阪神ジュベナイルフィリーズ2021【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧
【レース結果速報】1着サークルオブライフ(5.6倍)2着ラブリイユアアイズ(51.2倍)3着ウォーターナビレラ(6.6倍)
レース名 | 第73回阪神ジュベナイルフィリーズ |
日程 | 2021年12月12日(日曜) |
優勝馬 | サークルオブライフ |
優勝騎手 | M.デムーロ |
勝ちタイム | 1:33.8 |
馬場 | 良 |
3連単配当 | 114,300円 |
阪神ジュベナイルフィリーズ2021 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ
着順 | 馬番 | 馬名 | タイム | 着差 |
---|---|---|---|---|
1 | 10 | サークルオブライフ | 1:33.8 | - |
2 | 11 | ラブリイユアアイズ | 1:33.9 | 1/2 |
3 | 13 | ウォーターナビレラ | 1:34.0 | 1/2 |
4 | 17 | ナミュール | 1:34.0 | クビ |
5 | 1 | ナムラクレア | 1:34.3 | 1 3/4 |
単勝 | 10 | 560円 |
複勝 | 10 | 190円 |
複勝 | 11 | 770円 |
複勝 | 13 | 240円 |
枠連 | 5-6 | 7,580円 |
ワイド | 10-11 | 2,580円 |
ワイド | 10-13 | 620円 |
ワイド | 11-13 | 3,440円 |
馬連 | 10-11 | 12,470円 |
馬単 | 10-11 | 16,540円 |
3連複 | 10-11-13 | 16,850円 |
3連単 | 10-11-13 | 114,300円 |
阪神ジュベナイルフィリーズ2021 - レース後コメント(騎手/厩舎)
「とってもうれしいです。素晴らしかった。競馬はスムーズでした。直線は外に行きましたが、ジリジリ伸びてくれましたし、馬のことを信じて良かったです」
※優勝したM・デムーロ騎手のコメント(サークルオブライフ)
阪神ジュベナイルフィリーズ2021 - レース結果動画(YouTube)
阪神ジュベナイルフィリーズ2021 - 回顧
うーん…、というスタート。
武兄弟の裏で進行したデムーロ兄弟の覇権争いに、では誰が加わるのかというレースとなった時、弟の分まで頑張る兄貴の迫力が他を上回ったのだろうか。
国枝栄厩舎も恐るべき底力がある。素晴らしい。
その裏で香港スプリントが大変なことになっているとは、こちらに注視していたファンには驚きである。
競馬は難しい。
サークルオブライフ。
父はデアリングタクト、エフフォーリア両巨頭を送り出したロベルト系復興の旗手・エピファネイア。
完成早の産駒を出すという傾向があるわけではないから、結果的に、昨年と同じくアルテミスS勝ちの馬の連勝で2歳女王が誕生の流れに、クロフネ産駒のソダシとは全く違う要素がこの快勝の繋がったと考えるべきだろう。
ポイントはニジンスキー系最大の後継者であるカーリアンのクロスを母シーブリーズライフが持っている点。
一見、スタンダードとなったサンデーサイレンスの4×3は強調点であるとして、活躍馬であろうとなかろうと、今のロベルト系種牡馬はこのクロスを有するようにそもそも配合相手を選んでいるから、あまり関係しない。
カーリアンは古くは、日本でエルウェーウインという朝日杯覇者を送り出している。
直後に近いくらいのところで、エアグルーヴとの争いを粘り込んだビワハイジが牝馬の2歳王者になったわけだが、娘もまた一応2歳女王である顕彰馬級のブエナビスタがおり、その半兄はアドマイヤジャパンという関係性。
アドマイヤジャパンは京成杯勝ちのディープ世代の準エース級。
何しろ、サンデーサイレンスということで何もかもディープインパクトとその他に大分される世代だから、思ったよりも頑張ったということもないが、こうして母父として成功の形は、その通りに狙ったような成長を遂げたタイキシャトルのブルードメアサイアーとしての成果で、全てが証明される。
敢えて、サンデー系にカーリアンの相似形をタイキシャトルと組み合わせたシーブリーズライフには、ヘイローの強いクロスとカーリアンの3×4が入るから、極めて早期の完成を予期させる何かは秘めるが、結果としてこうなったのは馬自身の成長とそれにしっかりとしたアシストができる国枝栄調教師の技量があってこそ。
そこに名門・千代田牧場のノウハウが加わった形は、そのタイキシャトルのファミリーでサンデー×カーリアンの2歳女王・ピースオブワールド<福永騎手のお手馬>と同じ勝負服の馬が勝ったことで、これもまた点と線が結びつく。
カーリアンに関わる血はダービー馬のフサイチコンコルド、シンコウラブリイらが著名すぎるが、実際の現場では、こうした速い馬を早い時期に選定する舞台に適した馬を作るのに、最適な血という認識であるのだと思う。
出なかったナミュール。
