするともう活躍期を過ぎてしまったような漲る活力を感じさせない寂しさもあった。

テーオーケインズがあまりにも強かったから、目立たないことには道理が行くとしても、血統構成がコントレイルと似ているところもあるせいなのか、あまり本気で走るということに興味がない馬なのかもしれないと、少し思ってしまった。

コントレイルは2戦目、この馬は初戦でムーア騎手を配して、両者とも、とんでもない勝ち方をしている。

早熟である危険と同時に、こうした競走能力そのものの阻害要因が内在する馬の復活は、容易ではない。