フェブラリーステークス2024予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り

フェブラリーステークスの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!

歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。

レース名第41回フェブラリーステークス (G1)
グレード重賞(G1)
日程2024年2月18日(日)
発走時間時分
開催場所東京競馬場
距離ダート1,600m
コース左回り
賞金1億2000万円
レコードタイム1:33.5

フェブラリーステークス2024予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)

フェブラリーステークス2024の予想オッズと登録馬

枠順馬番出走予定馬騎手性齢斤量予想オッズ人気1週前追い切り最終追い切り
11イグナイター西村 淳也牡658.022.07園田・良
4F 51.6-37.3-12.3(馬なり)
園田・良(調教師)
5F 65.4-49.1-36.4-12.2(直強め)
12シャンパンカラー内田 博幸牡458.044.213美浦・ウッド・良(内田博)
6F 80.8-64.0-50.2-37.0-11.1(強め)
美浦・ウッド・良(内田博)
6F 82.9-66.5-51.8-37.4-11.9(馬なり)
23ミックファイア矢野 貴之牡458.030.310大井・良
5F 64.0-50.1-36.5-12.0(強め)
大井・良
5F 66.5-52.0-37.7-12.0(強め)
24ドゥラエレーデB.ムルザバエフ牡458.09.14栗東・坂路・重(助手)
800m 55.1-39.1-24.8-12.0(馬なり)
栗東・坂路・良(ムルザバエフ)
800m 49.1-36.4-24.4-12.6(一杯)
35オメガギネスC.ルメール牡458.03.01美浦・ウッド・稍重(杉原)
6F 81.0-64.7-50.1-36.7-12.2(馬なり)
美浦・ウッド・良(ルメール)
6F 82.5-65.6-51.3-37.4-11.3(馬なり)
36カラテ菅原 明良牡858.066.615栗東・CW・重(助手)
6F 86.4-70.3-54.8-38.7-11.7(強め)
栗東・坂路・良(助手)
800m 54.2-38.6-24.5-12.2(馬なり)
47ガイアフォース長岡 禎仁牡558.014.46栗東・CW・重(長岡)
7F 98.6-67.0-51.8-36.6-11.4(一杯)
栗東・坂路・良(長岡)
800m 52.9-37.6-23.6-11.7(馬なり)
48セキフウ武 豊牡558.026.48栗東・CW・重(藤岡康)
7F 96.8-65.5-51.8-36.9-11.6(一杯)
栗東・坂路・良(調教師)
800m 52.1-38.1-24.9-12.7(馬なり)
59ペプチドナイル藤岡 佑介牡658.032.311栗東・坂路・重(助手)
800m 55.1-39.8-25.5-12.5(馬なり)
栗東・坂路・良(藤岡佑)
800m 55.8-40.8-26.0-12.6(馬なり)
510タガノビューティー石橋 脩牡758.036.012栗東・CW・稍重(助手)
6F 80.5-65.7-52.0-37.7-12.4(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.5-38.4-25.1-12.6(一杯)
611キングズソード岩田 望来牡558.011.35栗東・CW・稍重(調教師)
6F 83.7-68.5-53.8-38.6-12.6(一杯)
栗東・CW・良(岩田望)
6F 81.2-66.0-51.9-37.4-11.6(一杯)
612スピーディキック御神本 訓史牝556.0103.916浦和調教場・良
4F 50.5-37.2-12.7(直一杯)
浦和調教場・良
5F 65.8-50.5-37.7-12.4(馬なり)
713レッドルゼル北村 友一牡858.08.13栗東・坂路・重(助手)
800m 52.4-38.0-24.5-12.2(一杯)
栗東・坂路・良(助手)
800m 55.2-40.1-25.9-12.8(馬なり)
714ウィルソンテソーロ松山 弘平牡558.04.12美浦・ウッド・良(武士沢)
5F 73.7-56.8-41.1-12.6(馬なり)
美浦・ウッド・良(武士沢)
6F 83.7-67.1-51.8-37.3-11.5(馬なり)
815ドンフランキー池添 謙一牡558.027.89栗東・ポリ・良(池添)
6F 80.2-64.8-50.9-37.5-12.4(G前気合付)
栗東・ポリ・良(池添)
6F 81.8-65.4-50.9-37.4-11.1(一杯)
816アルファマムR.キング牝556.050.014栗東・坂路・稍重(助手)
800m 53.1-38.6-25.0-12.8(末強め)
栗東・坂路・良(助手)
800m 53.0-38.3-24.5-12.2(末強め)
脚質1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
逃げ馬3回1回0回16回15.0%20.0%20.0%
先行馬9回6回6回60回11.1%18.5%25.9%
差し馬6回8回10回90回5.3%12.3%21.1%
追い込み馬2回5回4回90回2.0%6.9%10.9%
枠順1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
1枠1回1回1回35回2.6%5.3%7.9%
2枠4回2回3回30回10.3%15.4%23.1%
3枠1回2回4回33回2.5%7.5%17.5%
4枠2回3回1回34回5.0%12.5%15.0%
5枠1回4回5回29回2.6%12.8%25.6%
6枠4回0回3回33回10.0%10.0%17.5%
7枠3回4回0回33回7.5%17.5%17.5%
8枠4回4回3回29回10.0%20.0%27.5%
種牡馬1着2着3着4着以下勝率連対率複勝率
ヘニーヒューズ45回44回46回228回12.4%24.5%37.2%
ロードカナロア22回13回19回150回10.8%17.2%26.5%
ドゥラメンテ17回12回12回93回12.7%21.6%30.6%
ドレフォン16回13回10回98回11.7%21.2%28.5%
キングカメハメハ15回18回10回114回9.6%21.0%27.4%
パイロ15回10回14回124回9.2%15.3%23.9%
ジャスタウェイ14回14回12回103回9.8%19.6%28.0%
キンシャサノキセキ12回13回9回94回9.4%19.5%26.6%
キズナ12回8回11回100回9.2%15.3%23.7%
ホッコータルマエ11回8回11回87回9.4%16.2%25.6%

