阪神ジュベナイルフィリーズ2021予想
阪神ジュベナイルフィリーズの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!
歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。
レース名 | 第73回 農林水産省賞典 阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ) |
グレード | 重賞(G1) |
日程 | 2021年12月12日(日曜) |
発走時間 | 15時40分 |
開催場所 | 阪神競馬場 |
距離 | 芝1600m |
コース | 右回り |
賞金 | 6500万円 |
レコードタイム | 1:32.3 |
阪神ジュベナイルフィリーズ2021の予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)
阪神ジュベナイルフィリーズ2021の予想オッズと登録馬
枠順 | 馬番 | 出走予定馬 | 騎手 | 性齢 | 斤量 | 予想オッズ | 人気 | 1週前追い切り | 最終追い切り |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | ナムラクレア | 浜中 俊 | 牝2 | 54.0 | 21.7 | 6 | 栗東・坂路・良 800m 54.9-39.7-25.2-11.7(強め) | 栗東・坂路・重 800m 52.2-37.2-23.7-11.6(強め) |
1 | 2 | ナムラリコリス | 泉谷 楓真 | 牝2 | 54.0 | 124.5 | 10 | 栗東・CW・稍重 6F 80.5-64.7-50.5-37.7-12.6(一杯) | 栗東・坂路・重 800m 54.5-39.3-25.2-12.3(馬なり) |
2 | 3 | ヒノクニ | 長岡 禎仁 | 牝2 | 54.0 | 247.7 | 16 | 美浦・ポリ・不良 4F 54.5-40.2-11.6(一杯) | 美浦・南W・重 5F 67.1-52.1-37.8-12.1(強め) |
2 | 4 | トーホウラビアン | 太宰 啓介 | 牝2 | 54.0 | 299.7 | 18 | - | 軽めの調整 |
3 | 5 | スタティスティクス | 和田 竜二 | 牝2 | 54.0 | 233.5 | 14 | 栗東・坂路・良 800m 55.0-39.9-25.8-12.4(馬なり) | 栗東・坂路・重 800m 52.2-37.8-24.6-12.3(馬なり) |
3 | 6 | タナザウィング | 国分 恭介 | 牝2 | 54.0 | 241.4 | 15 | 栗東・CW・重 6F 82.6-67.5-52.3-38.0-12.4(馬なり) | 栗東・CW・重 6F 83.8-68.7-53.3-38.0-11.6(馬なり) |
4 | 7 | キミワクイーン | 内田 博幸 | 牝2 | 54.0 | 126.7 | 11 | 美浦・南W・重 5F 67.9-53.0-39.0-12.2(一杯) | 美浦・南W・重 6F 83.0-66.3-52.1-38.2-11.7(一杯) |
4 | 8 | ステルナティーア | C.ルメール | 牝2 | 54.0 | 3.5 | 2 | 美浦・南W・重 5F 68.2-53.4-38.5-11.9(馬なり) | 美浦・南W・重 5F 67.1-52.2-37.6-11.5(馬なり) |
5 | 9 | シークルーズ | 岩田 望来 | 牝2 | 54.0 | 258.9 | 17 | 栗東・坂路・良 800m 57.3-41.4-26.7-13.3(馬なり) | 栗東・CW・重 4F 54.5-38.1-11.8(馬なり) |
5 | 10 | サークルオブライフ | M.デムーロ | 牝2 | 54.0 | 4.7 | 4 | 美浦・南W・稍重 5F 67.7-52.4-37.3-11.6(強め) | 美浦・南W・重 5F 68.5-53.3-38.4-12.1(馬なり) |
