2022年チャンピオンズカップ【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ジュンライトボルト(7.9倍)2着 クラウンプライド(14.3倍)3着ハピ(15.9倍)

レース名第23回チャンピオンズカップ(G1)
日程2022年12月4日(日)
優勝馬ジュンライトボルト
優勝騎手石川 裕紀人
勝ちタイム1:51.9
馬場
3連単配当81,360円

2022年チャンピオンズカップ - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
15ジュンライトボルト1:51.9-
210クラウンプライド1:51.9クビ
3
3ハピ横山 典弘1 1/4
4
12テーオーケインズ松山 弘平クビ
513シャマル川田 将雅1:52.5
単勝5790円
複勝5260円
複勝10360円
複勝3400円
枠連3-52,180円
ワイド5-101,330円
ワイド3-51,290円
ワイド3-101,920円
馬連5-104,850円
馬単5-1010,130円
3連複3-5-1014,020円
3連単5-10-381,360円

2022年チャンピオンズカップ - レース後コメント(騎手/厩舎)

「うれしい以外の言葉がちょっと見つからないです。1コーナーのポジションはもう決まったものなので、あとは馬のリズムをしっかり感じ取って、直線に向いたころには、なんとか進路が見つかれば、はじけてくれると信じていたので、そういう競馬になりました」

※優勝した石川 裕紀人騎手のコメント(ジュンライトボルト)

2022年チャンピオンズカップ - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

2022年チャンピオンズカップ - 回顧

言わずと知れたエアグルーヴ一族。

2着クラウンプライドと同じダービー馬・スペシャルウィークの血を引き、何かにつけて、最後の決め手になるフレンチデピュティの血もその奥に収まるというジュンライトボルトは、最強の刺客に相応しい血統であった、ということになるだろう。

パロクサイド系からはあまり多くのダートのエース級は出ていないが、近年の優勝馬の多くは、ファンシミン系で近親同士であるルヴァンスレーヴ、チュウワウィザードだとか、社台系生産馬のクラシックホースの産駒などが、晩年にダート巧者を多く出し、自身も途中転身組のゴールドアリュール<今はもう、直仔世代はベテランばかり>などと共に、レースを盛り上げてきた。

フレンチデピュティの血は毎年のように上位争いへ絡み、スペシャルウィークの入った馬のワンツーは初とはいえ、直仔では、ローマンレジェンドも好走したことがある。

芝の瞬発力勝負に向く中距離型というイメージが、あの直線の反応によく合っていた配合。

フレンチデピュティはクロフネの父であり、スペシャルウィークも東京の芝のG1を3勝する、サンデーサイレンス直仔のエースだった馬。

3代母のエアグルーヴが、競走能力と繫殖牝馬としての才能両面で傑出した結果を残した究極の存在であるとした時、他の馬が全力を出しても届かない何かを秘めていたのが、この馬だったということになる。

色々な種牡馬の産駒が活躍するレースではあるが、中京に転じて、キングカメハメハはこれが3勝目、スズカマンボ、フレンチデピュティ、ゴールドアリュールが2勝、シンボリクリスエス、シニスターミニスターと続き、もうそろそろ違うトレンドも出てきそうなところで、サンデーサイレンスの孫世代のキズナ産駒であるハピが好走。

また違う種牡馬の産駒が、再び、ジュンライトボルトやテーオーケインズらの好敵手になっていくことだろう。

ペースは確かに遅かった。

だから、言わんこっちゃないという感じで、スタート直前にそわそわし始めたテーオーケインズは、アーモンドアイもクリソベリルもグランアレグリアもそうであったように、立て続けに大レースを使ったという反動もあったのか、精神面でやや危険な兆候はあったということになる。

ただ、敗因そのものはスローペースであろうし、外を回らされたことも大きな影響を与えたとなるが、それを差す馬がいたというのだから、反動はスタート後の挙動に影響を及ぼすレベルではなかったとしても、ベストには程遠かったということだろう。

無理をした参戦ではないから、全く責められない一方で、それぞれに限界があることを芝とダートそれぞれのステージで示してきた名馬たちの負の歴史は、やはり、謙虚に受け止めねばならないのである。

