日本ダービー(東京優駿)2024【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ダノンデサイル(46.6倍)2着ジャスティンミラノ(2.2倍)3着シンエンペラー(17.8倍)

レース名第91回日本ダービー(東京優駿)
日程2024年5月26日
優勝馬ダノンデサイル
優勝騎手横山 典弘
勝ちタイム2:24.3
馬場
3連単配当229,910円

日本ダービー(東京優駿)2024 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
15ダノンデサイル2:24.3-
215ジャスティンミラノ2:24.7
313シンエンペラー2:24.91 1/4
41サンライズアース2:25.01 1/4
52レガレイラ2:25.0ハナ
単勝94,660円
複勝5700円
複勝15120円
複勝13380円
枠連3-7820円
ワイド5-151,380円
ワイド5-138,000円
ワイド13-15660円
馬連5-156,860円
馬単5-1521,490円
3連複5-13-1521,250円
3連単5-15-13229,910円

日本ダービー(東京優駿)2024 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「あの時の自分の決断が間違っていなかった。ああいうことがあっても馬はちゃんと大事にしていれば応えてくれる。馬に感謝です」

※優勝した横山 典弘騎手のコメント(ダノンデサイル)

日本ダービー(東京優駿)2024 - レース結果動画(YouTube)

日本ダービー(東京優駿)2024 - 回顧

直系のロベルトと父父シンボリクリスエスに関わるシアトルスルーの血がクロスする配合。

前者は本家ダービーウイナーであり、ヘイルトゥリーズン系の芝部門におけるステータスをヘイロー系先んじて築いていった、日本でもおなじみの系統。

思えば、エピファネイアだけでなく、モーリスもグラスワンダーの直系であり、ロベルト直仔のブライアンズタイムだって、ダービー馬は3頭出している。

その最後の勝利を挙げたタニノギムレットの2着に入ったのが、ダノンデサイルの父父であるシンボリクリスエスであった。

シンボリクリスエスはシーザリオとの組み合わせで誕生した産駒から、エピファネイアを出すが、それを破ったのはキズナだった。

キズナの仔が人気になった一戦。

ずっと縁のなかったダービー・負の歴史が、様々な大記録誕生と共に、ついにジンクスを破ることになって、断ち切られた。

シンボリクリスエスの背に、30代の横山典弘騎手は跨ったことがある。

母のトップデサイルは、本家ジュベナイルフィリーズの2着馬であり、仔出しもよく、三冠馬のアメリカンフェイロー産駒である長姉から、立て続けに生まれた4頭目がダービー馬になった。

シアトルスルーはアファームドを挟み、その次に東海岸の米三冠を制したアメリカンフェイローとの関係で、大きな可能性を残せるかは、南関東での戦いを終えて、反動がなければと条件は付くが、ワンダーボーイの弟の方は、ダービーに縁のない父とクラシックに大きく関わる馬のクロスとの間で、偉大なる末脚を繰り出して、サンデー系直系のダービー3代制覇、北米と合わせ、4代続けた二か国のダービー制覇の夢を、一旦破った。

ロベルトとヘイローその仔のサンデーサイレンスは、今もなお、ライバルなのである。

思えば、サンデーサイレンスがクラシックで活躍する前の年に、ブライアンズタイムはフロリダダービーを勝ってクラシックに挑んでいたのだから、いつにまで経っても、この直系が繁栄を続ける限り、ロベルト連合のサンデー直系の争いはずっと継続されるのであろう。

皐月賞発走寸前。

横山典弘騎手が何かを見つけたという感じで、発走に関わる関係者に異常を知らせていた。

端から、ダノンデサイルのそこに至るまでの過程において、ノリイズムを大いに注入されていたスーパーヤングボーイが、今年のダービーを勝つためのステップに、素晴らしい結果となった皐月賞でも、きっとそれ相応の結果を残すだろうから、このダービーで狙うべきと思っていたのだが、その目算は一旦崩れた。

そもそも、ダービー出走が確実な賞金ではなかったが、奇しくも、東京ダービーへの出走が叶ったサトノエピックの回避で、自分の状態さえ問題なければ<メイショウタバルの爪の状態が万全になれば、これもダノンデサイル級のスケールを誇るが、横山典騎手でスプリングSに出られなかったことが、ダービーには繋がらなかったのは陣営無念であろう>、出走できる状況になった。

出たいと思った19頭は、色々な思いに幸不幸を織り交ぜながら、結果、17頭立てのダービーになったのだが…。

50代ダービージョッキーの3者<年長順に横山典弘、武豊、岩田康誠>による、俺がこのゲームをリードするんだという、真の意味でのイニシアティブ争奪戦に、勝ちたいが、型がある程度あるジャスティンミラノの戸崎圭太騎手は、呑まれてこそいないが、少し面食らったところもあったはずだ。