6 | 11 | ラブリイユアアイズ | 団野 大成 | 牝2 | 54.0 | 38.8 | 7 | 美浦・南W・重 6F 83.7-66.7-51.5-37.2-11.7(馬なり) | 美浦・南W・重 6F 83.6-67.7-53.1-38.3-12.3(馬なり) |
6 | 12 | アネゴハダ | 幸 英明 | 牝2 | 54.0 | 60.9 | 8 | 栗東・坂路・良 800m 52.5-38.7-25.1-12.5(一杯) | 栗東・坂路・重 800m 54.8-39.5-25.5-12.5(一杯) |
7 | 13 | ウォーターナビレラ | 武 豊 | 牝2 | 54.0 | 3.2 | 1 | 栗東・CW・重 6F 85.8-69.3-54.1-39.9-11.9(馬なり) | 栗東・芝・稍重 5F 69.7-53.5-38.4-12.2(馬なり) |
7 | 14 | サク | 酒井 学 | 牝2 | 54.0 | 113.1 | 9 | - | 栗東・坂路・重 800m 54.9-40.0-25.6-12.7(末強め) |
7 | 15 | ダークペイジ | 横山 和生 | 牝2 | 54.0 | 173.7 | 13 | 栗東・CW・稍重 6F 82.9-67.2-52.5-38.7-11.9(一杯) | 栗東・坂路・重 800m 52.5-38.3-24.7-12.3(馬なり) |
8 | 16 | ベルクレスタ | 松山 弘平 | 牝2 | 54.0 | 5.9 | 5 | 栗東・坂路・重 800m 51.1-37.5-24.2-12.0(末強め) | 栗東・坂路・重 800m 55.0-40.0-25.5-12.4(馬なり) |
8 | 17 | ナミュール | C.デムーロ | 牝2 | 54.0 | 4.3 | 3 | - | 栗東・坂路・重 800m 54.0-38.4-24.4-11.8(強め) |
8 | 18 | パーソナルハイ | 藤岡 康太 | 牝2 | 54.0 | 131.9 | 12 | 美浦・南W・重 5F 67.9-53.0-39.0-12.2(一杯) | 美浦・南W・重 6F 83.0-66.3-52.1-38.2-11.7(一杯) |
枠順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 4回 | 2回 | 0回 | 34回 | 10% | 15% | 15% |
2枠 | 1回 | 1回 | 6回 | 32回 | 2.5% | 5% | 20% |
3枠 | 3回 | 3回 | 1回 | 33回 | 7.5% | 15% | 17.5% |
4枠 | 2回 | 3回 | 0回 | 35回 | 5% | 12.5% | 12.5% |
5枠 | 0回 | 5回 | 5回 | 30回 | 0% | 12.5% | 25% |
6枠 | 3回 | 2回 | 3回 | 32回 | 7.5% | 12.5% | 20% |
7枠 | 4回 | 2回 | 2回 | 51回 | 6.8% | 10.2% | 13.6% |
8枠 | 3回 | 2回 | 3回 | 51回 | 5.1% | 8.5% | 13.6% |
阪神ジュベナイルフィリーズ予想2021 - 過去10年のデータ傾向
アルテミスS主力の時代はとっくに終わり、強いファンタジー組以外は、ほぼ横並び。
東京の特別は赤松賞、通常京都の白菊賞と中山サフラン賞などが、重要戦と扱える1勝クラスの掟がある
白菊賞組は上位3頭など4頭も出走と意気軒昂。
出走可能なのが赤松賞勝ちのナミュールに、中1週となる白菊賞を豪快な差し切り勝ちで2勝目を挙げたルージュラテール。
前走の結果がかなり派手だったので、その気で仕上げてくれば、人気にもなってくるだろうし、混戦が予想されるメンバー構成だけに、近年の好走例の多さからも、おいしい買い目になる可能性に賭ける価値もある。
元々、赤松賞勝ちの馬は人気になるから、スティンガーとかアパパネでなくても、無敗という点で買いたくなるナミュールは警戒するということではなく、正しい見解を持って押さえたい馬。
買う以上は狙い目が必要で、牝馬で早熟性を見せるタイプがかなり少ないハービンジャー<1番人気で不発のロカのような悲しい結末も印象深い>で、3代母キョウエイマーチで何となく買いたくなるマルシュロレーヌの近親という要素と、彼女を管理する矢作厩舎のルージュラテールとを見比べたなら…。