フェブラリーステークス2024予想 - 過去10年のデータ傾向

1度しか崩れていない衆目の本命級が、一度だけ崩れたシーンを想起させるメンバー構成

2022年の1番人気を覚えている人は、きっと、川田ファンかレッドルゼル通である。

今年も元気に、存在感を示しそうなレッドルゼルが、何となく、昨年のレモンポップと被るものはあったりするが、前年は根岸Sで初重賞制覇を果たした後に好走した実績に加え、年齢的に何とか距離をこなせそうな雰囲気を醸し出した影響で、抜けた存在というか、何だか取っつきにくいタイプ多めの構成で、軸を探せないというところで、4倍程度の単勝支持で、押し出された1番人気になった年。

結果、前年に続き、カフェファラオが力強く駆け抜け、快時計で完勝。

道悪実績も手伝って人気にもなったレッドルゼルは、少し年上のソリストサンダーやタイムフライヤーなどにも先着を許して、前年よりちょっと速く走っただけの6着に敗れた。

その他は、何だかんだで3着に入る。

コパノリッキーや武豊、ルメールといった面々が前哨戦勝ち馬に乗っているケース、またまだユニコーンSの快走の記憶新しい4歳時のカフェファラオなど、そりゃそうだという本命馬なら、難なく、芝スタートのタフな高速レースを勝ち切れる。

では、今年は誰が人気になるのか。

イグナイターでは少し困るが<JBC以来というローテが全く同じ>、ウィルソンテソーロかドゥラエレーデか、性懲りもなく初ダートのガイアフォースなのか…、ガイアフォースは人気ナシならむしろ面白いが。

