フェブラリーステークス2022【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着カフェファラオ(5.1倍)2着テイエムサウスダン(8.9倍)3着ソダシ(8.2倍)

レース名第39回フェブラリーステークス(G1)
日程2022年2月20日(日)
優勝馬カフェファラオ
優勝騎手福永 祐一
勝ちタイム1:33.8
馬場
3連単配当76,940円

フェブラリーステークス2022 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
16カフェファラオ1:33.8 -
215テイエムサウスダン1:34.2 2 1/2
311ソダシ1:34.3 1/2
413ソリストサンダー1:34.3 クビ
57タイムフライヤー1:34.5 1 1/4
単勝6510円
複勝6230円
複勝15310円
複勝11410円
枠連3-8 700円
ワイド6-151,230円
ワイド6-111,980円
ワイド11-153,830円
馬連6-152,640円
馬単6-154,690円
3連複6-11-1516,200円
3連単6-15-1176,940円

フェブラリーステークス2022 - レース後コメント(騎手/厩舎)

「レース前に堀調教師といろいろ打ち合わせをして、作戦通りのポジションで行けていましたので、あとはこの馬の気分を損ねないように、そこだけ注意して乗っていました。気を付けたのはスタート。あのポジションを取れるか取れないかで、この馬の気分がある程度変わるのではないかと感じていましたから。スタートはそこまで速かったわけではないですが、リカバリーがうまくいきましたし、ある程度イメージした隊列の中で、砂をかぶらない3番手の位置で非常にいい形で進められましたので、あとは抜け出して気持ちを切らさないように、僕が遊ばれないように、それだけ気を付けていました。(けがから)まだ復帰していない段階で依頼をいただきました。自分を信頼して依頼をくださった関係者の方々の期待に応えたい気持ちが強かったので、きょうはいい仕事ができたと思います」

※優勝した福永騎手のコメント(カフェファラオ)

フェブラリーステークス2022 - レース結果動画(YouTube)

フェブラリーステークス2022 - 回顧

正直言って、完璧にあの輝いていた3歳時のカフェファラオではないはずだが、終わってみれば、圧巻のレースレコード勝ち。

3歳春の同コース・ユニコーンSでは、稍重馬場で1:34.9。

翌年初戦のこのレースでは、少々内ラチ沿いの砂厚が薄かったのではという疑惑のバイアスをルメール騎手が見事に見抜き、良馬場ながら1:34.4で自己ベスト更新。

それよりはずっと出来も内面的なプライドの面でも万全ではなかったはずの今年は、待ってましたとばかりに道悪の東京マイルに挑む幸運を得て、再び0.6秒更新。

例によって、フェブラリーSに先んじて行われる3歳オープンのヒヤシンスSは、スローで芝スタートに失敗の2戦という怪しげな条件満載も、強引に捲って勝ち切った。

  • 【4・0・0・0】… 東京ダート1600
  • 【6・0・0・5】… 全戦績

何とも分かりやすいフェブラリーマイスターが再び誕生したことになる。

コントレイルや香港に挑んだピクシーナイトらで昨秋のG1戦線を盛り上げた福永騎手は、G1競走に昇格して2度目の不良馬場となった2005年に、断然支持のメイショウボーラーで逃げ切り勝ちし、現コースに改修後に最初の1分34秒台の競馬を経験していたが、数度更新されたレコードを再び更新。

壮絶死を遂げるタガノトネールが2016年の武蔵野Sで1:33.8で、激しく勝ち切った時、2着に敗れた若きゴールドドリームは、翌春以降のフェブラリーSで、何度となく上位入線で駆け抜けている。

すでにリピーターになり切ったカフェファラオや今回はマイル戦のキャリア不足も敗因だろう、明らかに調子上向きだったテイエムサウスダン<父サウスヴィグラスは1400Mまでにしか勝ち星なし>にも当然、今後のフェブラリーSにおける活躍は期待できるし、何より、揉まれたほどではないにしても、桜花賞の頃の自分を取り戻したかのようなソダシも立派に上位入線。

4歳牝馬になど滅多にチャンスのないハイレベルG1として知られるが、カフェファラオが万全でないとすれば、来年こそ勝負になる。

筆者、普段は狙いに行かない高齢馬から順に仕留めていこうと画策した中で、雨馬場でも好天でも出が悪い、芝スタートが合わないインティには気が滅入ってしまったが、明らかにチャンピオンズCよりライトな組み合わせであった今年のフェブラリーSで、道悪の高速戦と展開したことで、上位3頭は5歳−5歳−4歳。

高速のマイルになることで、普段のダート重賞では問われない決め手もスピード能力も高水準で求められた今年、大いに看板倒れになりかけたこういう年に若手が活躍すると、まだまだ見捨てられない格を持った大レースのままであることを証明しただけ、十分に価値のあった一戦だった。

うまく6番枠から外に出し、昨年よりは積極的な策を、馬の気に合わせて敢行し、自分自身への疑惑まではまだ持っていないカフェファラオの本質を引き出した福永騎手は、復帰して間もない厳寒期に、早速大レースでの結果を出した。