しかし、白菊賞勝ちのルージュはローテを嫌い、賞金加算成功で回避を決めた。
それでも、負けてもいい白菊賞の方が、弾力性のある買い方ができるので、数で勝負できるこちらの組はしっかり買っておいた方がいい。
抽選になる2、3着馬も押さえは必要だろう。
頭狙いだと悔しい結果もあるアルテミスS組と、男気で頭から狙いたいファンタジーS組
人気の一角だったウォーターナビレラ・ファンタと、伏兵評価を覆したサークルオブライフ・アルテ。
ソダシの印象が強く、その前もラッキーライラックが2017年に勝っている。
アルテミスSは東京の1600というだけで特別感がある牝馬の東スポ杯のような存在。
コンスタントに強い馬は登場するだろう。
しかし、強い馬に限る…、という面もあったりする。
その前も2着だったリスグラシュー、その前年のアルテミス2着のメジャーエンブレムといったところが、期待通りに走ったという歴史がある。
むしろ、伏兵支持だったサークルオブライフでは、少し厳しいのかもしれない。
実力が反映されやすいのは、同時期の赤松賞とも同じだから、条件が揃っているのはウォーターナビレラなのだが…。
シルバーステート産駒への期待以上そのものは、武兄弟の熱意以外にごり押しできるほどのものもない。
ちなみに、両トライアル的位置づけの東西重賞を負けた馬で、堂々最先着があったのは2着馬ばかり。
人気面の妙味があったというよりは、勝った馬がG1に向けたステップレースで力を出し切ったことも影響したのだろう。
西のナムラクレア、東のベルクレスタ、その両者とも勝ち馬と互角といった気配だから、今年は2着馬の方がいいかもしれない。
夏の重賞は勝たない方がいいという傾向
今年は、
- ・函館2歳S ナムラリコリス
- ・小倉2歳S ナムラクレア
両レースの優勝馬で、最後にこの一戦を勝ち切ったのは、2001年のタムロチェリー<小倉>で、函館だと全く縁がない。
どちらも負けていた馬が2歳チャンピオンになったことは何度もあるが、勝ち切れる馬は夏の重賞で活躍していない方がいい。
札幌2歳S勝ちの牝馬が平気で誕生する時代になったから、ソダシのある意味での異常性はそもそも気にするレベルではなく、1200で強かったから2歳女王に近づくわけではないことは明らかになっている。
ただし、同時期の新潟2歳Sも言うほど好走している感じではなく、ハープスターやウーマンズハートらのように本番で違う馬の可能性を引き出している実力型に終わった例の方が目に付く印象。
ファンタジーS連対馬もかつてはそうだったし、G2両レース<東スポ杯は除く>を使っていたもやはり勝てないことがほとんど。
特殊な武器を持つタイプを探り出し、わざわざ狙いを立てる価値があると言われれば、誰でも休み明けで走るわけでもないとか、中間使えば結局消耗するだとか、考えるだけでも不利な条件を背負っている気がしてならない。
びっくりするほど来ない、新馬勝ち直行と前走未勝利勝ちのフレッシュな面々
昨年ジェラルディーナ<モーリス×ジェンティルドンナ>を推した筆者からすると、調べ直して考えてみたら、似たような血統馬でジェンティルドンナと同期だったジョワドヴィーヴル<ディープ×ビワハイジ>くらいしか勝っていないと気が付く。
最近は牡馬が、朝日杯阪神移設の影響で昨年のグレナディアガーズみたく、いきなりのG1で強烈に走る天才を登場させてきたわけだが、どうもジュベナイルの方はそうではない。
古き良き、デビューして初勝利後は、順当に特別戦などを使ってから、それは重賞でもいいのだが、秋に使っている方が幾らか有利。
距離をこなして1800のオープン勝ちとかがあればそれは例外とすべし、くらいの制約しかない。
いや、縛りはむしろそれほど厳しいのだろう。
人気馬が近年強いのは、そういうことの裏返しであるとも言えるから、オープンを使っていた方がいいとは思う。
それでも、1勝クラスで前走連対の馬がかなり幅をきかせているわけだから、冒頭に記したとおり、横一線なのである。
重賞実績を正確に判定することも、特別戦だからと言って過剰に勝ちっぷりを高評価にすることもせず、しっかりと未勝利組の天才型をごくわずかな存在として冷徹に吟味し、未勝利勝ち直後なのにブエナビスタが人気になった理由<所謂10月京都の伝説の新馬戦でデビュー>を明確な推し材料があると仮定した時、ようやく、ジョワドヴィーヴルにはその血が半分あるから可能性があると言えるのである。