ここから軸馬を選ぶと、ろくなことはない。運を天に任せて、2番人気以下になってもらうことを祈るのみである。

怖い馬は多いものの、キャリアよりスピード重視というレース特性を信じられる馬を絞り込みたい

近10年4勝の4歳馬は、弱い馬というよりも、中身がまだ伴っていないケースもあって、圧倒的に5歳以上の猛者に対して不利な面が多く、ディスアドヴァンテージが大きすぎるという傾向は認めつつ、それなりの期間行われてきたG1・フェブラリーSの中でも、非常に堅調な傾向。

同時に、5歳以上と言っても、連覇の例を除くと、インティやダート2戦目のモズアスコット、昨年のレモンモップなど、ダート界であまり揉まれていない新興勢力の一気差しみたいな、鮮やかな前哨戦からの連勝が近年ほど目立ち、全体的に強烈なメンバー構成にならない諸事情に伴い、若手有利の偏重が進みつつある。

除外されないことだけ確実とできる南関東三冠馬のミックファイアが、重い大井のダートよりも、高速の盛岡の方が内容がずっと良かったではないかと仮定するなら、十分にここでは買える。

パサパサダートでも、大井よりは軽い。

重いも軽いもないドゥラエレーデは、どうしても押さえるのだから、そもそも考える対象ではないだろう。

その他が何頭出られるかは、ほとんどキャンセル待ちのお盆の空港状態である4歳勢は、東京での内容と前走のパンチ不足に不適の要素、明らかな不利や自滅などの敗因を兼ねている上で、東京がいいタイプから、前記のサンライズフレイムとペリエールは是非押さえたい。

変に前哨戦などで連対するより、思い切って勝負できるから、勝負師タイプが乗れば面白い。

速い馬ならば、問題なくこなすというほど単純ではないが、消すこともない微妙な馬齢のグループ

2着だったころとは、あるなしで違いが出た騸馬のノンコノユメは、たまに出てくる例外で、新鮮なイメージで戦う形を積極的な新規参入で見出したモズアスコットなど、知っている顔の新しい表情が見られた一戦は、それぞれ、若手が少ないだとか、色々と他の年と違う面があったのは事実で、古馬勢が勝つには理由があるという仮説を立てる方法論は、何も間違いではない。

現に、有望な4歳馬の多くは、今年はほぼレーティングの面でも賞金面でも足らないグループばかりで、案外、出てきても苦しいという感じの人気先行型多めの雰囲気はなくもない。

いないなら、それはそれで組み立てていくしかない多くのファンは、その他の組の厳選の方法を見つけていく必要がある

負けている組では、やはり、路線のトップランクに入る地方のタイトル持ちの馬ばかり、当然、格の違いで来たというタイプが多め。

これは7、8歳でも同じなのだから、マイルの大レースで連対実績のあるベテランは押さえておくのが普通であるべきだろう。

ホクトベガくらいしか来たことがない高齢の牝馬だから、レディバグは怪しいのだが、盛岡ではイグナイターと小差。

その他が怪しすぎるため、大混乱の一戦になりそうだが、前哨戦勝ち馬がいないなら、こうしたタイプの穴評価での逆転には要注意だろう。

さて、どの馬に絞ろうかと考えた5歳勢なのだが…

ザックリ言うと、5歳馬が一番多く出てくるのだから、必然的に層の厚さを反映するように、この世代から1番人気馬が出てくれば、それを軸に推せばいいという話。

だから、それがウィルソンテソーロなのか、まさかのドンフランキーやガイアフォースなのか、何だか気になるけど、いつも1番人気ではないキングズソードなのか…。

きっと、こういう選択を繰り返すと、ウィルソンテソーロしかいないとなって、地獄の4倍台1番人気で、無駄にプレッシャーを受けるような負け方をしそうな雰囲気はある。

他は人気になりすぎる要素が、ガイアフォース以外にはなく、レースのメンバー決定の前に、除外確実グループからの乗り替わりなどが発生する組み合わせなので、実力も何も、正しい比較の中で受ける支持とは限らないという人気順が確実な混戦の場合、そもそも、主力がいないのなら、他の組から入ればいい…、という切り替え方で、押さえるべき馬だけ拾い、あとは4歳馬の数に比例して、買い足すかどうかだけである。

