2022年日本ダービー(東京優駿)予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

レース名第89回 東京優駿(日本ダービー)(G1)
グレード重賞(G1)
日程2022年5月29日(日)
発走時間15時40分
開催場所東京競馬場
距離芝2,400m
コース左回り
賞金2億円
レコードタイム2:20.6

日本ダービー(東京優駿)の予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

2022年日本ダービー(東京優駿)予想 - 予想オッズ/出馬表(馬柱)/出馬予定馬の馬体/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

東京優駿(日本ダービー)2022の予想オッズと登録馬

枠番馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11アスクワイルドモア岩田 望来牡357.055.810栗東・坂路・良(岩田望)
800m 55.1-39.9-25.3-12.3(馬なり)
-
12セイウンハーデス幸 英明牡357.0153.316-栗東・坂路・良(助手)
800m 52.0-37.8-25.0-12.8(末強め)
23アスクビクターモア田辺 裕信牡357.027.3 7美浦・南W・良(助手)
5F 66.0-50.7-36.7-11.3(直強め)
美浦・南W・良(助手)
5F 65.5-50.4-36.6-11.3(馬なり)
24マテンロウレオ横山 和生牡357.0184.217栗東・CW・良(横山和)
7F 98.1-67.1-52.2-37.4-11.7(馬なり)
栗東・CW・良(横山和)
7F 98.9-67.0-52.1-37.3-11.4(一杯)
35ピースオブエイト藤岡 佑介牡357.073.912栗東・CW・良(藤岡佑)
6F 86.3-69.7-53.8-38.3-11.8(馬なり)
栗東・CW・良(藤岡佑)
6F 83.2-68.0-53.1-37.9-11.4(末強め)
36プラダリア池添 謙一牡357.028.4 8栗東・坂路・良(調教師)
800m 51.9-37.7-24.8-12.2(強め)
栗東・坂路・良(池添)
800m 51.1-37.2-24.0-12.0(末強め)
47オニャンコポン菅原 明良牡357.019.05美浦・南W・良(菅原明)
6F 80.5-65.1-52.0-38.2-11.6(馬なり)
美浦・南W・良(菅原明)
6F 84.0-69.4-55.3-40.4-12.3(馬なり)
48ビーアストニッシド和田 竜二牡357.0193.818栗東・坂路・良(和田竜)
800m 50.4-37.2-24.3-12.5(一杯)
栗東・坂路・良(柴田未)
800m 53.1-38.4-24.9-12.3(末強め)
59ジャスティンパレスM.デムーロ牡357.0142.115栗東・CW・良(デムーロ)
6F 81.9-66.8-51.9-36.4-11.2(一杯)
栗東・CW・良(デムーロ)
6F 84.8-69.3-54.0-38.2-11.7(馬なり)
510マテンロウオリオン横山 典弘牡357.038.69栗東・CW・良(横山典)
3F 44.7-13.8(馬なり)
栗東・CW・良(横山典)
7F 97.4-66.7-52.1-37.5-11.4(一杯)
611ジャスティンロック松山 弘平牡357.0134.414栗東・坂路・良(助手)
800m 55.9-40.5-26.4-13.3(馬なり)
栗東・坂路・良(松山)
800m 54.3-39.5-26.1-13.1(馬なり)
612ダノンベルーガ川田 将雅牡357.03.42美浦・南W・良(川田)
6F 77.9-62.4-48.5-35.1-11.0(強め)
美浦・南W・良(助手)
5F 66.5-51.6-37.6-11.4(馬なり)