それほどにハードルが高いのだから、未勝利組ワンツーなどあり得ない傾向からして、押さえに止めるのが賢明か。
買えるとしたら、今年は、エンタングルメントとかスプリットザシーくらいだろうが、ならば、格上と言えるステルナティーア<サウジアラビアRC好走>を軸馬の1頭に加えるという判断をしてみた筆者である。
阪神ジュベナイルフィリーズ予想2021 - 出走予定馬の血統/成績/タイム
〔矢作厩舎の勢いに乗って、殊勲のマルシュロレーヌと血縁の深い才能は、フランスで成功の弟君を乗せた好機をモノにしたいという一戦〕
ナミュールの血統
すっかり著名になったマルシュロレーヌ<2021年・BCディスタフ優勝>は、母サンブルエミューズの半妹に当たる。
母はダイワメジャー産駒<父はG1を5勝>、叔母はオルフェーヴル<三冠+春秋GPを3勝>の代表産駒に数えられることになったわけだが、いずれもタフな皐月賞を制したスプリングS出走組という共通項を持つ。
種牡馬 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ディープインパクト | 53回 | 46回 | 49回 | 280回 | 12.4% | 23.1% | 34.6% |
ロードカナロア | 21回 | 14回 | 16回 | 138回 | 11.1% | 18.5% | 27% |
ハーツクライ | 19回 | 10回 | 16回 | 133回 | 10.7% | 16.3% | 25.3% |
ダイワメジャー | 15回 | 23回 | 18回 | 141回 | 7.6% | 19.3% | 28.4% |
キングカメハメハ | 13回 | 13回 | 8回 | 86回 | 10.8% | 21.7% | 28.3% |
ルーラーシップ | 9回 | 15回 | 11回 | 110回 | 6.2% | 16.6% | 24.1% |
エピファネイア | 9回 | 10回 | 7回 | 48回 | 12.2% | 25.7% | 35.1% |
キズナ | 9回 | 8回 | 7回 | 65回 | 10.1% | 19.1% | 27% |
ステイゴールド | 8回 | 4回 | 4回 | 65回 | 9.9% | 14.8% | 19.8% |
ハービンジャー | 7回 | 9回 | 7回 | 91回 | 6.1% | 14% | 20.2% |
知られるシュリリーを牝祖とするこの一族は、何と言ってもオグリキャップ・ローマンがいるだけでなく、それらと同時代に活躍のリンデンリリー、泥田と化した旧阪神マイルコースを独走した名牝・キョウエイマーチ<ナミュールの3代母>らが登場する豪華ラインナップ。
近年は、活力がどうこうよりも、本来高水準の牝系であるオグリキャップ<地方出身をバカにした評価は見当違いで、同様の移籍組であるハイセイコーなど血統的価値では、かなり評判の一頭であり、産駒にはダービー馬・カツラノハイセイコなどがいる>が、想像以上に種牡馬として鳴かず飛ばずのネイティヴダンサー系らしい<ミスタープロスペクター系が大繁栄するまでは、当たり外れが多いとされた>ペケ多めの一流競走馬止まりであったことで、気づけば忘れ去られた牝系となっていた。
リンデンリリー<旧エリザベス女王杯優勝>には、パワフルなダート向きの可能性を秘めるミルジョージが入り、いかにも母系で存在感を示しそうな底力型の構成で、直仔にクラシック戦線に乗ったヤマカツリリー、3代母として登場するコマノインパルスなどが著名。
考えてみれば、クラシックに出ようにも馬主が中央競馬に出走する権利がなかったことから始まったオグリキャップでさえ、秋の天皇賞で芦毛の聖戦となり、古馬王者のタマモクロスに敗れるまでは、JRA移籍後重賞のみを6連勝、笠松時代も12戦10勝で、全戦連を外していなかった。
<元の馬主である小栗氏はローマンを所有した時、桜花賞勝ちのオーナーとなる>
早熟性を裏付ける根拠たりえないハービンジャー×ダイワメジャーの持続もしくは晩成系の配合であるナミュールとて、これだけのバランスで適宜「活躍馬ほど早く仕上がる」大いなる武器を持つ以上、前走の決め手は好意的に受け取れる。