我々にとって、理解の限界というハードルの設定の仕方は、あまり好ましい対策とはならない。

冷静になればいいものが、単勝オッズがどんどん妙味を失くす形で、最終的に1.5倍だった。

昨日は2倍くらいだったものが、直前で変化。

もっと、学ばねばならないと襟を正したファンは、あの直線のモガくテーオーケインズを見た瞬間に、アーモンドアイやクリソベリルの苦闘をすぐに思い出したことだろう。

素晴らしかったジュンライトボルトと彼のダート適性しか知らない石川裕紀人騎手は、全てにおいて、前にテーオーケインズを置いて、仕掛けていける形、という究極の理想図を体現した向こう正面で、やれることは尽くしたという満足感はあったろうが、件のテーオーケインズを巡る呪縛によるある種の幸運は、直線後半でも続いていった。

ダートに転身して、わずか4戦目。

一応、芝を4勝してオープン入りなので、先週のヴェラアズール号と丸のまま逆パターンということではないが、好機を逃さなかった、今週の場合は、ダービー3勝の友道康夫調教師の慧眼に、全てが詰まっているのであろう。

奇しくも、そのダービー戴冠の後、夏の福島から、そろそろダートしかないだろうという感じで、初めて乗る石川騎手という構図で、お試し半分の挑戦は、実績上位のケンシンコウを潰しての2着。

新潟で同じように同期のギルデッドミラーが、ダートで結果を出した同時期、ダートで初勝利。

実は、テーオーケインズと似たようにサウスポー的な独特のパフォーマンスの際を見つけたことで、シリウスS快勝後の展開がある。

2戦目で東京を使ったのが、後の無敗の2歳王者であるドウデュースであり、彼がダービーを翌春制してしまったように、ジュンライトボルトの計画にも、一瞬の狂いもない精度で、詰め切った上での挑戦、G1戴冠であったのだ。

主要競走は芝ばかりだった友道調教師然り、ジュンライトボルトでしか重賞を勝っていない河合オーナーであり、待ちかねた初獲りが完勝となった石川騎手もそう。

実質的には、テーオーケインズに何もなければ苦しいキャリアしかなかったが、先週のヴェラアズールに倣えば、最大の武器は機運とその勢い。

狙った獲物は逃さないのがライアンであり、今週は名伯楽・友道であったというわけだ。

クラウンプライドの逃げ込みは、ある種の幸運もあったのだろうが、力は本物だった。

ドバイで結果を出し、ケンタッキーダービーにも出たのは、種牡馬として、大いに怪しい性質を繋ぐラニ同様のキャリアながら、結果をここで出した馬はまずいない。

本物であることを改めて示した価値は大きく、テーオーケインズの凡走を除けば、こうした直線勝負向きの器用なスパート能力を今まで以上の正確性で繰り出せたことは、序盤かなり行きたがったことを踏まえると、来年にはテーオーケインズに並んで不思議ない実力が備わってきたことを証明したことになろう。

ハピもしつこいイン突き狙いで、気づけば、普通の競馬をできるようになった。

キズナの産駒にしては、どんどん成長をする馬でもあることを、これも結果で示した価値は大きい。

その実績から大仕事は枚挙の暇がない稀代の馬乗り・横山典弘騎手の腕もさることながら、この中に入ると小さくも見える460kg台の馬体でしかないハピは、これが今年8戦目。

全て4着以内であり、ここ3走全て古馬との戦い。

思われているより、その才能が爆発する瞬間は早期に訪れる可能性がある。

ムーアのグロリアムンディと武豊のノットゥルノは、両者とも出来がどうこうではなく、まだ馬自身が自らの力でレースの流れを変えられるような芯の部分が作られていないような負け方だった。

内が合わなかった感じのグロリアムンディは休み明け、ノットゥルノは体重を絞ったことは悪くないはずでも、パドックでは馬列の殿を進んだように、ハーツクライの3歳馬という部分を顕在化させたかのように、ちょっと流れに乗り切れなかった。

不利があって不思議ないスローでも、ある程度位置につけた馬は走れている。

流れに関係ないとしても、マーク対象を定めたジュンライトボルトに対して、差し馬の迫力不足があったというのは、テーオーケインズに人気が集中した原因と、ほぼ同質のタレント不足による影響として、彼らの敗戦はいずれ、風化してしまうのであろう。

気付けば、イクイノックスの後のJRAG1における1番人気馬は、エリザベス女王杯から6、5、2、4着となってしまった。

どこの馬の骨かもわからない…、という若駒同士の争いでは今はない2歳G1が3週続けて開催される今後の展望は、しっかりと止めてくれるはずだったテーオーケインズの馬券外敗戦により、何か、エフフォーリアの呪いのような形で、有馬まで引き継がれそうな雰囲気にある。