マイナス体重の上位人気馬は、結果的に見せ場を作ったというよりは、思われているよりちゃんと展開させた正しい伏兵の出現により、本来のクラシックトライアル的ジュベナイルフィリーズのテーストとは趣の異なる、昔の内回りしかなかった時代の阪神マイルのそれを思い出すような、意外すぎる流れを生んだのであろう。
無理をしなかったわけではないが、懸命に踏ん張ったところで、大外に振る手は考えない「出負けで策は一つの欧州系一流騎手」の流儀に乗って、クリスチャン・デムーロ騎手は形を粘りと執念で作るまでは至ったが、スタートもリカバリーもハイペースも、また例連とは全く違う馬場質も味方につけられず、最後は末脚鈍った4着。
ハービンジャーと言えば、このコースに朝日杯も移った最初の2014年に1番人気となった、ディープインパクトの一族のロカが著名。
新馬戦は素晴らしく、これはクラシックを簡単に勝ってしまうのでは…。
結果、二冠を獲るのはディープ産駒のミッキークイーンという世代。
予期するように、見事にスタートで煽ったあの姿が、スタートしそうな場面で不穏に動くナミュールちゃんを見て…、筆者覚悟した。
そうか、今日は走る気になれなかったか。
いや、もっと先があるのだから…。
1勝馬で以降のレース選択に苦戦のロカと比べ、除外などの不安はトライアルではないナミュールは苦しいローテなどないのだが、そういう想定ではなかったとすれば…。
難しい。
そういえば、ロカは最内枠だった。
調べ直したから確実だが、それをどこかで覚えていた筆者やファンたちに大いに味方になるはずの外枠が、今回は仇になった部分もある。
だから、競馬は難しいのだ。
競馬の難しさの象徴は、展開に関係なく追い込める馬が何頭出現するかという読みを、どのレースでもしていかないといけないというところにある。
34.1−46.4−59.0
マイル戦の肝を成す中間の通過ラップ。
どう考えても、G1に相応しいレベルの展開だろう。
無論、例年と比べるまでもない荒れ馬場も差し引かないといけないが、みんな外枠の馬。
<10−11−12−17>
という馬番の順で決着である。
位置取りはより取り見取りだから、正攻法の武豊・ウォーターナビレラも差し追い込みのサークルオブライフも、この時期のビッグタイトルでよく見るずっと乗っている騎手の馬という感じで頑張り切ったラブリイユアアイズも然り。
正しい位置それぞれにあり、正解に等しかったからこその結果がある。
思われているような力関係ではないというゴール前の決着に、一頭だけ違うテーストの戦略切り替えの人気馬がついてきたというだけ。
大分格好いいミルコに戻ったデムーロ兄も、中山の大捲りから大胆な策を常に画策の思考回路が安定してある<だから戦績は不安定になる>鞍上のこと、決め打つまでもなく、いい脚を溜めて勝負に出るスタイルを阪神マイルでは常に心掛けるから、安定して追い込みを決める。
桜花賞ならジュエラー<2着・シンハライト>、朝日杯なら何と言ってもリオンディーズ<2着・エアスピネル>である。
阪神マイルの3大レースに今は、マイルチャンピオンシップも加わる。
昨年よく走らせたユーバーレーベンも後方待機が、この春のオークス戴冠を決めた要素であった。
ミルコも偏屈すぎるところはたまにあるが、調子がいいと急に発想が柔軟になる。
やる気がある時のステイゴールドといつものミルコ・デムーロは、大体似た感じで好不調の波を繰り返す。
国枝栄調教師はそれと比べれば、ずっと甲高い声色で周囲をいつも和ませる、泰然自若の名伯楽である。
2009年優勝のアパパネは、翌年は三冠。
2017年不参戦というか、その気がなかったアーモンドアイは、翌年やはり三冠。
両方の間を突いたような感じであるアパパネの娘であるアカイトリノムスメは、クラシック級3戦皆勤で、最終戦をそれとなくすっきりとした内容の競馬で快勝。
ずっと素晴らしい調教師であるが、この馬も新馬を負けた馬。
みんな同じ。昨年のサトノレイナスや大昔にダービーに無敗で挑んだマイネルソロモンらは、この超名門の中では結果は出して大舞台に挑むも、終始縁を感じさせない負け方をするのだ。
アーモンドアイは全てを悟る様に新馬で爆死。
誰がああなると思ったか、というような新馬戦を納得して見えていたのは、きっと国枝栄調教師だけであろう。
上がり最速が大舞台で消える時、いよいよ本格化。
それは牝馬三冠の2頭がそうである。
当然形作りに終始のナミュールがベストの上がりだが、中身が大事。
でも、追い込みで勝負の馬であろう。
ハマる馬の強みを鞍上の采配から、極めつけの新馬負けローテで決めきる手腕には、鞍上の凄味以上の神懸かったものを感じさせるゴール前の伸びであった。
国枝栄調教師が最も優れているのは、人気のあるなしに関わらず、東京重賞好走馬が軒並み10kg減で出走して浮いたのに対し、増減なしで愛馬を送り込んだ点。
牝馬は難しい。
ステルナティーアはその影響を最も受け、その次がナミュール。
明らかにいい出来とは見えないくらいの減り方。
それに近いはずのラブリイユアアイズは、しっかり走ったが後が心配。
余裕のよっちゃんである国枝師とサークルオブライフ推しのファンは、この結果を1時間も前に確信していたのかもしれない。
今更、であるが。