最初はルージュラテール<矢作厩舎>を推していただけで、残念というか当然というか、自然な流れで乗り換えられるのは、彼女しかいないと確信を持って言える。
腕白な女の子である。
否、見た目が華奢に見えないくらいに、中型より少し馬体重は軽いにもかかわらず、誰よりもパワフルに左回りのタフなコースで、ゴール前も前進気勢旺盛なまま、もういいよと言われてもまだ走りたそうにしているような馬。
面白い才能を見出す役目にクリスチャン・デムーロが指名された格好。
当初の予定にはない、ということもなく、本命予定だったルージュラテールとは双璧評価を与えていたナミュールを、ここで本命にしないわけにはいかない。
何かに囚われているわけではない。
赤松賞の勝ち馬は、スティンガーやアパパネがこのレースの覇者になったというだけに止まらず、昨年はアカイトリノムスメが制したレースでもあり、その前年も中京のファルコンSで後のG1馬を完封するシャインガーネットが勝った出世レース。
そんな名牝の登竜門の一つであるレースを、ついに1分33秒台で駆けたこの牝馬を消す理由はそもそもない。
唯一の死角である中2週での出走も、関西馬であるナミュールにはいくらか不安材料は少ないか。
ワンターン戦だけで無敗の死角も、そもそも、そういうキャリアの馬同士の争いのこと。
血統面の東京より阪神、中山のイメージに見合った性質は、出負けでも直線は涼しい顔をして、三浦騎手をむしろ引っ張っていったような伸びで完勝の赤松賞より、ずっとお行儀のよかった中京での新馬戦に全てが詰まっている気がする。
阪神ジュベナイルフィリーズ予想2021 - レース展開と最終予想
勝ちタイムの1:39.0は、まるで不良馬場のそれにさえ見える、怪しげな決着時計であるものの、直後に赤松賞レコードで快勝の馬と同一。
論拠を失うばかりか、大幅修正を数字面からも記者、ファンたちに求められたことは、勝ちっぷり鮮やかな割に、赤松賞は単勝8倍の4番人気だったことでも明白。
何しろ、最初の13.2秒より遅いラップが4F目までに2つも発生し、3F目から39.4−52.7−65.5という謎ラップで展開。
折り合うも何もない新馬とて、おとなしめに川田騎手の言うことを聞いたナミュールさんは、さすが欧州G1圧勝のハービンジャーの娘である。
この危険すぎるスローから、11.9−10.8−10.7でまとめる過程で、2番手抜け出しのナミュールは、33.3秒で突き抜けた。
というより、差せる流れではないから、そういう才能を示したのである。
ちなみに、差す形に持ち込むしかなかった、ちょっとだけ道中掛かり気味だった赤松賞は33.0秒。
才能、というより他説明はつかない。
もっとやんちゃだったダノンファンタジーは、クリスチャンが騎乗して、後方からの流れにクロノジェネシスを取り込むようにして、最後は攻め落としたような策略も感じさせたレースだった。
あれから3年が経って、気づけば、クロノジェネシス共々、引退すべき5歳秋・G1勝ちの牝馬という立場になった。
それはずっと先のようで、アパパネの仔がついにG1を制した今年。
クリスチャンもフランスに拠点を置いて、すっかり勝てる騎手に成長している。
兄ミルコも手放しでその活躍を褒めちぎる自慢の弟は、早速、恐らくはミルコのユーバーレーベンよりかなり格下に思うグランドグローリーを駆り、JCで見事に兄弟対決の掲示板争いを制している。
いかにもパワフルで、マルシュロレーヌというか、母母父フレンチデピュティの血が入ったいかにもごついレースを好みそうなタレントであるはずのナミュールに、昨年優勝のソダシのような発展的ダート参戦を再び望むのは、もはや既定路線。
キレるハービンジャーというのもなかなか珍しいが、間違いなく距離にも限界があり、また自分で自分を苦しめる可能性がある力強いフットワークは、体がまだ440kg台でそれが減って不思議ない臨戦過程からも、連勝ストップの可能性も否定できない。
ただし、速いレースになろうがならまいが、どんとこいの構えで抜け出せる安定感がある。
その意味で、荒れ馬場の阪神に転じている現状、この血筋の強みであるタフな末脚はフルに発揮される。
そうした馬を背に、大きなレースをもっと勝ちたいと目論むクリスチャンには、最も適したパートナーであろう。