アルファマムは、普段なら買えない根岸Sの差し損ね組で、あの展開ならば、今年は救済措置適用も可。

出られる保証は全くないが、キング騎手は完全に覚醒している。

サンライズホークも似たようなものだが、怪しい馬は勝っているのに人気が出ない時がいいから、名古屋要員であっても、面白い一頭。

セキフウやドンフランキーは元気なベテランが乗るということと共に、適鞍の少ないタイプで、1400くらいにドストライクゾーンがある古馬だからこそ、1200G1が合わないからこそ、ならばと、ここでは買っておきたい。

ウィルソンテソーロは人気になりすぎなければ、もうそろそろの松山弘平でいけるのだが…。

フェブラリーステークス2024予想 - 出走予定馬の血統/成績/タイム

1999年の今頃、日本のダート界は群雄割拠の時代にあったわけだが…、その時と同じことが起きそうな予感がする

イグナイターの血統

牝系は極めて優秀であり、JRAデビューでもあるイグナイターは良血の部類に入る。

何しろ、5代母は凱旋門賞連対実績のあるトリリオンであり、その娘は母超えを目指し、鉄の女として日本にもやってきた、G1をいくつ勝ったのか瞬間では把握できないほど、レース数も沢山使われたあのトリプティクなのだ。

トリプティクの全妹で何ともおいしそうな名前のバーガーを経ているのが、このイグナイター。

リヴァーマン×ヘイルトゥリーズンだから、時代先取りのキレる配合であるが、時代を経て、どの馬も速くなると、この血統は自力強化の効果を示す。

わざわざという感じで、祖母にあたるプラデシュには、同族のダービー馬・英 であるジェネラスを配すことで、基礎繁殖として一大勢力を築いたMargarethen・マルガレーゼン<カタカナにすると、thの部分の発音がバラバラになる事で有名な超名牝>が、3×4となり、ヘイルトゥリーズンもカーリアンの母母父に入るから5×4、リヴァーマンは父父ナスルーラで、内包する5×6<配合時は3×4>に掛かる5×5も重複。

ジェネラス自体が日本にフィットしなかったので、ほとんど畑の肥やし状態で見えない化を施されているものの、そのテーマに沿ったヘイルトゥリーズン2本プラスネヴァーベンド<リヴァーマンの父>を併せ持つエスポワールシチーを配することは、完成を意味する。

母がウォーニング産駒であり、その母父がヘイルトゥリーズン直仔のロベルトであり、ブライアンズタイムを含むエスポワールシチーなら、そのクロスも作られる。

ゴールドアリュールとブレイヴェストローマンのパワーが強いので、基本軸はダート専門でブレはないが、ここを勝つようだと、スプリントもマイルもであるから、引退前の時点から、種牡馬入りの可能性はほぼ確実となる。

ゴールドアリュールの代表産駒であるコパノリッキーは、ここを極端な人気で連覇して影が薄くなってから、突然登場したJBCスプリントで2着したことがあるので、総合力勝負歓迎の短距離型であるイグナイターは、この分野のエースに今からでもなれるチャンスも秘めている。

フェブラリーステークス2024予想 - レース展開と最終予想

21世紀に入る直前。

本格的にJRA所属の選定馬が、地方の主要重賞に出走できるようになって、もうそれも馴染んできたころ。

中央競馬の芝路線では、タイキシャトルやシーキングザパールにサイレンススズカ、その一つ下の世代であるエルコンドルパサー、グラスワンダー、スペシャルウィーク、セイウンスカイらに、忘れてはいけない世界的血統馬であったキングヘイロー<イクイノックスの母父>らが、各々の持ち場で大暴れしていた時代。

JRAにおけるダートのエース級の手駒がまだ豊富だったわけではなかったこの頃、タイキシャトルやエルコンドルパサーにトラックの質も場面もあまり関係なかったが、きっとサイレンススズカも…、それらに伍して、地方競馬のスターが続々出現して、驚異的な戦績を挙げている時代があった。