713ドウデュース武 豊牡357.03.83栗東・CW・良(武豊)
7F 96.6-64.7-50.0-35.5-11.2(一杯)
栗東・ポリ・良(助手)
6F 85.2-68.2-52.6-37.9-11.4(馬なり)
714デシエルト岩田 康誠牡357.093.913栗東・CW・良(岩田康)
6F 83.4-67.2-52.1-36.6-10.8(一杯)
栗東・坂路・良(岩田康)
800m 51.8-37.3-24.2-12.0(一杯)
715ジオグリフ福永 祐一牡357.05.64美浦・南W・良(助手)
7F 98.7-66.4-52.1-37.9-11.5(馬なり)
美浦・南W・良(福永)
6F 83.2-66.5-52.0-38.5-11.4(馬なり)
816キラーアビリティ横山 武史牡357.023.16栗東・CW・良(横山武)
6F 83.8-68.5-53.3-37.8-11.7(一杯)
栗東・CW・良(中井)
6F 83.1-67.4-52.4-37.3-11.7(直強め)
817ロードレゼルD.レーン牡357.064.011栗東・CW・良(レーン)
7F 99.0-67.2-52.5-37.7-11.7(馬なり)
栗東・坂路・良(中井)
800m 52.3-38.0-24.3-12.2(強め)
818イクイノックスC.ルメール牡357.03.01美浦・南W・良(ルメール)
7F 99.2-67.7-52.6-38.2-12.0(馬なり)
美浦・南W・良(ルメール)
5F 68.4-52.9-38.2-11.6(馬なり)
人気1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1番人気10回2回3回5回50%60%75%
2番人気2回3回1回14回10%25%30%
3番人気4回5回2回9回20%45%55%
4番人気1回2回1回16回5%15%20%
5番人気1回5回0回14回5%30%30%
6~9番人気1回0回10回69回1.3%1.3%13.8%
10番人気以下1回3回3回170回0.6%2.3%4%
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬0回3回1回18回0%13.6%18.2%
先行馬8回6回5回53回11.1%19.4%26.4%
差し馬10回9回11回139回5.9%11.2%17.8%
追い込み馬2回2回3回87回2.1%4.3%7.4%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠7回3回1回29回17.5%25%27.5%
2枠3回2回3回32回7.5%12.5%20%
3枠3回2回1回34回7.5%12.5%15%
4枠0回5回4回30回0%12.8%23.1%
5枠2回1回1回36回5%7.5%10%
6枠2回5回2回31回5%17.5%22.5%
7枠2回1回5回51回3.4%5.1%13.6%
8枠1回1回3回54回1.7%3.4%8.5%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ディープインパクト37回26回28回177回13.8%23.5%34%
ルーラーシップ17回13回4回71回16.2%28.6%32.4%
ハーツクライ17回12回10回112回11.3%19.2%25.8%
ステイゴールド12回14回7回109回8.5%18.3%23.2%
ハービンジャー8回9回5回68回8.9%18.9%24.4%
オルフェーヴル7回6回8回40回11.5%21.3%34.4%
ロードカナロア5回0回1回12回27.8%27.8%33.3%
ゴールドシップ4回6回8回35回7.5%18.9%34%
ジャングルポケット 4回3回2回32回9.8%17.1%22%
キングカメハメハ3回6回1回45回5.5%16.4%18.2%