曰く、堀調教師からは骨折休養中からのオファーがあったとのことだが、先週の共同通信杯で大外をワープしてきたダノンベルーガに騎乗の松山騎手同様、その手の采配で滅多な失策をしない名伯楽が、お気に入りのビッグボーイのプライドを守ったのだと考えた時、チームとしての底力を感じさせる圧巻の2週連続メイン制覇とも言えなくもない。

香港で気持ちが戻りかけた看板の良血・サリオスと共に、名種牡馬になった天才競走馬であるドゥラメンテ・モーリスらを育てた師の逆襲が始まろうとしている。

しかしながら、新ブランドイメージCMに出てくるちょうど20年前のフェブラリーSを生中継でしっかりと堪能したものからすると、ミューチャリー<10着>やアルクトス<好位抜け出しにまでは至らず7着>、一撃必殺の末脚を取り戻しつつある中でやはりキレ負けのタイムフライヤー<5着>などの不発に物足りなさを感じる。

情緒不安定な面のある内枠を引いた馬の中で唯一まともな性質のレッドルゼルは、乗り方に注文がつく差しタイプのスプリンター。

今更、サンライズノヴァやインティなどが活躍するのも本当はアウチではあるのだが、カフェファラオがしっかり復活したことで気づかれない中で消えてしまいそうな才能が出てくるのは残念。

その中で藻屑となりかけたソダシも結果を残し、必要な何かを取り返す必要があるのが、きっと今回の場合だと、ソリストサンダーやアルクトスであったはずなのだが、惜しい止まりの一桁着順ではちょっと辛い。

両者とも7歳馬だから、遅咲きと言えどもオープンキャリアはまだまだコアな戦いまで経験するまでに至っていないから、余力もいくらかあるはずなのだが、ここ数年のパサパサダートで結果を出せず、狙い目の高速決着必至の馬場状態でも、勝ち馬の上がりが34.3秒とコントレイルやグランアレグリアのような破壊力であったとはいえ、惜しい結果にまではなっていない。

若い馬は少ないまでも、喜ばしい復活や新境地開拓に成功の正しいフェブラリーSの決着だったことを考えると、20年前も6歳以上が3着以下に入ってくるレースだったことを踏まえると、G1級が居並ぶところで、昔はノボトゥルー、トゥザヴィクトリー、トーホウエンペラーにウイングアローやイーグルカフェも混ざっていたものと比べてしまうと、やや根本的な部分での迫力不足は否めない。

ソダシが万能であると示したことは大いに結構だが、まだまだメンタルの不安なども考えたら、少しは前走より前身のソリストサンダーは古馬のマイル王者候補なのだから、充実の秋2戦の内容と比べたら、明らかに物足りない。

彼女の並ぶまでは至らなかったということは、地方にフィールドを移すべき馬となるわけだが、昨年以上の結果を今後も期待するには無理がある7歳馬にとって、テイエムサウスダンや新入りのソダシにパワフルさで見劣ったとなると、父トビーズコーナーの限界も示したことになる。

地味な存在だが、3歳春にケンタッキーダービー前哨戦のウッドメモリアルS優勝の記録がある父のように、本番に縁のない馬になってしまうのだろうか。

思わぬ快走を見せる伏兵のまま終わるには、少々勿体ない気もするのだが、競馬はこの辺りの壁を打ち破ることが案外難しいことは、もう大昔から証明されてきている。

頑張るしかない。

カフェファラオの血統

毎年自分のマイル戦における持ち時計を更新した力を血統面から根拠づけるとするならば、それは父のAmerican Pharoah・アメリカンフェイローの戦績に繋がるポイントを、見事に導くことが可能となる。

父がケンタッキーダービーを勝って時は、実は初めての10F戦で、2:03.02という勝ちタイムも大して速い記録ではない。

三冠達成後も連勝を続け、最初に止まったのが真夏のサラトガで行われたトラヴァーズSで、この時の推定走破タイムが2:01.65くらいと思われる。

その後に、キーンランドのブリーダーズCクラシックに挑むと、今度は2分0秒台で走破し、後続を寄せ付けなかった。

早熟系のサザンヘイロー−モアザンレディのラインを持つ母父の系統とは異なり、熟成させると距離をこなせるMiswakiを母父に持ち、そこにかかるミスタープロスペクターの血を他に求め、継続させてクロスさせてきたというところが妙味だろうか。

直系では6代父にあたるその血は、母の代では4×3。

かつてこの馬をゴリ押ししていた頃は、コントレイルと同等レベルの血統水準にある名馬になれる素材と絶賛を続けてきたが、根幹距離で結果を出し続ける才能であるとか、何かに特化した能力発揮の場面で強いなのだとすれば、この薄まったミスプロの血を少しずつ足す形が、一つの成功例を生む要因になりそうだ。

ラトロワンヌの血も重ねられた構成からも、日本にいることを我々は素晴らしい財産である認識できるような才能は、この後の種牡馬としての活躍を後押しする材料ともなってくるであろう。