日本ダービー(東京優駿)2017 予想
人気を集めそうな母父シンボリクリスエスというちょっと怪しい才能の配合を中心に、クラシックらしい血統論を用いた戦略を今回は採用したい。
どうもこの2頭、何となくズブそうなという先入観に囚われると、痛い目に遭いそうだ。
ディープインパクトの産駒はここ5年という括りで言えば、12年①③、13年①、15年②、16年①②③と、ほぼパーフェクト連対である。
14年は10倍以下の4頭が非ディープ産駒だった。
今年はサトノアーサー、アルライン、カデナ、アドミラブルだから、皆上位人気だろう。
一方、オークスにいなかったキングカメハメハ産駒は、レイデオロとダイワキャグニー。
母父はダービーに縁のある血統だから、これもあまり甘く見ない方がいい。
さて、シンボリクリスエスが母父の2頭に注目した理由なのだが、人気面の大まかな推測と、道理で皐月賞ではスピード不足必至のクリンチャー<ディープスカイ×ブライアンズタイム>が、先行勢で最も粘って4着していたことが挙げられる。
京都の2000M未勝利戦で、2分1秒を切って押し切った時が240倍という馬が、3か月しないうちに、クラシック最重要戦とされる皐月賞でたちまち好勝負だったのだ。
活躍馬エピファネイアと大まかにいうと逆配合に近いアドミラブルは、距離もこなし、尚且つ皐月賞組の勲章である持ち時計も文句なしである。
近年の中では、キズナのダービーは時計も内容も平凡に近いから、皐月賞の結果が今年とリンクする以上、末脚勝負に自信のある分だけ、アドミラブルはかなり有力となる。
叔父ヴィクトリーや一族で最も能力があったと思われるアンライバルドは、皐月賞を劇的な勝ち方で制した。
この系統のコアな部分を支えるフサイチコンコルドも、濃厚なノーザンダンサークロスの弊害に苦しみながら、ダービーでは最高の状態にもっていって、武豊の本気モードスイッチを入れさせるような末脚で一刀両断した。
大柄なアドミラブルは、きっと、前に行くしかない気性だったヴィクトリーなどより、ずっと総合力があるはずだ。
馬力勝負歓迎の血統だけに、パンパンではない良馬場は鬼の可能性がある。
実は道悪が得意かもしれないレイデオロ。
音無秀孝にアドミラブル<ヴィクトリーを管理>、藤沢和雄のレイデオロはディープの姉レディブロンドと息女ラドラーダを管理していた。
ラドラーダの父は、タイキシャトルと並び厩舎の隆盛期を支えた前述のシンボリクリスエスである。
「知っているからこそ」
キングカメハメハもシンボリクリスエスも、2歳暮れの辺りでは普通の馬である。
3月になって、武豊騎手ではないがスイッチが入ったのだ。
そこを待てば、これまで一定の完成度合いを示してきたレイデオロならば、ダービーには万全の態勢で挑めると確信を持っていたように感じる。
ミスプロの3×4に加え、ナシュアは2本のミスプロとロベルトのそれぞれ母父に入り、決め手の根拠となるスピード能力の裏付けは、しっかりと出来る配合だ。
硬軟織り交ぜた配合ということならば、14年のワンアンドオンリーに通ずるものがある。
今回ハーツクライ産駒は2枠の2頭のみだが、母父はミスプロ系。
スピード型の配合では共通するが、ヘイロー同系配合のようなインパクトはない分、完成はまだ先のような気もしないではない。
キングマンボ系では、父もそう、エイシンフラッシュも皐月賞の辺りから、一気に馬ができてきた。
ディープやマイル実績のある鈍重なタイプの父を持つ2頭が皐月賞の上位組なので、余力を含め、実はもっとスマートな決め手が要求されるダービーでは、やや外し気味の配合でもスピードに乗ると止まらないタイプが狙い目だ。
2000Mで冴えなくても、2400で驚くような反応を見せる馬は、結構いるものだ。
特別抜けた馬はいないけれども、特別な舞台に挑むのに適した配合のシンボリクリスエスを肌に持つ人気馬は、逆らうべき相手ではないように思う。
順番としては、
◎レイデオロ
○アドミラブル
▲ベストアプローチ
注スワーヴリチャード
△サトノアーサー、アルアイン、ダイワキャグニー、キョウヘイ
アドミラブルは藤沢調教師が王道としてダービー獲りを目指した策に似た2か月で3戦のハードローテ。
ここで1番の力があっても、絶対能力が出し切れるとは限らない。
母母父クリスエスのキョウヘイは、タニノギムレットと同じシンザン記念の勝ち馬。
皐月賞2、3着馬と似た適性だろうし、ハマった時の迫力では優勢だ。