岩手県競馬のパワフルモンスターとなったメイセイオペラと、ハイレベルな南関東にあって、圧倒的な存在感を示した時代の制覇者・アブクマポーロである。

アブクマポーロというのは、同時代に菊花賞勝ち馬のマチカネフクキタルという馬がいて、これと同じクリスタルグリッターズの産駒だったから、取っつきやすい存在でもあったが、伝説のバトルライン・武豊&シンコウウインディ・岡部をねじ伏せたコンサートボーイ・的場文男の勝った帝王賞2着を経て、百戦錬磨の石崎隆之騎手と共に、まだ距離が無駄に長かった東京大賞典を除けば、中京のウインターS完勝も含め、以降は無双状態。

それに唯一食って掛かったのが、2つの下のメイセイオペラで…。

などと話していていると、これでお仕舞いになるからこの辺にしておくが、要するに、コンサートボーイに帝王学を学んだようなところのあったアブクマポーロが、完成期に唯一敗れたメイセイオペラ、その他はすべて、主要レースでアブクマポーロに完敗だったメイセイオペラという構図になって、ほんのわずかの時間、JRA勢がまるで歯が立たない時代があったのだ。

そうこうしているうちに、本質スピード勝負向きの底力型の本分を、東京のフェブラリーSで難なく、日本中の競馬ファンに見せつけたのが、1999年の今頃。

何だ、よく似ているではないか今年も…。

四半世紀が経って、園田を主戦場としていたが、今は住んでいるだけ状態のイグナイターは、JRA所属馬を交流重賞で4度も破り、ほぼレース内容で他を圧倒するようなJBCスプリントの完勝で、ついに、ドバイ行き内定<ゴールデンシャヒーンへの招待を受諾>を決めた。

猛烈な南部杯のレモンポップ粉砕作戦は大いに不発だったが、生け贄にならず、2着に粘った彼は、大井の大舞台で躍動したが、速いだけが取り柄にも思えないほど、カラ馬に絡まれて苦い敗戦となったリメイクを圧倒した内容が、かなりパンチ強めであった。

JRA勢を歯牙にもかけず、ジャパンダートダービーで本来の形を崩されながらも、地鳴りがするくらいの猛烈な追撃で、最後は突き抜けたミックファイアは、東京大賞典で本領発揮とならなかったが、南関東のエースという位置には止まらない。

本物の実力が伴っていなければ、もう少しタフな臨戦過程を経たJRA勢に対し、総合力で立ち行かないのが普通で、負けていない馬ほど脆いが、全くその逆をやられたという見立てが、中央の側のイメージ。

東京大賞典前に、相手関係についての不安材料を掲げ、それが的中するような惨敗だったが、あの真っ白な異様すぎる大井の低速馬場は、時代の先頭を進むミックファイアにはそもそもフィットせず、無論、春の反動も大いにあったのだろうとも感じた。

ノーカウントにはできないから、本線には入れられないものの、イグナイターと比べて、底力の程度や完成度の点でまだ甘さがあるというだけで、実力で見劣るわけではない。

スピーディキックはそもそも、このレースで昨年6着馬。

普通の4歳牝馬が、掲示板の下に来ることはまずない。

父タイセイレジェンド、母父サイレントディールなら、少し雨が降るとまた面白い。

と、ここまでは地方勢の概況を客観的に捉えた、このレースにおける評価なのだが、では、かつてメイセイオペラと相対した地元勢はどうだったかと言われれば、武豊だから来たという中距離型のエムアイブランと、メイセイオペラが出てくると一枚格が落ちたようなところのあった適距離のタイキシャーロックなどが好走し、ダート2戦とも圧勝も条件戦時代の記録だったキョウエイマーチや明らかに長いスプリンターのワシントンカラーなど、合っていないタイプばかりでは、本格派のメイセイオペラに完敗だったその時の構図と似ている。

力なら、ドゥラエレーデもウィルソンテソーロも足らないことはないが、強いレモンポップやウシュバテソーロの後に続いたことで、そのまま繰り上げでフェブラリーSという立場ではない。