2022年日本ダービー(東京優駿)予想 - 過去10年のデータ傾向

皐月賞まで完全連対の馬は、そもそも消す理由が思い当たらない

今年は、イクイノックスが該当。

昨年はハナ差の2着、一昨年は圧勝、その前はスタート失敗の前に乗り替わりなどもありぐちゃぐちゃに…。

無敗馬3頭の記録は、以上の通り。

昔から、ダービーで連勝の止まる馬は多いが、無敗馬そのものが少なく、それが皐月賞馬ともなれば、ディープインパクトやらテイオー、ブルボンなど、平成名馬史総ざらいの時間になってしまい、手が止まる。(笑)

皐月賞2着キープで健闘の馬も、ドゥラメンテとリアルスティールで明暗が分かれ、立場逆転のコントレイルとサリオス<いずれも堀厩舎対矢作厩舎の名門対決で盛り上がったクラシック>という構図もあり、似た者同士がいると逆転不能でも、同門のジオグリフ・イクイノックスの両者は、血統からして全く違うので、比較すべきものが少ない。

同格でもいいし、他の完全連対馬となると、皐月賞勝ち馬が圧倒的有利の傾向。

しかしながら、皐月賞2着だったマカヒキが、無敗ストップも盛り返した厳しいダービー大逆転劇を思い起こすと、まだ可能性はある。

鞍上継続なのだから、ルメール騎手もしっかりと結果を出したい。

元のお手馬であるジオグリフに連敗は避けたいが、両方負けても不思議はないので…。

相手に加えたい一頭には違いない。

4着以下に終わった皐月賞組は、基本的には、重賞を勝っていないと一変は難しい

重賞勝ち馬は、今年7頭もいる。

負けても持ち直すには、皐月賞の人気が重要と言われるが、レイデオロ・5番人気、ワンアンドオンリー・4番人気だったものが、本番でより評価が上がっている。

人気落ちではマカヒキやワグネリアンがすぐに思い当たるが、全ての条件を満たしているのが、重賞勝ち馬。

重賞を勝っていない馬は、着外からの逆転劇を演出すらできない。

旧弥生賞勝ちの馬と合わせ、ディープインパクト記念勝ちの馬は安定的に好走しており、2着馬の好走もまた多い。

また出走していたというだけで好走確率は上がり、キズナやワグネリアンも完敗だったのに、キズナが裏ルートから重賞連勝で本番も捉え切っている。

例年以上に本流の皐月賞組過多なので、2400へ延びる条件も踏まえ、最低、2000M以上の重賞勝ちが欲しい。

意外なところで、ワグネリアンとそっくりの弥生賞2着の皐月賞1番人気馬・ドウデュースにない実績が、この2000Mの勝ち星。

ワグネリアンはダービーでも人気になる2歳王者・ダノンプレミアムに弥生賞完敗も、皐月賞を経てダービーで大逆転を決めたわけだが、新馬戦は中京の2000Mで、また勝っていた。

最低のライン、弥生賞やレイデオロのようにホープフルS勝ちがあったりする条件に当てはめた時、ずっと2000M重賞を使われている、アスク・ジャスティングループに加え、ホープフルS出走馬も入れていかないといけないのだが、年明け増えるこの条件で勝ち星があるのが、アスク2頭と伏兵のマテンロウレオであり、いずれも人気がないのだろうから、全部買っておけばいい。

特に、皐月賞もホープフルSも弥生賞まで使って、全部掲示板外のマテンロウレオにきさらぎ賞勝ちの実績があるというのは、ワンアンドオンリーのようなタフなローテ<キャリア9戦目の戴冠は、近年最多>と似て、ホープフルS以降3戦なのだから、経験値では意外なほど大きな加点がある。

どの馬も怪しい…、とするなら、ここを押さえるくらいの覚悟がないと、人気勢だけで枠が埋まってしまうほど皐月賞組は多い。

前走東京の組は、青葉賞組の2着付けでほぼ事が済む

2012年のフェノーメノを最後に、2着馬は出ていない。

2200M以上の1勝クラスを勝つか、2000以上のオープンで好走実績がある等、条件が様々ついて回るので結果的に、ストレスと距離が連続の2400が死角となり、パフォーマンスダウンが普通。

ただ、皐月賞が荒れ馬場だと、昨年も別グループのシャフリヤールがそうだったように、別路線組は結構来る。

着固定になどこだわることはないが、京都新聞杯が快時計過ぎる上に、ちょっとオープンキャリアが多い連対馬であるから、攻めの狙いとなれば、青葉賞のプラダリアに限られてそう。

ディープインパクト産駒とはいえ、年明けデビューで3戦目勝ち上がりでは1勝クラスをパスするしかなかったが、関東遠征の経験がある関西馬でその点は相殺されそう。

2400で無敗というのも珍しい記録。

無敗のフサイチコンコルド、東京経験のシャフリヤールなどの例も考えたら、前走勝ちのピースオブエイトもいるが、ブラストワンピースが東京2400の無敗馬なのに負けているので、1800で全3勝はかえって苦しい。

時計が速すぎず、最後は我が身を救う道悪経験のあるプラダリアは、意外なほどに買い目に最適な伏兵のように思うが、例年のレベルではない青葉賞だったから、皐月賞組の立ち位置が大幅に変動した時が好走の条件となる。

皐月賞二桁着順馬の好走要因のひとつがあのレースの好走実績

皐月賞に出ている上に、東京で勝ち星があるか、2200M以上を経験しているか、などが好走する理由にもなっているが、ここは単純化して、好走条件に見事に合致しているきさらぎ賞好走の副作用について、少し補足しておきたい。

惜しくもダービーで敗れた後の菊花賞馬・サトノダイヤモンドは、少し前のアサクサキングスとよく似ていて、ダービーで主役をかっさらう別のタレントに負けてしまう悲運があった。