回避したメイショウタバルも、強気の先行という形でダービーを制した、あの浜中俊騎手である、いや、だった。

それぞれに思惑はあったのだろうが、まずは正しい形作りをしたこの3者の騎乗のイメージと、その実行力には、正直、相変わらずの勝負への執念を感じさせた。

優しさも大事だが…。

それができる立場ではない戸崎&ジャスティンミラノに対し、内にダノンデサイルがいるという時点で、怪しい何かを感じる不気味なものを、ベテランのファン、関係者ほど少し肌感覚でも、見て取ったはずである。

そのダービーの争いにおいて、展開のイメージが根底から覆ったところで、プランニングそのものから、恐らく、岩田康誠騎手などはイメージより前に、シュガークンの武豊騎手は、現状の完成度や状態<トライアルで辛勝は明らかに達人技が際立った鞍上の手腕によるものがあり、上がり目なども踏まえ、最初から前か後ろかはっきりした型を取ってきたはず、スロー見え見えならば、これほどの騎手が下げることはない>など、考えられる可能性をすべて読み切った上での、三者共通の狙いがあったのだが、もっとも強気に出たのは、本当はダノンデサイルのノリ騎手だったのだろう。

モタモタ走るところもあり、真っすぐ走れるほどの身体的な完成度は、ジャスティンミラノには遠く及ばない。

ただし…、皐月賞に自分は出られず、無事走れた面々の方はというと、シンエンペラーの追い込みは際立っていたが、ジャスティンミラノを筆頭に、明らかに全体的なスケール感との比較で、どうしたって抗い切れない、完調に持ち上げる究極の○○が出来なかったという差がある。

それを走らずして、普通の休み明けというよりも、スクーリングを皐月賞でした上で、他の有力勢は出来なかったプラスアルファを引き出す仕上げが、無事な状態で厩舎に戻せた、大ベテランだからこそできるナイスジャッジで、全てハマっていったことは、あの直線の伸びの違いで、明らかになった。

レガレイラも完調に近かったはずだが、走り切れなかったはずなのに、キレキレとはいかなかった。

上がり最速と言え、勝ち馬の独走・ダノンデサイルとは、わずかに0.3秒上回っただけ。

ある意味、皐月賞への適性があまりにも皆が備えていたことで、昨年のように、有力馬の力関係に差はなくとも、出力は大幅ダウンだったのだ。

裏を返せば、ダノンデサイルだって、それくらいの<上位争いという意味>才能はあったことは、このダービー、京成杯の勝ちタイム、その内容からも容易に想像がつく。

青葉賞ではなく、少し距離の短い京都新聞杯からは勝ち馬が何頭か出てきているが、それが叶わないのは、皐月賞高速決着の反動とレベルアップの功罪なのであろう。

根本的な対策も、馬場状態の堅持や安定性の部分、粘土質ではない土壌の関係もあって、実は、そう簡単ではない。

雨が降ることを望む、という以外の方策は実にないが、芝競馬の本場ほど、そうした質に見合った血統の馬も少ない。

完成度は低いはずのダノンデサイルが、歴史的な名手の様々な神業と、陣営に勇気を与えるアドヴァイスをすることで、夢を奪われた陣営が多かった一方、何故、横山典弘という、今ではあまりにも稀有な存在が、競馬界に受け入れられ続けているかを、しっかりと考え直す必要がありそうだ。

勇気のある撤退から見える、衝撃の結末に繋がった本質的な理由を探り当てるまでもなく、馬乗りの達人が、アスリート化顕著な世界の競馬界において、未だに、求められた仕事を果たせているという大きな意味を、競馬界全体に噛みしめていきたい。

それにしても、3月以来のフサイチコンコルド、シリウスシンボリも例も偉大なるイレギュラーであったダービー戴冠ながら、その空気を、すでにこの世界に入っているところで、いずれも目撃してきた横山典弘騎手が、その持ちうる才能の全てが発揮されるダービーになったのだから、競馬という偉大なるスポーツは、いつまで経っても難解な哲学を、我々に滔々と諭す面があることを、ファンもしっかり理解しておきたい。

面白い競馬の本質は、必ずしも、明らかに才能上位の馬と騎手だけの争いの中にあるとは限らない。

偉大なるダービージョッキーが刻んだ、伝説の1コーナーは、永遠に記憶されるワンシーンとして、確実に日本競馬史に刻まれるはずだ。

少し、恐ろしさを感じたのだが、それは戸崎騎手の本音に少しあるはずだ。

早く勝ってしまいたい。