日本ダービー(東京優駿)2019 展望
何を見て、ダービーを論じるのか。
早デビューの才能に対する先入観をなくすところから、ファンの修正は始まる。
6月デビューながら、無傷というこの上ない形容をなされる存在となったサートゥルナーリアは、わずかにキャリア3戦での皐月賞制覇となった。
デビューから最長の時を経て、アグネスタキオンやディープインパクトら、暮れデビューの3戦無敗馬より、夏の新潟1000M<旧コース、ローカル一般の右回り戦>から菊花賞まで負け知らずだったシンボリルドルフよりも、遥かにデビューは早い。
格段に調教技術が上がったと同時に、ダービーだけではなく、クラシック全体を総体的かつ、順序立てて攻略する術を、能動的にだけではなく、受動的にも現実に落とし込むことができるようになった。
個々の才能に合わせつつ、人間が勝手に作った枠に対する過不足のない十全の準備が、サートゥルナーリアとグランアレグリアの成功パターンによって、今確かに確立されたのである。
受動的とはこの場合、馬自身に起こるアクシデントによりレース選択が変更されるパターン。
両ギニーホースにそれは当てはまらない。
道程における勝ち負けでは、×ありなしと別れるが、狙いは全く同じ。
クリアすべき課題を年末までに仕上げてしまう。彼らの場合は、人間の理解した理想形の体現という意味で、能動的である。
ある意味、勝手に思うがままの展開に持ち込めた、という話。
今や普通である、2か月開けローテは、昔はビワハヤヒデもやっていたが、倍近くそれが開いても平気な時代にあって、2月重賞経由者は、もはや凡人の類になる。
しかし、ダノンキングリーもアドマイヤマーズも、クロノジェネシスとビーチサンバらが、完全に終わったわけではない。
鮮やかな東京でのレースぶりは、本番でこそ見劣る結果となったことで、評価急落である一方、第一戦はノーカウントの時代も、今と昔では、時計が速くなったことで、返って先祖返りの傾向にある。
オークス、ダービーを向けての準備。
少なくとも、皐月賞で余裕のローテで挑んだ面々を軽視しては、まず失敗の第一原因になると感じる。
青葉賞は混戦なので、どうせならピンシェルの登場を望む。