アサクサキングスは、東京の実績やきさらぎ賞以来の皐月賞ということを意識し、ダービー前にひと叩き。

タニノギムレットもこのローテでダービーを勝ったのだから、問題はなかった。

ただし、きついローテになることは承知の上で来るというのは、タフというよりは、単純に渋とさが増したという魅力がある。

この括りでいえば、皐月賞で人気になった大負けの馬がキラーアビリティしかいないので、ならば…、という考えでは、アスクワイルドモアが京都新聞杯を大レコード勝ちしたのだから、きさらぎ賞組が平均より大きく見劣るなどという論法もあり得ず、中山では3戦とも慎重に安全運転だったマテンロウレオは、きさらぎ賞の経験、勝ち味で大いに期待である。

ワンターンで、中距離的な瞬発力を手ごろな頭数で経験できる京都のきさらぎ賞は、昔から皐月賞との相性は悪かったが、弥生賞同様、ダービーには繋がる。

単純に、本質的な距離適性ではなく、上がりの加速力を求められる条件でダービーと似た瞬発力の程度を見極めることができるのだ。

前に言ってもそれは同じで、差しても結果は変わらず。

関西馬で伏兵評価の馬ほど、きさらぎ賞の経験は重要。

しばらく中京2000の開催は続くが、昨年のラーゴム<きさらぎ賞優勝>はいつの間にかダートの中距離型にシフトしそうな感じであり、ダービーで求められる適性とは真逆に近い持続力の性質に富んでいたことが、遅れて判明。

上がりの脚を読みと違う展開で速く使うも、勝負に転じ、武器に活用できなかったマテンロウレオは、ホープフルSでも似たような負け方。

父ハーツクライもほとんど似たようなローテで、若葉Sと京都新聞杯勝ちで、きさらぎ賞は3着。

その上位2頭が本番では揮わなかったが、キャリア2戦目だったハーツクライだけは大成。

ホープフルSを挟み、3戦目で初の左回りのきさらぎ賞を勝ったことで、適性を証明した価値は大きく、稍重で中山同距離のホープフルS、ディープ記念の勝ちタイムとほぼ同じタイム。

圧勝実績か時計の勝負での実績のいずれかは必要。

稍重皐月賞のコントレイルが2:00.7で、それを少し上回ったエフフォーリアも人気で好走。

メンバーの質はともかく、レース水準の高さを京都新聞杯で4着に終わっていたアスクワイルドモアが勝ち切ったことにより、意外性のきさらぎ賞組がここで、勝機を見出すことになる。

2022年日本ダービー(東京優駿)予想 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

あのレースがきっかけで…、という騎手は今も昔もたくさんいるわけで、この男もまたその例外に漏れず。

マテンロウレオの血統

彼のようにヘイルトゥリーズン系の同系配合馬によるダービー制覇というのは、サンデーサイレンス産駒がダービーに出走していた2006年までは類例はなく、ノーザンダンサーの同系配合馬であるフサイチコンコルド<1996年・カーリアン×サドラーズウェルズ>、メイショウサムソン<2006年・オペラハウス×ダンシングブレーヴ>という2例があるくらいで、昭和の時代では配合イメージが違うから、コーネルランサー<1974年・セダン×ブッフラー>がメイショウサムソンと同じように、プリンスローズの3×4を持つダービー馬として、珍しいもののように扱われたくらいしかすぐには思いつかない。

時は流れ、サンデーサイレンス系とブライアンズタイムやグラスワンダー、シンボリクリスエス<ダービー2着>のラインが入り交じり、キングカメハメハ<ダービー馬>との覇権争いへと発展し、今に至る。

シンボリクリスエスのラインはエピファネイアがいるから、ディープインパクト産駒がいなくなり、コントレイルやシャフリヤールの産駒が元気に走りだすまでの間にきっと勝てるはずだ。