その前の実績で、ダートのスピードレースへの適性が証明されているわけではない。

ほとんど消去法だが、どうせ短い距離への適性のある馬を買うなら=マイルから中距離のエース級が出てくることはしばらくなさそうな状況でもあるから、JRA勢が絶対的に強いなどと考えるのは、どうしたって筋違い。

何しろ、東京のこの距離の新馬戦を圧勝後、今後の発展を臨んだ陣営は、南関東のクラシック参戦を目指し、早々に転出し、その後に西へと移籍したという経緯がある。

未だに、フェブラリーSの空洞化を論ずる安定の光景が繰り広げられているが、高速の芝で種牡馬選定をし、その中でサイクルが滞りなく進んでいるなら、北米とは真逆で、欧州圏におけるオールウェザーホースの立ち位置と同じはずで、その枠からはみ出していった、ここ数年の優駿たちは、芝をこなすこなさないにかかわらず、少しだけタフなレースになった時の、中東や北米の大レースで、続々台頭なのだから、申し訳ないが日本の砂馬場に必要性を求めているわけではない。

しかし、挑戦者の側は、まずその中の選定を経て、必要だと思わせる、招待されるか馬鹿にされないようなレーティングをつけてもらって、堂々参戦する道を選ぶしかない。

どうしても、ダートの競走で種牡馬選定をしたいなら、南関東の馬場の質を高速化させる方策しかないが、数少ない芝の結果で全体が機能するなら、あまり意味もない。

ダートのエース級が、北米かそれに準ずるセッティングをされた馬場で行われるG1で成功するのは、当然、北米系の快速系の血統が、日本のダートを主戦場とする馬の中に取り込まれ、北米寄りのカスタマイズがなされ、重たい砂馬場への適性が薄れていることを示し、より、本物ほど、芝でもいけそうな配合の馬が活躍するのである。

そこまで心配しても仕方ない。

フェブラリーSをチンケな芝スタートのレースと馬鹿にしているうちに、日本のダート競馬そのものが、進化しているように、その活躍馬の主戦場が、高速のフェブラリーSを一段飛ばしで、どんどん中東経由で、ダート世界に進出しているのである。

ならば、かつてのダービーグランプリのように、フェブラリーSの格を返上し、適当な場面に、これと相応のG1級レースを地方に置けばいいのだ。

移設と言っても、春には船橋のかしわ記念、浦和のさきたま杯、秋はスケジュールいっぱいで、移設するなら、1月中山か京都開催のどこかにぶち込むしかないので、今まで以上の価値は見出せない。

戦える場所を増やすだけでなく、その格をより高い方へと求め、成功を収めてきた地方勢に学ぶべき、久々戴冠を期待させる組み合わせのフェブラリーSを蔑む風潮があるなら、断じて許せないと思うと同時に、日本のダート馬の進化に、設定する側の人間の認識や意識そのものがついてきていないだけのようにも感じる。

遅い方のトラックで、本物の選定に意味を成さない結果が出ることが判然とした状況の中で、その殻を破った挑戦者たちが、フェブラリーSに出てこないのは何も問題がない。

何だか、MLB移籍に憤慨するおじいちゃんOBが、未だに、非論理的な野球論を語り、是々非々のインテリ青年であるダルビッシュさまに窘められる構図とよく似ている。

この期に及んで、フェブラリーSが面白くないと思っている諸氏はまだ多いのかもしれないが、求められる適性に合わせて、本質の通りに適鞍での底力勝負を臨むのが常道である勝負の世界で、井の中の蛙になっては、何の意味もない。

挑戦者優勢、今のイグナイターなら十分勝ち負けと考え、これを中心とし、それを負かすJRA勢は、本物のマイラーとして、次期エースとしての底力を遺憾なく発揮するシーンを期待し、フェブラリーSの格を昨年必死に守ったレモンポップのように、挑戦し続ける馬を応援するためのレースに生まれ変わったシーンを、今年もまた見せてもらいたものだ。