グラスワンダーラインもモーリスがいる。

すでに、サンデーサイレンス系からは2008年のディープスカイ<父アグネスタキオン>以降凄まじい数のG1馬が登場し、ダービーは実に10勝。

残りはキングマンボ系の3頭だけで、二系統による独占が続いている。

一方、サンデーサイレンス系の波に合わせて、同系統のブライアンズタイムの孫世代から、2007年に牝馬のウオッカが参戦し、独走でダービーを制した。

寡占の時代を象徴するように、母父にロベルト系の入ったダービー馬は、

  • ・レイデオロ <父キングカメハメハ、母父シンボリクリスエス>

がいるのみ。

牝馬戦線では、ロベルト系は時々不可欠な血として、母系に入って働くもので、三冠のスティルインラブと直系のデアリングタクトは、その影響を大きく受けたとできる。

その他、ヘイルトゥリーズン同系配合馬は、

  • ・ワンアンドオンリー <父ハーツクライ、母父タイキシャトル>

しか登場していない。

エピファネイアもその直仔・エフフォーリアも同系配合だったが、結局強い刺客、それも普段は登場しないところからやってきた言わば闖入者によもやの一撃を食らうという珍しい負け方をしている。

ロベルト系のウオッカも、父タニノギムレットと同じように前走マイルのG1からの戴冠。

ハーツクライ×ブライアンズタイムのマテンロウレオは、自慢の左回り適性に加えて、やや緩くなった血統の縛りに対し、ヘイルトゥリーズン・サンデー系の誇りを同じラインのブライアンズタイムにより強化され、またその血の濃さを超えた実績で、他を上回る。

母父ブライアンズタイムのクラシックウイナーとなると、菊花賞では2009年のスリーロールス、皐月賞では2016年のディーマジェスティがそれぞれ優勝馬となり、後者はその勝ちっぷりを評価され、ダービー1番人気。

近親であるマイスタイルは同父で母父フォーティナイナーでありながら、逃げ粘ってレイデオロの4着。

後年、函館記念を勝っているが、マイル以下の重賞でも活躍した昆厩舎のエース級だった。

変な癖があることも多いビリーヴの一族<ファリダット以下、距離適性不明の馬ばかり>だけに、底力と横山一族との好相性ぶりで、想像以上の激変を見せる可能性がある。

と、ここは信じたい。

2022年日本ダービー(東京優駿)予想- レース展開と最終予想

最後にダービーをテン乗り騎手が勝ったのは、

1954年 ゴールデンウェーブ<岩下密政騎手>

*1951年伝説の無敗馬・トキノミノルに続く2度目の制覇

他には、戦前で今と似たようにキャリア3、4戦目でダービーを迎えるという、2歳戦という概念が確立される前のフレーモアやトクマサの成功例があるくらい。

戦後しばらくしてからのゴールデンウェーブは、地方出身でもあり、低評価を覆した、道悪で台頭の伏兵。

しかし、その父ミナミホマレは、あのセントライトとクリフジで出てくる戦乱期の大三冠馬のちょうど間にダービーを制した名馬。

皐月賞からの逆転を許したアルバイトは、そのセントライトの半弟だった…。

最後にダービーを皐月賞で二桁着順だった馬が制したのは、

2009年 ロジユニヴァース<横山典弘騎手>

*鞍上は悲願の初制覇

皐月賞は今年と同じ良馬場でも、ダービーは歴史的極悪馬場で、衝撃の決着タイム「2:33.7」というのは、近50年の東京優駿・日本ダービーにおける最遅記録というのだから驚き。

前年は2分26秒台であり、オルフェーヴルの年のいくらかましな不良馬場でも30秒台で乗り切っている。

2分30秒台というのは、半世紀前までなら良馬場でも勝ち時計になったことはあったし、2分29秒台と極めて平凡なタイムで快勝のシンボリルドルフは、秋緒戦のセントライト記念をレコードで馬なり快勝であるから、これも本質と違うものが求められたとできる。

良馬場→良馬場で同じように、皐月賞二桁着順馬によるダービー制覇の例となると、

1986年 ダイナガリバー<増沢末夫騎手>

あのハイセイコーのまっさんは、これがアサデンコウで勝って以来約20年ぶり2度目の制覇。

ノリ騎手もちょっとして、また勝っている。

伝説のあの馬で…、というフレーズはダイナガリバーには当てはまらないのかもしれないが、ノーザンテースト産駒唯一の勝ち星であり、何より、社台グループの時代が本格化することを高らかに示した一戦ともなった。

横山和生騎手のダービーでの騎乗成績は、

【0・0・0・0】

この初騎乗者による制覇の記録も近年には類例はなく、

2003年 ネオユニヴァース<ミルコ・デムーロ騎手>

1971年 ヒカルイマイ<田島良保騎手>

いずれも20代で、前者は短期免許で、後者はサラ系<主に牝系に血統データの存在しない繁殖牝馬がいる馬の通称、そもそもどの馬もサラブレッド系>というハンディのようなものを背負いながら、見事に両者ともが春二冠を達成。

なぜか道悪になるダービーを制しており、いずれもきさらぎ賞の覇者であった。

こんな理由で推すのはおかしいが、ミルコっぽくもあり、田島先生っぽくもあり、やっぱり横山典弘の息子という感じもある横山和生騎手は、弟より先にダービーを勝てば、一生思い残すことはないだろう、驚異の騎手生活12年目となってしまう。

あの春の天皇賞があり、マテンロウオリオンがNHKマイルCを勝ち切れなかったことで、父のお手馬であるレオの方には和生騎手が跨ることになったわけだ。

スピードで勝るビリーヴ的な一撃を食らわすのは難しいマテンロウレオは、新馬戦で好位抜け出しというか、揉まれる経験をしてから、中山3戦でついに能力全開とならず、NHKマイルCで人気になったインダストリアのように、左回りのきさらぎ賞<今年と前後1年は中京開催>での卒のない運びから、隠れ左回り巧者ぶりを見せつけている。

驚異の追い込みを見せることはできないだろうが、皐月賞では武豊騎手・ドウデュースも、このマテンロウレオの横山典弘騎手も、狙いを定めたハーツクライの皐月賞戦法に終始し<父に二人とも乗ったことがある>、いずれもハマらずに終了。

ゴチャつくことを嫌う性質をあまりにも理解していたことで、展開の読みもあってか、極端な策に出るというのは、この二人は大昔からやってきたよく見る奇手だったわけだが、いい馬に乗っているとやけに目立つ。

目立たなかった方のマテンロウレオは、賞金加算に目標を置いたきさらぎ賞を戦ったので、ホープフルSで披露した豪脚を再現しつつ、お釣りも残した名手の好判断も見られたものの、以降はまるでレースになっていないので、消耗はほとんどない。

父の言う通りに生きてきたような和生騎手は、弟のまねではなく、自身の感性をフルにタイトルホルダーの能力発揮に活用したから、乗った3戦すべて別の戦法。

本来、そういう乗り方が合うハーツクライ産駒は、その代表格であるジャスタウェイに陣営が嫌って小回りを使わなかったところで、敢えて課題を与え使った中山記念で騎乗の典弘騎手が、あっさりの好位付けで、衝撃のぶっちぎり。

次走のドバイではもっと伸びてトラックレコードで圧勝だった。

自分流にこだわろうとしても、いずれ横山家の馬乗りの流儀に近づくだろう武史騎手も、昨年は初めて人気馬に乗って、中身は完璧な仕掛けに近かった。

負けたことを悔いても、ジャスタウェイの主戦でダービーマスターになってしまった福永騎手に、秋はしっかりと完璧返しで逆襲。

人を納得させる華麗さよりも、馬が自分と息と合わせて走ってくれることを早くも生きがいに感じているような和生騎手には、春の天皇賞が初G1制覇というのが、一番しっくりくる結果にも思える。

それも圧勝。

リスクを恐れて乗る必要のない伏兵で、衝撃の初制覇再び。

縁あって、類例の存在するヒカルイマイとの共通項がもう一つ。

ずっと昔のきさらぎ賞というのは、中京で施行される完全裏路線の3歳重賞だった。

砂競馬で始まり、前年の二冠馬・タニノムーティエが制した年から芝のレースになった。

翌71年の当該レースを制したヒカルイマイは、最初の芝1800戦となったきさらぎ賞の優勝馬。

京都の名物3歳重賞が、何度となくクラシックの登竜門になってきたことを考えたら、1頭くらいクラシックホースが出てきてもおかしくない元祖中京きさらぎ賞の復活から、妙な勝機を見出した筆者の妄想は、今まさに最高潮に達するのである。